シグナル (幻冬舎文庫)

著者 : 関口尚
  • 幻冬舎 (2010年10月8日発売)
3.51
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344415508

作品紹介

映画館でバイトを始めた恵介。そこで出会った映写技師のルカは、一歩も外へ出ることなく映写室で暮らしているらしい。なぜ彼女は三年間も閉じこもったままなのか?「ルカの過去について質問してはいけない」など三つの不可解な約束に困惑しながらも、恵介は固く閉ざされたルカの心の扉を押し開いていく。切なく胸を打つ、青春ミステリ感動作。

シグナル (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 学校サボっては
    昭和な映画館で
    三本立てを観てた自分には
    かなりツボな作品。


    安全性を重視し誘導灯を点けたままの今と違って
    昔の映画館は、
    完全な闇が支配する密室空間。


    それは自分にとって、
    日常を忘れ、
    映画に浸るためだけにある
    優しくて甘い闇でした。



    時給1500円に釣られて、
    映写技師の助手をすることになった
    大学生の恵介。

    そこで出会った
    21歳の映写技師・杉本ルカは、
    3年間も一歩も外を出ることなく
    映写室で暮らす
    ミステリアスな女性。


    恵介は

    ☆ルカの過去は聞かない。

    ☆月曜日のルカは
    ナーバスになるから
    そっとしておくこと。

    ☆ルカとの恋愛は禁止。

    という不可解な約束を守ることを条件に
    銀映館で働くことになります。



    なぜ彼女は
    映写室に閉じこもったままなのか?


    淡い恋心を描きながら、
    やがて明らかになるルカの過去。


    ミステリーの要素を持たせた青春ストーリーだけど、
    とにかく映画館好きの自分は
    映画館で暮らす少女
    という設定だけで食いついたし(笑)、

    映写技師という仕事が分かって
    かなり興味深かったです。


    映写技師は
    作り手の思いが詰まったフィルムを、
    客に届ける大切な橋渡し役。

    だからこそ誇らしい仕事だし
    責任重大なんですよね。


    実際に映画館で働いていた作者ならではの
    映画愛溢れる描写にも
    心奪われます(*^o^*)


    1秒間に24コマ動く
    カタカタと写し出される残像が
    記憶として心に刻みこまれるのが
    『映画』という表現で、

    それはDVDでは
    決して味わえない
    『生の体験』です。


    客層によって
    時代の空気をも肌で感じられるし、
    映画館特有の
    みんなで笑ったり泣いたりを
    共有できる感覚(ライブ感)こそが
    いつまでも残る記憶となりえるんです。



    レイジというキャラが、
    辻村深月の『凍りのくじら』の
    サイコ野郎に非常に似通っていたり、

    ストーリーにも
    ツッコミ所は多々あるけど、

    この作者の書く
    甘く切ない世界観は嫌いではないし、


    映画が好きで、

    優しいことで損をしたり
    傷ついてしまった経験がある人なら、
    かなり共感できる小説なんじゃないかな。


    そして、
    映画が好きであればあるほど
    胸に響く感動的なラストは、
    是非とも
    映像で観てみたいと思いました。

    6月の映画化も楽しみ♪

  • 昔こんな感じの映画館で映画を見てた時のことを思い出しながら読んでました。
    昔は立ち見をしたり、同じ映画を続けて見たり・・・
    今の映画館も好きだが、昔もよかったなと。
    なんか論点がズレてる気が。

  • いちおう恋愛小説なんだと思うけど、ヒロインのルカがなぜ3年間映画館に閉じこもって一歩も外に出ていないのか?
    の理由がなかなかわからずミステリーの要素もある。
    恋愛小説はすすんで読まないけどこれはストーリーのテンポが良く、続きがどんどん気になり400ページあっても1〜2日で読める

    実際に著者が映写技師の仕事をやった事があるようで、映写技師のヒロインのリアルな描写が良かった

  • 関口尚といえば、爽やかな青春ストーリーを勝手にイメージしています。

    映画館に引き篭もったまま、一歩も外に出てこない謎の女性ルカ。
    映画館の中といっても、映写室という特別な場所を塒にしている彼女。
    何故そこに引き篭もる羽目になったのか、読みやすい文章で謎解きが始まります。

    子供のまま成長してしまった人というのは、こんな風になってしまうのか・・・、全くとんでもない奴になったもんだ。
    というのが、引き篭もらざるを得なくした相手に持つ印象。
    とにかくその相手にイラッとしました。
    その相手に立ち向かう主人公(恵介)は、どちらかといえば女性的な観点を持っている気がしました。

  • 主人公とヒロインが魅力的。
    優しくなりたい、と思う。
    映画館の描写も臨場感たっぷり。
    好き。

  • 家族に問題を抱え、お金を稼ぎたくて、
    潰れそうな映画館にバイトを始めた21歳の休学中の大学生。
    そこで先輩として出会った女映写師は、美人なのに、
    3年間も映画館から外にでたことがないという。

    前半は人間関係の説明と出会い。
    中盤は同僚との関係。
    終盤はとても嫌な人物が出てきて、二人の関係を
    侵しはじめる……。

    ともかくどんどん悪意が強まってくると、
    口の中に苦味がしみこんでくるかのようで、
    それまでがよかっただけに、どうしたものかと思いました。

    そんな先にまっていたのは……。

  • めちゃくちゃおもしろかったです。
    映画好きとしては映画館と映写技師が主となったこの作品にはすぐにのめり込むことができました。
    「ニューシネマパラダイス」を思い出します、もう一回観たいなあ。

    ルカに恋しそうになりました。
    そして何よりラストが美しかった。


  • 関口氏の作品はどれも透明感があるね。
    『パコと魔法の絵本』、『君に舞い降りる白』などなど。

    さて、本作は、映写室に三年間引きこもる女の子と、そこでバイトをすることになった男の子の物語。

    細微な描写が非常に綺麗。川端康成にも通じるような気がする。
    誰かを想うという、純粋さが心を浄化する一冊でした。

    物事に感動することが少なくなってきたら、読むと心の運動になるのではないでしょうか。映画化されてるみたいなので、観てみようかね。

  • 映画館でバイトを始めた恵介。
    そこで出会った映写技師のルカは一歩も外へ出ることなく映写室で暮らしているらしい。
    なぜ彼女は三年間も閉じこもったままなのか?
    「ルカの過去について質問してはいけない」など三つの不可解な約束に困惑しながらも恵介は固く閉ざされたルカの心の扉を押し開いていく。

  • 主人公やヒロインはあまりにも良い人間で、童話のような感じを受ける一方、悪い人間はリアルにありがちな姿に描かれているのが不思議。色々苦労をした作家さんなのだろうか。 書店で注文して買ったのだけれど、映画化されてから表紙が俳優さんと女優さんに変わってしまっている。作品のイメージにぴったりな、このイラストの表紙が良かった!そこがとても残念。

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