往復書簡 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.51
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本棚登録 : 7302
レビュー : 718
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344419063

感想・レビュー・書評

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  • 書簡形式で書かれた本を読むのは三冊目。
    手紙の書き方には人それぞれ特徴があって、普通の小説を読むよりも楽しくて読みやすいと思うのだが、読みにくいと感じる人もいるらしい。

    『告白』ほどのインパクトはないが、この作品も楽しめた。
    ジャンルでいえばミステリーなのだろうが、書かれているものは手紙のやり取りだけなので、手紙の内容をそのまま素直に受け入れてしまう。親しい間柄でのやり取りなのだから尚更だ。
    手紙の中で触れられる事件のこと。その真相を知るための手紙ではなかったはずなのに、いつの間にか真相が暴かれていく。
    途中で「そうか、こういうことだったのか」と納得していたら、その返信でさらに覆されたりすることもあり、「さすが湊さん。一筋縄ではいかないな」と唸ってしまった。

    どの話も真相をすべて語り終えてくれるので、すっきりした読後感を得られるのだが(事件自体はすっきりできるようなものではないのだけれど)、最後の「一年後の連絡網」はちょっと蛇足かなと思えた。
    なくても予想はついていた、ということもあるが、痛い話が苦手な私だからこそ、読みたくなかったと思ってしまっただけかもしれない。

  • うーん。かなり面白かった。
    原作とはだいぶ違うみたいだけど、映画も見に行きたい。
    タイトルの通り、全文手紙のやりとりで構成されているが読んでて飽きない。
    日常のさり気ない会話の中には私達の想いがひとつひとつ反映されていて、そこには勘違いや、深読み、相手の気持ちに気づけない鈍さなどが絡まり、予想外の化学反応が生まれているのかもしれない。まさにLIVE。
    手紙はメールと違って開封されるまでに絶対的な時間がかかるのが覚悟できているから、自ずとより冷静になれるし、文字自体に想いが載せられる。今の時代では貴重なアート作品かも。
    自分と同じ名前なので何となく敬遠してたけど、暫く読み続けたい作家を見つけた。

  • 「往復書簡」というタイトルのとおり、手紙のやりとりだけで話が進みます。私はこういった書き方の本を読んだことがなかったので、純粋に新鮮で面白かったです。

    手紙という限られた情報だけで話が展開していくので、少々…ではないかな、かなりのまわりくどさやじれったさも感じます。でも手紙を書くまでの時間、書いた手紙が相手に届くまでの時間、相手からの返事を待つ時間、その時間もが手紙の醍醐味なのかもしれません。
    あまり身近ではなくなってしまった、手紙の文体に少し違和感を感じることにも、淋しさをおぼえつつ。
    電話やメールではない、手紙の良さを再発見したようでもあり、週末には新しいレターセットでも買いに出かけようかな、と本編とは全く関係のないことを考えたりします。

  • 一通毎の手紙のやりとりを一頁ずつ読み進めるうちに、事件当時の心の綾をほぐしていく様なプチミステリー。「十年後~」は…なりすまし!?ての卒業文集の完結。「二十年後~」は…心暖まる恩師の宿題。「十五年後~」…0の掛け算と加減算の選択補習。「一年後~」にはホッ!。文中の"手遅れにならないうちに、気づかなければならないことがたくさんある"…響くね♪

  • 書簡形式のミステリー短編集!

    手紙をやり取りするたびに、明かされる、覆されていく真相。
    こういう物語の進み方、むっちゃ好きです!

    湊 かなえ氏の作品はいろいろ読んできましたが、その中でもこの作品はかなりお気に入りとなりました。
    というのも、三篇目の「十五年後の補習」がとってもツボだったからです。

    恋人同士の可愛い手紙のやりとり・・・と思いきや暗雲が立ち込めて、過去の真相が明らかに・・・。
    いつものようにぼーっと読んでいた私は、新しい事実を突きつけられるたびに、え?え?となってました。

    もしかしたら、人それぞれなのかもしれないですが、どの短編も読後感がとーってもよかったです!
    いや、それにしても、三篇目。ともすれば怖いくらいのガチミステリーなのに、かわいくてかわいくて、きゅんきゅんさせられました。不思議。

  • 大人気な著者ですが、初読みです。スゴイ。表題通り「往復」の「書簡」だけで構成されているストーリーにここまで引き込む力があるとは。とにかく「次は?」「次は?」と、読んでしまいます。全編関連のある話かと思っていましたが、全く別の話でした。
    一話め、ドキドキしながら引き込まれたのですが、最後はあり得るか?といった疑問も…。
    二話め、秀逸でした!軽く引き受けた仕事(?)には重い重い過去があり…それがどんどん深くなっていく。同じ事でありながら、見る側の立ち場、環境によってここまで物事は変わるのですね。そして最後はウラの裏が。
    三話め。人を人が殺すというのが絡むとやはりちょっと…。
    どの話もラストにギスギスした感じは残りません(著者の優しさ?)が、三話目にはちょっとツッコミたくなるかな、そこまでハッピーでよかですか?

  • 湊かなえさんの「告白」「贖罪」と読んできて【これも後味が悪いだろう】と勝手な思い込みで読み始めたのでラストは「あれ?」でした。
    その後味の悪さを期待する人には物足りないかも知れないけどほっこり終わるこの感じ嫌いじゃないです!

    手紙のやり取りだけで物語を進める話を何冊か読みましたが、手紙って読み手の想像1つで話が変わりますよね。なかなか面白かったです。

  • 湊かなえの中ではさわやかで
    読了感の良いほうだとおもった。

    ・・・以下メモ・・・

    実家暮らしのいいところは、懐かしいものを紛失しないってところかな。

    オールマイティだけど、補佐的役割
    ムードメーカーというわけでもない

    何年たってもまた会いたい。
    今度は全員揃って会いたい。

    前略は堅苦しい挨拶が無い
    →拝啓はある
    →前略は目上の人には使わない

    ■仮説
    頭のいい人が「こうだったんじゃないか」と仮説を立てて、「それもあり得る」となったら、仮説は事実になってしまう

    ・・・・・・

    生まれた家庭環境で人生が決まってはいけない

    綺麗なブルーをしていたお茶が、
    レモンを入れるとピンクに変わり、化学の実験のよう

    助けてくれなくていいから、自分のことは自分でどうにかできる人であってくれたら!それでいいんです

    人は見返りを求める
    〜さんのおかげで〜できました、といわれると自慢したくなるし、自分1人の力で賞を取ったような言い方をすると、誰がフォローしてやったんだとムッとしてしまう

    わざわざ「先生のおかげで」なんてなんじゃされなくてもいい。僕の教えたことが、それが誰かから教わったことだと気づかないくらいに、生徒たちの中に浸透していればいいなあと思います。

    あのときああしていれば。
    人生なんてその想いの積み重なりなのだということを、今回ひしひしと実感しています。

    あの子たちに家族のことを書かせるのは酷なことでした、でも、一部の児童に考慮して、家族について全く触れずに学習をすることが正しいとも私は思いません

    共に理解し合える人に巡り会えるということは、人生における限りない財産です。

    ききなし
    →鳥の鳴き声を人間の言葉に置き換えること
    ウグイス ほー法華経
    ホオジロ 一筆啓上仕り候

    僕はあの時の罪悪感を、君を助けた至った一つの事実で全てなかったということにしようとしていたのかもしれない
    大きい数字に0をかけるように

    ないものはいくら集めてもない
    →あるものをなかったことにしてしまうことではない
    →裸の人を何人集めてもパンツはゼロ

    なんとも言えず心地よい

    僕の目に映るものは、僕の中のきみの目を通して映っているのかもしれない。
    だから、何もかもが輝いて見える
     

  • 「手紙」特有のまだるっこさを逆手にとって読者への状況説明やら手紙を送る相手との心理戦やらオチのどんでん返しやらと活用した感凄い。な連作短編集

    時間が経ってからの「手紙だから言える当時の本音」や、「人によっての捉え方の違い」の描写が(多少後味悪いけど)深かったり面白かったり

    …この人の作風に慣れてくると、「女子が夜に山に出かける」とか「休日に学校の先生とお弁当を持って山に行く」とか全てが「…これ絶対平和に終わらないヤツだ…金田一少年や名探偵コナンの周りの人たちが彼らの一挙一動にザワザワするのと同じヤツだ…」と思えてきてメンタルによろしくない(苦笑

  • 手紙のやり取りを通じて過去の事件の真相が明らかになっていくという、書簡形式の連作ミステリです。

    スマホでのメールや電話ではなく、あえてコミュニケーションに時間の掛かる手紙でのやり取りという、時代を感じさせるスタイルで展開されています。
    互いにじっくり考える時間のある事から、読者も一緒に思考を巡らせる事が可能であり推理に遅れを取りません。

    どの章も、登場人物のそれぞれの視点で事件の核心に迫っていきますが、どれも事実が明かされる過程は見事です。湊かなえ作品では珍しいのが、登場人物も癖が強くて「憎たらしい」人物がほとんどおらず、いずれの作品も読後感はすっきりとした気分になるのが心地よかったです。

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著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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