もしもし下北沢 (幻冬舎文庫)

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レビュー : 136
  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344419094

作品紹介・あらすじ

父を喪い1年後、よしえは下北沢に引っ越し、ビストロ修行に励んでいた。
父のにおいはもうかげないし、言いたかった言葉は届かない。
泣いても叫んでも時は進んでいく。

だが、母が淹れる濃くて熱々のコーヒーにほっとし、父の友人の言葉で体と心がゆるむ瞬間も、確かにある――。
殺伐とした日々の深い癒しと救済を描いた、愛に溢れる傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 最初から最後まで「死」がまとわりついたお話しでしたが、舞台となった下北沢という町並みが重たい空気を包み込みあたたかく見守っているように感じられました。

    • kharaさん
      本当にその通りでした(^ν^)しもきたランチいきたくなります!
      本当にその通りでした(^ν^)しもきたランチいきたくなります!
      2012/12/28
  • 街に癒される。そういう気持ちは、結構わかる。だからこそ自分も、自分が好きだと思える街に戻ってきた。下北沢にも行ってみたいな。主人公が、人生を前向きに歩き出した街の空気を感じたい。

    ひとつひとつ、字を追っていると、なぜかふわりと地に足が着くような感覚に陥った。日常で忙しくてあっちこっちに飛んでいる頭が、本の世界に入り込んでふっと落ち着けたんだろうな。

  • ミュージシャンを父に持つ、20代後半のよしえが主人公です。
    その父が無理心中に巻き込まれ亡くなってから、1年後からこの物語は始まります。父の死を受け入れながらも、葛藤の中毎日一生懸命生活していく様と、心の有り様が繊細に描かれています。
    無理心中に巻き込んだのは、遠い親せきの深い闇を持った女性で、浮気相手になります。この作品では、最後まで彼女の素性は分からずじまいです。
    そこから感じたのは、人間にある邪悪な部分を焙りだそうとしている点です。
    故に、それに対峙せざるを得なくなった主人公の懸命さも同時に伝わってきます。

    比較するのも的外れですが、村上春樹は『1Q84』でリトル・ピープルという邪悪な集団を描いています。
    よしもとばななは、個人のレベルで邪悪さに迫ったのではないかと感じました。

    また、女性の感情の機微とはこんなものなのかと強く感じさせられました。女性作家ですから当たり前ですが、それをすごく意識させられました。

    彼女の作品も海外で多く翻訳されています。日本人だけでなく人間の心の奥に響くような作品を多く手掛けているのではないかと改めて思いました。

  • 以前、よしもとばななの本を読んだのはいつだったか?
    題名のゆるさに軽めのエッセイ?くらいの意識で手に取ったら、とんでもなかった。
    そう、以前の「キッチン」も「つぐみ」(って何年前よ?)もそうだった、とにかく救われる本だったのを思い出した。
    父親(夫)に死なれた母娘の再生物語なのだが・・・
    この人の文章に出てくる「言葉」がとにかく私を救ってくれる。
    夫に死なれて、地面に必死で足をつけようとする母、と、父に死なれて、生きてく道の迷子になった娘。それぞれの思いが、口にするセリフが、私の心の底、自分でも気付かないほど奥底に澱のように溜まっていた気持ちを言葉にして解放してくれる、そんな感じ。
    この紡がれた「言葉」のパワーたるやものすごいものがある。
    とにかく、今回もまた最上級に救われました。
    いろんな意味で「生きてることは生々しくて残酷」だけど「ちゃんとしなくちゃいけないって思わなくていい」んだと。

  • 癒された。いっつも、疲れてはばななさんの小説に立ち返り、ああ癒されたなあと思って、その心地良い感じを求めてまとめて何冊かばななさんを読む。でももう一冊目で大きく癒されてるから二冊目からはなんとなく薄味に感じられて、四冊目くらいでもういいやと思って離れ、また一年後くらいに帰ってくる。いつまでもその繰り返しなんだろうなあ。ばななさんの小説は似たような話しかない、って批判することもできるけど、でもそのことがいつもいつもわたしを支えてくれている。

  • 長くてダラダラと書いているような気になるけど、実際とはそういうモノだろうと思う。

    上手く言葉に出来ないだけで、たくさんの想いがあって、この人はそれをすべて言葉にしてくれる。

    だから「そうだ。そういうことだったんだ」と想うことが、いつもある。

    私にとっては、それを気づかせてくれる、数少ない作家。

    その為、この人の小説は、読むのがキツイ時もある。

  • 文庫化しましたので、再読です。
    前回よりも丁寧に読めました。
    よって、最悪な形で父親を失った主人公の、
    そして母親の再生の流れを味わえたと思います。
    干からびた大地にじわじわ水がしみこむように。
    乾いたスポンジと違いますよ。
    あくまでもじわじわ、じわじわと。

    ただ、ラストの突拍子のなさがやはりわからん。
    えぇー、そんな重要ポジだっけ、この人。
    いや、彼だとおかしいのではなく、唐突さがおかしい。
    そんな伏線あったか? 読み落としたのか?

    皆様、納得できました?

  • 昼休みの残り時間、本屋をふらり。
    呼ばれている感じがして見てみると、ばななさんの本。
    裏に書いてある あらすじを読んで、呼ばれた感がしたのを
    妙に納得した気分になって、購入。

    「うすうすわかっていることを誰かがはっきりと言葉にしてくれると、
    心はこんなに安らぐんだ。」と文中に書かれているのだけれど、
    わたしにとってそれは、角田光代さんや、よしもとばななさん。
    そんな人がいてくれること、書き続けてくれること、
    心から嬉しいと思った。

    本を開いて、1/3まで読んで、
    やっぱり呼ばれたんだ、と確信した。
    たぶんきっと、今のわたしに必要な本。なので、星5つ。

  • 《なんていうことのない会話でも、そこには言葉のやりとりだけがあるわけではない
    自分が言いたかったことが確かに伝わったという安心感
    向こうが何も無理していないという気軽さ
    思ってもないことは絶対言わない人だという信頼
    そういうもののやりとりがあった》

    最近のばなな作品はスピリチュアルが過ぎてて、あ〜〜もうこの人はその手のものしか書いてくれないのかと、何度も落胆しながらもついつい手にとったこの作品は、求めたていた言葉を散りばめてくれていました。

    ちょいちょい涙ぐみながら読み進み、お母さんが携帯を床に打ち付けて泣き叫ぶ描写で涙腺崩壊、よっちゃんがフランスから帰るまで他の人と暮らさないでとお願いする場面では温かな涙がさらさらと流れてました。

    久しぶりにばななさんありがとうという気持ち。


  • お父さんが無理心中に巻き込まれたよしえが下北沢に引っ越した。下北沢と、そこにある料理の描写がたまらなくお腹が空く。お腹が空くって素敵なことだな。

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著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

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