まさかジープで来るとは (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎
3.98
  • (54)
  • (66)
  • (38)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 1029
感想 : 62
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (417ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344421820

作品紹介・あらすじ

「後追い自殺かと思われたら困る」(せきしろ)、「耳を澄ませて後悔する」(又吉直樹)など、妄想文学の鬼才せきしろと、お笑い界の奇才「ピース」又吉が編む五百以上の句と散文。著者撮影の写真付き。五七五の形式を破り自由な韻律で詠む自由律俳句の世界を世に広めた話題作『カキフライが無いなら来なかった』の第二弾。文庫用書き下ろしも収載。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 頭を休めたくて手に取った。
    『カキフライが無いなら来なかった』の第2弾。
    この手のものは、ツボか、全く面白くないか、のどちらかだと思うけれど、たまにはいい。
    面白いというより、"おかしみ"という言葉が似合うように思う。
    ユーモアも哀しみも同時に含まれているような。
    自意識ちょっぴり過剰系の憐れ。
    または、どうということのない景色の侘しさ……その侘しさが募っての笑い。
    あるいは、思い込みの裏切り。
    あるいは、前後を想像しての笑い。

    「第九の中ひとり年末」
    「これは別れの曲になるかもしれない」
    「感傷に浸りにくい商店街の放送に救われる」
    「大黒柱の父が怯えたら終わり」
    「この辺にキンモクセイが無いとおかしい」

    お二人の自由律俳句。
    読んでも、だから何?と思われる方もいらっしゃると思う。
    私も日毎の心持ちによっては、そのように思う日もある。
    ただ、ハマった日はそのおかしみがほんのりと沁みて、頭の休憩になる。
    又吉直樹という人の繰り出す笑いが好きなのかもしれない。

    他に、画像やショートショートもある。
    また、せきしろさんと又吉さんの句・画像は、其々がお互いにどこか響き合うように掲載されている。
    ただ又吉さんの幾つかのショートショートが星新一のような作風で、個人的にはちょっぴり苦手だった。
    星新一作品の、薄気味悪いような、物悲しいような、あの何とも言えないモヤッと感が好きではないのだ。
    (モヤッと感を抱いている時点で、星新一さんの術中にハマっているのかもしれないが)

    好きなのは又吉さんの句で、

    「全ての信号に引っ掛かりながら早く逢いたい」

    「お互いに蚊に食われた箇所を搔きながら別れ話をしている」

    「消音の通販番組にだけ照らされている」

  •  とても面白いし、気楽に読める。
     前作「カキフライがないならこなった」に続いて読んだが、どちらも感想を書くのが非常に難しい。内容がショートスナップ的だから、読了後にまとまった感覚がないと言うか…

     そんな中で俵万智さんの解説は秀逸だった。自由律俳句の味わい深さをわかりやすく伝えてくれ、せきしろさんと又吉さんの特徴も言い得て妙だった。

     やはり又吉さんはお笑いを生業としてるだけあって、ペシミスト的なアイロニーがめちゃくちゃ面白い。普通に声を出して笑ってしまう。
     お笑いで培われたであろう言葉の選択、テンポで上手くペースに引き込まれて笑ってしまう。その中に文学的な奥行きも感じられて、さすがだなぁと。
     テーブルで足を踏まれている話、前相方となる旧友の話が面白い。

     自由律俳句は、そのどれもが読んだ瞬間にシーンがぶわっと浮かぶ。そして俵万智さんの言うように、そこに余白があり、読者の想像力を掻き立てる。

    テレビやYouTubeとはカタチが全く異なる、「エンタメ」だと思った。

  • 今から12年前の2010年に出版された本。確かに2010年は、今と違って弱い自分を自分で笑っても怒られなかったし、ゆっくりのんびり穏やかな空気が漂ってたなあと懐かしくなった。
    人との違いを面白がると『ヘイト』だなんだとうるさい時代になった。多様性だの寄り添うだの口では言ってるのに、違いを違いと言うとキーッて怒るの矛盾してますから。
    嘘臭い優しさを見抜く目と本当の優しさを持ち続けたいと思った。ありがとう。

  • せきしろさんと又吉直樹さんが創り出す自由律俳句集

    本書のタイトルでもある「まさかジープでくるとは」のような読み手に一文からその前後の物語を想像させる面白さを感じた。

    全てを説明するのではなくあえて受け手に想像させる、考えさせる余地を残す「余白」の美しさ、面白さを最大限に感じられるものが自由律俳句なのだと思うことができた。

    「自由」である中にも「律」がある。
    この二つを合わせることの難しさは生み出す側にならなければ感じることのできないことだ思う。
    いつか私の感性から自由律俳句を創ってみたいと思う。


    前作である「カキフライが無いなら来なかった」は読んでいないので、すぐに読みたいと思う。

  • 作家せきしろさんとピース又吉による、自由律俳句とエッセイ時々写真な本。

    この自由律俳句というのがとても面白いです。5・7・5にとらわれず、季語もない。誰にでもかけそうで、絶妙な哀愁を放つ。風景がふっと浮かび心が緩む...そんな感じ。

    ブログにて詳しいレビューしています*
    https://happybooks.fun/entry/2014/07/13/000000

  • カキフライ同様楽しめた。
    日常のほんの些細な出来事に、こんな見方もあるのかと感心させられる。

  • 一冊目のカキフライに続いて読んだ。
    その一行から想像を膨らませる楽しさ。
    エッセイもいい。
    又吉さんのエッセイは過去に読んだ内容とも重複していたけど好き。

  • 失笑する既視感

  • 中学の図書室で爆笑しながら読んだ

  • 文筆家のせきしろさんと、お笑い芸人で小説家の又吉直樹さんの自由律俳句集です。
    二人が織りなす哀愁とユーモアが共存する世界観。ほっと一息つきたいときにおすすめの一冊です。

全62件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家、俳人。1970年、北海道生まれ。A型。北海道北見北斗高校卒。主な著書に『去年ルノアールで』『海辺の週刊大衆』『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』『たとえる技術』『その落とし物は誰かの形見かもしれない』など。また、又吉直樹との共著に『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』などがある。

「2022年 『放哉の本を読まずに孤独』 で使われていた紹介文から引用しています。」

せきしろの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×