銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 3366
感想 : 501
  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344415324

作品紹介・あらすじ

大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。

感想・レビュー・書評

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  • 寒天問屋の主・和助は、仇討ちの場で、父とともに切り殺されかけた少年を、銀二貫で救う。
    鶴之輔は侍を捨て、井川屋の丁稚・松吉として、新たな人生を歩んでいく。

    何度も泣けた!

    大飢饉、大火事、人間の悪意。
    繰り返される天災と人災の中、神信心を忘れずに、前を向いて生きる人々が、あたたかでさわやか。

    井川屋のみんなはもちろん、かかわっていくすべての人々にドラマがあり、引き込まれる。

    大変な思いを積み重ねて生まれる、銀二貫の行方は?

    苦しいこと、つらいこと、そして、うれしいこと、たのしいこと。
    日々の中にある感情がつぶさに描かれていて、人情味あふれる物語。

  • タイトルの「 銀二貫」に込められた深い意味が分かった

    「 その仇討ち 銀二貫で買わせて頂きとうおます」
    仇討ちの場で寒天問屋主人の和助に救われた鶴之輔改め松吉の半生
    武士の長男としての身分を捨て、商家の丁稚として生きていく覚悟の裏には、常に天満天神宮の再建のために寄進するはずだった銀二貫で買われたという負い目があった
    しかし、いつかは天満天神さんと寒天問屋井川屋に恩返しをと精進に精進を重ねる

    トコロテンを寒晒ししたものが、寒天
    もとは、ゆるい液体のものにとろみをつけるだけの寒天が、松吉と半兵衛の何年もに渡る努力と研究の末、 今でいう" あんみつ" や練り羊羹に使われる硬さの糸寒天を完成させる過程には感動した

    刀で命のやり取りをして決着をつけるのは侍
    知恵と才覚を絞り、商いの上で決着をつけるのが商人という理の通り、井川屋の主人和助は、また天満天神の再建をと貯め始めた銀二貫を、その後も大火の被害に遭った伏見の美濃志摩屋 の見舞いや原村の寒天場 半兵衛が新しい天草の仕入れ先を見つけ手配するのに用立てる
    決して、お金に執着することなく、ここぞという所にぽんと用立てる和助のお金を動かす裁量には唸ってしまった

    商人にとって大切なことは、始末・信用・神信心の言葉通り、22年かかって、天満天神さんに「銀二貫」寄進することが叶う

    物語の発端となった仇討ちを銀二貫で売った側の建部玄武の話も出てくる
    仇討ちを売ることによって得た銀二貫は、美濃苗村の新田開発に役立てられ青々とした水をたたえた水田になる

    銀二貫が方々でいろんな事業に生まれ変わり、役立てられ銀二貫以上の働きをする
    まさしくこの話のタイトルが、「銀二貫」の所以である

    最後の最後の和助と番頭善次郎の会話がこの本のテーマであるかのように洒落ているがネタバレになるのでひ・み・つ

    高田さんの本の登場人物は、町人や商人が多いが、それぞれに誇りを持った生き方をしていて、読んでいて背筋が伸びる気がする



  • 銀二貫。
    今のお金でどれほどの価値があるのだろう・・・。

    雪が辺りを真っ白に染めた睦月。
    大坂の寒天問屋・井川屋の主である和助は、仇討ちにより父親を失った十歳の鶴之輔を助けるため、その相手に天満宮再建のために寄進するつもりの銀二貫を差し出す。
    武士の子であった鶴之輔は松吉と名を改められて、井川屋に丁稚として奉公するのだった。
    武士のしきたりとはまるで異なる商人の世界。
    穏やかで情の深い主や、厳しい番頭、丁稚仲間に囲まれて一つひとつ仕事を覚えていく。
    また、寒天を納める先の料理人やその娘の真帆によって、仕事に対する誠実で真摯な姿勢をあらためて知ることに・・・。

    市井の人が困難に見舞われながらも、決してあきらめず騒ぎ立てもせずにその事実を粛々と受け止めて、最後には自分の目指した境地に到達することができるというのは、髙田郁さんの得意とするところ。
    1巻で完結するので「みおつくしシリーズ」と比べると人情味あふれる場面も割合あっさり(←髙田さん基準)かなとは思う。
    それでも、読みだしたら止まらないのいつもの通り。
    寒天を極める苦労や、自分が目指す商品開発にまつわるあれこれ。真帆との愛情。
    そして、極めつけは仇討ちのその後。
    1冊の中に盛りだくさんで、ドラマになるのも合点がいく。

    いつも通りに楽しめる1冊ではあったが、最も心惹かれたのは、銀二貫の行方。
    仇討ちに支払い果たせなかった寄進のために、井川屋で爪に火をともすようにしてお金を蓄えても、大切な人の一大事にはあっさりと大金を渡してしまう。
    主人の和助のお金の使い方には惚れ惚れした。
    こういうお金の使い方ができるオーナーはなかなか現代には出てこないでしょう。
    お金は使ってこそ。血のように巡ってこそ。
    政治経済の授業で聞いた、銀行の等比級数的お金の貸し付け。
    お金の価値を上げるのは使い手次第なんだね・・・。

  • 読み終わるまでだいぶ長い時間をかけてしまった。普通だったら1冊の本をこれだけ長い時間かけてしまうと、必ずといっていいほど内容を忘れていたり、登場人物の名前を忘れたりするのだが、こちらに関しては、全くそのようなことがなかった。

    時代小説はどちらかというと苦手な方なのだが、時代小説特有の『熱さ』に浸りたくて読み始めた。しかし、これは私が思い描いていた熱さではなかったが、しっかりと熱い物語だった。

    さて、目の前で侍が仇討ちをしようというところに出くわした和助。辻斬りに遭おうとしているのは、親子連れ。親は刺され、あわや、まだ年端もいかぬ子どもも斬られそうなところに割って入った和助。これでこの場を収めてくれと、その侍に銀ニ貫を渡す。銀ニ貫といえば、今で言う相当な金額。それを侍に渡すと、子どもを引き取ったのだった。

    和助は寒天問屋、井川屋の主人。その銀ニ貫は、先の大火で焼けてしまった天満宮再建に用立てて頂こうと必死に貯めたものだった。和助に助けられた子どもは、名を松吉と改め、井川屋の丁稚として必死に働き出す。

    この物語では、火事が度々起こり、その猛威は町を丸々と焼き尽くしてしまう。火事によって多くのものを失う松吉や和助を始めとする多くの人々。それでも何度でも立ち上がり必死に前を向いて生きていく。

    銀ニ貫。和助たち井川屋では何度か貯めることに成功するが、その度災難が起こり、和助は躊躇なくその銀ニ貫を放り出すのだ。和助の心意気は本当に惚れ惚れする。そして、しっかりと成長していく松吉も見ていて気持ちがいい。

    最後に善次郎の耳元で囁いた和助の言葉がなんとも最高だ。
    私からも和助さん、ほんに安うて、ええ買い物でおました。

  • 涙が出て止まらなかった。松吉の正しく真っ直ぐすぎる生き方と真帆の純粋で温かな眼差しが、ずっと心の中でほかほかと残っている。
    松吉の周りを取り囲む人々の温かさや人情深さにも、いつもホロリときた。
    時代が変わっても、人と人とがこんな風に過ごせたらいいのに。

  • 高田 郁氏の「銀二貫」を読みました。
    ほっこりとした すごくいいお話でした。

    巻末の解説は毎日放送の水野晶子アナウンサー。
    この解説もすごくよかった。。

    最近の中でもヒットですね。
    オススメの一冊です。


    高田 郁氏の「銀二貫」を読みました。
    ほっこりとした すごくいいお話でした。

    巻末の解説は毎日放送の水野晶子アナウンサー。
    この解説もすごくよかった。。

    最近の中でもヒットですね。
    オススメの一冊です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      いるかさん
      図書館でお二人の対談を聴いた事があるのですが、素敵でした。
      いつか水野晶子(元?)アナウンサーの朗読会に行ってみたい!
      いるかさん
      図書館でお二人の対談を聴いた事があるのですが、素敵でした。
      いつか水野晶子(元?)アナウンサーの朗読会に行ってみたい!
      2020/10/30
    • いるかさん
      猫丸さん
      コメントありがとうございます。
      中学生時代から毎日放送ラジオが大好きで、少し前にも川柳の番組で水野晶子アナに読んでいただき、毎...
      猫丸さん
      コメントありがとうございます。
      中学生時代から毎日放送ラジオが大好きで、少し前にも川柳の番組で水野晶子アナに読んでいただき、毎日新聞の一面に載せていただきました、
      水野さん 知的で素敵ですよね。
      私も朗読会に一度行ってみたいと思います。
      2020/10/30
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      いるかさん
      ヘェ〜川柳を!羨ましい、、、
      高田郁と水野晶子アナの出会いのエピソードを思い出して、ウルウルなっている猫でした。
      いるかさん
      ヘェ〜川柳を!羨ましい、、、
      高田郁と水野晶子アナの出会いのエピソードを思い出して、ウルウルなっている猫でした。
      2020/10/31
  • ビブリオバトルでチャンプ本に選ばれてて、借りてみた。
    時代小説は好きなはずなんだが、一気読みとはいかず、
    ちびちび読み。
    やることなすこと、失敗続きで、お話なんだから、もうちょっと劇的に、ドラマチックにしてくれてもよさそうなものを…などと思いつつ。
    なんとなぁ~く、話の流れは途中から想像つくしね。
    が!やられた~!
    「最後の会話が秀逸」とはバトラーも言っていて。
    でも、いくら質問されても、そこは明かさなくって。
    それ、読んでわかったわ~!
    もう、その最後の会話のみで滂沱の涙よ。
    良いお話でした。

  • ★二貫!
    というのは冗談で、個人的には文句なし★五つ!

    時代小説は読まず嫌いな分野であったけど、とても読みやすかったうえに、
    感動して何度も何度も目頭が熱くなった。ホントに良かった。

    大阪商人の心意気と義理人情が描かれていてるだけではなく、成功物語、純愛物語でもある。
    いろいろな要素が詰まっているけど、どれも半端にならず、濃く描かれていると思う。

    昔の時代の人の心の温かさや生きていくことの辛さ、生業にかける熱意や信念を感じ、
    そして血よりも濃いものがあるということを教えられた。

    この4月からNHKでドラマ化される。
    こちらも是非期待したい。

  • しみる。ほんまに心にしみる物語でした。松吉のまわりの人たちが、ほんとにいい人すぎて…(涙)日本人の失いたくない美徳がここにあります。ぜひとも多くの人に読んで欲しい一冊です。

  • 心がほ~んのりあったかくなる大坂・人情話。
    舞台はいまの大阪・天満付近。
    寒天問屋、井川屋の主・和助は、父の仇討ちに、と殺されそうになった息子・鶴之輔(のちに松吉)の「仇討ち」を、銀二貫で「買う」。そして松吉は井川屋の丁稚として働くようになる。
    大金は大火事で焼けてしまった天満宮再建寄進のお金だったので、番頭・善治郎は松吉につらくあたる。
    それでも松吉は懸命に働き、寒天を届けに行き仲良くしていたお嬢さんのいる真帆家を大火で喪ったり、
    「腰のある寒天」を作るために何度も天場に通うが挫折したり、糸寒天ができた後も、餡のつなぎにすることが何年もできなかったりと、
    その間に、また天満宮が焼失してしまったりと、
    本当に何度も倒れそうになるんだけど、
    復興する大坂の商人や町のように、松吉も立ち上がる。

    大火のあと自分を娘のように育ててくれたお広が亡くなり、松吉がご寮さんに「はがいい」と焚き付けられて、包みを落として、真帆のところへ向かうシーンはよかったなぁ。やっとほっとした、って感じで。

    あと、和助が、美濃志摩屋の跡継ぎに投げつけるせりふ「人を育てるなら、草と同じで種から水あげて育て。盗っ人と同じやで」的なやつ、じーーーんとしびれたよ…。
    この和助さんが一番、かっこいい。
    これぞ、お金の使い方。苗村も新田開発がうまくいったり、こうしてうまく、ぐるーりとお金がめぐっていくのがいいね。

    そして羊羹や団子、琥珀寒が食べたくて仕方ない!!天満宮にも行ってみたくなりました。

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