往復書簡 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 7291
レビュー : 716
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344419063

感想・レビュー・書評

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  • 湊かなえさんと言えばラストになり大どんでん返しがあったり、
    ドロドロとした人間関係があるので、
    ドキドキしながら読み進めていましたが、
    今回はこのような事が無くあっさりとしていました。

    今の時代だとメール、ラインといったもので伝えてしまうことが多く、
    すぐに返事が届いてしまって気持ちまではストレートに
    伝わっているような利点のような欠点のようなものがあります。
    けれど手紙だと一旦書いたことが時間がそこで置かれることになり、
    それによって考え方や想いなどが熟成されるかのようになるので、
    一息呼吸を置いて物事が伝わるような気がします。
    それによって物事の判断が自分なりに解釈をしながら
    また考えをゆっくりとしながら返事をすることができるという利点があるかと思えました。


    それぞれ過去の事に遡って手紙が書かれていますが、
    十年後の卒業文集では自分がどんな風に思われていたのかと
    人によってこんなに様々な印象があるのかと思いました。


    二十年後の宿題はこの中では一番スリリングな手紙の内容で、
    事件の真相が分かるまでもどかしい気持ちで読んでました。
    先生の言葉で「ともに理解し合えるめぐり会えるということは、
    人生にとってかけがえのない財産です。
    それがたとえほんの数年で終わってしまうにしても
    心の中には永遠に残っていくものです。」
    という言葉がとても重みがあり、
    先生からの教えとメッツセージだと思えました。


    十五年後の補習では今までの書簡での書き始まりとは違っていたので、
    どんな二人の関係なのだろうかと思って読み進めていきましたが、
    意外な方向に進んでいったので違った意味でドキドキしてしまいました。
    互い手紙を交わす回数が増えていくごとに
    気持ちの変化がよく分かりロマンティックな手紙も良く、羨ましくも思えました。

    ここで更に日本語の手紙の良いところも描かれていて、
    日本語って本当に良いなとも思いました。

    一年後の連絡網はおまけといった感じで十五年後の補習の裏話が
    知れたのでこれもまたオツで良かったと思います。

    書簡式というスタイルでいつもとは全く違ったタイプの作品でしたが、
    あらためて手紙の良さを味わえました。

    書簡式でも良いですが、またいつものような小説タイプの作品として
    書かれていたらどんな風になっているだろうかと思いました。
    いつもとは違った湊さんの作風も良いなと思える作品でした。

  • 往復書簡形式の連続ミステリィ。
    手紙が往復する毎に少しずつ明らかになる真実。その臨場感が味わえる。
    一番最後の話が好き。

  • 湊かなえさんは人物描写と前半から引き込む文章力がすごいと思う。
    中盤ぐらいからエンジンがかかる作品も多い中、三作品共序盤から
    ぐいぐい引き込まれていきました。
    どれも面白かったけど、「十五年後の補習」がお気に入り。
    二人の想いあっている姿がお互いの手紙から伝わってきて
    手紙って、日本語っていいな~と感じたのでした。

  • あの時の真相は何だったのか。当事者間に交わされる手紙のやり取りが、秘められていた真実を明らかにする。書簡形式の連作ミステリー。
    面と向かって話すよりも、手紙だから伝えることができる場合がある。それを狙った設定だと思うが、十分に活かされたとは言い難い。結局は全てを説明したに過ぎず、書簡ならではの深読みさせる部分に欠けてしまった。

  • 直後の印象
    ダークさと優しさ

    「また『告白』のようになるのか」と、どの掌編も身構えて読んでしまって、湊先生にすいません、と、謝りたい…!
    収録されている3つの掌編で程度の差はあれど、登場人物のちょっと薄暗かったりダークだったりする設定と、お互いを思って綴る書簡というスタイルで描かれた、ミステリーとホームドラマの良いところを併せ持ったストーリーに満足。
    話の進め方は多少強引なところもあるが、読みやすいのでスピード感をもって読めるという長所にもなっていると思う。
    文庫版はプチ後日談も掲載されていておすすめ。

  • 全部が、手紙のやり取りだけで構成されている小説。
    そして、これだけで、読者をここまで惹きつけるなんて、ほんと、うまいなぁとしみじみ。

    ベタだけど、「手紙っていいな。」と思いました。
    メールでもなく、電話でもなく、自分の字で、時間をかけて相手に思いを届ける、とても丁寧な作業だなと思いました。
    しかも、「手紙」となると、別の自分が顔を出して、何故か詩的になったり、自分でも気づいてなかった気持ちが湧き上がってきて、文字となり、文章となる。現代の情報社会にある「スピード感」を伴わず、とてもゆっくり、丁寧に。

    私には、ミステリーの様な出来事を胸に秘めて生きてはいないけど、何か思いもよらないもう一人の自分と出逢えるかもしれない。
    なんて思いながら、やっぱりベタに、誰かに手紙を書きたくなりました。

  • 手紙のやりとりから色々な事実がわかってくるという趣向の短編集。確かにメールやSNSより手紙って重みがありますよね、書く方も受け取るほうも。時間の経過もあるしね。意外な展開になっていってサクサク読み進めました。

  • 2017年8月17日
    手紙の短編集。
    一つ一つはひきつけられるが、内容が少し少ないように感じる。

  • ・十年後の卒業文集
    ・二十年後の宿題
    ・十五年後の補習
    ・一年後の連絡網

    ・十年後の卒業文集は、放送部員が結婚式後に手紙のやり取りをするもの。
    ちーちゃんが悦子として結婚式に出席して、手紙のやり取りをしていた。

    ・二十年後の宿題は、もみじ拾いの最中に川の事故に遭った先生が、そのときにいた6人の生徒の近況を知りたいというもの。

    ・十年後の補習は、海外と日本の遠距離恋愛。いじめ、放火、同級生が亡くなった過去の記憶を取り戻す万里子。
    純一は手紙で優しいウソをつきつつ、万里子を守ろうとする。

    ・一年後の連絡網は、その海外ボランティアの別の男性同士のやりとり。

  • 【あらすじ】
    高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子六人に会いに行く。六人と先生は二十年前の不幸な事故で繋がっていた。それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、六人目となかなか会う事ができない(「二十年後の宿題」)。過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされる。感動と驚きに満ちた、書簡形式の連作ミステリ。

    【感想】

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著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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