ハイエナ 警視庁捜査二課 本城仁一 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344424845

感想・レビュー・書評

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  • 著者は不思議な名前だな、と思った。
    警察小説の著者は オトコだと思いこんでいた。
    途中まで読んで、なんか 雰囲気が違うので、おかしいなぁと思った。
    それで、ネットで調べたら 女子だった。

    女子の警察小説は、独特の陰が存在している。
    と言っても、初めて読むのだから すべてをくくるわけにはいかないが。
    全部読み終わった後に、ちっとも 気分が良くならない。
    問題は、すこしも 解決していないのだ。
    読後、爽快感がなく、思いっきり 残尿感がある。
    ハイエナが だれなのかも 見えない。
    『悪』は、薄ら笑いをして 終っている。

    ここでの主題は パンセ。
    『権力なき正義は無効なり。正義なき権力は横暴なり。』

    定年を間近にして、キャリアで 知能犯のベテラン刑事 本城仁一。
    警視庁2課で、復興庁審議官大平雄也の汚職事件を追いかけていた。
    それで、タイに飛び、追っかけ対象は タイからカンボジアに逃げる。
    追いつめたが 地雷の埋めてある野原で 自殺をする。
    そのことで、本城は、非難を受ける。
    一方で 息子は ノンキャリのエリート。
    管理官として、おれおれ詐欺を 追いかけている。

    この息子、出世欲が強く、清濁合わせ飲むこともでき、
    キャリアの父親の捜査能力は買っているが バカにしている。
    本城仁一の妻は、夫の無能を非難していることが、
    息子にも反映しているのか。

    その息子が 睡眠強盗に会い 『警察手帳』を盗まれたと
    父親 本城仁一に打ち明けるが、父親は 正直に上司に報告しろと
    いっていたが、その警察手帳を取り戻すことで物語は展開していく。
    本城仁一は なぜそうしたのか?

    おれおれ詐欺の仕組みが
    金主ー番頭ー架け子ー受取など、非常に機能が分担化している。
    警察は 架け子をつかまえるので、精一杯。
    おれおれ詐欺の被害が 2014年で560億円にも上ると言う。
    それだけの 大きな市場を形成している。

    架け子の教育が 素晴らしい。格差に対して怒りを誘導して
    税金の不公平、そして一躍 金持ちになると言う物語で洗脳する。

    警察手帳がぬすませたボスが 味田と言われる。
    これが、意外と不気味な存在感を持っている。
    そして、引き際が 実にしっかりしている。
    味田という名前は、家族5人殺された、食堂の名前だった。

    夫婦の関係、老人介護、親子の関係、が 様々な形で出てくるが
    どうも、希薄で、うまくいっていない。
    その軋みが 噴出する。それぞれの思惑がある。
    『めぐみ』という存在も、不気味だった。
    本城仁一は、何のために 刑事をするのか?
    そして その息子は 警察官僚の中で 出世できるのだろうか?
    気持ち的には、出世してほしくないなぁ。

  • 本書に書いてある通り、オレオレ詐欺は技術的にも組織的にもどんどん高度化しているであろうことは、事件報道からも想像に難くない。
    そしてその巨額の利益はロクな経路を流れていないだろうことも然り。
    ただ、若きエリート官僚があまりにも卑小に描かれていることが、犯人側の緊張感ある描写と対比され、面白さよりも興醒めに繋がってしまったかも。

  • 家庭を顧みずに仕事に没頭してきた叩き上げの刑事・本城が、警察官僚として出世争いの渦中にいる息子から懇願される。出向中に詐欺組織に盗まれた警察手帳を内密に奪還してほしいというのだ。親の務めを果たしてこなかった慙愧の念から、息子の隠匿に手を貸すことを決める本城。手帳に迫る過程で掴んだのは、殺人も厭わない詐欺組織の実態だった。

  • 「十三階の女」に感銘を受け、著者作品を読む。
    オレオレ詐欺をよく調べられており迫力ある。味田の背景描写が今ひとつだし、本城と息子の関係性描写も弱いと思ったが、養成所での針谷の講義の場面をはじめとするオレオレ詐欺の犯罪に向かう圧倒的な熱量と、複雑すぎずかつ嘘臭くない丁度良い程度のプロットが全体を引き締め、最後まで楽しめた。エンディングはもう少し違った形がよかったかな。

  • アゲハシリーズの作者のシリーズ以外の作品を初めて読んでみた。主人公はナンバーと呼ばれる知能班のチーフだったが、渡航先でSを死なせてしまい、閑職へ追いやられる。辞職を迫られながら、有給休暇を消化している中、警察官僚の息子の相談に乗り、オレオレ詐欺の潜入捜査に・・・登場人物が多い上に、すべて繋がっていると言う、お腹いっぱいな内容。アゲハシリーズを読みなれていると、ハードボイルド感が力み過ぎな感じもするが、詐欺の番頭と本城の駆け引きは面白かった。本当にぎりぎりのところで、二課に踏みとどまった本城の次作があるのか・・・かなり気になる。

  • これまでの作品とは作風の違う男臭い警察小説なのだが、家族の香りが少し強過ぎたようにも思う。

    重要なテーマである振り込めるについて、よく調べたようで、リアリティがあり、非常に面白い。が、しかし、判然としないストーリー展開とスッキリしない結末が残念。

  • (2018-01-07)(2018-01-28)

  • オレオレ詐欺ってなんか幼稚なイメージを持っていたけど、プロが組織化をして運営していることがリアルに描替えれていた。エンターテイメントとして楽しめた。

  • 警察官僚の息子のため、振り込め詐欺グループに潜入捜査する父親警察官の物語。

    2003ころから認知され始めた振り込め詐欺も今や産業化されており金主ー番頭ー架け子ー受け子というヒエラルキーがはっきりできている。特にトレーニングも不要な受け子はよく捕まっているが、番頭から上が逮捕されることはほとんどない。名簿も非常に大事な要素で、家族構成などの細かい情報も入っているものは一件数万円で取引されているそうだ。

    伏線のはり方も無理がなく、小説としてもテンポがよい

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プロフィール

1977年、埼玉県生まれ。2008年に『私の結婚に関する予言38』で第3回日本ラブストーリー大賞エンタテインメント特別賞を受賞し作家デビュー。著書には、「女性秘匿捜査官・原麻希」シリーズ(既刊11冊)「警視庁53教場」シリーズ(既刊2冊)『ダナスの幻影』『葬送学者 鬼木場あまねの事件簿』などがある。『取材力に優れエンタメ魂に溢れる期待のミステリー作家。本作は「水上警察」シリーズの第4作。

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