- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344414921
作品紹介・あらすじ
公儀天文方御用を命じられた大坂の大店質屋で、天文学の研究に精進する宗介。彼のもとに遊郭の奥座敷で蘭方の妙な星占いをする女を調べて欲しい、と同心が訪ねてきた。宗介が店の用心棒・小次郎と調査を始めると、件の占い師の簪で喉を刺された新造が、死体で発見される。二人は真相に迫るが、背後に巨悪の陰謀が浮かび上がった。新シリーズ。
感想・レビュー・書評
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大阪関係の本を探していて、出逢えた一冊。
史実とどうなのか調べていないからまだわからないけれど、この本を読む限り、江戸期大阪の天文学者のレベルは凄かったよう。
ちょうど、大阪の街づくりの本なんかを読んでいると、公儀よりもずっと自分たちのために商人やなんかが中心となって大阪というまちを作っていっていた事が知れて、目を見張っていたところだったので、大店質屋の十一屋が江戸の陰陽師らの天文予想をはるかに超える蘭学での天文実測で名を馳せていたという話にはリアリティを感じた。ぞんがらす(太陽観察用のガラス)の事とか、大阪の天文学の展開について、興味深くさらに知りたいと思った。
街を歩くシーン、当時の食べ物、着物、まるで観てきたよう歩いて来たように書かれていて、作者はどれほど勉強して来られたんだろうとも舌を巻く。
そして、その基盤がしっかりしているからこそ、物語がすらすらと読めてしまう、時代ものミステリーになっている。
キャラクターも魅力的で、シリーズがこの後2作あるけれど、どうなるのか、楽しみでならない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江戸時代の天文学者を主人公にしているのが興味深い。太陽の黒点の正体に悩んだり、観察器具を造ったりとここまで進んでいたのか!という感じです。
密偵でありながら十一屋に愛着を感じ始めている小次郎と、そのことを知りつつも友人として接する宗さんの関係も良い。 -
8/21-8/25