残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344423305

作品紹介・あらすじ

貧困、格差、孤独死、うつ病、自殺…世界はとてつもなく残酷だ。それに抗えとばかりに自己啓発書や人格改造セミナーは「努力すればできる。夢は叶う」と鼓舞する。が、奇跡は起こらない。生まれ持った「わたし」が変わらないからだ。しかし絶望は無用。生き延びる方法は確実にある。さあ、その秘密を解き明かす進化と幸福をめぐる旅に出よう!

感想・レビュー・書評

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  • 素直に面白かった。
    自己啓発書は役に立たない。
    好きを探してロングテールを狙う。
    そんな本だった。

  • ガランを捨ててバザールへ向え。
    恐竜の尻尾の中に恐竜の頭を探せ。

    知識社会で重視される、言語的知能や論理数学的知能に恵まれない人々は、努力によってそれらの知能を向上させることはできないので、諦めて好きなことをマネタイズできるニッチな市場で自分の生きる場所を探せ、という主旨。

    橘玲さんの他の著作も色々と読んできたので、内容が重なる部分も多く、理屈ではよく理解できた。
    ただ、知識社会に適応できないレベルの知能の人が、自分自身で自分の好きなことをマネタイズできるか?というと甚だ疑問。それもできなければマックジョブに人生を捧げるしかない、というのは残酷ながら真実かも。

    とはいえ、このような本をきっちり読み込むような読者層の多くは知識社会に適応できていると思われるので、あまり自分事として捉えることはないのかもしれない。

  • 能力は向上せず、自分も変えられない、幸福にはなりたいけど、幸福になれるようになっているわけではないとの流れで来るのだけど、全てすんなり納得してしまった。冒頭の伽藍を捨ててバザールに向かえ。恐竜の尾っぽの中に頭を探せが、最後の章に軽やかに書いてあるので、一瞬「あ、これだけ…?」とも思ってしまった笑
    けど、本当にこれに限るのだろう。
    あとがきの最後の一行でふふっとなった笑

  • 勝間和代に始まる自己啓発の否定?疑問?からの書き出しは興味深かった。現代社会で幸せに生きるためにはどうすればいいのかを論理建てて解説。最終的にひとつの答えに続く。

  • 単行本に対して一部加筆した版でした。
    要は「好きなことを仕事にして小さく生きていく」という感じの提言で、これはシニアの生き方にぴったりなのではないかと思いました。

    人間の進化が現在の社会に進化(コミュニケーションの進化やデジタル化等)の速度に追い付いていない、ということがよくわかりました。

    赤ちゃんが本能的に慣性の法則から外れた動きに驚く、という話が面白かったです。
    (フレーズに引用しておきました)

  • 橘さんの著書スピリチュアルがとても面白かったので楽しみに読んだが、私には合わなかった。
    スピリチュアルは実際の研究などを多数引用して、学術的なことを新しい視点として述べているところが非常に面白かったが、そういった志向の人にはだらだらと書かれている感じで読めないと思うのでお勧めしない。エッセイが好きな人が読むと面白いかもしれない。

  • 勝間和代と香山リカの討論から広がる
    「恐竜の尻尾の中に頭を探せ」
    「伽藍を捨ててバザールにむかえ」

    性格や知能も遺伝で決まる
    身体的特徴が許されているのに知能の遺伝はなぜ認められないのか
    それは政治的に正しくないからである。政治問題になってしまう

    貨幣空間、政治空間(友情空間)、愛情空間と3つに大別でき幸せに感じるかは後者ほど大きく感じるが、現代は貨幣空間と友情空間がつながりつつある(評価経済社会)
    評判が集まる人が結果的に金銭も手にする。現代は「評価」獲得のやりあい
    貨幣空間が合理的でシンプルでストレスが少ない、PTAなどの中間共同体の崩壊で政治空間はほぼなくなり貨幣空間に愛情空間が向き合う「友達のいない世界」が現代

    インターネットによる民主化により全体の大きなショートヘッドの中に、細かいジャンルごとのニッチなショートヘッドが続くフラクタル構造が実現している。
    比較優位性を考えれば自分の好きで得意な領域を探してその中のショートヘッドになることが残酷な世界で生き残る方法である

    またその自分のニッチを見つけるためには伽藍を捨ててバザールに出向かなければいけない

  • 読んでよかった。
    橘さんの本を読むのは初めて。

    幸せになる方法は、好きなことで周りからの評価を得る(稼ぐ)とのこと。
    その際は、好きをビジネスにする仕組みを考えることが重要。
    この仕組みを上手く考えられないと不幸になるかもしれない。

    人は簡単に変われないことや、他人を変えることはできないことなどが書いており、とても勉強になった。

  • ★特長
    YouTubeの「本の要約」チャンネルで知り、みんなが心の中で思っているが、口に出せないことを言っているような気がして、確かめたくて手に取りました。

    ありのままの「私」のままで成功できる哲学
    「伽藍を捨ててバザールに向かえ。
    恐竜の尻尾のなかに頭を探せ。」
    この謎を追っていく。

    ★魅力
    この厳しい時代を生き抜くヒントを、いろんな論文をもとに書き表されている。

    ★感想
    比較優位理論を知っていれば、
    間違った努力をせず、
    自分はどこを目指して努力すれば良いか、
    分かりやすいと思いました。
    伽藍を捨ててバザールに向かうことで、自殺も防げると思いました。

    ★オススメの人
    自己啓発にハマったことのある方。
    仕事や勉強、人間関係に悩んだことのある人。

    ■メモ
    インディペンデントに生きるには、お金と能力(専門性)が必要。

    社会進化論
     ダーウィンの進化論を人類社会に当てはめた
     アフリカ、アジア、新大陸の原住民は
     劣っている。
     進歩的自由主義者たるヨーロッパ人は、
     彼らを教導する義務がある。

    アメリカ
     ヨーロッパからの入植者が、
     ネイティブアメリカン(インディアン)の土地
     を略奪し、アフリカから安価に輸入した奴隷を
     酷使して築いた人工国家。
     「自由と平等」とはほど遠い。

    「適者生存」社会
     努力しない者に生きて行く資格はない。
     弱肉強食の市場原理主義。 

    勝間
     誰もが大きな可能性を持っていること。
     その可能性を訓練(スキルアップ)によって
     開発できるという自己啓発理念。
     ひとも社会も「進化」するというポジティブ
     で理想主義的超越思想。 

    身長体重など身体的特徴のみでなく、知能や学業成績のような認知能力も、環境より遺伝の影響が大きい。

    遺伝で顕著
     こころの病
     統合失調症、躁鬱病の遺伝率は
     70〜80パーセント。
     精神障害者の子どもは精神障害になりやすい
     が、これを公の場でいうことは「精神障害者
     差別」として厳しく禁じられている。
     サイコパス(精神病質者)は脳の機能的欠損で
     明らかに遺伝する。

    スポーツ、音楽や芸術の才能は生きていくうえで必須条件ではないが、
    知能の差は、就職の機会や収入を通じてすべての人に大きな影響を与える。
    知能は「政治的に」遺伝してはならない。

    知能の70パーセントは遺伝で決まる。

    知能
     記憶力(レベル1)
      すべての人種に共有

     概念理解(レベル2)
      白人とアジア系が、黒人やメキシコ系
      (ヒスパニック)より高い。
      白人よりもアジア系の方が優秀。

     黒人の子ども
      特別学習プログラムを提供しても
      知能を上げるのは難しい。

    行動遺伝学
     「やればできる」ことはあるかもしれないが
     「やってもできない」ことの方が多い。
     適正に欠けた能力は学習や訓練では
     向上しない。

    比較優位の理論
     他人より優れている必要はない。

    自由な労働市場
     能力競争で1番にならなくても、
     比較優位を活かすことで、
     みんな仕事を得られる。

    シンボリックアナリスト(クリエイティブクラス)
     象徴を操作する人
     独創的なアイデアや技術、高度な知識を
     グローバル展開できる専門家や芸術家。

    「投資の成功は儲けた金額の大きさで決まるわけではない」
    異なるリスクの投資は、利益という結果だけでは評価できない。
    「労働と投資は同じ」

    「人的資本理論」
     人は誰でも働いてお金を稼ぐ能力を持っている。
     私たちはみんな人的資本を労働市場に投資
     して利潤(報酬)を得ている。
     様々な働き方をリスクとリターンの関係で
     一律に評価できる。
     ハイリスクのベンチャー企業家は、
     成功すれば大金持ち。
     ローリスクの地方公務員は安定しているが、
     かつかつの生活になる。
     それぞれの価値観の問題。

     ひとの働く価値=「学歴」「資格」
        「経験(職歴)」の3つで評価できる。

  • フェルミ大学の要約動画を見て本書を手に取ったが中盤読みづらくて読むのを挫折しそうにもなった…。だけど最終章に至るところから結論までがドラスティックで面白かった。我々は自分を変えることは出来ないのでインターネットを使って戦える場所に移動し見つけたニッチ産業で戦うんだ!ま、ツィッター的に面白いのは大脳の快楽スイッチに磁気を当てるくだり…かな?w

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著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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