交渉人・籠城 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344420878

作品紹介・あらすじ

喫茶店の店主が客を監禁・籠城する事件が発生。交渉人の麻衣子に、籠城犯は「テレビカメラを駐車場に入れ、事件を中継しろ」と要求する。過去に犯人の幼い娘が少年に惨殺された事件に動機があると推察するが、事態は膠着。そこへ警察としては決して呑めない前代未聞の要求が突きつけられ…。警察小説にして、少年法の意味を問う社会派ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった
    交渉人シリーズ第三段
    本作では少年法がテーマ

    ストーリとしては、
    喫茶店の店主福沢が店の客を監禁し籠城する事件が発生。
    前作同様、麻衣子が交渉役として、福沢に対峙することになります。
    福沢は、以前、幼い娘を中学生の少年に惨殺された過去があり、その要求は、
    「少年院を出所したその少年を連れてきて、テレビ中継のもと話をさせろ」
    というもの。

    警察はどう動くのか?
    麻衣子の交渉は?
    といった展開です。

    少年法では加害者の少年は名前も顔も表沙汰にはならない。
    そんな中、警察は本人を連れてきて、TVにさらすのか?
    少年法で保護された犯人に対して、被害者でありながらすべてを失った福沢に同調します。
    そんな福沢の犯人への復讐への想いと麻衣子の交渉が交錯します。
    しかし、今回は、そのやり取りがちょっと冗長(笑)
    読んでてうざったい。

    そして、驚愕のラストへ
    となるところですが、このオチは読めてしまった。
    ゆえに、1作目ほど衝撃を受けませんでした。

    残念。

    とはいうものの、全体としてはエンターテイメントとして楽しめました。

    映像化を望みます
    お勧め

  • 交渉人シリーズ第三弾、、
    本シリーズはドラマ化されてるそうですが、米倉涼子主演となった原作ではありません。。
    最近、女性警察官を主役にしたものが出て来てます。ストロベリーナイトの姫川玲子、アンフェアの雪平夏美etc

    本作は人質立て篭もりで展開)犯人の要求)が予想されることもあり、またストーリーが一気に進んでいく。
    が、結末にアッとやられてしまったのは流石だ。

    少年事件、少年法に守られる加害者とは逆に晒される被害者家族、
    その悲しみ、怒り、憎しみが、
    「いったい、少年法とは誰のために、何のためにあるのでしょう。」最後のセリフは社会的な面で考えさせられる。

  • 少年法の問題点を提起する作品。
    前2作は、主人公の交渉人と遠野麻衣子の立ち位置で読んでいたが、この作品に関しては、籠城犯に心の力点を置いて読んでしまう。
    見も知らぬ少年に、娘を理不尽に殺された両親の心の痛み、やるせなさ、さらに被害者に襲いかかるマスコミの執拗な取材攻勢、それに対し少年法の保護にもと、手厚く保護される加害者、これらに思いを馳せれば大半の人は、犯人側に心を寄せるだろう。
    読みすすめながら、犯人の目的達成を、つい望んでしまう。

  • 交渉人シリーズ3作目。

    怪しいと思った人物がちゃんと怪しい人だったので嬉しい。
    最後までまだ何か起こるんじゃないかとハラハラした。

  • 喫茶店マスターが、顧客を人質に立て籠り、マスターの娘を殺害して、3年少しの懲役で出所した少年法に護られた犯人少年への恨みを晴らそうとする。交渉に当たった女性とのやり取りが、交渉のテクニックと緊迫感もあって面白い。少年法の加害者保護は、目的からしてしょうがない部分もあるけど、何か釈然としないのは、日本人的な処罰感情によるのだろうと、自己分析してる。

  • 喫茶店店主による監禁・籠城事件、動機は3年前に
    15才の少年により愛娘を凌辱殺人された復讐であり
    「テレビカメラを駐車場に入れ、事件を中継しろ」
    と要求して仇の少年(この時は18才)を呼び出すの
    だが、中々目的をカメラしか言わないので読者とし
    てはトロくさく感じた
    少年法の大いなる矛盾(問題点)を問う意欲作だが
    今回は交渉人遠野麻衣子が正当に評価(担当)され
    たのに、ラストに細かいところで命令違反をするく
    だりがお約束とはいえ「そこは交渉しろよ!」とか
    心の中で突っ込んでおいた(´・ω・`)

  • 交渉人シリーズ第3弾。途中は緊迫感があり、非常に面白かったが、最後の「真相」の項がやや期待外れ。

  • 物語の中で麻衣子たち警察は犯人が何をしたいのかを探ろうとする。
    現場へ連れて来い、と言った時点でおおよその見当が付いてしまい、あとは事件の決着するだけかと思っていた。
    だが、最後の最後にどんでん返しが待っていた。
    警察の甘さと犯人の執念の凄まじさがぶつかる緊迫の一瞬だった。
    こういうラストもあるかなと想定していた(想定できてしまった)ため衝撃はなかったけれど。
    物語そのものはさほど新しいものではない。
    少年法を取り上げているけれど、それも「こんな問題点もある」と提示しているにすぎない。
    深く掘り下げてしまうと肝心の事件部分が浮いてしまうからだろうか。
    どちらも中途半端になってしまったような気がした。
    もっと「交渉人」ならではの駆け引きや葛藤などを掘り下げて描いたほうがよかったように思う。
    「少年法」という社会派的なものを取り込もうとしたために、「交渉人」本来の描く方向がずれてしまったのではないだろうか。

  • 喫茶店に籠城した店主の過去が痛々しい。つねに冷静な女性交渉人が主人公で、ドラマになりそうな展開だった。少年法の壁がキーワードで、だんだん店主に感情移入してしまう。

  • 交渉人・遠野麻衣子シリーズ第3弾。喫茶店店主が客を監禁籠城する事件が発生。幼い娘を惨殺された過去を持つ男に対して、麻衣子の懸命な交渉が始まる。
    交渉人としての考え方や技術を知ることができる。ドラマのワンシーンにありがちな身内の説得が今ではタブーとされていることや籠城犯との連絡手段など、成程と思うことが結構あった。

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著者プロフィール

1961年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。『リカ』で第2回ホラーサスペンス大賞を受賞し、翌02年デビュー。以来、警察小説・青春小説・サスペンス・時代小説等、ジャンルにとらわれずに活躍中。

「2023年 『交渉人・遠野麻衣子 爆弾魔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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