ガラスの巨塔 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 91
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344420236

作品紹介・あらすじ

巨大公共放送局で三流部署ディレクターから名実ともにNo.1プロデューサーにのし上がった男がいた。手掛けた「チャレンジX」は視聴率20%超の国民的番組となり、特別職に誰よりも早く抜擢される。しかし、天皇と呼ばれる会長が失権すると事態は一転し…。組織内部に渦巻く野望と嫉妬を、元NHK看板プロデューサーが描ききった問題小説。

感想・レビュー・書評

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  • 凄い本でした。あの有名番組「プロジェクトX」が、終了する頃に変な「やらせ」のような噂が流れて、たまたま私もテレビを見なくなった時期と重なったので、いつの間にか終わっていたのを記憶しています。その噂の源泉についても細かく記述されていました。酷い話ですね(第3部)

    この本は、関係者・会社の名前こそ変えていますが、実際に起きたことが書かれているのでしょう。後書きの解説でも触れられていましたが、事実をベースに小説化された「白い巨塔」以上の面白さがあるのは実感できました。なにせ、経験した本人による記述なのですから。。

    この本で多くの実例とともに述べられていますが、まさに、日本企業らしい会社の方針、社員の考え方が描かれていて、日本の弱みの部分がよく示されていると思います。成長している時代やインターネットが無かった時代には通用したことが、通用しなくなってきた変化がよく書かれています。

    また、プロジェクトXの内容を本にまとめたものがあって、図書館で借りて殆ど読みましたが、その時に少し違和感を感じました。確かに内容に忠実にまとめられているのですが、そこで使われている写真などは全て番組からのカットで、番組で触れられなかった内容や「こぼれ話」は一切ありませんでした。わざわざ本にする場合、それがポイントと思っていたので肩すかしをくらったのを覚えています。

    今回、この本を読んで、全く別の会社が、このシリーズの成功を見て、売上を伸ばすためだけに、番組の内容のみをまとめたものであることがよく分かり、やっと、当時それらを読んだ時の違和感も消えました。

    最も印象に残ったのは、上司や部下に試されているのではなく、自分自身の運命が試されている。そのときにどう振る舞ったかが、後々その人の人生の値打ちを決める(p343)でした。これはずっと心に留めておきたいです。

    本の中でいくつか気になったポイントがあったので、記しておきたいと思います。

    ・現場での力関係でいえば、圧倒的に記者グループが強い。次に記者と仕事をしている報道局ディレクター、最後が暇ネタをやっている番組局ディレクター(p17)

    ・教養部特集グループは番組局のエリートが集められた部隊で、ディレクターの憧れ(p29)

    ・イラクの人々の平均寿命は50代半ば、寿命が短いのは、戦争以外にも、温度差で体が壊されてしまうからか(p95)

    ・プレミアム2000年は、給与カット、日本時の誇りを貶める出来事が紙面、テレビ画面で遠慮会釈なく暴れていた夢のない時代であった。そんな中、三波の衛星放送徴収料金によって、7000億円が毎年転がり込んでいた会社があった(p113)

    ・日本はけして中央に現れた国家的リーダーや政治的なスターが築いてきた国ではない。ゼロから築いてきたのは、名もなき日本人である(p157)

    ・リーダーとしても至高の条件は、そこに集まったメンバーたちの魂が打ち震えるような感動を与えられるかどうか。修羅を生きた名リーダーたちは後輩たちに語りづぎたかったのだろう(p158)

    ・企業内組合がトップの責任を追及するなどという事例は、大規模組織では日本で初めてという異常事態であろう(p289)

    ・2005.1には、受信料未払い50万件で、75億円が失われていた(p294)

    ・メディアは批判するのは得意、本当に頑張っている人を評価する、ある取組をプラス方向で見つめて取り扱うということが手薄になっている。そんな番組は視聴率が取れないので(p339)

    ・大切なのは、自分が他者にならない。常に当事者性を持ち続ける。そうすれば必ず光は当たる(p341)

    ・付け焼刃ではない、自分でしか言えない言葉を発することができるかが問われている(p341)

    ・上司や部下に試されているのではなく、自分自身の運命が試されている。そのときにどう振る舞ったかが、後々その人の人生の値打ちを決める(p343)

    ・権力はルールで社員に指示しても、本当に人は動いてくれるものではなく、感動によって人を動かすのが真の経営者ではないか(p429)

    ・単なる成功物語ではなく、数多くの無名の日本人たちの工夫の積み重ねの物語、工夫や努力の姿に自分を重ねて涙した(p433)

    2015年2月15日作成

  •  『白い巨塔』を読む前に「巨塔」つながりでこちらを読んでみる。森炎の解説には奇しくも『白い巨塔』のオマージュ的な位置として本書をあげていた。更に本書は『白い巨塔』よりも魅力的と彼はいう。丁度『白い巨塔』一巻目を読み終えてのわたしの感想としては、本家が圧倒的に良い(当然か)山崎豊子おそるべし(笑

  • NHKで活躍されていたプロデューサーの半自伝的小説。

    NHKの官僚的構造への批判がメインだとは思うのですが、著者のテレビ番組作りへの情熱というのも感じられて、重苦しいだけではないです。

    色々勉強になる、と思う。

  • 海外旅行に持参し、機内で読書し終わった本。1人の男の上り詰め、そして落ちて行った自伝的な物語、らしい。NHKの実話を元に書かれたと思われる。それを知って読むとなお一層おもしろいのでは。

  • 学生時代バイトでお世話になった某テレビ局を舞台にした作品。
    正直学生の立場からしたら、ここまで欲と権力にまみれた会社だとは感じなかったが。。立場が違えば視点も変わるのかもしれない。
    会社の体制いかんは置いておいて、ジャーナリストとしての視点で描かれるニュース(ドキュメンタリー)作り、というリアルな世界が描かれていたのは良かった。

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