有頂天家族 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
4.14
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本棚登録 : 14089
感想 : 1220
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  • Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344415263

感想・レビュー・書評

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  • タイトルだけ知っていた本だけど、まさか主人公が狸だとは思わなかった。狸と人間と天狗が織りなすファンタジー小説。
    森見登美彦さんの本はまだ二冊目だけど、どうも相性が合わないかもしれない。話自体には面白さを感じられても、なぜか文章が頭にうまく入ってこない。なぜだろう。

    その中で、「世に蔓延する「悩みごと」は、大きく二つに分けることができる。一つはどうでもよいこと、もう一つはどうにもならぬことである。そして、両者は苦しむだけ損であるという点で変わりはない。」という言葉にはビビッときた。心に刻みたい。

  • 四畳半シリーズ、ペンギン・ハイウェイに続いてこのたぬきシリーズ?にはじめて手を出してみた。
    一言で言うなれば…森見登美彦シリーズ全開!という感じの本だったかなと。
    狸界の名門とされる下鴨家の三男である矢三郎が主人公、この家族には主人公の他に3人兄弟がいて、それに母親を含めて4人の家族がいる。亡くなった完璧な父に比べ、何か足りないもの同士の兄弟たちが悪戦苦闘する物語。父親の死を境にバラバラになってしまった家族が、父親の死の真相を突き止め、その中で起きる出来事を通じて、それぞれ兄弟が成長し家族が一つになる…まぁそんな感じの話である。
    あらすじにすると感動チックに聞こえるかもしれないが、中身は至って阿呆な話が多く読んでいて楽しい。この著者独特の言葉の使い方や、この慣れない世界観に、若干の読みづらさを感じる人はいるかもしれないが、面白い作品だったと思います。
    もう1作品このシリーズがあるようなので、こちらも機会を見つけて読んでみたい。
    でも個人的には、やはり森見登美彦は四畳半シリーズかな~とも思いました。

  • 人間ではなく狸が主人公。「阿呆」で「面白き」日々

    ★本の感想
     この本の主人公は狸である。他の狸や天狗や人間らと色々と騒動を巻き起こす物語である。狸を中心に据えているからこそ、より自由に場面やストーリーを展開させられる。人間のように学校や仕事に行く必要はない。狸なので、好きな時間に好きなところに行くだけである。そんな自由さ、阿呆さがこの本の魅力だ。森見先生の言葉遊びは相変わらず気持ちよく、子気味よい。「呉越同舟」と叫びながら意地悪を仕掛けてくるライバル狸の阿保っぷりに笑かされる。キャラクターが皆生き生きとしてやかましい。とてもアニメ向きの作品だなぁと思う。実際に、P.A.WORKSから作品化されている。森見監督は愛おしいキャラクター達を描くのがホントに上手だなぁ。

    ※Auidbleで読了

  • 同僚から借りた一冊。

    何の知識も先入観もなく読み始めた上に、森見氏の作品を読むのが初めてだったので作風・文体に慣れるまで時間がかかりました。

    京都を舞台に狸と天狗、人間が織り成す物語。
    タイトルの「有頂天家族」は主人公である狸・矢三郎を含む下鴨家の狸達を指します。
    偉大なる狸であった父が人間の手によって鍋にされた下鴨家と、因縁深い夷川家(やはり狸)、下鴨家の師匠である天狗・赤玉先生、赤玉先生によって人間から天狗になった美貌の持ち主・弁天、忘年会で狸を鍋にする習慣を持つ人間達。

    なぜ同じ狸同士が争うのか、なぜ偉大なる狸が鍋にされたのか、、、
    下鴨家の絆、阿呆さ、お茶目っぷり。
    最後に全ての伏線がつながり、心地好い終わりを迎えます。
    まさに「有頂天家族」。
    面白かったです。

    個人的に気に入ったのが森見氏独特の擬音語や擬態語。
    「ぷつぷつ呟く」、「ぽてぽて歩く」など、様子が脳裏に浮かぶ表現が好きです。
    こうした表現を含め、時折クスリとさせる絶妙さ、各登場人物をイメージさせる人物描写が素晴らしい。
    文章でこういった表現が出来てこそ「作家」であり、小説を楽しむ醍醐味だと思っています。

  • 化けるのが上手い矢三郎と、家族の話という感じでしょうか。

    四人兄弟なのですが、父親がタヌキ鍋で食べられてしまいます。

    残された家族はほぼバラバラに過ごしてますが、雷がなると、雷嫌いな 母の所へ集まります。

    そんな家族に、おじさんとその子供たちの嫌がらせが入ってきたりを、赤玉先生のちょっと人を困らせるわがままが入ってきたり、ちょっと怖い弁天とのやり取りがあり。

    タヌキ鍋という物騒なことがなければ、楽しく暮らせるタヌキの家族の話

  • 読み終わってからレビューするのに2週間かかっている。とても面白かったのだが、何がどう面白かったのかがうまく言葉にできないのだ。そもそも偽右衛門になんの価値があるというのか、狸ではないオイラには全く理解ができない。ただ狸には「阿保の血」が流れる下鴨一家という一族がいて、素晴らしい家族らしいことはわかった。なかでも矢一郎をはじめとする4人兄弟を育てた総一郎はカッコいい親父だ。そういえば一度も姿を現さなかった海星の存在が気になる。少しも作品のレビューならないことを綴っていたら、解説の上田誠氏がちゃんとまとめていてくれた。”森見先生の作品は、そのようにして読むのがいい。答えを導き出そうとするのがそもそもの間違いで、解説するのは止めにする。ただ愉しめばいい。面白く読むほかに何もすべきことはない„
    あっ、森見作品のアニメは中村佑介氏のキャラクターデザインがピッタリだと個人的に思う。

  • 弁天が最後までつかみどころがなかったけど。

  • 京都を舞台にしたファンタジー。だいぶ昔に読んだから記憶があいまいですが鴨川モルホーみたいな世界観。そんな既視感があったので、新鮮味はなくそこまで楽しめず。四男の弟狸が出てくるシーンがとにかく癒しで、それだけは良かったので最後まで読めました。

    京都の下鴨で暮らす狸一家のお話。この世界では狸と天狗と人間がなんとなく共存している。師匠の「赤玉先生」は昔は偉大な天狗だったけど今ではすっかり力も弱くなりグダグタと酒浸りの生活をしている。そんな師匠を三男は何かと面倒を見ている。赤玉先生が昔連れ去った人間の女の子が「弁天」。天狗として実力をつけ女の魅力も兼ね備えた弁天に赤玉先生は骨抜きにされ、三男も惹かれている。
    この狸一家の父は弁天も所属する「金曜倶楽部」の忘年会で狸鍋にされてしまった。父の特性を一つづつ引き継いだ狸兄弟は偉大な父の亡き後、母を、兄弟を守るためにそれぞれの役割を果たしつつのんびり、時にトラブルに見舞われながら京都で生きている。

    こんな話だったと思います。前半は赤玉先生・弁天・四男を中心にゆるゆると話が進みますが、後半一気にバタバタします。続編もあるようですが、読まなくてもいいかなという読後感。あ、でもアニメ化されてるんですね。これは観てみたいです。本書だと人間に化けてるのか狸のままなのか、あいまいのまま読み進めている部分もあったので、アニメなら状況がはっきりするかも。

  • 挫折しながら数年越しに読み切れた。
    森見登美彦の文章は読んでてすぐ分かるくらい独特で好き嫌いが分かれると思うけど、この文が情景が頭に思い浮かぶ助けになっていると思っている。

    下鴨家と夷川家の関係なんてもっとドロドロした様子を書けるような設定だけど、そうならずどこかカラッとしていて見ていて気持ちがいいのはこの物語に登場しているのが狸と天狗とほぼ天狗の人間とちょっと人間、というファンタジー要素と森見登美彦の文才なんだろうな。

    敵を1人作ったら友達を1人作る、そうやって敵と友達が半分になった時に家族がそばにいてくれていたらすごく心強い。

    どのフレーズよりも、ここが心に響いたな。

  • たぬき可愛い

著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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