- Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344418080
作品紹介・あらすじ
「きたないものがきらいなきれいなおかあさん」「真夜中のひとりごとが止まらないシズカ」「花言葉で未来を占う華子」「自分の名前が大嫌いな幸子」「同窓会で自分のあだ名を思い出せない佐々木さん」…。壊れゆく日常のすきまから世界はねじれ始める-。過剰な愛と死への欲望に取り付かれた女たちが紡ぐ、狂おしいまでに悲しい孤独の物語。
感想・レビュー・書評
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好奇心で手に取ってみましたが、圧巻。精神的な分裂や自殺などを扱っていて恐ろしい内容なのに、その描き方がとてもシュール。けれどその裏に独占欲とか、ふつうの人も持っている欲や感情が描かれていて、ハッとさせられる。この不思議な距離感はテレビで見かける鳥居みゆきさんの姿そのままです。それでいてこの本で際立つのがその着眼点の独特さではないでしょうか。例えば、冒頭で自分を線路の上のグミに例えています。置き石はダメだからと、グミを置く。そうするとグミは線路にひかれるのだけど、香りだけが残る。執拗に、かつ滑稽に死を描いてゆく様子に圧倒されました。
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「鳥居みゆき」の芸風をそのまま文芸にした感じ。鳥居みゆき好きならおもしろいんじゃなかろうか。この人すごいなぁ。
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ピアノマンさんのオススメ本
ただただ「変人の鳥居みゆき」という印象だけで読んではもったいない
表紙は黒マジックでむらを作りながらその一部に女性と思われる顔が描かれている。
本の中身は黒地ページに白文字で書かれており、不気味さを引き立たせている。
短編小説と妄想日記が書かれている。
その小説がどれも少しずつ繋がっており、
この文庫本全体の構成を考えた鳥居みゆきは
ただの変人ではなく、とても賢い人間だと思った。 -
ブレインストーミング的に自由で壊れた想像を彼女らしい言葉で紡いでいくような感覚に感じるんですけれど、その、表面には出てこない深いところには、ちゃんと彼女なりのしっかりした計算があるんだろうなぁと、解説も読んでそう思いました。計算というか様式美を持っているんじゃないかって気になりました。そして、ぎりぎりの精神で、それは病むか病まないかを意識していて、そういう「場」から物語を作っています。そこには彼女の挑戦があるのか、精神を病むことの怖れがあるのかはわかりませんが、彼女の芸風としてそういうのを扱っているようです。
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ザワっとする表現もあり、プププと笑える箇所もあり、これまともに捉えなくってもよいかなってお気軽な所もあり、鳥居みゆきさんらしい楽しめる一冊でした☆
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詩の如き編、連歌の如き編、一人芝居が目に浮かぶ編などバラエティに富んだ短編集。新書の発売日に新宿で見かけたことを思い出しました。読む時は、一人、ゆっくり、静かな場所で。
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どろどろとした事件を多角化した視線で内情から探り出していく際、いつだって人は散文的に言葉を発する。脳に浮かんだぽつぽつとした断続的発言を詰め合わせたような文体は、そのまま、飾り気がないようであるからこそ味わい深い印象をもった。
二度三度、読み返すごとに妙な違和感が少しずつ片付いていく感覚が残る。一つの作品として纏まっている、内向的でありながら奔放な話の数々。奇をてらっているからこそどこか保守的。相反する感想を抱くのもまた、考えたそのままを書かれているように思われるからかもしれない。 -
テレビでの飛び抜けた個性は計算されたもので実はものすごく頭のいい方なんじゃないかしら、とは思っていたのですが、まずカバー折り返しの紹介文にあった趣味と特技に圧倒されました。それだけハードルを上げて読み始めたのに中身は期待以上。完全にのめり込んで一気読み。気を付けていないと通り過ぎそうな微妙なリンクや落としどころにしっかりはまり、最後まで読み終わってから思わず最初のページに戻って…また一周してしまいました。次作も是非読んでみたいです。
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全部白文字黒地のスタイルの本。鳥居みゆきについては、レッドカーペット芸人みたいなものだという認識以外何もなかったので、こんな多才な人とは思わなかった。DVDも観たい。簿記一級持ってたり、集中力ある人だなー!と思う。
収録されている中では、「佐々木さん」と「仕事と私と」と「葉子」と「シズカの真夜中ぶつぶつ」が素晴らしい。真夜中ぶつぶつは、こう、遡っていく感じというか、どんどん忘れていく中で、筆なのペンなのどっち?とか笑えたし、葉子の妊娠とかたまに絶望の自暴自棄のなかで明るい感じを差し込んでいくのが良かった。またマッチを売ろうとか。仕事と私と、も、佐々木さんも、ちょっとした小さな舞台、舞台上のショートショートを、読んで感じるみたいな読書だった。舞台小説だと思う。今すぐにでも舞台になるような。だから、小劇場に座る観客のように読んだ。