小野寺の弟・小野寺の姉 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 731
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344422513

感想・レビュー・書評

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  • 小野寺姉弟にズッキュゥゥゥゥウン!

    これまたブクログからのおすすめに挙がってきた作品。書店で取り寄せ注文したら実写映画告知の二重カバーが巻かれたものが到着。普段、こういったメディア化に合わせた広告オビとか嫌いであえて避けてきたクチなのですが、本作の場合はなんか許せてしまった。というか、向井理さんと片桐はいりさんピッタリじゃないですか!いや、むしろ片桐はいりさんの印象が強烈過ぎて〈小野寺より子〉はこのビジュアルを思い浮かべずには読めない感じになってしまった。

    交互に姉と弟の視点が切り替わる連作小説。読み進むにつれて互いの本心やエピソードの真相が読者には明らかになっていく構成。

    小野寺姉弟はおそらくは’世間一般のイメージ’からすればちょっと変わった人サイドの方に見られがちなタイプの人たち。いや、何も自分を棚に上げているつもりも主流化するつもりも毛頭無いのだが、こういう’自分達の暮らし’をきちんと大切にしている人って、えてして変わり者扱いというか要領悪いというか、部外者からはなんか違うと判定されがちな人たちであると思うのであります。

    例えば姉・より子は「自分のものに名前を縫い込むという癖があるのだ。」(p11)とあるように自分のエプロンや持ち物やらに名前を縫い付けるのも、風水を熱心に実践しているのも、全ては’よい暮らし’に重きを置いているからだと思う(金銭的な意味でなく)。彼女が大切に育てている「ワイルドストロベリー」の花言葉は’尊重と愛情’’幸福な家庭’’無邪気’と彼女の人となりそのもの。「花が咲くその日を期待し、」(p36)「痛みを隠して生きるのが上手」(p209)で「前を向いては行く手に何かあるたびに回れ右をして同じ場所をくるくる回ってばかりいる」(p235)彼女はそれでも「小野寺の姉ちゃん」(p236)であり、そうあり続けるのだと思う。

    「出来の悪い弟」(p236)である〈小野寺進〉もただの愚鈍ではない。姉も含めた「人に話しかけるのが下手」(p39)で「内弁慶」(p42)の気がある彼だが、より子以上に繊細で他人に対する観察眼に優れている。一方で「姉ちゃんが幸せになる前に自分が幸せになろうなんて思わない。そんなものは、俺にとって幸せでも何でもない。」(p199)と断じる事が出来るくらいの確かな愛をより子に抱いており、やっぱり不器用なのである。


    そんな姉弟が織りなす、ささやかな日々に思わずクスリと笑いがこぼれてしまう本作。私自身は一人っ子なので一層羨ましく眩しく映ったのかもしれません。
    ギスギスしがちな現代社会、家族同士だけでもお節介を許せるようにありたいものだと思いました。


    5刷
    2023.8.23

  • 40代に突入した姉と、30代半ばの弟の二人暮らし。正反対の性格の二人だが、不思議と同じ行動をとっていたりして、姉弟だなぁと微笑ましく思う。言葉に出さないけれど何気にお互いを思いやる姿がとても良かった。私は弟に対して、こんな優しい姉であった事がないな(^_^;)
    映画は見ていないが、片桐はいりさんと向井理くんにぴったり!(ミッチーの浅野さんも!)特にはいりさんは適役すぎて、読みながら頭の中をはいりさんが駆け巡り思わず声に出して笑ってしまった。映画見たかったな~

  • この本は今まで読んだ中で1番好きな本。
    なにげない日常を上手に描いていて、姉と弟のほっこりした物語。たわいもない言い合いが笑えたり、でも切ない部分もあって。お互いが思いやってることがよくわかるし、読んでてあたたかい気持ちになれる作品。

    私にも弟がいるのでこんな関係がすごく羨ましくなったし、映画も片桐はいりさんと向井理さんの配役がぴったりだと思った。

  • 2人それぞれの目線から読めるから、
    どれだけ相手のことを大切に思っているかが
    伝わってきてあったかい気持ちになる。
    不器用な2人が愛おしい(笑)

    季節は春に近づいてきたけど、
    そんな今にぴったりな1冊でした。

  • 正反対な2人だけど、お互いの事をよくわかっていて、心から想い合っていて。それでいて近すぎない姉弟の距離がいいですね。

    この先の2人もみてみたいなぁ。2人の幸せを願うばかりです。クスッとできて、ほっこりいいお話でした。

  • 良かったです☆ほっこりして、せつなくて面白くで。病院の待合室で、昔のあだ名のようなカナッペ…のくだりを読んで可笑しくて可笑しくて☆ うちの弟が進みたいな感じだし、わたしの大親友がより子みたいな感じで、親近感わきました。 2人にはぜひしあわせになってほしいなぁ!映画はみてないけど、配役はピッタリだと思いました。てか、より子のモデルは片桐はいりでは?と思うくらいf^_^;いつか映画も見てみたいな☆

  • 姉と弟の会話のやりとりや、文章の書き方など面白い一冊でした。お気に入りの本です。

  • 今年、誕生日を機に 読んだ本の感想や
    その時起きた出来事を書き残そうと決めました。

    あっと言う間に数ヶ月経ってしまいましたが。

    この本はあえて 誕生日をまたいで
    読もうと思い選んだ1冊。
    と言ってももう何回読了したのやら。

    刺激的ではないけどドラマチックな日常。
    切なさの中の幸せ、みたいな。

    たぶん自分の毎日もそんな感じなんだと。
    日々を大切にしたいと思わせる本です。

    思い合うっていいなー。
    なんだかんだで素直になれる家族っていいですね。

    実写のキャスティングも大好きです。
    読書中、自然と脳内再生してしまう。

    でも、もっとリアルにいくなら進は又吉さん。
    好美は麻生さんではないなぁ。

  • これは、映画も観よう。
    なんて適役。衝撃の適役。

    どうでもいいけど、たまたま連続で読んだ本2冊に出てきた犬の名前がペル。
    シロとかポチとかならわかるけど、ペル。

  • 映画が面白かったので読んでみました。
    お姉さんのキャラが最高。
    向井理さんと片桐はいりさん、ピッタリなキャスティングですね。
    映画も小説もどちらも面白い!

著者プロフィール

1975年東京生まれ。学習院大学法学部法律学科卒業。脚本家。演出家。映画・ドラマ・舞台など幅広く脚本を執筆。主な作品に映画「ガチ☆ボーイズ」「信長協奏曲」ドラマ「とと姉ちゃん」「怪物くん」「魔王」「妖怪人間ベム」などがある。

「2022年 『ひまわりがっきゅうって どんなとこ? ~特別支援学級~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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