55歳からのハローライフ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.63
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本棚登録 : 966
レビュー : 125
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344421875

作品紹介・あらすじ

晴れて夫と離婚したものの、経済的困難から結婚相談所で男たちに出会う中米志津子。早期退職に応じてキャンピングカーで妻と旅する計画を拒絶される富裕太郎…。みんな溜め息をつきながら生きている。ささやかだけれども、もう一度人生をやり直したい人々の背中に寄り添う「再出発」の物語。感動を巻き起こしたベストセラーの文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに具体的数値が書いてあると
    「あたしにはまだちょっと早いのか」
    と敬遠していたのだが、どうやらドラマ化されているようなので気になり図書館で借りてくる。
    借りてくるまで『13歳のハローワーク』のイメージが強く、てっきり『55歳からのハローワーク』だと思い込んでいた。
    55歳になってからの職探しする話しか……と。
    そんな訳ないか(笑)。

    短編5つ。
    どの話しも主人公が50代。
    自分にも近い将来似たような出来事が起こるのか!?
    それぞれの話しに出てくる飲み物が印象的。
    飲み物は心を落ちつかせるものかぁ。
    そんな、おまじない的なものが自分にもあると、何があってもそれを飲めばホッとできそう。

  • 指南書とかではなく、小説集である。
    村上龍さんについては、割と好きな方で、過去にはいろいろ読んできた。近年はあまり名前を見かけなくなってきたが、1952年生まれだから今やもう68歳のはずだ。
    いつも自己中心的・自己弁護的な世界観の内部に閉じこもっていて、妄想の範囲でしか「都合の良い他者」としての女性イメージしか描くことのできない村上春樹さんは好きではなく、あまり読んでいない。対して村上龍さんの言葉は必ずしも普遍的ではないが、動物的なところがあって、かつ、現実主義者的な傾向があると思ってきた。もっとも、SMとかきわどい世界を書こうとするとしばしば現実離れする部分もある。
    本書は2012年に刊行されたもので、東日本大震災の直後と思われる。国内を震撼させたあの震災の直後、ちょうど龍さんのインタビュー記事をネットで見かけた。『希望の国のエクソダス』で「この国には希望だけが無い」と書いたが、それは違った、今ならこう書く、「この国には希望だけがある」と。と、そこで語っていたのが感動的で、記憶に残っている。
    本書は中編というか、長めの短編小説が5編集められている。主人公はみな50代半ばから60歳くらいまでの、「人生の折り返し地点をとうに過ぎてしまった頃」の人物で、そんな歳に離婚したり、退職し新たな生活を始めようとして家族との齟齬が生まれたり、ペットが死んだり、何やら新しい恋に目覚めたりと、<いまさらながらの>ターニングポイントに直面し、もう一度人生を構築していこう、とする物語だ。
    自分も50歳目前にして23年間の結婚生活に終止符を打ったので、まったく人ごとではなく、興味深く読んだ。
    どの話も「現実的」である。その辺に住んでいる、ごく普通の人間たちの小さなドラマなのだ。
    その中で最も異様なのは、中学生時代の同級生がホームレスになってしまっていたという「空を飛ぶ夢をもう一度」だ。
    ホームレスの世界という、私にはよくわからない極限の生活世界を描写していて、迫力がある。さすがこの辺は、きわどいものを大胆に書いてきた作者だ。取材もいろいろやってきたのだろう。
    ホームレスなんていう「負け組」なんてやつは、努力ややる気がなくて自分で落第した連中じゃないか、といまネットでよく見かけるような奴らは言うのかもしれないが、人にはそれぞれ、やむにやまれぬ事情があり、どうにも出来ない運命のようなものもあるのだから、そうした「断罪」には肯定できない。そのような、包摂するかのような眼差しを、村上龍さんも持っている。
    一方、かなり純粋に感動させられたのは「ペットロス」。
    愛してきたペットが死んでしまうという話だが、それまでやたら冷たく、ひどいことばかり口にすると思ってきた夫が、実はそうではなく、妻の気持ちもじゅうぶんに理解していたのだ、と知れるストーリーで、これは電車内で読んでいたのだが危うく泣きそうになった。
    村上龍さんがこんなにストレートに「いい話」を書くのは珍しいのではないだろうか。とはいえ、単に「いい話」で終わらないように気をつけてはいるようだが。
    最近村上龍さんはどんなものを書いているのだろう? と、ちょっと気になってきた。

  • 読んだ後すごく憂鬱な気持ちになってしまったので星5
    どれくらい憂鬱になったかというとバスで読んでいる途中本を一旦閉じ、外を眺めて心の平均を保とうとしたくらい。

  • うーん、ぐいぐい引き込まれるし、どれもいい話ではあるんだけど、現実味がありすぎて、けっこう読むのが辛くなってくる…
    久々に村上龍の作品を読んだが、なんだかスピード感を感じる文章は前に読んだ時と変わらない。
    しかし、こんなにも人の心の内に思いを馳せて描写できるなんて、素直にすごい。自分の内側も含めて、ここまで考えたことない。

  • 2020.7.18-311

  • すごくリアルな小説。現在の将来、一歩踏み外せば、すぐ転落。

  • 解説にも書いてありましたが私も「55歳からのハローワーク」だと思ってました。
    ハローライフですね。なるほど…。

  • 5つの中編小説。50代、60代の平凡な人たちの心情がなかなかリアルに描かれている。大変考えさせられる。

  • ひさびさの小説。楽しい。しかし『限りなく透明に近いブルー』を書いた人の作品とは思えないのだが、作家というのはそんなものなんだろうか。

  • ビジネス本かと思ったら、小説だった。この作者にしては平凡。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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