- Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344418615
感想・レビュー・書評
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上の実録調に比べ、下は医師会と医師組織JAMAの安楽死法制定を巡る対立や内抗争。ミステリー調になり凄い速さで展開する。面白かった。
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安楽死法の是非。たしかになくても困るあっても困るというものかもしれない。さすが現場で見ている医師が書いた小説なのでその葛藤が詳しく描かれている。しかもいろいろな謎が最後までとけず、ストーリーとしておもしろい!「センセイ」が誰か、最後に明かされたときはびっくりしたが、考えてみればまったく合理的な話だ。リアリティがあるだけにコワイ。
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「安楽死を執り行う医師は、”神の手”を預託された存在」とはいっても、人の命を奪う殺人行為に変わりはない。
安楽死をめぐって、その賛否両勢力がせめぎ合う。
医師ばかりでなく、読者にとっても安楽死の問題は、けっして他人事ではない。
医療技術の進化は、新しい命題を我々に突きつける。この小説をきっかけに、その是非について考えてみるのもいいだろう。
物語は、安楽死問題も絡む医療庁設置の画策や、それに纏わる殺人事件に自殺も相次ぎ、いよいよミステリーの様相を呈してくる。
そして明らかになる「センセイ」の正体・・・
医療情報小説にミステリー小説と、二倍楽しめるエンターテイメント。 -
2018.3.11
上下巻通して読了。「安楽死」賛成派・反対派ともに意見があって、それが政治を巻き込んで論争を巻き起こしていく。もし死を望む人がいたとして、でもそこに手を加えるのは他人なわけで。それで手を下した人は、一生それが正しかったかどうか答えの出ない自問自答に苦しむことになるのかもしれない。読み終えて、言いようのない答えの出ない大きすぎるテーマにただただ、どうしようもない思いが浮かぶ。
発売から6年ほど経った今は当時よりさらに高齢化が進み、認知症などからくる家族の介護問題もより大きな問題になっている。「認知になったら家族に迷惑がかかるから、もう生きていたくない」等の意見も聞こえてきそうで、安楽死は、物語中にもあったけど末期の疾病だけに関係するテーマじゃないのかもしれない。
医師が書いた「安楽死」がテーマの長編小説、しばらく頭に残りそう。 -
安楽死とはどういうものか、よく調べたこともなかったので、序盤の「若者の患者にこそ安楽死が必要」という説明にまずはっとした。安楽死が必要な理由も問題点も非常に丁寧に描かれていて、安楽死を実行した医師の主人公が最後まで迷い続ける様子が印象的だった。
色々想像されるような含みを持たせた終わり方に、読後思わずため息が出た。 -
安楽死問題の是非を巡り読者の心も右往左往する。政治とサスペンスが加速し、<そこまでいくかー>というところまでストーリーが大きくなり、患者不在の展開に着地点が見えず不安になるが、最後は白川先生が着地させてくれる。
医療を取り巻く複雑な世界、安楽死問題の奥深さを痛感させられた。面白かった。
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安楽死の是非を巡る対立、利権。意外なセンセイの正体。人間の欲望が生命をも軽いものにするのか… 登場人物の相次ぐ死が生命の軽視に拍車をかけるようだった。
もしかしたら、人間は余りにも自然の摂理と闘い過ぎてるのではないだろうか。自然に死を受け入れる達観を身に付けるのも一つの生き方ではないか。いろいろと考えさせられた。 -
いろいろ起こりすぎで消化不良。安楽死の是非を問う話だったが、権力争いや殺人など盛り込みすぎた感じがある。
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敵対する医師会を解散させ勢力を拡大する医師組織JAMAと後ろ楯大物政治家・佐渡原。両者の思惑どおり安楽死法は制定に向かって邁進した。が、やがて発覚するJAMA内部抗争と代表・新見のスキャンダル。次々に抹殺される、核心に近づく者たち。そして発表された安楽死専用薬ケルビム。すべてを操る“センセイ”の正体とは?戦慄の真実。
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安楽死問題に正面から取り組んだ意欲ある作品。
日本が(正しい表現でないかもしれないけど)安楽死に関しては後進国。あるいは慎重な国である。
筆者は「破裂」でも安楽死の問題を取り上げており、テレビで見ていたのでこの作品も素直に入り込めた。
あとは政治と医療の闇の部分が小説を面白くしている。