- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344415133
感想・レビュー・書評
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映画にもなった有名な本。
阪急電車に乗り合わせた見ず知らずの人(行きずりの人)たちを繋ぐ、連作小説だ(映画は当時見たけど、中谷美紀がウエディングドレス着て元カレの結婚式行くことと、有村架純が出てたことくらいしか覚えてなかった)。
有川浩さん自身が、阪急電鉄今津線沿線にお住まいらしいです(あとがきより)。
地元の人じゃないとわからない街の空気とか、あるよね。
この本には、勧善懲悪的な場面がいくつか出てきた。そうか、有川浩さんはあの現代の時代劇「三匹」シリーズの作者様でもあるのだ。
婚約者を略奪した相手、DV男、マナーの悪い中年女性集団。そして、その相手をギャフンと言わせるような場面。
・・・この本を読んで、私は、善と悪がはっきり二分した世界観はそもそも好きじゃないんだなーと改めて思った。私は三匹は大好きだけど、勧善懲悪が好きなのではなくて、三匹だけが好きなのだ。
特にマナーの悪い中年女性集団に対して、おばあさんが反論し、加勢した若い女性が香水のつけたかも知らないのか、くさい、と集団を糾弾する。
読んでてヒヤヒヤするし、公共の乗り物で喧嘩はやめてください・・・オロオロ・・・と思ってしまったよ。それ以上反論したりやり合うことはせず、目的外の駅で降りていった集団のほうが大人の対応に見えたよ。
この本の高評価を見るに、この場面を「やったね!すっとした!」と思えない私は、少数派なのかもしれない。
それとも、関東と関西の文化の違いなのかな。関西では電車の中のこういういざこざはよくあることなのだろうか。関西の人に上記の感想言ったら、「東京モンは冷たい」とか言われちゃうのだろうか。そう考えると、そっか、それなら仕方ないのかな…と思う。
個人的に「折り返し」前まではとても楽しく読めたのです。
読者と登場人物たちの関係も「見ず知らず」の「行きずり」だから、その後どうなったかなんて、知らないままでも良かったな、とすら思ったのでした。
私がなぜこの本を読もうと思ったか。それは阪急電車が宝塚を通る電車だから。
宝塚歌劇が好きなので、宝塚大劇場のある街の空気を少しでも感じたくて。
宝塚歌劇については、劇場名や音楽学校名が少し登場しただけでしたが、沿線の各駅の雰囲気とかこの本を読んで少しわかって楽しめた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった。
ウエディングのお姉さん好き。
なかなか最初のお姉さんもやるわ。
あと、おばあさんも。
関西ってこういう雰囲気があるのがいいよなぁ。
旅行に行きたくなった。 -
文庫本の裏表紙のストーリー紹介には、「傑作長編小説」とあるが、実際には、阪急今津線を舞台にした短編の連作小説。
基本的に、とても真っ当で良い人ばかりが主要な登場人物で、その人たちが本当に心温まるエピソードを繰り広げていく。読後感は、とてもハッピー。 -
心がポカポカ温まる最高の傑作小説!
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とても温かいお話でした。いまは電車に乗ってもみんなマスクしてて、席も空けて、ちょっとピリッとした空気。でもそれぞれ、その人の人生がある。ただ乗り合わせただけだけど、もしかしたらまたどこかで出会うかも?なんて思ったら少し心がほっこりします。
またいつか読み返したいな。 -
短編小説のようだけど、それぞれに繋がっている部分もあって、大変面白い作品でした!どの主人公にも感情移入できて、一緒にイライラしたり、ワクワク、ドキドキしたりできました。最終的には心が暖かくなるストーリーで、何度も読み返したくなるような本だと思います。映画も見てみたい!
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阪急今津線の乗客たちの人生が交錯して紡がれる物語。日頃、電車で乗り合わせた乗客のことなど気にもとめない。しかし、乗客の人数分の人生がありそれぞれの物語がある。もしそれらが一瞬だけでも重なり合ったら…。
本作は阪急今津線という短い路線を走る列車を舞台に、人間の悲しさ、浅ましさ、愚かさ、強さ、弱さ、優しさなどが描かれている。高校生から孫のいる老婦人まで様々な年代の人物、そしてカップルが登場し、ほんの些細な会話やちょっとした出来事の場に居合わせる。お互い交わされる会話は多くはないし、縁が深まるものばかりでもないのだが、その僅かなやりとりで己を見つめ直したり、傷ついた心が安らいでいく。
どの人物も、迷いの中にいたりもがき苦しんだりしているが、最終的には自分の方向性を見つけていく。こんな風に素直になれていたらなぁ、これから素直になれるかしら。うん、きっとなれるさ。読み終わる頃にはそんな気持ちになれた。
関東生まれ関東育ちの身には阪急電鉄は片手で数えられる程しか乗ったことがなく、今津線は乗ったことがないが、住めるものなら一度住みたいなと…、それは叶わずとも、文庫本片手に今津線めぐりをしてみたいと思った。 -
隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車—— 人数分のドラマを乗せた電車はどこまでも続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。
好きだな〜好きだわ〜。
映画もすごくよかったけど、原作も最高。
また、映画を観たくなったし、DVD買いかなと…。
みんな必死で生きているし、
弱いところも強いところも持っているし、
ネットとかSNSとかばっかりだけど、
人と関わることを本当は望んでいるんじゃないかなって思う。
ちょっとだけ勇気を出して、周りを見て、一歩を踏み出した先には
きっとこのお話のような小さいかもしれないけど、
最高級の奇跡が待っているのかもしれない。
短編と思いながら、全部が繋がっているストーリーが
本当に気持ちをほっこりさせてくれる小説。 -
いつもの見慣れた駅に、いつもの見慣れた電車。
でも、いつもとは少し視点を変えて、第三者の立場から俯瞰してみると・・・
電車に揺られて移動している時間は、その車両に偶然に乗り合わせた人と、同じ「時」と「空間」を少なからず共有している。
そこで偶然に乗り合わせた人たちは、
おそらく、一人ひとりが違った道をこれまで歩んできていて、
きっと、その一人ひとりの心に秘めているドラマがあるのかもしれない。
『阪急電車』を読み終えた、次の日からは、
いつもの駅で、いつもの見慣れた電車に乗るのが、
ちょっとばかり、わくわくしてくるかもしれませんね。-
あらすじにはまったく触れていないのに、
『阪急電車』という作品が持っている雰囲気を
余すところなく伝えてくれる、素敵なレビューですね♪
偶...あらすじにはまったく触れていないのに、
『阪急電車』という作品が持っている雰囲気を
余すところなく伝えてくれる、素敵なレビューですね♪
偶然出会って、たった数分のひとときを一緒に過ごした人たちがあたたかく関わり合って、
小さいけれど新しい一歩を踏み出すきっかけをもらい、また与えていく。
そのつながりがとても愛おしくて、私にとって大切な1冊です。
映画のほうも、細かいエピソードはちょっとだけ違っていたりはしますが
原作の雰囲気を壊さず、とても素敵な仕上がりになっているので
もしお時間があったら、ぜひ(*'-')フフ♪
2012/10/05
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久しぶりに小説一気読みした。くっそう、甘いよ! そしてなんだよこのほっこり感。
大学入学以来、見慣れたエンジ色の車両が描かれた表紙を見たとき、この本は必ず読もうと思ったのでした。3年経ってようやく読んだ。中身を全く知らなかったけど、罠だったよ! 僕も恋したいよー。
大学が宝塚線沿線なので、宝塚線はよく使うものの、あとは京都線が数回、箕面線、神戸線が1往復ずつしか乗ったことがない。今津線なんて聞いたことないくらいなのですが、これ読んだらやっぱし乗ってみたい。映像で見せられるより文章で書かれたことでより魅力的になってるように思える。カップルとかの会話とかも、実際に見たら疎ましく感じるだけなのに有川さんの文章で読むとなんでこんなに微笑ましいんだちくしょう。
児玉清さんの解説で、有川さんが女性だと初めて知った。ずっと、「ひろし」さんだと思ってた。児玉さんはもう死んでしまったなあ。