夢の名画座で逢いましょう (幻冬舎文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344419421

感想・レビュー・書評

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  • 2014年に亡くなったイラストレーターの安西水丸さんとアカデミー賞を受賞した『おくりびと』の脚本家小山薫堂さんの映画対談集。

    なんだか洒落てる作り。
    映画タイトルやあらすじ(このあらすじが要点を上手くまとめていて凄いと思う)のページをめくるとその映画からインスパイアされた小山さんの文章に安西さんの絵をつけたものが読める。次いでふたりの映画観賞後の対談。これは三ページほどで映画の事をほとんど話してない時もあれば、さらっとネタバレを話してるときもあるので注意が必要。
    おふたりとも結構正直で興味のないものと興味のあるものの熱の入れようが違う。
    あと水丸さんと盟友の村上春樹さんのこともちょっと話題に上がっている。村上さんが好きな映画とは...小山さんも意外だと言っていたが私にも意外だった。

    選ばれている映画は2007年から2010年のミニシアター系映画。観てたものはわずか。特に観たくなったものは『冬の小鳥』『キャタピラー』『ヘブンズ ストーリー』『ヤコブへの手紙』『セラフィーヌの庭』『ソウル・キッチン』『海洋天堂』『イグジット・スルー・ギフトショップ』

    小山さんの文章で気に入ったものをひとつ。

    「こころの海」

    人を理解しようと思うなら、まず、自分の普通を壊しなさい。
    あなたの当たり前と彼の当たり前は違うのです。
    ただ静かに寄り添って、同じ‘心の海’を泳ぎなさい。
    時には、ふたり一緒に溺れそうになるかもしれない。
    それに怯えることなく、ただひたすら、寄り添って泳ぐのです。
    そして気づけば、ふたりは手をつないで、同じ海を泳いでいるのです。
    それが、すべての始まりの合図。
    自分の普通と、彼の普通が、少しだけ近づいたしるし。

    アクションスターのジェット・リーに「ノーギャラでいい」と言わしめた脚本の『海洋天堂』。アクションシーンが全くない自閉症の息子とその父親のヒューマンドラマだそうです。

  • 水丸さんの訃報を受けて、再読。

    以下、小山薫堂さんのFacebookページより。

    水丸さんのいないW座の収録。
    こんな招待状を書きました。

       「喪失感」

    失うという悲しみの大きさは
    すべて自分が決めるのです。
    失う前と同じ時間は、決して戻らない。
    だから、過ぎ去った時間を
    再び望んではいけないのです。
    そんなことは分かっているけど、
    悲しみの波は絶え間なく押し寄せるのです。
    心にぽっかり空いた穴を埋めるのは、
    自らの中に芽生えるかすかな希望。
    そして、
    共に歩いた道を起点にした新しい地図。

    https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10203581394523344&set=a.2194333105748.2129724.1469798545&type=1&theater

  • 本の構成がとても良い。「招待状」と称した小山薫堂の詩には気付かなかった視点を、安西水丸の絵には気付かなかったシーンを見ることができる。既に観た作品はもう一度観たくなるし、観たことの無い作品は興味が無かったものでも観てみたくなる。「招待状」以降の対談も雑談のていで、混ざりたくなる。

  • こんな番組放映されていたのですね。
    http://www.wowow.co.jp/movie/wza/

    そんな訳で11月9日はナナゲイに行くぜ←行きたいが正しい表現ですが、、、
    http://www.nanagei.com/index.html

  • 安西水丸のひょうひょうとしたトーク。
    好みの映画じゃないときは、さらりと言ってるしそれを、受けてコメントする薫堂氏の掛け合いが絶妙。
    ここに載ってる映画、観たくなった。(ほとんど観てないのが多かった。)

    突然の訃報でびっくりしたけど、いかにも粋で潔い水丸氏らしい最期だったのかもしれない。合掌。

  • 1本の映画からのインスピレーションを小山が文に、安西がイラストとしてまとめ、鑑賞後記的に二人の対談が添えられる。紹介される映画は25本。見逃した作品が多いので、これを機会に観てみようと思った。

  • 僕らはもっと心の旅をしなきゃいけない。

    もっと自分の気持ちが動くような旅をしなきゃいけない。P.32


  • 自分が学生だった頃、
    街にはまだ名画座と呼ばれる類の映画館が残っていて、
    名作とされる古い映画を2本立てで上映していました。
    その頃の映画館は指定席でもなく、
    上映が終わるごとに
    観客を総入れ替えすることもなかったので、
    開館から閉館まで食事もとらずに、
    繰り返し同じ映画を観ていました。
    当時は映画はひとりで鑑賞するものと思っていました。
    上映が終わったあとの余韻に浸れるのも、
    なにが描かれていたのかじっくり考えるのも、
    ひとりの方が好都合だったのかもしれません。

    本書では
    自らの意志ではたぶん観ることないだろうなぁ
    と思われる映画が紹介されていて、
    それらの作品についてお二人が語り合う
    対談の模様が記されています。

    思春期の頃は、
    本と映画から人生を学んだような気になっていました。
    人生は映画から学べるって信じていたころ、
    その学び舎としての名画座があったころ、
    あのころはよかったなぁと感慨にふけりながら読みました。


    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

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著者プロフィール

一九六四年、熊本県生まれ。初の映画脚本となる「おくりびと」が、第八十一回米アカデミー賞外国語映画賞をはじめ、国内外問わず数々の賞を受賞。ご当地キャラクターブームを牽引した「くまモン」の生みの親でもある。映画「湯道」では、企画・脚本を担当。

「2022年 『湯道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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