大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344416116

作品紹介・あらすじ

長い同棲を経て結婚した大木信義と咲は、占い師にのせられ久しぶりの旅に出る。小さな池を抜け、向かった先は一泊二日の地獄旅行。猫畑、巨大旅館、ビーフシチュー温泉、そして赤と青の地獄人。不思議な出来事ばかりの奇妙な旅路は、馴れ合いになった二人の意識を少しずつ変える-。異世界だから気づく大切なこと。笑えてなぜかせつない物語。

感想・レビュー・書評

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  • 平凡な夫婦、大木信義と咲。ふとした事から地獄に旅行に行く事に。そこで出会う、赤い人、青い人、地獄温泉などなど読んでいて思わず笑ってしまう様な事から涙ものまで幅広く書かれていて飽きずに一気に読めます。地獄に落ちた人がなぜ赤と青二別れるのか知りたいところですが…。最後は奈落の底に落ちて現世に帰ると言う愉快さ。

  • P185慣れたらぶち壊したくなるようは気持が私にはあって、結婚するときも、付き合っているという状況に慣れすぎてそれをぶち壊すような気持があった気がするし、だけど、今度は結婚生活に慣れてしまったら私たちは、離婚するしかないのかなんて考えたこともあったけど、子供を産むとかもまぁぶち壊しの一種だな、面倒だから嫌だけど。そうなるとやっぱり比較的簡単に起こせるぶち壊しはやっぱり旅行なのかもしれない。

  • 結構時間がかかったけれど、後半に地獄の青い人たちがふと寂しいことをいうのが胸にきた。
    炊飯器ほしいなぁ、五号炊きか、一升炊きかどっち買おう

  • 大木夫妻が気まぐれで行く一泊二日 地獄への旅。
    振り向いちゃいけない森
    猫を植える畑
    渦巻くビーフシチュー温泉
    美味くない地獄料理
    青い人と赤い人。
    地獄は不気味なとこだけど、どこか楽園。

  • 映画化されていたのでびっくり。
    奇想天外な話だけど、見失っていたものを気づかせてくれたんだな。

  • なんじゃこりゃ! わからんわからんと思いながら読んだのに、ひとつひとつのシーンがなぜか心に残っている不思議。デパートの屋上とか大浴場とか。

  • 映画の奇想天外さに惚れて原作を読んだが少しまわりくどい感じ。映画が先だったので容易にイメージできたが逆だったら楽しめたのか?何れにせよ独特な世界観は素晴らしい!

  • 久々の前田さん。

    やっぱりこの感じ好きだなあ。

    日常に侵食してくるグレーな感触。
    それが何かは掴めなくて
    無意識に覆われているような。

    ぼやーんとしている大木夫妻が
    さびれたデパートの屋上から
    地獄へ温泉旅行へ。

    設定は無茶苦茶なのに、
    地獄ってどんなとこ??と読まずにはいられません。苦笑

    うしろを振り返っちゃだめ、
    沼に頭から入っていく、
    あか鬼にあお鬼、
    ビーフシチューのような温泉、
    埋まっている猫、

    とにかく出てくるものみんなシュールだし
    大木夫妻も
    何が面白くて笑ってるんだか
    でも笑わないとおかしくなりそうな感覚でいます。苦笑

    ただ、
    そんな非日常空間に
    めちゃめちゃ平凡なふたりが
    時折ふっと人間味のある感情を思い返したりします。

    そーゆーとこは映画で繊細に描かれてるんでしょうか。

    奈落の裂け目を自由に行き来できる、蝶々。
    ふんわり、ひらひらと飛んでいる先は奈落。
    現実世界は奈落の底なのかもしれません。

    でもきっと手をつないで。
    美味しいご飯を食べて。

    明日からもきっと平凡な日常なんだけど
    それでも本当に少しだけ変わるかもしれない。

    そんな一冊でした。


    通勤途中で読んでましたが、
    もっとゆっくり読みたかったなあ。

  • 非日常な旅行の話だけど、日常が書いてあるんだなぁ。
    あるある!とか、これは私たちだと逆だなぁとか、これはないな〜とか、覗き見して楽しいみたいな。

    でもこの本は、あまりに第一印象が良すぎたので正当に飲み込めてないかも。
    映画とてもよかったな。
    てか映画化、成功なんじゃないか?地獄の世界のビジュアル化とか。竹野内豊かっこよすぎだし!!

    あと、「主人公感」56ページあたり、この描写は凄かった。

  • 『咲には信念みたいなものがあった。ご飯さえ炊ければどうにかやれる。いつでもそう思って生きてきたのだ。』

    『信義が出張などで居ない夜は自分の炊飯ジャーでお米を炊いたりした。それは咲にまるで浮気のような罪悪感と、罪悪感からくるスリリングな快さをもたらした。』

    『それでオシンコとシャケと味噌汁とご飯とか、朝ご飯みたいなものが食卓に上り、信義が渋い顔をし、咲だってこんな朝ご飯みたいなものを夜に食べると蛇が来るよ、とおばあちゃんに言われたことはないけど、どうも、なんか文化的な何かに反抗しているみたいで気持が悪いのだった。』

    『何か、そういうビジネスが出来ないだろうか? 時間とエネルギーが余っていて筋肉をつけたい人を安価に雇って筋肉がつくような単純な仕事に従事させる。つまりそれは給与をお金で払うのではなく、筋肉で払うということなのか。』

    『信義は今日もスーツを着ていった。夏用に薄い生地のスーツを新調したのだけど、全く意味が分からない。そんなことならスーツの模様の刺青をしろ、と思っていた。』

    『近づいて見ると仕切りに直接店の広告が書かれており「占いの館 手相、星座、顔相、占い出来ます」とあった。占いの館なんだから「占い出来ます」は特筆するべきことじゃないんじゃないかと思う。』

    『咲はとりあえず両手を広げてゆっくりクルクル回ってみた。しかしこの行動は咲本来の欲望の希求ではなく、26年の社会生活から学んだ「気持ちの良い広い場所に出たとき取る行動の中で割と好感度の高い行動」のひとつを実践したに過ぎなかった。』

    『しかし、今日のご飯は咲にとってどうでも良い一食に過ぎない、今日のご飯を捨石にすることになんらためらいはなかった。これが旅行の途中とか、友達との会食なんかであれば負けは許されないものであったが、今日のご飯はいつもの何でもないご飯のうちの一回だ。やがて完全に忘れ去られる類のものだろう。だったら、負けても思い出に残る試合がしたい。』

    『草津とかは?』
    『意外と遠いよ。箱根は?』
    『ああ、いいね、どこでもいいや温泉あってのんびり出来れば』
    『でも、超混んでんじゃない?』
    『うーん、DVDで温泉のやつでも見るか?』

    『「あなた悩んでるわね」と言った。「悩んでます」とだけ言ってみて、出方を窺うことにした。「何に?」占い師はもう訊いちゃった。訊いちゃ駄目だろ。そこを当てて私の信頼を得ないと。咲はそう思うのだが、少し、意地悪をしてみるかという気になった。「当ててみてください」
    「うん。うん、」老婆は二度うんと言うのだが、咲にその意図は測れない。老婆はそのまま咲の顔を見る「色々悩んでるわね」と言うのだった。
    当たってる。』

    『地獄甘エビ?』
    『地獄の名産です』
    『へー良いですね』
    『ええ、甘くて身がプリッとしてて美味しいんですよ、エビじゃないんですけど』
    『え?』
    『生物学的にはエビじゃないんですけど』

    『言葉がどうしても剥き出しになってしまう。単純な言葉を選んで使うとそういうことになるのだった。気遣いや、微妙なニュアンスなんかは、音の大きさや調子、表情といったものに託さないといけない。ヨシコと話していると自分が表情豊かになっているのに気付く。表情を会話の道具として使うのなんていつ振りだろう。咲は信義としかほとんど話さないけど、お互い大抵言葉でどうにかしようとする。案外そういうところに原因があるんじゃないか? などと考えて、原因て何の? と思い返す。私たちって上手くいってなかったんだっけ。私、ちょっとそう思ってたのかもな。』

    『結婚するときも、付き合ってるという状況に慣れすぎてそれをぶち壊すような気持があった気がするし、だけど、今度は結婚生活に慣れてしまったら私たちは、離婚するしかないのかなんて考えたこともあったけど、子供を産むとかもまあぶち壊しの一種だな、面倒だから嫌だけど。そうなるとやっぱり比較的簡単に起こせるぶち壊しはやっぱり旅行なのかもしれない。凄いところに来てしまった。日常に比べたらどこでも凄いところだよね。』

    『そしてお湯はビーフシチューのような色をしている。だんだん冷静さを取り戻してきてよくよく見ればもうビーフシチューにしか見えない。なにせ具のようなものも浮いている。「これはビーフシチューじゃないか」信義はそんな人生で初めて言うようなセリフを発していた。』

    『これから二人で過ごす時間を考えるとうんざりするほど長い。結婚ていうものはそういうものだと割り切った。だけど、何も今からうんざりする必要はないんだよな。本当にうんざりするまでは、うんざりしないよう努力してみるべきなのかもしれない。確かに少しサボっているのかもしれない。たまにはこうして体力と気力と時間とお金を使ってみるのも良いのかもしれない。うんざりしないのには努力が必要なんだ。その努力はそう悪いものではない。そう思う。』

    『二人は荷物を持ち替えて片手を空けると、手を繋いで歩いた。ずっと繋いでいるわけにはいかないから、きっとなんかの拍子に離さなくてはいけないのだけど。まあとりあえず手を繋いでいたい気持だったので、二人は手を繋いで真っ暗な階段を一歩一歩下りていった。』

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