- Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344425385
感想・レビュー・書評
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リケイ、なのでライトな感じかと思いきや、がっつり目の理系、そしてがっつり目のお仕事小説でした。
表紙も背表紙の解説も、なぜかちょっとライトテイストなんですよね…。いやいや、読みごたえありますよ!
わたしは骨の髄まで文系なので、理系というだけで「天才!そして変人!」という色眼鏡で見てしまいます。桐生さんは当たらずとも遠からず…。いい意味で( ´∀`)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「理系は真実のみを追い求める」という数学科主人公のセリフに、理系の中でも理学と工学の壁を感じた。
工学、特に電気科卒でそのまま技術屋になったわけだが、真実なんてものは電気屋的にはどうでもいい。
数学屋が発見した理論と、物理屋が作った材料を使って夢の技術を空想して実現に落とし込む。
もしくは、油にまみれた機械いじりにのめり込んでいたいだけの人間もいる。
それが工学部。
理学が追い求めるのはトゥルーエンド、
工学が追い求めるのは自分好みのマルチエンディング。
そんな違いがある気がする。
電気屋と言っても数学物理は全然できないし、現代経済学で統計を扱ってる文系のほうがよほど数字に強いと思う。
高校で文系理系を分けるのが、日本の高等教育の愚の骨頂だと思う。
さて、理系考察は置いといて、本書はバリバリの純粋数学を学んできた人間が、なぜか出版社の編集員というお仕事小説。
文系上司は全く論理的じゃないから、話が全くかみ合わない。
文系の仕事の中にも、理系が役に立つことがあるに違いない。
ヒットする小説には、何か法則があるはずだ。
理系の考えで文芸を盛り上げる。
それがリケイ文芸同盟。 -
算数で脱落した僕には理系脳は理解できないんだろうなぁ
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理系の要素が、想像より少し少なかったと思います。それでも夢中になって読める小説でした。
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またまた「読みたい本リスト」へ入れている本を上司に借りた。ヾ(*´∀`*)ノ
また、ちょうど「数学屋さん」もどんどん続編が出ているのを知って、最初から読み直そうかなあと思っていた矢先やったので、ますます嬉しい。
と、いうことでかなり前かがみになって読み始めたのに、まあ、冒頭のもっちゃりくっちゃりしたこと(笑)。
あれ? これってシリーズものの途中?
と、疑いたくなるぐらい、設定が
「これは知ってるよね」
ちゅう姿勢で放り込まれてくる。
先日、「グルメ課」を読んだらシリーズ三冊目やったっちゅう罠にはまったのもあって若干疑ったのだけど、こちらはシリーズの途中ではない模様。
ほしたらこんなふうに進んでいくわけね。
私の読解力が足りないのかしらね。笑
面白くないわけではないけど、やや置いてきぼりにされてる感がある。
著者は「理系」の人間なんだよね、数学的な話ばかり書いてるんやから、理系畑の人よね。
そのわりには、わりといろんなことがあいまいよね。笑
ここをあいまいと思うのが文系たるゆえんなのかしら。
でもなあ。そんなふうにやや置いてけぼりにされてるのに、付箋の数はものすごい多いねん。
こちらが理解するとか納得するとかは関係なしに話がどんどん進んでいくのは、まさに作中の桐生の人柄そのもの。
せやけど、「いいものを作る」と、いうことに対する情熱はものすごい。
この熱は、著者から感じるねんな。だから最後まで目が離せない。
理系ちゅうたらクールなイメージがある。
物事に終わりはなくても存在する理由はあって、すべて理論だか論理だかで片づけられていく。
せやけど、それを語る人はクールじゃないらしい。
結局、理系だろうが文系だろうが、好きなものを語るときは熱が入るってことよね。
それが数字なのか文字なのかの違いだけで。
残念ながら私は数字の羅列を見ると
「ギャー」
と、思うタイプなので、それらにドラマもロマンも感じないけれど、たとえば「いろはうた」のように、同じ文字を二度使うことなく組み立てられた歌を見ると
「スゲー・・・!」
と、目がキラリンとなってしまうので、文系の人間で御座います。
今回面白かったのは出版も絡めてはったからかもしれへん。
出版ネタって流行ってるもんね(笑)。そら、本を読む人はもれなく本好きで、本好きは出版やら書店やらも大好きでしょうよ。
鉄板のネタですやんね。
続編はないのかー。残念・・・。
とりあえず、数学屋さんを再読しよう。
伏字の件はなるほどと思ったけれど、北条先生と桐生が伏字について討論するまでは
「なんでわざわざ伏字を使うんやろう・・・」
と、思ってました。(;^ω^)
伏字を使うくらいなら伏せなくてもいい表現方法を捻りだそうよ、と、思ってしまう。
だって、うつくしい文字の並びの中に「×」が入るなんて、うつくしくないんだもの(笑)。
数字の中に放り込まれたXやYとはわけが違いますよ!
でも、最終的にすべてがすーっとまとまったのは、さすがというかなんというか。
QED! って感じやんね。
あ、そういうタイトルのミステリがあったな。残念(笑)。
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■ステマ
ステルスマーケティング ステルスマーケティング(英: Stealth Marketing)とは、消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること。 略称はステマ。
(2017.03.13) -
小説にしてはストーリーが現実的だから、作者も理系なのかなって思ったら、ほんとにそうだった笑
文系の世界でリケイの風を吹かせてみたい。 -
編集者として奮闘する理系の青年が主人公の仕事小説。理系と文系の考え方の違いというトピックが根底にあって(特殊なようでいて、普遍的なテーマであるようにも思う。それか私が個人的に興味あるだけかもやけど)、登場人物が魅力的で、面白かった。
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大学の数学科を卒業し、夏木出版の編集に就職した桐生は、文芸担当編集者として、割り切れない思いを持っていた。統計を重要視せず、直感と熱意だけで発行されていき、一部を除いて売れずに消えていく本。そんな中、元数学者の北条を担当する後輩編集者、鴨宮に同行する…。
この手の作品を開くと、まず気になるのが、作者の経歴である。上っ面の"理系"を失敗の原因に据え、ショーモナイ理系叩きをするタイプか、逆に理系側から自虐をするか。いずれにせよ、出てくる理系に救いはないことは確実である。大概は、そういう経歴が文章からにじみ出るものであるが、なかなかそのほころびが見えない作品である。
統計、素数といった、文字面としてキャッチーな、数学っぽい話は少し。そこから桐生くんと嵐田くんの、元数学科コンビが大活躍する…?とおもいきや、さほど活躍もしないのだな。仕事もいうほど経験を広げられないまま、やたらと居酒屋談義で話を進めてしまい、正直なところ、全文章の半分近くが居酒屋になるのはいかがなものか。
結局、作者の経歴は元数学オリンピックに出ていて、大学で文転して、元出版社勤務という、この本のままというところだったのだが、そのいずれもが言うほど活かせていない作品となってしまったのは残念。
まあ、数学や物理なら最低修士は出とこうやとか、人口から言えば生物系や工学系の「リケイ」社会人なんか、掃いて捨てるほどいるわけで、そこに数学だけで「理系」を名乗ったのは、正直失敗だ。もう少し、自分の周りだけで良いので社会を見渡してみてほしかった。
また、あいかわらずの幻冬舎文庫なので期待すべくもないのかもしれないが、固有名詞を伏せ過ぎ。全体に文章がドライで味気ない。もっと現実味をもたせることで、登場人物がより生き生きと描けたはずである。これは担当編集者へのダメ出し。幻冬舎のときはまた書く。 -
社会人だなあと思う
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読みにくいかな、と思ったけど、引き込まれました。面白かった。
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yk
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情熱が無いわけではないのだけど、理系なせいか淡々としている。
何でも理屈と正論で片付けたがるのは良いけど、それと人の気持ちを汲めないのは別問題なので、せめて気になる女の子の事くらいは理解してあげて欲しい。
理系である利点もいまいち感じられなかったので、もうちょっと仕事的に理系だからこその得点があると楽しかったかな。 -
理系男子桐生に編集者は務まるのか……
「曖昧」や「常識の範囲内」など数字でないお察し下さいは一切通じない桐生にヒット作を生み出す事ができるのか!? -
数学科出身なので気になって読みました。
特記する事はないかな… -
超理系人間の桐生が出版社の文芸編集部という、文系人間ばかりの部署に移動。
そこでは自分の考えが理解されなかったり、はなから聞いてもらえなかったりして辟易。
悔しい思いをしながらも、理系の思考を生かしてベストセラーを出すという目標を持ち、奮闘する。
理系にはたまらなく共感できる所が多く、少年マンガのような成長ストーリーにもなっており、かなり楽しく読めた。
主人公に共感する部分が多いだけに、主人公と同じ目線でハッとさせられるような場面もあり、勉強にもなった。
たまたま行った本屋さんで、こじんまりだけど平積みにされていた本書を手に取ってよかった。
この本を平積みにしてくれた本屋さんにも感謝。 -
タイトルが「文芸同盟」だから学生か小説家を目指す若者の話かと思った。まさかの編集者の主人公だった。
理系要素もあんまり無い。
主人公も後半強気になって、キャラ変わった?と違和感。
でもお仕事小説としておもしろい。編集者になりたい人とか読んで参考になるところありそう。
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かがく文庫編集部から文芸編集部へ異動になったTHE理系人間の桐生が、理系営業マン嵐田と一緒に、統計的仮説検定で得られたデータをもとにミリオンセラーを出そうと奮闘する話。情熱を重視する上司とぶつかったり、作家に振り回されたり、元カノに似ている女性編集者と仲違いしたりと色々あるけれど、文芸編集部の救世主になろうと意気込む桐生たちはかっこいい。オルバースのパラドックス、メルセンヌ素数、双子素数、最後の通牒ゲームなど、初めて聞く用語に興味が湧いた。
p31
この宇宙が無限に広がっていると仮定すると、そこには当然、無限の星が浮かんでいるはずである。すると、地球には無限の光が届くことになり、夜空は無限の明るさで輝いていないとおかしいー。
大雑把に言うと、そんなところだ。「夜空はなぜ暗いのか」という謎に、背理法を用いて大胆に切り込んだわけだ。十九世紀の天文学者ヴィルヘルム・オルバースが提示したこの疑問は、千差万別な仮説を呼び起こし、以後わ百数十年にわたって議論され続けることになる。
p93
隣り合う奇数が両方とも素数になっている場合、その組を「双子素数」という。
p94
「鴨宮さん、ユークリッドっていう数学者を知ってる?紀元前三〇〇年頃のギリシャ人だよ。彼が『素数は無限に存在する』って証明したのが、だいたい二千三百年前。それ以来、素数の謎をすべて暴いてやろうっていう、数学者たちの戦いが始まったんだ。双子素数予想も、その戦いの一つだ」
p190
「マラン・メルセンヌは、十七世紀のフランスの数学者ですよ」
桐生は結局、切り出した。
「彼の名に由来する『メルセンヌ素数』は、今も世界中の数学者たちの追い求めるロマンです。『2n-1』の形で表される素数なんですけど」
「えぇと、桐生君。それのどこがロマンなの?」
「メルセンヌ素数は無限に存在するのか、それとも有限なのか、まったく分かっていないからです」 -
理系というか数学。前半は見たことない数学の専門用語が出てきて拒否反応が…。小説を読まない数学人間が、感覚的でなく統計的に売れる本を作ろうとするお仕事小説。