モンスター (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 11108
レビュー : 1438
  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344418509

作品紹介・あらすじ

町で一番の美女・未帆はかつてバケモノと呼ばれていた。醜い女が完全なる美を獲得した先にあるのは誰もが羨む幸せか、それとも破滅か。

感想・レビュー・書評

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  • (殺したくないなぁ。
     でも、
     彼らと同じ空間には絶対いたくないし。)

    私はテッシュをざざざっと、まとめて抜き取りながら、心でいつも葛藤する。

    …こんな小さな蜘蛛なのに。

    人に攻撃する事もなく、
    ただ家の片隅にひっそりと巣をはり、
    懸命に生きているだけ。

    それなのに
    (気味が悪い。)
    それだけの理由で
    私は彼らの命を簡単に奪うのだ。

    外見が醜い、って一体どういう事なんだろう。

    彼女だって、
    モンスターなんかじゃなかった。
    ただ普通に
    普通の女の子と同じ様に、
    恋したり
    お洒落したり
    友達とおしゃべりしたいだけだった。

    でも、彼女の醜さは、それを許さなかった。

    哀しいのは、家族でさえ
    彼女を認めていなかった(彼女自身がそう思い込んでしまうような扱いをしていた。)事。

    ただ独りの味方もいない彼女に
    孤独は重く圧し掛かかる。

    絶望の淵に追い詰められた者は
    諦めるか
    歯向かうか、
    どちらか、であるというが

    そんな彼女の元に
    整形美容、という剣が降りてきた。
    最強の武器を手にした彼女は
    人生に立ち向かう事に決めたのだが…。

    読書中はずっと、
    薄暗い彼女の心の中に監禁されている気分だった。
    (綺麗になれ。
     綺麗になれ。)

    内側から願う様に必死で
    磨いてはみたものの
    心についた
    傷や汚れは簡単に落ちてはくれなかった。

  • リアルだ。

    もちろんフィクションではあるが、登場人物の心はリアルであり、醜い。

    人間の心は醜い。

    私は美しくありたいと思っているが、醜い。

    百田作品、永遠の零に続いて二作目の読書。
    ちまたでは海賊と呼ばれた男が流行っているのでしょう。

    百田作品を評してわかりやすいが資料的だと。
    私は構わないと考える。

    40になろうとする私はいくぶん先入観というものを排除できるようになってきた。
    解説を面白いと思ったことは少ないのだが、
    中村うさぎ、うまいこと言う。

    小説は面白ければ良い、
    作者が何をいいたいのか考えることもない。
    何か身につけなければいけないこともない。

    それでも何かを感じられたときには、嬉しいものですよね。

    人生なるようになる。
    プラスがあっても、マイナスがあっても、落ち着くところに落ち着く。
    この気持ちがあれプラスを楽しめる。
    マイナスを意識しすぎることもない。

  • 大好きですね。あらすじを読んだ時からピンときました。
    整形について現代社会に問題提起。
    衝撃を受けましたし、やっぱりかという残酷なラスト。
    人間やはりこんなものかと。
    見た目が全てではなくとも、やはり見た目が全てなのか。深く考えさせられました。
    果たして何が正解なのか。

  • 494ページあったらしいのですがほぼランチと通勤時間、2時間半で読み終わってしまいました。
    この著者は放送作家だったからか、情景をえがくのが本当に上手ですね。瀬戸内海に面した田舎の街に急にあらわれた美女。その美女の視点で、過去が明らかになっていく...というミステリアスかつドラマチックなストーリーが良かったです。

    ここからはちょっとネタバレな感想。
    人によって感じるところはさまざまだろうけど、主人公に悲壮感がないのが良かった。この著者、わかってんなと思った。醜いからこそのどん底の不幸を味わって、でも生きていくしかなくて、何も頼れるものもないなかただ生きて、ついに美を手に入れる方法を知って...という流れがとても普通で、わたしは完全に感情移入ができてしまい、やれ!やれ!と思ってしまいました。(きっと、もうやめて!と思う人もいるだろう)

    たぶん、この本の主人公ほどではない...(ということにしといて...)ので大してひどい目にあったことはないけど、残念な見た目のせいで、普通の人より周りの人間の色々なところが見えてしまうということは往々にしてあります。
    男は知らないけど、女は会った瞬間に無意識に順位をつけているのだ。そうでないという女は自分が上であるというよほどの自信をもった人か、よほどの幸せ者(頭に花が咲いているという意味で)である、というのが私の持論。
    だからいま、マウンティングなんていうものがテーマの深夜ドラマが流行っているのだと思います。

    その順位付けで自分がランク外なんだ、誰にも愛されないんだと常に認識させられることの辛さ。誰にも頼れず、抜け出せず、自分の思考の渦だけにはまっていく怖さ。この不幸はあまりわかる人はいないだろう。この著者はかなりうまくこういった女性の心理状態を描いているとおもう。

    もっと違う不幸にあって悲しんだり悩んでいる人はいっぱいいる。その方たちは本当に可哀想だとおもうけど、悲しみを表に出せて「隣の人は本当はもっと不幸かもしれない」なんて発想は持たずに悲しめるなんて、なんて幸せなことよと思ってしまうこともある。
    この本の主人公のような不幸は小説だからわかるのであって、表立って悲しむことができない不幸。誰にもわかってもらえない不幸。
    だから全てを壊して作りかえた主人公には喝采を与えたくなったし、過程がとても面白かった。
    少し物足りなかったのは、元の自分を愛してもらいたいという最後の部分が少し陳腐に思えたのと、ラストのオチはもうちょっと残酷でもいいのになというところと、主人公の妄想シーンが多くて時々どれが事実かが著者の演出以上にわからなくなりがちだったところかな。

    うーん、相変わらず感想文が性格悪いんですけど、ほら、この本の主人公みたいなもんだと思ってください。整形前の。
    この本を読んでどう感じるか?いろんな人に聞いてみたいなぁ。

  • 子供の頃からその醜さ故に、同級生だけでなく家族からも愛されることなく、心を歪めてしまった田淵和子。一方的な片想いで人道外れる事件を起こした末、東京へ出て整形手術を繰り返し、莫大な金額をかけて完璧な美人に変身する。そして男への復讐と忘れられない片想いの成就を為し遂げる。
    男の愚かさだけでなく、女性の怖さの描きかたも強烈だ。作者のメッセージは、社会そのものが外面重視であり、都合よく使われる『心の美しさ』を根本的に疑問視している。ひとは誰もが一種のモンスターであると訴えたかったのではないだろうか。本作の登場人物で最もまともなのが、反社会勢力の崎村のような気がするのが皮肉だ。

  • 賢いブスより愚かな美人
    というが、その通りかもしれない。理由は、自分の審美眼に自信がないから。どうすれば、本当に品性を備えたひとを突き止められるのか。
    この本の主人公の顔は醜かったかもしれないが、心はまっすぐで文字通り一途な人生を歩んだひとだと思う。崎村は唯一それを理解した存在で、医者や他のエリートとは人間の深みが違う。なぜ、自分の見る目に自信を持てたのかが興味深い。
    足森が未帆を口説くシーン、エレガントだには確かに深みがない。あなたはどういう人だ、と的確にいってあげられることには知性がある。客観的にどう言いうるか、相手がどう言われると嬉しいか、の両方を理解出来る必要がある。

  • 長いけど読み始めたらとまらなくて、一瞬で読み終えてしまった。彼女は本当に幸せだったのか。深く考えさせられる。

  • 読みやすい面白さ。スイスイ読んでたけど、300ページあたりから文の繰り返しが多くなったり、たった5行の間で矛盾があったり。いちいち違和感を感じて引っかかってしまうので、スピードが落ちます。加えて、キャラクターに現実味がありません。さらに、終盤が衝撃的なほど陳腐。

  • 初めは、醜い女の子の悲しい物語かと思った。ひとつ整形してふたつ整形して。美しさを手に入れるため、欲望のままに整形を繰り返す…。男からは見向きもされず、醜いというだけで、世間からもひどい仕打ちをくらう。だけど、整形によって美を手に入れてからは世界が一変する。それはそれは、読んでいてスッキリするくらい、胸の奥につっかえていたものが取れていくようだった。それくらい、わたしはのめり込んでいた。どうぞ、この子には幸せになってほしい、願わずにはいられなかった。どこかにいるかもわからない、女の一生がこの一冊に詰め込まれている。

  • 読後感は爽やかではない
    男1人のためにここまで…
    狂気
    葛藤
    恨み
    人間のドロドロを描いてる
    暗くて重い内容だけどインパクトのあるストーリーでした

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著者プロフィール

百田 尚樹(ひゃくた なおき)
1956年生まれ、大阪府出身の放送作家・小説家。『探偵!ナイトスクープ』の放送作家として活躍。
50歳の時にはじめて執筆した『永遠の0(ゼロ)』で作家デビュー。ヒット作となり、映画化されている。
ボクシング青春小説『ボックス!』が第30回吉川英治文学新人賞候補、第6回本屋大賞の5位に選出され、映画化もされた。『海賊とよばれた男』で2013年本屋大賞大賞受賞。コミック化、映画化された。

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