うつくしい人 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.42
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本棚登録 : 2658
レビュー : 299
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344417229

作品紹介・あらすじ

他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。発作的に旅立った離島のホテルで出会ったのはノーデリカシーなバーテン坂崎とドイツ人マティアス。ある夜、三人はホテルの図書室で写真を探すことに。片っ端から本をめくるうち、百合は自分の縮んだ心がゆっくりとほどけていくのを感じていた-。

感想・レビュー・書評

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  • 自分探しの旅のおかげなのか、自分忘れの旅のおかげなのか、いずれにせよ自意識過剰な人間は、ぶっきらぼうな人間に目覚めさせられるんかな。「うつくしい人」に気づけた主人公はさぞ心が軽くなっただろう。

  • 「ゆりちゃんが満タンになった」
    「私は他人の苛立ちに敏感である。ほとんど超能力と言っていいほどだ。」
    このあたりの表現が印象に残った。

    読み始めた時は、こんなお話を書けるってことは、西加奈子も同じような経験があるのかと驚いた。その答えは、あとがきに綴られていてぐっとくる。『円卓』なども面白いけど、こういう一面もあると知ったことで、西加奈子をより好きになった。

  • 西加奈子さんの本2冊め。文章が美しいし、普段何気なく思っていることを的確に文章で表現をしているのがとても好き。

  • しんどい心情は理解できる。

    マティアスはちょっとわざとらしい外人だけど、かわいい。のです!

    その時の心情によって景色は変わるものだよなーと思った。誰がどこで誰かの救いになるかわからないものですね。

    最後、百合はきっとまた悩むだろうけど、また乗り越えるを繰り返すって感じのあとがき(?)の所が好きです。

  • 西加奈子ワールドは楽しめる
    この作品にかぎらず主人公はどこか著者自身を
    反映しているのではないかと思いながら
    読んでます
    今回もまた主人公が旅の中での出来事に
    さまざまな心情をおりまぜながら進んでいった
    そして続きがあるのかわかりませんが
    引きこもりの美人姉との今後が気になりました


  • 2019年早くもベストが出ました!

    周囲の目や評価を気にして思うがまま行動ができなかったり、誰かに対してコンプレックスを持ってたりする主人公が、一人で誰も知らない土地に旅行に行ってそこで出会った不思議なバーテンダーと外国人に会って変わる話。

    たった5日間で、人間って変わるものなのね!
    主人公にとっっっっっても共感する!!!
    めちゃくちゃ面白かった。

    作者の西加奈子さんは、執筆中プライベートがずたぼろな精神状態で書いてたらしいので、この主人公はそういう苦しみの末に生み出されたものだからこそ、気持ちが痛いほどわかるのかな。

    大切な本です。

    2019.01.17

  • タイトルの「うつくしい人」の意味がすうっと入ってくる小説。
    人の目ばかりを気にして、他人と比べていてもなにも始まらないもんね
    自分の好きなものは好き!あれがしたい!これやってみたい!
    そんな自分の素直な気持ちを大事にしたいし、たとえ大きな声で言えなくとも、心の中に持っておけたらいいな

  • そうか、西加奈子。メンタルがしんどい時にこれ書いたんやね。プロ作家の矜持、しんどくても書く、自分がしんどい時のそのままを書く、その心意気は素晴らしい。
    作家は五感を通して入ってきたものを心で精査して筆で表現するする仕事。その中の精査器官が疲弊しているんだから、そういう作品になってしまうんだろうな。

    心が疲弊した状態や病んだ状態で小説を書く作家は古今東西数多いるし、名作と呼ばれる作品もたくさんある、中には書ききれなくなった人や、残念だが命を絶つ人だっている。

    心の再生を促すものは人それぞれ、この小説の主人公のようなやり方では俺なんかは絶対立ち直れない(むしろ病み度を増しそうな気がする)が、こういう刺激とも言えないユルい波が、疲弊を癒し心をほぐしてくれることもあるんだろう。なんとなく分かる。

  • 前半。主人公が姉を蔑んでいた。題名の『うつくしい人』はきっと姉のことになるのだろうなとすぐ推測はついた。

    だけども、どこに「うつくしい」と主人公が感じるようになるのか、これがなかなか想像がつかなかった。とにかく主人公の機微を表す言葉はドキリとして捕まってしまう。これが困ったことに胸にストンと落ちそうで落ちない。そして、ギュゥ…と苦しい切迫した感じが残る。ところどころにそういうものがあるから、じっくりと主人公を観察する自分になった。そして、いつしか、この拗らせてる主人公と自分にパイプができていた。

    終盤の少し前には、次の文がある。

    「姉の『美しさ』は、何なのだろう。(中略)それは私を、いつも悩ませた。壊してやりたいという欲望をかきたて、そう思った次の瞬間、私を心底惨めにさせた。」(文庫214p)

    これだけ抜き出すとそのままに見えるのだが、『うつくしい人』の主人公にすでにパイプが繋がってる自分には、とても大きな変化の文章に見える。この文章がどんな色に見えるか、人それぞれ違うだろうけれど、これは最初から読むとまず必ず色が変わって見えるはずだと思う。

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    結局「うつくしい人」は姉?主人公?
    いや、読むときの読み手の心持ち次第で変わるものでした。そういう仕掛けに自然となっているのだと思います。

    あ、そういえばですが、「ホタテ」を絶賛している描写があるんですが、これはきっとタイラギ貝の貝柱を意味してるんじゃないだろうかと思いました。瀬戸内海だし。冬でもないし。

  • 人の目を必要以上に気にしてしまって素の自分を見失ってしまった30代の女性が会社を辞めて瀬戸内海の離島に一人旅をして、そこで出会った二人の男性との交流を通してカチコチになった心を解放していくお話し。どこかにありそうな素材だけど、心理描写が丁寧で繊細で、旅の独特の空気というか不安とか興奮とかも伝わってきて読んでいて好感が持てた。「置いていくことも必要」というバーテン坂崎の言葉が染みた。自分を縛り付けているものは周りの誰かではなくてまぎれもない自分自身だったりするものだ。
    これを読んだ人の中には、私も日常を離れて旅に出てみようかな、とか思ったりする人がいるかもしれない。実は私も…。

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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