この方の作品はライオンのおやつ以来の2作目だと思います。ライオンのおやつは凄く感動できました。ただ、これは短編ということもありますが、全くピンときませんでした。
恐竜のあしあとを追いかけてはモンゴルでのお話。サークルオブライフはカナダでのお話。どちらも悪くないけど、何か現実とかけ離れすぎているというか、自分がそこに入っていけなかった。
恐竜・・・は編集者を目指し、やっとなったが、雑用ばかりで嫌になって辞めてしまった女性が、疎遠になっていた同級生が自殺し、それによって引き合わされた当時付き合っていた同級生と再会し、その人の故郷のモンゴルに行く話。条件設定があまりに無理な感じがする。ただ、モンゴルに連れて行かれてから、日本との違い、自然の大きさ、そういうのを感じて、だんだん解放されていくような様には良さは感じたのですが。
サークル・・・はカナダで生まれたが母はろくでなしで、父は誰だかわからないという娘。少女時代に母の知人の男性に性的暴行を受け、その後、日本の叔母に引き取られ、養護施設と叔母によって育てられたが、仕事の出張でカナダに行くことになり、過去との葛藤を描かれている。これも条件設定に無理がある。すでに野垂れ死んでいる母の呪縛から解放されていく感じは悪くないのだか。
最後のおっぱいの森は赤ちゃんを突然死で失った女性がおっパブを美しくしたようなよくわからない風俗っぽい店で働き立ち直っていく様を描いているが、全くわからない。おっパブを美しくしたとは、アイマスクして目を見えない状態にした男性がただおっぱいを吸う店。ノータッチ、ノー会話、ノーエロ。なんなん、この店。そんな店ないよ。
きっと、ライオンのおやつよりも前に書かれた作品と思いますが、ここからの成長ぶりを感じる上では面白いとはいえますが、もうこの作品は読まないでしょう。