- Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344422056
作品紹介・あらすじ
電車での忘れ物を保管する遺失物保管所、通称・なくしもの係。そこにいるのはイケメン駅員となぜかペンギン。不思議なコンビに驚きつつも、訪れた人はなくしものとともに、自分の中に眠る忘れかけていた大事な気持ちを発見していく…。ペンギンの愛らしい様子に癒されながら、最後には前向きに生きる後押しをくれるハートウォーミング小説。
感想・レビュー・書評
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海の見えるローカル線に乗りたくなった。
最終章はこれまでの登場人物も出てくる深い話。
ペンギンが電車に乗る謎も明らかになる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大和北旅客鉄道波浜線遺失物保管所。
担当の守保とペンギンがいる〈なくしもの係〉を訪れる人たちの物語。
登場人物がゆるくつながっていく、連作短編集。
なくしたものを、探すか、探さないか。
なくしたものを、受け取るか、預けたままにするか。
なくしものを通して、自分の中の問題と向き合っていく。
ちょこちょこ登場するペンギンがのどかで、ハートウォーミングなお話。
なくしもの係とペンギンの謎が明かされる、最後の話はじーんときた。 -
読んでよかったです!
この可愛いペンギンの表紙で、『ぶたぶた』さんを想像して手に取ったんですが、
また違った意味で良かったです。
大和北旅客鉄道波浜線遺失物保管所。通称「なくしもの係」
そこで繰り広げられる、心に傷を負った人々の再生の物語。
「なくしもの係」にいるのは、赤い髪をしたイケメン駅員・守保と、
白いカチューシャをしたような頭のジェンツーペンギン。
何といっても、ペンギンが可愛いのです。
両手(フリッパー)でバランスを取りながら、えっちらおっちら。
自分で電車に乗ってお散歩しては、ちゃんと帰ってきて。
「ペンギンを飼ってるんですか?」との質問に、
「というか、世話をさせてもらってます。」と答えた守保。
最終章で明かされる、この返答の意味に泣けました。
正直なところ、猫の遺骨を持ち歩いていた響子にも、
夫に赤ちゃんができたと嘘をついた千繪にも、モヤモヤしっぱなしでした。
でも、最終章で潤平をみつめるペンギンの、濁りのないつぶらな瞳を見ていたら、
そんなモヤモヤも、すっと消え去りました。
ヨチヨチと歩くペンギン。
その一歩は小さいけれど、着実に前に進んでいる。
時々立ち止まり、ゆっくりと周りの景色をながめては再び歩き出す。
なんだかんだ言いながら、私も少しずつ前進できていたらいいなと思えました。 -
Big Waveに襲われた一冊。
遺失物保管所、通称なくし物係を舞台に紡がれる短編集。
電車に当たり前のように乗車するペンギンに疑問を持ちながらページをめくる。
一編進むごとに係の守保さんの言葉がさざ波のように心の真ん中に届く。
そして最終章、謎と繋がりはまさに涙のBig Wave。
そういうことだったのか…。誰かの言葉、サポートによって見つけられる心のなくしもの、そこにたどりつく瞬間は最高の景色を見せてもらった気分で心ほんわか。
最後は幸せのBig Waveに襲われたような読後感。最高だった。 -
名取佐和子さんの本を読んだのは2冊目。すごく暖かく、かつ平坦ではなく夢中で読み進めてしまうお話を書く方だなぁという印象。
とある駅にある遺失物保管所「なくしもの係」に訪れる4人の失くしものをきっかけにした短編集。失くしものを見つけたら返してくれるのは勿論のこと、必要に応じてずっと預かってもくれるというのが特殊なところ。
なくしものとそこで出会う人をきっかけにして、それぞれの主人公がその後どう生きていくかという軸を見つけていく物語。
なぜなくしもの係にペンギンがいるのか、ということも明らかになる第4章が一番良かった。 -
この小説を読んでペンギンにらどハマりしてしまいました。「なんでこんなところにペンギンが!?」というリアクションから始める短編の数々が面白かったです。
久しぶりにどういう話だったか思い出して感想を書こうと思ったら、リターンズもあるという事が分かってすっごい嬉しかったです!またあの子に会える!(笑)
すっかりペンギンの虜です。 -
無くし物を返したり、見つけたり、「預かってくれる」とある海沿いの鉄道の無くし物係を取り巻く人たちのお話。
無くし物は信頼だったり、思い出だったり、、
「繋がり」をペンギンと守安が取り繕ってくれる。
心が折れた人を立ち直る手助けをする心温まる短編集4篇
後半のお話で前話の登場人物のその後を見れる。
最終話は誕生秘話となっており必見 -
最初は、ちょっととまどった。
なぜペンギンが電車に乗ってくるのか。
遺失物係の赤毛のイケメン駅員の職務がなぜあんなにも不可思議なのか。
これが最初の章を読んでも、次を読んでも、一向に明らかにならない。
こちらも読みのモードをどうしていいかー、ファンタジーモードでいいのか、リアリズム小説として読むのか、決めかねるまま引きずって行かれる。
謎が解けるのは最終の第四章。
各章の主人公も、ちらりと新しい一歩を踏み出した姿をのぞかせる。
ここで、やっとほっとする。
と同時に、結論めいたものを、性急に求める癖がついてしまっているのかなあ、と反省する。 -
またま購入した本だったけれど、ペンギンの謎とお話の優しい雰囲気にどんどん引き込まれていった。各話の主人公たちはみんなどこか欠けているけれど、最後には前を向けるお話になっていると思う。 続編も読みたい。
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題名からも少し読み始めてからも、これはどんなジャンルの本なのか?子ども向けキャラクター小説?とんでも設定の空想小説?なに?なに?と分からない。それが短編物語で続いていってこのまま不思議設定で進むのか・・と思いきや、徐々に種明かしがされ最終編では見事な回収。ほ~うまいなあ。
それぞれの各編で出てくる主要な人物はみんな愛されるべきいとおしい性格ではない。どちらかと言えばイライラさせる面倒くさい人たち。しかしその少しねじれた性格の中の小さなキラリとした部分をピックアップし、そのキラリを大きく輝かせる。ほっこりさせ、よかったよかった思わせ、そしてがんばれよと言いたくなるいい結末。
そして最後のお話で、それまでのもやもやを全てすくいあげて私の涙に変化させた。
私は飼うならキリン、ラクダ、ペンギンがいいなあと思っていたけれど、ペンギン、キリン、ラクダの順位変更をしました。
著者プロフィール
名取佐和子の作品





