エイジハラスメント (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2015年6月15日発売)
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本 ・本 (312ページ) / ISBN・EAN: 9784344423640

感想・レビュー・書評

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  • 34才の蜜は、6才の娘と研究者の夫と暮らしながらも、若さを保つことに執着していたが、ある日、パート先でオバサン扱いされたことで、益々エイジハラスメントに対する反応が過剰になっていく。
    そんなときに夫が21才の女性と浮気をし、どう対処するか、足掻きながら自問自答し、最後には大学に入り直して、夫がいなくても自立できるようにと考えるまでに成長(?)する様子を描いたストーリー。

    夫の妹が21才で、その若さを目の当たりにして、義妹と年齢やルックスのことでお互いにチクチク言い合うとか、見た目の若さを保つためにぎっくり腰になるほど運動するとか、設定はイタ過ぎるが、蜜の気持ちも理解できる自分もいる。

    2008年に書かれたあとがきで、著者も日本の女性が「オバサン」という言葉に過剰に反応すること、10年後には続編が書けない世の中になっているかと書かれているが、残念ながら2023年の今も男女ともに意識は変わってない人が多いように思う。セクハラ、マタハラなど、○○ハラに対する規則もでき、女性活躍も叫ばれる昨今、さすがに公には言わない人が増えたが、本音の部分ではかなり怪しいだろう。

    そんなことを気にせず、周りの誰かにも気にさせず生きるには、好きなこと、自分が打ち込める何かを見つけることが大事なんだと思う。私自身、まだ見つけられていないけど。。

  •  見事なまでにエイジハラスメントにだけ焦点を合わせた小説。蜜はエイジハラスメントに痛めつけられているが、実は自分が一番エイジハラスメントを内包しているのではないか。自分が若さを失っていくことに怯え、若い子に嫉妬し、老けた女性を蔑んでいる。そこへ、その分身のような若さあふれる英美里がやってきたのだから、バチバチの嫌味対決になるのは当然。

     直哉の浮気も、お約束という感じの展開だった。短期の浮気と割り切っている玲子は賢そうだが、一度不倫すると癖になるのではないかと不安。

     ただ、獣医学科は6年なので、大学を卒業して獣医になる英美里が22歳という設定はおかしい。

  • わたしは、主人公よりも9歳年上なのだが、今の自分の生き方もイタイだろうかと思うところがあった。
    自分のことを言われてる気がして、途中なかなか読み進められないときがあった。
    読んだあとも、見た目年齢を気にしてる自分は顕在だし、同年代と思われる人たちを見て安心してる自分がいる。
    わたしこそ、若くもないのに少しでも若く見られようとしてるのではないか?
    年相応に上手に歳を重ねていくには、どうしたらいいのか?
    物語の主人公は答えを見つけたけど、わたしは見つかるのだろうか?
    とりあえず、今を大切に生きてく。

  • 面白かったー!

    加齢に対してかなり執拗に厳しく描かれている。

    蜜がしっかり自分の年齢、自分の人生に向き合い。答えを出したところにすごく共感した。

    年をとることは当たり前。
    頭ではわかっているのに。。
    若い時とのギャップに苦しむ。
    若さへの執着…

    蜜の年齢に近いので
    共感できる部分も多かった。

    ただ、直哉みたいな夫はいやだなー。
    子育てしてる妻に対して外に目を向けてほしかったって。子育てしてたら時間ないし、、、妹と同じ年齢の女性と不倫って。

    玲子の生き方はすごいなっと思いました。

  • 若さにしがみつき、若さに嫉妬して葛藤してる女性の物語
    若さだけではなく、素直な心でいられない時があるのでものすごく心にささる

  • 同年代だからグサグサ刺さりました
    日本人のルッキズムや若者至上主義はたしかに異常
    でもそれに執着せず自分のなかに芯を持てる人が強く、そしてそれは“年を重ねた”人の特権でもある
    いつか失うものに執着してはいけないですね

  • 30代の主婦が「オバサン」になる事への抵抗や心理を描きながら、日本の女性への年齢差別を面白くユーモアを交えて描く物語。
    夫婦の危機も訪れるが、自立への機会となり、物語はハッピーエンドで終わる。

  • 34歳、頭ではわかってるけどまだ「オバサン」と認められない女の話。
    同年代、ついつい自分に置き換えて読んでしまった。
    別に若い子と張り合うつもりも一切ないし、20代の自分に戻りたいかってもの全然違うし。
    こういうこと考えてる時点で若さに執着しててイタイ…てものわかってるんだけど…なんででしょうね。笑

    若さがなくなった時、残るものがちゃんと磨かれているようでありたい。晩夏の今をしっかり楽しもうと思った。
    人生まだまだ勉強です。

    密の母の「いざとなったら男を叩き出せる女になれ」が心に残った。
    幸い、男を叩き出すことはできると思う。
    叩き出さずに黙って出ていくかなぁー笑

  • 会社の同僚に借りて読みました。
    ザ・内館作品という感じがして、面白いです。
    男性こそ読んだ方が良いかなと思いました。

  • 2021年19冊目。
    ここ最近、お牧さんのエッセイを読んでは痛快な気持ちになっていた。が、すっかり忘れていたよ。今まで見てきたお牧さんのドラマを…この嫌な感情を!!!年齢と見た目にかなり執着を持っている主人公。義理の妹の底意地の悪さ!!!エッセイと違いモヤモヤする。本当に想像力の欠如か争いを起こす。
    密の母の「いざと言う時に、男を叩き出せる女になんな」は激しく同意。自分に娘がいたらしっかりと伝えたい言葉だ。

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著者プロフィール

1948年秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業。1988年脚本家としてデビュー。テレビドラマの脚本に「ひらり」(1993年第1回橋田壽賀子賞)、「毛利元就」(1997年NHK大河ドラマ)、「塀の中の中学校」(2011年第51回モンテカルロテレビ祭テレビフィルム部門最優秀作品賞およびモナコ赤十字賞)、「小さな神たちの祭り」(2021年アジアテレビジョンアワード最優秀作品賞)など多数。1995年には日本作詩大賞(唄:小林旭/腕に虹だけ)に入賞するなど幅広く活躍し、著書に映画化された小説『終わった人』や『すぐ死ぬんだから』『老害の人』、エッセイ『別れてよかった』など多数がある。元横綱審議委員で、2003年に大相撲研究のため東北大学大学院入学、2006年修了。その後も研究を続けている。2019年、旭日双光章受章。

「2023年 『今度生まれたら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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