タチコギ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 68
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344417250

感想・レビュー・書評

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  • 祖母の訃報を受け、不登校の息子を連れて30年ぶりに帰郷した柿崎信郎。甦る少年の頃の出来事と現在の境遇が、父として息子に伝えるべき何かを生み出す。
    子供だからといって楽しいことばかりじゃない。大人だからといって世の中を上手く渡れる訳でもない。人間が生きていくには、何かしら背負うものがある。その重さに耐えていくことが成長の証である。
    時折、笑えるストーリーだが、突きつけられる現実は実に重い。でも、信郎が偶然訪れた居酒屋に予想外の救いがあった。昔は良かった風の安易なノスタルジー小説ではない。男として、そしてかつての少年として筋を通した生き方を導いてくれる物語である。名作です。

  • 田舎町の小学生男子たちのいかにも昭和の香りがするアホさ加減と、今の時代ならではのイジメや不登校問題が交互に綴られた作品。
    三羽氏の描写の上手さは健在です。加えて少年ならではの純粋さと、上手く表現できないもどかしさのバランスも絶妙。ここまで書けるということは、きっと相当充実した少年時代を過ごしたんだろうと思います。

  • 2015/4/19
    モッコリマン望月の変化が泣けた。
    ノブが「もういらない」と心の中で切り捨てた時に私も心の底から同意したから余計に。
    むかし先生も人間やって、聖人じゃないって気づいた時になーんやって思った。
    人間やから失敗も手抜きもサボりもなんなら悪意も持ってて当然。変に期待すんなって。
    でも今回その一歩先を見たね。
    人間やから後悔して勉強して努力するし、また失敗したりサボっちゃったりしてよりいっそう努力するかもしれん。
    後悔したり悩んだり間違ったりすることのなんと尊く美しいことか。
    全知全能の神様にはできないこと。
    ガボちゃんがまっすぐ頑張れてるみたいでよかった。
    ウサギが増えてるのもよかった。
    ほかのみんなが何してるのかも知りたいなぁ。

  • 亀岡鉱山の話って書いてあるんだが、なぜか、強烈な岡山弁。
    ここの感想も、岡山と勘違いしてる人が多いんだけど。
    読んだのは初版なんだけど、版が違うと変わってるのかな。

  • 2013/05/20
    復路

  • 無責任な大人の意見が、実は子供の社会性を育んでるって考え方にハッとさせられた。子供のうちに、「お前の事なんて知らん」みたいな人と関わっていく経験が大事なのね。物語としての出来も秀逸。先生がダボちゃんの更生のためある意味人生を捧げたってくだりは涙もの。読んでよかった。

  • 戦後のまだ復興期に鉱山の町で少年時代を送った父が息子と二人で、祖母の葬儀に帰省するところから物語が始まる。
    息子は学校でいじめにあっていて、登校拒否。父として会話を持たないといけないが、話し始められない。
    自分の少年時代を思い出すことから糸口をつかむ。
    父親が職工で管理職の家庭の子供たちと対立し、体力にまかせていじめていた。会社が米国の企業に買収されて、やってきた米国人経営者家族。その息子が同級生で、立場が逆転して除者にされてしまう。争い足掻く中で人間関係の作り方と世の中の仕組みを学んでいた。
    父は帰り道、自分の来た道を息子に語り始める。

  • あれ?なんだか印象に残ってない。
    読んでから時間が少し経ってしまったせいだけでは無いんだろうなー

    2回は読まない

  • いつもの青春モノよりは主人公の年齢層が低いので買うかどうしようか悩んでいたのだが、たまたま書店に行った際に(最近はネットで本を買うことが多いので)この文庫の表紙を見てついつい買ってしまった。作者と世代が似ているし住んでいる地域(話の舞台となった場所)も近いのだが、全然違う幼少時代なんだなぁと思った。私が城下町でのんびりした空気の中で生きていたのと違い・・・この話が作者の実体験という訳でもないだろうが・・・廃れゆく炭鉱町の少年達の話なので街の雰囲気もやっている遊びも全然違う。でも、ノスタルジックは感じる。なぜだろう。昔は先生は絶対的存在だったし、体罰も親だって許容していた部分があった。私の頃は校内暴力(学校の窓ガラスを割るとか?)が始まる前だったし学校に行かないとどこにも居場所がないから不登校なんてものもなかったんだと思う。フナの解剖は当たり前だったし、蛙やトカゲにイタズラするのも通過儀礼だったと思う。だからと言って、時代が変わったのだし価値基準も違うのだから、「今時の子は・・・」とは言えないと思う。今も昔も社会に出てしまえば子供の頃の悩みなどホントに自分の周りだけの出来事で実際には大したことがない問題が多いのだが、それでも悩みは悩みなのだ。そして、悩んだり困ったり自分で解決出来たり出来なかったりで生きていくしかないのだ。それは諦めとは違うのである。

  • かなり重いテーマの少年物語です。
    確かにノスタルジックな昭和の少年達が生き生きと描かれる場面もあるのですが、裏には様々な重い事情が存在します。
    貧困、鉱山の衰退、いじめ。父親の少年時代と息子の現状が交錯し、読みごたえがあります。。ただ、何となく三羽さんらしくないというか、読みながら思わず「重松さんじゃなかったよな」と思ってしまう感じです。
    −−−−−−−−
    どうも私の中の三羽さんは「太陽がイッパイいっぱい」「イレギュラー
    」の漫画チックな痛快小説のイメージが強いようです。過去の読書録を調べてみれば、この作品と同じテーストの「厭世フレーバー」(同じように重松的とみている)も読んでいるのですが。

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著者プロフィール

1969年、岡山県生まれ。2002年『太陽がイッパイいっぱい』で第8回小説新潮長編新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『イレギュラー』『厭世フレーバー』『タチコギ』『公園で逢いましょう』『JUNK』などがある。

「2017年 『泥棒役者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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