ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
4.03
  • (143)
  • (206)
  • (82)
  • (20)
  • (2)
本棚登録 : 1639
感想 : 168
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (433ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344424982

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 感動した!どんでん返しも含まれていて、人情のお話。

  • <閲覧スタッフより>
    「最期の料理請負人」の佐々木は、戦時中に満州で書かれた204品もの「大日本帝国食彩全席」のレシピを手に入れるという依頼を受ける。現在と過去が交互に入れ替わり、「大日本帝国食彩全席」の謎が少しづつ明らかになっていく。個人的には、物語に出てくる日本と西洋を合わせた、ロールキャベツの中からお餅が出てくる料理が美味しそうでしたが、巻末の204品のメニューは圧巻です。最後にすべてが繋がるストーリーでおもしろい1冊です。
    --------------------------------------
    所在記号:文庫||913.6||タナ
    資料番号:30048716
    --------------------------------------

  • どんな料理も依頼人の記憶どおりに再現できる「最期の料理請負人」である料理人と、歴史を揺るがす秘密を抱えたレシピ集についての、時空を超えたミステリー。現代の東京と太平洋戦争時の満州国を舞台に描かれている。

    ミステリーではあるけれども登場人物全員の感情の動きが見えて、私まで読んでいて泣きそうになった。展開がスピーディーで、あっという間に読み切ってしまったのが少し寂しい。久々に名作に出会ってしまった。

    特に歴史と料理についての描写も細かくて、歴史の教科書以上に当時の様子が景色として浮かんできたり、味への想像がかき立てられたりした。最終的に、戦時中であるにもかかわらず国や文化、宗教を超えて様々な料理を研究してきた登場人物の好奇心の強さと、「料理は人を幸せにするもの。人を笑顔にするもの」という確固たる哲学にすごく感動した。今年は料理、頑張ろう…。

  • 時代背景が世界対戦ごろと現代を
    行き来してて次第に解けていく謎が
    本当に深い。。。.
    最後の優しさのどんでん返し!.
    まんまとやられたけど涙のスッキリ
    食べてないのにお腹いっぱい

  • レシピを巡ってでこんなに面白いミステリーができあがるなんて!!!最高に楽しかった!
    登場人物もスッキリしていて相関図がわかりやすくて良い

    お料理の描写が最高だったな、どれもおいしそう。
    絶対音感ならぬ絶対味覚

    自分が最後に食べたい料理って何だろう
    決まったら絶対味覚の彼に作ってもらいたい

    料理って美味しいだけじゃなくて楽しく幸せを感じながら食べてこそ美味しい

  • 料理に関しては全くの素人でも、読みやすくて読む手が止まりませんでした。最後の結末には2回も驚かされました...!ミステリー的な要素もありつつ、心温まる、そんな小説です。

  • いやースッキリ。
    最後の最後でびっくりした。

  • 壮大な話なんだろうけど、荒唐無稽に思う部分も多く、その壮大さを感じられずに終わりました。レシピ中心になっているためちょっと話が硬くて、キャラの魅力が薄いのも残念。

  • 最初の感想はお涙ちょうだい調の「きれいな話」だった。「綺麗すぎる」くらい。その印象は変わらない。

    展開は面白かったから2日で読み終わった。料理も作り方とか食べ方の描写に固執せず、一般人にも読みやすかった。

    結局、人ひとりの人生というか、その家族や仲間の人生も、ただひとりの軍人(三宅太蔵少将)の夢物語に翻弄されたということか。文中にも「本人の意思など関係のない時代」とある。あの当時の軍人の権力がいかに強かったか。金銭的なことだけを見ても、直太朗の給料、宿舎、食材(研究費)、家の地下に自家菜園まで・・・ 満州国への執着、同期の石原莞爾少将へのライバル意識が直太朗たちの人生を左右した。

    作者は何が言いたかったのかな・・と私なりに考えてみた。戦時中の異常な状態。それは他の本でも読める。

    まずはお料理の歴史:
    「なれ寿司」が中国から伝わったもの・・・三国志の時代とは2~3世紀だから、 随分昔だ。漢字が日本に伝わり始めたころだろうか。ところで九州出身の私は直太朗の故郷石川の「鯖のなれ寿司」自体ピンとこない。

    料理・調理方法の記述:
    中国にも日本にも「献立や調理方法」を残す文化はなかった。先人たちはみんな自分の料理の味を大切にし、他でマネされないように作り方を書いたものは残さず、後輩には料理は身体で覚えるものだと教えた。これは今でもそういう傾向があるのかな。

    直太朗は「料理は文化」だと考え、多くの人に作ってもらい、自分が死んだ後も残ってほしいと考えた。だからたぶん天皇の満州への行幸の可能性がなくなったころから、「大日本帝国食菜全席」も天皇のためにではなく、多くの人のために作成していた。最初に喜んで欲しいのは家族や身近な人だから、妻子や楊の好物を入れたのだろう。

    料理に対する考え方:
    「満漢全席」は清朝の支配者「満州族」が中国の大半を占める「漢民族」と仲良くするために作った料理集で満州族と漢民族の融和の象徴だった。それがその他の民族の食材や調理法を取り入れたものに進化した、いわば色々な民族の「ご機嫌取り」に作られた、と直太朗は言っている。

    「料理は人を幸せにするもの。人を笑顔にするもの」今の時代、星をとること、高価な食材に凝ること、料理人同士の競争を煽ることに懸命になる傾向がないかしら。

    お料理のことが書いてある話を読むと美味しいものが食べたくなる。何も、天皇陛下に食べてもらうとか、星が付くシェフの料理とかでなくていい。そんなのは、私の舌には合わない。そんな私にも好みがあって、そこいらの大衆食堂でも通うところもあれば、二度と行かないところもある。私は作るより食べるのが好きだ。若かったとき、いとこが「美味しそうに食べてくれるところがいい」と褒めてくれたのを今でも覚えている。

    料理人に料理で人を殺せというのが、いかに彼らの矜持を傷つけるか、三宅少将にはわからなかったのだろうか。この計画を直太朗を人選する前から考えていた三宅少将は、同期の石原少将に対する競争心しかなく、盲目になっていたのかしら。

    お料理のことと、あの時代の軍人の狂気が描かれる、読み応えありな本だった。

  • 食べた物に関しての記憶の再現率がすさまじい最期の料理人を職業とする男と第二次世界大戦中天皇陛下のためにレシピを作っていた男の話を中心にその時代時代が交互に語り継がれていく話。

    料理よりも料理人に主題が行ってるのが原作者が料理の鉄人の人だと知って納得した。
    料理人の多種多様性が人間模様としてすごく面白かったし、国も世界も食材も料理方法も何もかもが結局は食べる人のためにというところが好き。

    麒麟の舌というタイトルがすっぽ抜けて読んでしまったため最後のところの感動が薄れてしまったかも。
    バッドエンドだったらどうしようと読み進めて良いハッピーエンドで安心した。

全168件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

埼玉県出身。立教大学法学部卒。日本テレワークに入社し、「カノッサの屈辱」、「TVブックメーカー」など、フジテレビの深夜番組の演出で注目される。その後フリーの演出家として「料理の鉄人」や「とんねるずのハンマープライス」など、多くのテレビ番組を手掛ける。2014年、『麒麟の舌を持つ男』(後に『ラストレシピ 麒麟の舌の記憶』に改題)で小説家デビュー。同作は二宮和也主演で映画化される。他著作に『キッチンコロシアム』『龍宮の鍵』『歪んだ蝸牛』『生激撮!』などがある。

「2019年 『逆流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田中経一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×