銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 2629
レビュー : 450
  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344415324

作品紹介・あらすじ

大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。

感想・レビュー・書評

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  • 銀二貫。
    今のお金でどれほどの価値があるのだろう・・・。

    雪が辺りを真っ白に染めた睦月。
    大坂の寒天問屋・井川屋の主である和助は、仇討ちにより父親を失った十歳の鶴之輔を助けるため、その相手に天満宮再建のために寄進するつもりの銀二貫を差し出す。
    武士の子であった鶴之輔は松吉と名を改められて、井川屋に丁稚として奉公するのだった。
    武士のしきたりとはまるで異なる商人の世界。
    穏やかで情の深い主や、厳しい番頭、丁稚仲間に囲まれて一つひとつ仕事を覚えていく。
    また、寒天を納める先の料理人やその娘の真帆によって、仕事に対する誠実で真摯な姿勢をあらためて知ることに・・・。

    市井の人が困難に見舞われながらも、決してあきらめず騒ぎ立てもせずにその事実を粛々と受け止めて、最後には自分の目指した境地に到達することができるというのは、髙田郁さんの得意とするところ。
    1巻で完結するので「みおつくしシリーズ」と比べると人情味あふれる場面も割合あっさり(←髙田さん基準)かなとは思う。
    それでも、読みだしたら止まらないのいつもの通り。
    寒天を極める苦労や、自分が目指す商品開発にまつわるあれこれ。真帆との愛情。
    そして、極めつけは仇討ちのその後。
    1冊の中に盛りだくさんで、ドラマになるのも合点がいく。

    いつも通りに楽しめる1冊ではあったが、最も心惹かれたのは、銀二貫の行方。
    仇討ちに支払い果たせなかった寄進のために、井川屋で爪に火をともすようにしてお金を蓄えても、大切な人の一大事にはあっさりと大金を渡してしまう。
    主人の和助のお金の使い方には惚れ惚れした。
    こういうお金の使い方ができるオーナーはなかなか現代には出てこないでしょう。
    お金は使ってこそ。血のように巡ってこそ。
    政治経済の授業で聞いた、銀行の等比級数的お金の貸し付け。
    お金の価値を上げるのは使い手次第なんだね・・・。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。

  • ★二貫!
    というのは冗談で、個人的には文句なし★五つ!

    時代小説は読まず嫌いな分野であったけど、とても読みやすかったうえに、
    感動して何度も何度も目頭が熱くなった。ホントに良かった。

    大阪商人の心意気と義理人情が描かれていてるだけではなく、成功物語、純愛物語でもある。
    いろいろな要素が詰まっているけど、どれも半端にならず、濃く描かれていると思う。

    昔の時代の人の心の温かさや生きていくことの辛さ、生業にかける熱意や信念を感じ、
    そして血よりも濃いものがあるということを教えられた。

    この4月からNHKでドラマ化される。
    こちらも是非期待したい。

  • しみる。ほんまに心にしみる物語でした。松吉のまわりの人たちが、ほんとにいい人すぎて…(涙)日本人の失いたくない美徳がここにあります。ぜひとも多くの人に読んで欲しい一冊です。

  • 心がほ~んのりあったかくなる大坂・人情話。
    舞台はいまの大阪・天満付近。
    寒天問屋、井川屋の主・和助は、父の仇討ちに、と殺されそうになった息子・鶴之輔(のちに松吉)の「仇討ち」を、銀二貫で「買う」。そして松吉は井川屋の丁稚として働くようになる。
    大金は大火事で焼けてしまった天満宮再建寄進のお金だったので、番頭・善治郎は松吉につらくあたる。
    それでも松吉は懸命に働き、寒天を届けに行き仲良くしていたお嬢さんのいる真帆家を大火で喪ったり、
    「腰のある寒天」を作るために何度も天場に通うが挫折したり、糸寒天ができた後も、餡のつなぎにすることが何年もできなかったりと、
    その間に、また天満宮が焼失してしまったりと、
    本当に何度も倒れそうになるんだけど、
    復興する大坂の商人や町のように、松吉も立ち上がる。

    大火のあと自分を娘のように育ててくれたお広が亡くなり、松吉がご寮さんに「はがいい」と焚き付けられて、包みを落として、真帆のところへ向かうシーンはよかったなぁ。やっとほっとした、って感じで。

    あと、和助が、美濃志摩屋の跡継ぎに投げつけるせりふ「人を育てるなら、草と同じで種から水あげて育て。盗っ人と同じやで」的なやつ、じーーーんとしびれたよ…。
    この和助さんが一番、かっこいい。
    これぞ、お金の使い方。苗村も新田開発がうまくいったり、こうしてうまく、ぐるーりとお金がめぐっていくのがいいね。

    そして羊羹や団子、琥珀寒が食べたくて仕方ない!!天満宮にも行ってみたくなりました。

  • 私の実家の大阪天満・天神さん・天神橋・堀川・八軒・大川あたりの話。
    とてもいい話です。
    『大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本』と名をつけて売っていましたが。本当に大阪商人の誇りのような本。
    たまらなくいいお話。大阪の実家の近くを散歩して何度でも読んでみたい
    と思える本です。

  • 関西の書店では、必ず棚置されている著作ということで気になっていたのですが、仕事上のお客さんから、最近読んだ本でのオススメと聞き、半信半疑で購読。
    読みやすく一気に読め、江戸時代の関西独特の商慣習の雰囲気も味わいながら、「イノベーション」「純愛」「人との関係」の絶妙なバランスの中に泣ける名作。
    時代小説も侮れない文学だと思う。当面、関西の書店では、売れ筋コーナーにならぶことは間違いないだろう。

    ところで、私自身は、羊羹自体をウマい!と思う事はなかったのですが、この作品を読んでいたら、主人公が作った羊羹がウマそうな文章表現なんです。何故だろうとおもったのですが、巻末の解説を読み、作者の作品を作る姿勢を読んで、本当に納得。

  • 大坂天満の寒天問屋の主・和助は武士の仇討ちに偶然遭遇する。
    和助は義侠心から、天満宮再建の為に寄進するはずだった銀二貫で仇打ちを買い、十歳の少年を引き取ることに。
    少年は松吉と名を改め、商人として厳しい道のりを歩み始めてゆく。

    みをつくしシリーズ同様、こちらもすごく良かったです。
    王道すぎるベタなお話なのに、どうしてこんなに引き込まれるのか・・・!

    主人公の松吉のひたむきな姿にも感動するのですが、周囲の登場人物たちのを優しすぎない優しさや、清冽な信念が、読んでてぐっと心に響いてきました。
    苦労を重ねながら成長していく、その姿に注がれる温かい周りの人々のまなざし。
    「自分も、明日も頑張ろう」と、素直に思いました。

    作中に銀二貫のキーワードは何度か出てくるのですが、そのお金で買った得難いもの、その重みの価値・・・。
    お金自体は俗そのものなのに、そこに人の強い想いが乗ると、こんなにも他人の心を打つのか。
    何度も目頭が熱くなっちゃいました。

  • 寒天問屋の和助は仇討を銀二貫で買い、幼い鶴ノ輔の命を救った。
    鶴ノ輔は松吉と名を改め、寒天問屋の丁稚として奉公することになる。
    店主和助と番頭善次郎の掛けあいが可笑しくもあたたかい。
    銀二貫、と聞いてもどれくらいの価値なのかさっぱりわからなかったけれど、信用を大事に良い品を真っ当に扱い繁盛している井川屋でも皆が慎ましく暮らしながら9年かけて貯めた、ということだからかなりの大金であることは間違いない。
    大阪天満宮再建のための寄進としてこつこつ貯めた銀二貫が、松吉の命を救う対価となり…そしてまた窮地を救う銀二貫。

    しみじみ良い本でした。羊羹食べたくなってしまいます。

    驚いたのは高田さん自身が、執筆する際実際にその料理に挑戦してみるということ。今の時代なので寒天も使い良いものがあるけど、このこだわりようは並々ではない。

    こうして手間暇かけて作られた物語のお味はもちろん・・・大変美味しゅうございました。

  • 22年と言う長い長い歳月をかけた、成功までの苦節の物語。
    どんなにつらくとも、努力と精進を重ねる主人公と、それを暖かく見守る人々。
    高田郁さんらしい、人の心の温かさと愛情に満ちた話は、随所で涙を誘う。

    それにしても、本当に江戸時代は、火事が多かったのだな…
    身を寄せ合うようにして建てられた木造建築では、火の回りも早かったろう。
    その渦巻く炎の中で逃げ惑う人々の、地獄絵図をまざまざと見せつけられるような筆致に慄き、凍てつく天場の描写に、自身の指先までもが寒さでしびれるような感覚を覚える。

    純愛も少し添えた大団円に、心がほっと凪ぐ。
    水戸黄門的と言われようと、これだからハッピーエンドはやめられない。

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