第五番 無痛Ⅱ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.71
  • (33)
  • (70)
  • (64)
  • (10)
  • (0)
本棚登録 : 651
感想 : 62
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (626ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344423725

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  無痛の続編。ウィーンに渡った為頼医師。三十九条が適応されつつも懲役し、出所したイバラ。前作からのキャラクターが登場するなか、本作の話の中心は、日本で起こる新型カポジ肉腫によるパンデミック。作中の医療業界への批判やカポジ肉腫の治療による治癒率の悪化は作者自身の強く訴えたい皮肉かもしれない。病気の描写がグロテスクであるからに余計強い印象をもたらした。

  • *創陵大学准教授の菅井は患者の黒い肉腫に唖然とした。エイズに酷似するウイルスが骨を溶かし数日で全身に転移、意識障害で死に至らしめる。あらゆる薬が効かず数カ月で日本中にこの「新型カポジ肉腫」が多発したが国は無策で人々は恐慌した。一方ウィーンで天才医師・為頼がWHOの関連組織から陰謀の勧誘を受ける。ベストセラー『無痛』の続編*

    前作「無痛」も素晴らしい作品でしたが、今作も同様に読み応えたっぷりの作品に仕上がっています。と言うのも、平面的なストーリー展開ではなく、二面からなる奥の深い物語だからです。新型の病気の蔓延も終息も全てが企みだとしたら?と言う専門家ならではの切り口と、実際にその病に侵された時の人間の醜悪さや絶望や滑稽さを巧みに描く筆力と。すっかり引き込まれてしまい、あっという間に一気読みです。が、前作を知らないと魅力も半減なので、続けて読むのがお勧めです。
    とは言え、続けて読むと、為頼医師のキャラクターが少々変わった感じがするのは否めないのですが・・・。イバラは強かった。無痛なことに苦しんだだろうけど、最後はその無痛に救われたんだろうな。含みを残すラストも良かった。時間を置いて再読したい秀作。

  • 前作のラストからのつなげ方がちょっと強引?
    で、なにやらまだまだ続きそうな。

  • 主人公が空気だったなあ。
    医学界に潜む陰謀と疫病の発生と、それを巡る人々の話は良かったが、わざわざ『無痛』の2巻にする必然性は無かった感じです。

  • 死に至る新型ウィルスが日本で発生する。
    同時期、遠く離れた外国で医師たちが連続して殺害されるという事件が発生。
    為頼はかつて日本で起きた一家四人惨殺事件で知り合った少女と再会を果たし、彼女の治療に手を貸すことになる。
    医学界の暗部とも思える謀略と、それらの事柄がひとつに繋がったときに見えてくるものは為頼にとっては到底受け入れられるものではなかった。
    前作を上回る壮大なスケール・・・と言ってしまえればいいのだろうが。
    大風呂敷を広げすぎて、結果的にきちんと終われていない物語のように感じてしまった。
    為頼のキャラクターも変わってしまっている。
    確かに登場人物の一部は前作と繋がっているけれど、主人公である為頼への違和感は最後まで拭いきれなかった。
    とは言っても、終盤まではどんなふうに物語を終わらせてくれるのだろうという期待で楽しみながら読むことができた。
    だからこそ余計に、登場人物たちが迎えた結末がとても残念に思えた。

  • 治療ニヒリズム,と著者本人は表現しているが,本来運用されずに済めば御の字の医療とそれを生業にする医師という職業の相反性を軸に,医療の立ち位置を問いかける.

  • 無痛に引き続いて読了。話が繋がって面白くなっているので間をあけずに読んだ方がいい。
    今回は未知の新型カポジ肉腫と、前作に引き続いて登場するイバラ、サトミの犯因症が絡み合っていく。イバラとサトミの最期はあまりに悲劇的で彼らも利用された被害者だと感じた。今回は殺人よりも新型カポジ肉腫が解明されていく過程のほうがスリルと速さがあって面白かった。

  • 無痛II
    前作にもましてのスピード感がたまらない。
    時間を忘れたい時、集中することによってドーパミンを出したい時にオススメ( ̄▽ ̄)

  • 「無痛」の続編。この作者の作品好きかも。

    「新型カポジ肉腫」に不気味さを感じながらも読む手が止まらない。ヨーグルト食べるの躊躇するなあ。。。それにしてもアイツがあんな形で戻ってきたのもびっくりだけど、こんなラスト。。なんだか物悲しかった。

    医療従事者じゃないのに医療系の話が好きなんだけど、日本と海外の「医療」の考え方の違いが面白い。そっか。。人が健康になると病院はいらいないか。でもそれを逆手に取っているのか、健康でも検診を勧める今日の日本。病院が閑散としてるなんて日は来ないのでは。。

全62件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

医師・作家・大阪人間科学大学教授

「2016年 『とまどう男たち―死に方編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

久坂部羊の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
宮部みゆき
ピエール ルメー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×