彼女の血が溶けてゆく (幻冬舎文庫)

著者 : 浦賀和宏
  • 幻冬舎 (2013年3月14日発売)
3.18
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  • 本棚登録 :682
  • レビュー :92
  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344419926

作品紹介

ライター・銀次郎は、元妻・聡美が引き起こした医療ミス事件の真相を探ることに。患者の女性は、自然と血が溶ける溶血を発症、治療の甲斐なく原因不明のまま死亡する。死因を探るうちに次々と明かされる、驚きの真実と張り巡らされた罠。はたして銀次郎は人々の深層心理に隠された真相にたどり着けるのか。ノンストップ・ミステリーの新境地。

彼女の血が溶けてゆく (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 全体的に雑な印象。展開のスピード感はあるが、逆にいえばそれしかない。
    言葉の誤用も幾つか見受けられる。
    医療を題材にしたミステリではあるが、肝心の医療部分に関しては、調べたことをパズルのように組み合わせただけに見える。
    情報の切り貼りには、描写の妙も感じられない。

    また、主人公をはじめとした登場人物たち全てが短絡的で感情的。
    「○○だから○○に違いない!」→「いや、実は○○は△△だった!なら□□に違いない!」→「調べたら違った!もうだめだ!」
    ちょっと落ち着け、と言いたくなる。
    読んでいる途中で、「ロミオとジュリエット」に思いを馳せた。10代の少年少女が出会って恋をして秘密裏に結婚して引き離されて死に至るまでわずか5日。
    この小説の主人公も、医療ミスをしたとされる元妻から話を聞いて取材して、亡くなった患者の周辺を調べて身内に迫り、患者の家族の秘密を知って思わぬ悲劇を招き、そのことに苦悩して、でも立ち直って、医療ミスに関する記事を書くまでわずか1週間。

    ラストはそれなりにひっくり返そうとした感はあるが、そこに至るまでの過程で、主人公が気付いてないことが多すぎるので(そしておそらく多くの読者は、主人公が気付かなかったことにちゃんと気付いて、何故そこをもっと掘り下げないのかと思っていたので)、「今更気付いたの?」と不満に思う。

    人物設定も少々現実味に欠ける。主人公の年齢は明記されていないが、亡くなった患者(30歳)に対して同年代だと感じるところから、30代前半あたりかと推測する。それが過去にはトップの成績を誇っていた証券マンで、不祥事から職場を追われ、知り合いの雑誌編集長に拾われてフリーライターへ転身。
    数年働いただけの証券会社でトップ成績というのも、下積みを経ずに数年かじっただけのライター業でプロ意識云々というのも、どちらも納得できない。

    ★1つと迷ったが、スピード感のみに敬意を表して2つ。

  •  初めに言っておくと後味は悪い。
    序盤から中間辺りはフリーライターの男が愛した女の無罪を証明するために奔走するというありきたりな内容だが、終盤に近づくにつれてそんな単純な話ではないことを思い知らされる。そうだ、この著者の他の作品も読んだことがありその作品もこんな感じでした。
    展開としては個人的には思った通りに進んでいった印象でしたが、予想していても精神面にはグラッときますね。あと生物学・医学を多少かじっている人は入りやすいかなと感じますかね。
     著者の他の作品も読んでみようかは迷うところですかね。

  • 銀次郎は元妻・聡美が巻き込まれた医療ミス裁判の取材を引き受ける。
    いい加減なところもあり、意気地のないところもあるけれど、それでも無様な姿を晒したくないというほどにはプライドも持っている。
    行動力もあり、一見記者に向いているようにも見える。
    だが、思考回路は単純でご都合主義なところもあり、何よりも取材対象に対して妙にバカ正直な一面があって、けっして記者向きではないことがわかる。
    自分が後味の悪い思いをしたくないから公正に振る舞おうとする。
    そこに銀次郎が抱えている弱さが透けてみえるような気がしてしまう。
    人はどこまで自分勝手なのだろう。
    愛するということも、守るということも、相手の立場にたって考えられなければ意味がない。
    「愛」という免罪符をかかげて強要する行為は、どんなにそれが相手にとって有意義なものだとしても意味がない。
    同じように、「愛」を理由に自分を犠牲にする行為もまた意味がないもののような気がする。
    ただひとり、何者にも囚われない自由な精神で生きているミカの存在が救いだった。
    だから余計に最後に銀次郎がしようとしていることが、銀次郎の自己満足にしか思えなかった。
    この物語で一番身勝手だったのは、故意に人を陥れた人間であることは間違いない。
    けれど、それと同じくらいに身勝手だったのは銀次郎ではないだろうか。
    何となく釈然としないまま物語は終わってしまった。

  •  ミスリードが激しい。主人公が勝手に推理して、突っ走って、また推理。あまりにも情緒がない。物語が、激しい思い込みで進み、結末もこれまた思い込みですな。勝手にしなさいよという感じです。 

  • やりすぎとも言える二転三転ありだが、それでも、楽しめた。
    医療ミステリーって言っていいのかな?
    面白い

  • 医療ミステリーは知識がないと置いてけぼりになりがちですが、主人公が医療知識のないフリーライターという設定だったからか、その辺りもわかりやすく、ストーリーに引き込まれた。
    謎解きが面白く、予想が当たったり外れたりで、主人公と一緒に取材して走りまわっている気分を味わいながら、一気に読み上げた。
    大どんでん返しはちょっと…。一番最後もそこまでするか?という感じはしたが、二時間ドラマで見たら面白いだろうな〜。

  • 文庫書き下ろしの今作は今までの浦賀作品に比べ
    彼の独特のアクの強さが薄めで、万人受けを
    やや意識したような医療ミステリー(風)になっています。

    フリーライターの主人公「銀次郎」。医師であり彼の
    元妻が医療ミスの訴えを死亡した患者の遺族から訴えられる。
    彼は未練もあり、元妻の疑いを晴らすべく、その依頼を受け
    訴えを退けるべく取材を始める。その中で、死亡した患者
    「愛」の特殊な病状...「溶血」が引き起す病状、さらにその
    治療、医療、薬物...など確かに医療ミステリーと呼べる
    キーワードが多く登場。

    事件を追う中で患者であった「愛」の過去、家族に
    謎が露見していく辺りから、医療ミステリというより
    人間の業や偏った人えの想いが、事件の核になり
    いよいよ浦賀作品の本領発揮!? と思わせてくれますが、
    今作はアレ、やアレは封印w。このまま、後半も
    何故死んでしまった「愛」の血は溶けたのか?
    そして、「愛」が何を思って様々な行動をとっていたのか?
    に終始し、一旦は物語は集束。

    ラストに待つドンデン返しは...ストーリー序盤からは
    確かに想像出来ない展開かつ、着地なのは面白い。
    流石です。
    ただ、「銀次郎」がとったその真相の解明方法は
    あまりにも哀しい。これでは本当に誰も救われないし、
    身勝手過ぎる...と。
    やはり...万人受けは難しいのではないかしらw?

  • 皆さんが比較している「彼女は存在しない」を読んでいないのですが、伏線が丁寧に張られて後半に回収するという、正統派ミステリの印象を受け、非常にサクサクと読めました。

    帯に“大どんでん返しミステリー”と大きく書かれていますが、それほど一気に回収するジェットコースター型ではないです。ただし、きちんと伏線が回収されていて、ミステリー作品としては申し分ないかと。「彼女は存在しない」を皆さん褒めるので、きっとこれ以上の出来なのでしょうが、今作だけでも筆者の力量が伺えます。

    一点気になるのはラストの大団円を迎える部分ですが、ここは明らかに大仰しくなりすぎている気がします。これまでの主人公の冷静な立ち振る舞いからすると、いくらなんでも周囲を顧みなすぎです。裏切りへの復讐心に血をたぎらせるよりも、それを消化して、乗り越えていく姿の方が主人公の性格からすると整合性が取れている気がします。

  • 【あらすじ】
    ライター・銀次郎は、元妻・聡美が引き起こした医療ミス事件の真相を探ることに。患者の女性は、自然と血が溶ける溶血を発症、治療の甲斐なく原因不明のまま死亡する。死因を探るうちに次々と明かされる、驚きの真実と張り巡らされた罠。はたして銀次郎は人々の深層心理に隠された真相にたどり着けるのか。ノンストップ・ミステリーの新境地。

    【感想】

  • 終盤、畳み掛けるように物語が動く。が、二転三転するには弱いというか、いまいち衝撃度の少ないどんでん返し。物語の中の時間が短いからか、どこか薄いように感じた。

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