みなさん、さようなら (幻冬舎文庫 く 14-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 329
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344415195

感想・レビュー・書評

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  • 同僚からもらった本です。

    解説を読んで知りましたが、作者の久保寺さんは同じ大学・学部・学科出身でした。
    小学生最後に起きたある事件をきっかけに、生まれ育った団地の敷地から一歩も出られなくなった、主人公・渡会悟の13~30歳までの物語。

    発想は面白いです。
    団地内に閉じこもりながら、学び、鍛え、働き、人を愛し、成長していく。まさに青春小説。
    団地の外を知らない主人公だからこその、ピュアで真っ直ぐな視点は、時に読者であるこちらの気持ちを深く傷付けます。

    ただ、主人公があまりにもうまくいきすぎます。13歳から団地に引きこもる人生が、そううまく行くわけないでしょう、と半ば引いた気持ちで読まざるを得ないのは事実。

    後半の展開も、リアリティなさすぎ。
    結末に至っては、ストーリーの中盤から予想していた通り。。

    文体や表現力、着眼点は否定しないので、デビュー作とのことですし、今後、素晴らしい作品を生み出してくれると期待しています。

    オススメ度は低め。

  • 貴志祐介さんがおすすめしてたので読んでみたら、すっごく面白かった。同期の人たちがいなくなっていく様がちょっとデスゲームっぽくって好き。ケーキ屋のおやじ、いいキャラしてたなあ。

    久保寺健彦さんはしばらく沈黙してたけど、去年ひさしぶりに新刊『青少年のための小説入門』を出しましたね。これもおもしろかったです。

  • 過去のトラウマを抱え、団地の中だけで生きていくことを決心した少年の物語
    母親や小学校の友人を始めとした団地の住民とのコミカルな関わりから話が始まっていくが、少しずつ過激というか、ダークなテーマに移っていくうちに物語へ引きずりこまれていった

    (若干ネタバレになり恐縮だが)
    人が亡くなる結末はあまり好きではないが、本書では重いインパクトを受けた
    人には理解し難い心情を抱えていた少年に対し、矯正の無理強いをしなかった母親
    心のうちに秘めた本音はありながらも見守り、最も効果があるだろう方法でその意を伝え、少年は約20年の時を経てトラウマを超えることができた

    なんて愚かで、馬鹿で、あんな時間を過ごしたのか
    号泣する主人公を見て、自分も誰かからの愛情に気付けないままでいるのかもしれないと思うと、感情移入せざるを得なかった

  • 主人公の小学校卒業から30歳までの団地での引きこもり?
    生活が現実にあった話のように日記のような形で書かれていて、読み始めると思わず引き込まれてしまいました。

  • 同級生が刺される事件をきっかけに団地から出れなくなった少年。母親を含め、周りの人の暖かい気持ちを感じる小説。子供を持つ親としては、心の奥が痛い話でした。

  • 数ヶ月前に某リサイクル書店でまとめ買いした中の1冊。
    なんで?これを購入したのか数ヶ月前の自分に聞きたい。

    ちゃんと高校まで行った自分より充実した青春時代を送る引きこもり?生活記。
    その理由も唐突だなぁ。
    結局、解決となる出来事もありがち。
    設定は面白いもののありきたりな青春モノ。
    可もなく不可もなし。

  • 映画を見てからの小説。同級生たちが次々と新しい道を進む中、1人でそこから動かない主人公が痛々しく悲しい。団地の老朽化による環境の変化が拍車をかけている。

    でも、何度逆境が訪れても自分の生きる方法を模索し行動できる主人公はただただ凄い。

  • 元団地住人として楽しませていただきました。不条理小説(ふつうは主人公を取り巻く環境が不条理なのだが、この場合主人公こそが不条理)と思わせつつ、ちゃんとベタなクライマックスを作るあたりは好き。

    以下、微妙にネタバレ
    [more]
    ラストは、団地に縛り付けていたのは母親と読めなくもない?

  • 渡会悟 ヒーさん看護師 芙六小 コミセントレーニングセンター 演劇部キューちゃん モカとモンブラン 師匠 タイジロアンヌ 銀座 エンゲージリング 婚約 同窓会 社会ののぞき窓 松島有里 包丁が握れない 同窓会 PTSD プラトンの言うベターハーフ マスコミ嫌い テレビ的な演出 手刀で叩き落とした 団地の騎士ナイト 171㎝ 60kg 23歳 葉書 鳴子 拳骨 金的 目潰し 空手の練習 園児 薗田 大検3年連続失敗 簿記と会計 リフティング ポルトガル語 パイ マリア ワイルドターキー 広い世の中、そんなやつが一人くれえいたって、面白えじゃねえか 突き抜けたものの見方をするこの人が、俺は好きだと強く思った。 プリテンダーズstop your sobing モンブランつくんのは、骨だよな オールドパー バランタイン マッカラン オズの魔法使い 持てる限りのサービス精神を発揮 どういう死因なら納得できるんだい マヨネご飯 ナイトホークス 頭に100ボルトの電気を流す サミュエルバーバー 寄んな、変態 大山猛虎 刃傷沙汰 堀田明 エルザ エリダ サントス 青い雷 流しのケーキ教室 オブリガード 唾爆弾 松戸で工場でスリッターつくってる ポケベル PHS 大富豪 革命 しばり 海の花畑 蒼井は内蔵が破裂したけど死ななかった。木下は植物人間になりました。いまもどっかの病院で、母親に下の世話受けてると思いますよ 団地のナイトォ ガイジンのガキの、三本ぐわえだ すむんじゃないの、証拠残さないから。 俺は死ぬかもしれないが死んでもお前らをぶっ殺す 戎名 散骨 三十歳 足立区竹の塚 人生折り返しにきているなと突然実感 戒名(かいみょう)は、仏教において受戒した者に与えられる名前である。仏門に入った証であり、戒律を守るしるしとして与えられる。

  • 団地から一歩も出られない悟。
    だから中学校にも行かず、高校へも行かなかった。
    団地に住む同学年の友だちの動向を見守るために団地内を巡回する悟。
    しかし、時は流れ、団地からかつての同級生たちは次々と去っていく。
    悟が団地から出られなくなった理由。
    それは小学校の卒業式で起きたある悲惨な出来事。
    あっけなく失われた命。
    「あなたなら、どこへ行っても大丈夫」
    母とはありがたいものだ。じっと悟を見守ってきた深い母の愛情が伝わってくる。
    主人公がどこまでも明るい。
    自分が置かれている状況の中で、決して立ち止ることなく前に進もうとする。
    だからこそ、悟が選んだ未来にほろりとしたあたたかさを感じた。

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著者プロフィール

1969年東京都生まれ。立教大卒業。2007年「みなさん、さようなら」でパピルス新人賞、「ブラック・ジャック・キッド」で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞、「すべての若き野郎ども」でドラマ原作大賞特別賞の新人賞三冠を達成。他著に『空とセイとぼくと』『オープン・サセミ』『ハロワ!』『中学んとき』『青少年のための小説入門』などがある。

「2022年 『明日はきっと お仕事小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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