なみのひとなみのいとなみ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344419070

作品紹介・あらすじ

好きなことだけして生きていきたい。それなのに、営業に行けば相手にされず、ジョギングすれば小学生に抜かれ、もらった車は交差点で立ち往生……。この不本意な毎日は、いったい誰の陰謀であろうか。後ろ向きだけど楽天的。なまけ者なのに心配性。なぜか愛しく思えてくる! 日常爆笑エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • タマキングである。初めて読むのである。電車に乗る前に手持ちの本を読み終っていたことに気がついて「いかん」と思い、近くの本屋でこれが目についたので買ったのである。

    読む前に「タマキング」の評価はちらほら目にしていて「公衆の面前で読むには注意を要する作家」であることは知っていた。しかしその時、酒の席の帰りでほろ酔いであったため、そのことを全く忘れていた。ふらふらしているからドストエフスキーのような重いものは読めないと思った。じゃあ読まずに寝てればいいじゃないかとも思うのだが、そこが本好きの性というかなんというかでちょっとでも時間があれば本を読みたいのである。

    しかし人の言うことは聞くもんである。読んでて顔がにやけてしょうがない。それを隠すため眉間にしわをよせることにした。たぶんかなり変な顔になっていたと思う。その泣き出しそうな表情から『論理哲学論考』のような難しい本を読んでいるのか?と思われたかもしれない。まあでもたぶん誰にも見られてなかっただろう。私が酔っ払いながらも必死で本を読もうとするのと同じで、みんな電車の中では何かに夢中なはずだ。スマフォとか競馬新聞とか。

    どうでもいい話はやめて本題。『なみのひとなみのいとなみ』。タイトルが素晴らしい。何てセンスのいいタイトルなんだろう。「脱力」+「かわいらしさ」+「いい感じの韻」。内容ももちろんタイトルに見合って面白いのだ。表紙はカメさんとタコさんが吊革を持ちながら本を読んでいるイラスト。なごむ。必死で本を読む二人(二匹?)が酔っ払いながら本を読む自分と重なる。

    脱力のほほんばかりかと思いきや、鋭い考察もチラリ。「法人対私」とか。

    会社さま → 私 (これまで)

    から

    オレさま → 法人(あるべき姿)

    への発想の転換。「何を言っとるんだ」と思う向きもあろうが、私には沁みた。「オレさま」と横暴の限りを尽くす必要はないと思うが、「会社さま」精神が働きすぎてしまって、体調を崩してしまった人を何人か見てきた。それは本当に悲しいことなのだ。時には「オレさま」の方にシフトすることでバランスをとるようなやり方も必要だと思う。自戒もこめて。

    余談ながら「タマキング」は女性かとばかり思っていた。検索したら和服の似合う美女(緒川たまきみたいな)でも出てくるのかと思ったら榎木孝明風の男前であった。いろいろ面白いぞタマキング。

  • 過去に三浦しをんさんのエッセイを読んで
    「あなたは私ですか!?」
    と思うほど共感する事が多かったのだが、
    宮田さんのこのエッセイを読んでも
    「あなたは私ですか!!??」
    と何度も思ってしまった。
    三浦さんはともかく、宮田さんは
    年齢も性別も違うというのに。。。
    とにかく楽に読めて、
    ちょっとだけ元気になれるエッセイだった。

  • 先に読んだ、益田ミリさんと近いものがあるけど、後ろ向きな性格とはいえ、宮田さんのほうが、すっと入ってくる。しかし、初期のエッセイに比べると…。

  • タマキング氏の、旅以外のネタ満載のエッセイ。

    なんつうか、ただただ笑わかされるだけでなく、ちょっと考えさせられたり、なにげに真理をついていたり、そんな成分がけっこう含有されてる気がしました。
    あと、家庭的なセマい日常のホンワカしたカンジとか。

    トロ氏の解説もグー。

  • 星3.6
    2023 1冊目の本になりました
    適度なゆるさの文章が好きです
    妊娠中の奥さんに頼まれたおつかい、笑いました!

  • とりとめのないエッセイ。
    特に面白くはなかった。

    以下、印象に残った文章。

    ところが、ひとたび社会に出てみると、職場にいて出かける人あればそれは営業であり、訪れる人あれば営業であり、西に疲れている人あれば営業で、南に死にそうな人あればそれも営業なのだった。つまるところ平日の昼間、屋外を歩いているほとんどのサラリーマンは営業なのである。
    そういうものに私はなりたくない、とずっと思っていた。営業なんてしたくない。
    --------------------
    そのとき肝心なのは、それが時代考証的に正しいか否かということではなく、その世界が、深いところまできっちりと構築されているかどうか、ということだろう。本物よりも、フェイクならフェイクなりの完結性、完全性のほうを自分は求めているような気がする。

  • 好きなことだけして生きていきたい。それなのに、営業に行けば相手にされず、ジョギングすれば小学生に抜かれ、もらった車は交差点で立ち往生……。この不本意な毎日は、いったい誰の陰謀であろうか。後ろ向きだけど楽天的。なまけ者なのに心配性。なぜか愛しく思えてくる! 日常爆笑エッセイ。(裏表紙)

    相変わらずの力の抜け具合で嬉しくなります。
    ただ、紹介文といい、この評といい、作者さんはこう返されるでしょう。ふざけてはいけない。
    決まり文句のようなこの一言が出てくるだけで、にやりとしてしまうようになりました。

  • 単行本持ってるけど買った。
    そういやこれはちょっとほの暗いのよね。

  • 久しぶりに読んだら宮田さんがいつのまにか父親になっていた。。
    面白いけど、今回は電車でも読める程度の笑い。
    パワーダウンしてきたかも?
    でも沈んでた心がぽっかり浮き上がる。楽になる。

    英語教育についてのはなし、意外と的を射ているかもなー

    「おお、神よ、私は、働きたくない」
    そのとーり!

  • 友達がはまっていて、でも絶版だったりして手に入らないの、と聞いてから、雑誌に紹介されてたり、本屋さんでよく見かけるようになった宮田さん。
    久々のこの感覚。面白いです。
    我が家ではジェットコースターの人で通じます。

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著者プロフィール

旅と散歩と石ころと変な生きものを愛し、いかに仕事をサボって楽しく過ごすかを追究している作家兼エッセイスト。その作風は、読めば仕事のやる気がゼロになると、働きたくない人たちの間で高く評価されている。主な著書は『いい感じの石ころを拾いに』(中公文庫)、『東京近郊スペクタクル散歩』(新潮社)、『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』(大福書林)、『明日ロト7が私を救う』(本の雑誌社)など。

「2023年 『路上のセンス・オブ・ワンダーと遥かなるそこらへんの旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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