大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 (幻冬舎文庫 ま 21-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 186
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344416116

作品紹介・あらすじ

長い同棲を経て結婚した大木信義と咲は、占い師にのせられ久しぶりの旅に出る。小さな池を抜け、向かった先は一泊二日の地獄旅行。猫畑、巨大旅館、ビーフシチュー温泉、そして赤と青の地獄人。不思議な出来事ばかりの奇妙な旅路は、馴れ合いになった二人の意識を少しずつ変える-。異世界だから気づく大切なこと。笑えてなぜかせつない物語。

感想・レビュー・書評

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  • 夫婦って長く一緒にいたりすると愛情がただの情になるとか空気みたいに存在になるとかってよく言うけど、それは確かにそうなんだけど以前は同じだと思ってた価値観がなんとなくずれてきてるって違和感を感じることも多々あったりして、一心同体のようでもやっぱり別々の人間なんだよな。夫婦って。
    ってことを改めて思ったりして。

    咲の思考が私とすごく似てて、変なとこにすごくこだわるとこ(例えば炊飯ジャー)とかちょっと冷めた目で物事を見る感じ(例えば野球のユニホーム)とかが面白かったな。

    不真面目なようで割と真面目なそんなお話でした。

  • 前田司郎らしさが出ていてとても面白かった。主人公感のあたり含め、しつこいほどどうでもいいエピソードを交えてくるところに、北区の滅亡とか愛でもない、とか過去作と同じような既存のフィクションに対するアンチテーゼを感じる。
    新婚だがもう倦怠期の夫婦が地獄旅行を経て、互いのコミュニケーションを見直すことで仲良くなる話。カンボジア旅行を思い出した。
    敢えて超非日常的な設定を用意することで、日常的な事ごとへの気づきをよりくっきりさせることに成功している

  • 昔この本を原作にした映画をちらっと観て面白かった記憶があったので購入。
    文章が簡単でさらさら読めた。決して悪い意味ではなく、ライトノベルに近いような文章の軽さで、箸休め的に読める。
    その分全てにおいて文章が簡潔で、なんとなく物足りない気もしたが、想像以上に地獄の描写が独特でよく構想が練られていると感じた。
    私はあまりに壮大な話だと読了後に気疲れしてしまい他の本など読む気にならないが、この本はそんなことも無くとてもちょうど良かった。手軽に地獄旅行を楽しめる。
    また映画の方も観てみようと思う。

  • 平凡な夫婦、大木信義と咲。ふとした事から地獄に旅行に行く事に。そこで出会う、赤い人、青い人、地獄温泉などなど読んでいて思わず笑ってしまう様な事から涙ものまで幅広く書かれていて飽きずに一気に読めます。地獄に落ちた人がなぜ赤と青二別れるのか知りたいところですが…。最後は奈落の底に落ちて現世に帰ると言う愉快さ。

  • P185慣れたらぶち壊したくなるようは気持が私にはあって、結婚するときも、付き合っているという状況に慣れすぎてそれをぶち壊すような気持があった気がするし、だけど、今度は結婚生活に慣れてしまったら私たちは、離婚するしかないのかなんて考えたこともあったけど、子供を産むとかもまぁぶち壊しの一種だな、面倒だから嫌だけど。そうなるとやっぱり比較的簡単に起こせるぶち壊しはやっぱり旅行なのかもしれない。

  • 結構時間がかかったけれど、後半に地獄の青い人たちがふと寂しいことをいうのが胸にきた。
    炊飯器ほしいなぁ、五号炊きか、一升炊きかどっち買おう

  • 大木夫妻が気まぐれで行く一泊二日 地獄への旅。
    振り向いちゃいけない森
    猫を植える畑
    渦巻くビーフシチュー温泉
    美味くない地獄料理
    青い人と赤い人。
    地獄は不気味なとこだけど、どこか楽園。

  • 映画化されていたのでびっくり。
    奇想天外な話だけど、見失っていたものを気づかせてくれたんだな。

  • なんじゃこりゃ! わからんわからんと思いながら読んだのに、ひとつひとつのシーンがなぜか心に残っている不思議。デパートの屋上とか大浴場とか。

  • 映画の奇想天外さに惚れて原作を読んだが少しまわりくどい感じ。映画が先だったので容易にイメージできたが逆だったら楽しめたのか?何れにせよ独特な世界観は素晴らしい!

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著者プロフィール

1977年生まれ。劇作家、演出家、俳優、小説家。和光大学人文学部文学科在学中に劇団「五反田団」を旗揚げ。2005年『愛でもない青春でもない旅立たない』(講談社)で小説家デビュー。同作が野間文芸新人賞候補となる。2006年、『恋愛の解体と北区の滅亡』(講談社)が野間文芸新人賞、三島由紀夫賞候補、2007年、『グレート生活アドベンチャー』(新潮社)が芥川賞候補に。2008年には、戯曲「生きてるものはいないのか」で岸田國士戯曲賞受賞。同年、『誰かが手を、握っているような気がしてならない』(講談社)で三島由紀夫賞候補。『夏の水の半魚人』(扶桑社)で第22回三島賞。その他の著書に、『逆に14歳』(新潮社)などがある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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