漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 4999
レビュー : 583
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344421844

作品紹介・あらすじ

男にだまされた母・肉子ちゃんと一緒に、流れ着いた北の町。肉子ちゃんは漁港の焼肉屋で働いている。太っていて不細工で、明るい-キクりんは、そんなお母さんが最近少し恥ずかしい。ちゃんとした大人なんて一人もいない。それでもみんな生きている。港町に生きる肉子ちゃん母娘と人々の息づかいを活き活きと描き、そっと勇気をくれる傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 最後がもう、大号泣です…!
    今まで読んだ西さんの作品の中で一番好きです。

    太っていて不細工で、底抜けに明るい肉子ちゃん。キクりんは最近そんなお母さんが少し恥ずかしい。キクりんの成長、漁港に生きる肉子ちゃん母娘とそこに生きる人々の息づかいを活き活きと描いた一冊。

    焼肉屋のサッサンがかっこいい。キクりんとの病室でのシーンが最高にぐっときました。
    キクりんのことが大好きな肉子ちゃん、家族のように思ってくれるサッサン。
    ちゃんとした大人なんて一人もいない、肉子ちゃんを見ても、ほんとうのお母さんを思っても、憧れのマキさんだって、町の大人たちみんなだって、どこかしら歪で…、それでも生きている。生きてていいんだ。望まれて生まれたわけではないと、ずっと思ってきたキクりんは、サッサンから叱られ、肉子ちゃんの大きな愛に触れ、涙を流します。

    うまく感想が書けませんが、本の帯に「ラスト100ページ、感じてください」と書かれてあるのがその通りだと思いました。
    笑えて、泣けて、勇気をもらえました。

  • 「肉子ちゃん」という名前のつけ方とか、あの男の子たち、嵐やん、とか名前に関して思うところはあったものの。

    最初は、肉子ちゃんと、漁港の愉快な仲間たち、のような感じで始まり、しばらくそれが続くものだから、あの怒涛のラストには、いい意味で、とてもいい意味で、引いた。ラストの70ページに、全てが詰まってる。

    とても敏感で、繊細なキクりん。自分と重ねて、読んだ。当たり前のように、空気を読み、生きていくということ。
    自分では楽な方、と思っている選択でも、それはちっとも楽な方ではないということに、本人が一番気づかない。いや、こういう生き方をしていると、我慢しまくっていて、自分の気持ちなんてものはずーっと封印されたままで、だから、本当は、自分のその選択が楽な方でないことになんて、気づけないのだ。
    攻撃される方が楽。確かにそうかもしれない。でも、そもそも攻撃される時点で被害者なのであって、ちっとも楽ではないわけで。それなのに、人の顔色を見て生きていると、そういう生き方を身につけてしまう。その生き方が楽だと、思いこんでしまう。なんという残酷な支配。マインドコントロール。

    キクりんの周りに、サッサンのような人がいてくれたこと、キクりんが肉子ちゃんに大切に育てられたこと、二宮がキクりんの話を聴いてくれたことは、とても尊い。キクりんの力だ。そして、生まれてきてよかったんだ、生きていていいんだと、キクりんが今、知ったことで、これから先、強く生きてゆけると思った。
    最後のサッサンの言葉と、キクりんの告白と、肉子ちゃんの涙に、わたしも涙した。

  • 愛だ、と思った。温度があった。暖かかった。
    みうにダリアがいて良かった。
    不特定多数の周りの人たちをほっと包み込む肉子ちゃんは、ずっとそのままでいて欲しいと思った。
    いつでも明るくて真っ直ぐな肉子ちゃんに敵うわけない。

    こんな話が書けるなんて西さんはすごいな〜。
    ぐっと心を掴まれて、ずっと温かいです。文章に抱きしめてもらっている気持ちです。

  • H29.7.19 読了。

    ・肉子ちゃんと港町の人々の息遣いを活き活きとしたまま閉じ込めた物語であるとともに、ありのままでいたいとという気持ちと、それに抗おうとする自意識を同時に抱えたキクりんが、様々な出来事を通じて成長していく話である。
    ・天真爛漫な肉子ちゃんのファンになっちゃいました。
    ・まさに一気読み、そして後半は大号泣な展開でしたが、読後は心温まりました。
    ・「キリコについて」に続いて西加奈子さんの作品2冊目でしたが、ますます西加奈子さんの作品が好きになりました。

    ・この話のモデルになられた宮城県女川町の焼肉屋さんのおかみさんのご冥福をお祈りします。

  • すっかり西加奈子にはまってしまった。
    きっかけはNHKで椎名林檎と対談していたのが面白かったからだったりしますが、どの作品も自然体なキャラクターが魅力的に描かれており、とにかく明るい気持ちになれる。
    肉子ちゃんみたいな人間、リアリテイは無いんだけどすんなり受け入れられる、それだけの魅力を感じられる良作でした。

  • もう冒頭から引き込まれた。西さんはやっぱり凄い。
    出てくるキャラクターは、やっぱり愛おしくて、切なくて、ふざけてて…西さんワールド全開。
    温かい涙が溢れる作品だった。肉子ちゃんのような不器用だけど固まった心を解してくれるような人が、キクりんの側にいて良かった。というか、キクりんがあーなったのは、肉子ちゃんのせい?おかげ?だと思うけど(笑)
    温かくて哀しいのに感動して、読み終わった後前向きになれる作品。さすが西さん。
    やっぱりこの作品も大好きでした。読んで損なし。

  • 流れ着いた北の港町。焼肉屋で働いている肉子ちゃんは、太っていて不細工でとても明るい。小学五年の娘・キクりん(肉子ちゃんに似ずとても美少女)は、そんなお母さんが最近少し恥ずかしい。
    港町に生きる肉子ちゃん母娘と、二人を取り巻く町の人々の、温かくてちょっぴり切ない物語。

    読み始めたばかりの頃は、これはかるくコメディーなのか?と思ったのだけど、読み進めていくと、とても濃密な人間ドラマなのだということがわかる。
    ストーリーテラーは肉子ちゃんの娘キクりん。通う小学校での出来事(派閥があったり仲間はずれが起きたり)はピリッと痛いリアルで、肉子ちゃんや町の人たちとの日々はほのぼのしている。
    肉子ちゃんは鈍感で人の心を察するタイプではないけれど、まっすぐでバカ正直で何事にもとても一生懸命で憎めない。太っていて不細工でがさつだけど、不思議とみんなを惹き付ける。

    肉子ちゃんみたいに損得勘定なしで思うままに生きることって、みんな心のどこかで憧れてはいるけれど簡単にはできない。
    「ありのまま」ってフレーズも随分流行ったけれど、実際は、常識だとか人の目を全然気にしないで思いのままに生きている人ってめったにいない。
    肉子ちゃんは無理をして信念を貫いているわけではなくて、自然に生きている結果そうなっている、という感じで、とても強くて美しい人だと感じた。自分の人生の落とし前は自分できっちりつけていて、誰のせいにもしない潔さが。

    肉子ちゃんの人生を知るにつけ涙が溢れ、彼女のキクりんへの揺るぎない愛情を感じて、家族って他人同士が努力をして築いていくものなのだということを改めて知った。
    あとがきを読んで、物語はさらに深度を増した。
    生まれるべくして生まれた、というのはきっとこういうこと。

    キクりんの学校の生徒で、二宮、桜井、松本という3人組が出てくる度に、大野と相葉はどこ行った?と思ったのでした。笑

  • ばあああああああ。

    人様のおすすめを手にとっていても…と思わないでもなかったが、読んでよかった。
    自分を、ろくでもないと思うようなとき、読み返したい。

  • とってもマテリアルでラフな肉子ちゃんと、すこしスピリチュアルでデリケートなキクりん母娘の、とある漁港町での生活模様を描いた物語です。

    キクりんから見た、肉子ちゃんやその他の世界がすこし穿っていておもしろいです。

    不運であることと、不幸であることは本来全く別の事であるんだ、と肉子ちゃんを見ていると考えてしまいます。

    屑男に引っ掛かったり、他人の子を図らずも預けられたり不運ではあるけど、肉子ちゃんは決して不幸ではないよね。

    思春期を迎えたキクりんがもっとワガママに振る舞っても、肉子ちゃんならその圧倒的なマテリアル感やラフ感で受けとめるはず(肉子ちゃん本人は自覚していないと思うが(笑))。

    まさに横綱相撲だ!

  • 衝撃的なキャラの肉子ちゃん。
    だけど、なぜか安らぎとか癒しを与えてくれる肉子ちゃん。
    キクりんの日々徒然モードが長めで
    わくわく感はそこまでなかったけど、
    みう登場から一気に疾走感が生まれた。私の中で。
    冒頭からそうだろうなと思ってたのに
    最終的にキクりん生誕のくだりでは
    電車にも関わらずぽろぽろ涙がこぼれた。
    西加奈子の描く普遍的な愛はいつもずっしり重いなぁ。

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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