三途の川で落しもの (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344425491

作品紹介・あらすじ

大きな橋から落下し、気づくと三途の川に辿り着いていた小学六年生の叶人は、事故か自殺か、それとも殺されたのか死因がわからず、そこで足留めに。やがて三途の渡し守で江戸時代の男と思しき十蔵と虎之助を手伝い、死者を無事に黄泉の国へ送り出すための破天荒な仕事をすることになる。それは叶人の行く末を左右する運命的なミッションとなった。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『三途の川』を見たことがありますか?
    
    さてさてさん、最近調子に乗ってないですかー?という声が聞こえてきそうですね。『三途の川』は、死んだ人が渡るところでしょ。生き返りました!とか、でまかせ言ってお金を稼いでいる人じゃないんだから、そんなもの見れるはずがない!まあ、当たり前ですね。

    でも、そういうあなたは、『三途の川』の何をご存知なのでしょうか?”見たことない”と言い切れるのに、”そんなものはない”と言い切らないのはどうしてでしょうか?なんだか、ちょっとおかしいですよね。『三途の川』というのは『あの世とこの世、現世と冥界のあいだに横たわる川』とされています。このイメージはおおよそ皆さん同じだと思います。では、どうして川なのか?その理由をご存知でしょうか?それは『川は昔から、村や領地の境目だった。川を渡るという行為は、もっとも人が納得しやすいあの世への生き方』だからなのだそうです。なるほど、確かに『何もないままじゃ、この世からあの世へ逝こうしない。だから三途の川が必要』という考え方もわかるような気がします。

    どうでしょう。なんだかちょっと『三途の川』に興味が湧いてきませんか?でも、今から見に行こう!そんなことを考えてはいけません。それはいつかあなたが『大往生』する時のお楽しみにとっておいてください(笑)。でも、いやだ、そこまで待てない!今すぐ見たい!そうおっしゃるあなた、そんなあなたに朗報です。『三途の川』を舞台にした作品がここにあるのです。『藻をたっぷりと混ぜたような、ひどく濃い緑色に濁』り、『緑の泥を敷きつめたように、どろりとまどろんでいる』という『三途の川』の光景をリアルに描き出すこの作品。そんな『川には渡し守がいて、その舟で川を渡って冥界へ行くんだ』と聞いた主人公が『渡し守』を体験する様を見るこの作品。そしてそれは、そんな主人公が、なぜ『三途の川』まで来てしまったか、彼の心の奥底に眠っていたまさかの感情の存在に気づく様を見る物語です。
    
    『最初は、夢かと思った』と、『頭には包帯、口には酸素マスク』という『仰向けに寝かされた自分を、真上から見』るのは主人公の志田叶人(しだ かなと)、十二歳。『お兄ちゃん、お兄ちゃん!』と泣きじゃくる弟の颯太、『叶人、しっかりしろ!』と必死の形相の父親、そして『叶人、お願い!母さんのところに戻ってきて!』と右手を握りしめる母親。そんな光景を見て『そっか、おれ、死んだんだ』と思う叶人は『からだが軽くなった』のを感じ、『家族に別れを告げて』『ガラス窓をすり抜け』ました。『十二年も生きれば、十分だ』と思い、ふわりと浮きながら街を見る叶人の目に最後に映ったのは『大きな青い橋』でした。そんな叶人は、気づくと『灰色のもやに包まれ』た中を一人歩いていました。そんな時『ちょっと通してもらうよ』と一人の老婆が叶人を追い抜いて見えなくなります。気づくと周囲は『頭の白い年寄ばかりで、おまけにそろって足が速く』『先へ行ってしま』います。そんなところに一人のおじさんが現れ、『大往生だと、思い残すこともないから』足が速い等説明をしてくれます。そんなおじさんは『癌でね。四年頑張ったけど…』と自らのことを話すとともに『もう少しで目的地に着くから』と叶人を励まします。『目的地って?』と訊く叶人に『三途の川さ』と答えるおじさん。『三途の川には渡し守がいて、その舟で川を渡って冥界へ行くんだ』と言うと、『…には気をつけないと』と付け加えます。聞き逃して訊き返すと『ダ・ツ・エヴァ』と『けーんーえーお』と教えてくれるおじさんもあっと言う間に見えなくなりました。そして、『もやの向こうから、水の流れる音がし』、『三途の川に着いたんだ!』と思い駆け出した叶人。『火葬した後の骨の色』に覆われた『真っ白な河原』の向こうに『ひどく濃い緑色に濁った川』が流れる目の前の景色に『ここは…』と佇む叶人。そんな時、『賽の河原だよ』という声がしました。ふり向くと『金髪碧眼の美女が立ってい』ます。『ダ・ツ・エヴァさ』と名乗る女は、叶人が見ているものは全て『イメージ映像』だと説明します。そんな中、川の方から『怒鳴り声』が聞こえてきました。叶人が目をやると『時代劇に出てきそうな格好をした』『ちょん髷』姿の男たちが取っ組み合いを始めます。そんな男たちのことを『半月前からそろって三途の川の渡し守になった』と説明する『ダ・ツ・エヴァ』。そんなところに『はしゃぎすぎだ、奪衣婆(ダ・ツ・エヴァ)』と言いながら『冴えない中年男』が現れました。『私は懸衣翁(けんえーおー)だ』と言うその男は、自分たちは『死者の行状を詳らかにするのが』役目だと説明します。そして、二人は『渡し守』の二人を因幡十蔵と虎之助だと説明し、叶人のことを『まだ、死んでいない』とも言うと、動揺する叶人に、しばらく『このふたりを手伝いな』と指示しました。そして、始まった叶人の『渡し守』としての”お仕事”の日々の中に、叶人が自らの心の奥底に眠る感情の意味を知ることになるまさかの物語が描かれていきます。

    「三途の川で落としもの」という、どう考えてもファンタジーな物語が予想されるこの作品。私にとって西條奈加さんの作品はこれで三冊目となります。今まで読んできた二冊は直球ど真ん中の”時代小説”で、私にとって初めてのお江戸の物語にとても魅了されてきました。その分、三冊目を探した時に、逆に”大きな橋から落下し、気づくと三途の川に辿り着いていた小学六年生の叶人は、事故か自殺か、それとも殺されたのか死因がわからず、そこで足留めに”という、どう考えても現代が舞台の”ファンタジー小説”と思える内容に、これ、絶対読みたい!と早々に手にしました。そして、読み始めてびっくり!そこに展開していたのは、現世を後にし、『三途の川』のほとり、『賽の河原』まできてしまった小学六年生が不思議、不思議、摩訶不思議な出来事を体験していく物語でした。そして、そこに登場するのが『江戸末期に、輪廻の輪から外れ』たために、『前世の姿のまま』主人公・叶人と共に『三途の川の渡し守』をすることになる『前世は武士』の因幡十蔵と、『ちんぴら風』で『やくざ者の下っ端』だったという虎之助です。何か曰く付きと思われる二人は、しょっちゅう揉め事を起こします。そんな中に加わった叶人という三名の絶妙なトリオが物語を活き活きと展開させていきます。まさしくファンタジーだからできる組み合わせですが、これが想像以上に面白すぎる展開で物語をぐいぐい読ませてくれます。

    そんな作品は、さまざまな視点から特筆すべき点がとても多く、そのすべてを挙げることはできませんが、ここでは生きていた時代が異なる三人が受けるカルチャーショックということで、まずは江戸と現代を比較する表現二つをご紹介しましょう。

    ・『ええっ、江戸時代って肉食べないの?』と訊く叶人に『さよう、獣肉は禁じられていたからな。鳥ならよいが、食すのはごく稀であった』と答える十蔵。これに『おれ、江戸時代に生まれなくてよかったあ』と感想を漏らす叶人
    → 知識がおありの方もいらっしゃるかも知れませんが、私は知りませんでした。肉が大好きな私も今の世が良いです!

    ・『三途の川の渡し賃は六文。一文はそうだな…今の通貨で換算すると、一円の千文の一くらいかな』、『六文が渡し船の相場』なので、『昔は実際に、お棺の中に六文銭を入れた』。『いまのお葬式では、模造の六文銭を使用している』
    → なるほど。そんなところから来ている風習なんですね。知らなかったの、と言われそうですが、すみません、勉強になりました(笑)。

    なんだか豆知識のような内容ですが、なかなかに興味深い事ごとが他にも記されていきます。そんなこの作品でさらに面白いと思ったのは、『人の生前の行いの善悪を』閻魔大王が判断するために必須となるという『地蔵玉』の存在です。物語ではこの存在が一つのキーとなっていきますが、ここで取り上げるのは、その関係で現世に三人が現れるという物語展開です。『まだ、死んでいない』という叶人が現世に現れること自体の意味は別途物語の柱ともなっていきますが、お江戸の世しか知らない十蔵と辰之助が現世に現れるのは、まるでお侍が江戸時代から、タイムスリップしてくるような絵柄をそこに提供してくれます。これは間違いなく面白いです。十蔵と叶人の間で交わされる絶妙な会話を四つほどご紹介しましょう。

    ・十蔵: 『ここは代々木村で、ひとまず渋谷村にむかってよ』、叶人: 『村って、何?代々木や渋谷が村のわけないだろ』、十蔵: 『昔は狐や狸が出るような、田舎の村だったのだが、いまは違うのか?』

    ・十蔵: 『いまの捕方は、十手の代わりに種子島を携えているのだな』

    ・十蔵: 『三人部屋とか申したが、ここは旅籠か?』、叶人: 『旅館やラブホとは違うよ。ネットカフェっていうのはね…(説明)』、十蔵: 『なるほど、風呂屋の二階か髪結床のようなものか」

    ・叶人: 『服装はどんな?』、十蔵: 『白と黒の格子に、藍の袴だ』、叶人: 『チェックのシャツにジーンズってこと?』

    どうでしょうか?なかなかに面白いところを突いてくださる西條さん。このあたりの描写、”エンタメ小説”としてもなかなかに魅せてくださいます。これはもう、”時代小説”をメインステージとされる西條さんだからこそ描ける面白さだと思いました。

    ここまでの説明だけだと、”エンタメ小説”としての色合いを濃く感じられたかと思いますが、この作品は決してそれだけでは終わりません。というより、エンタメに振れば振るほどに、この作品が持つ、この作品の中央に流れるあまりにもシリアスな物語に読者は息を飲みます。それはさらに二つに分けられます。一つは、『三途の川の渡し守』としての”お仕事小説”に見る三人の活躍の先にある物語です。それこそが、

    『三途の川は、乗せた客によって流れも速さも変わるのだ』。

    そんな風に十蔵が説明する通り『乗せた死人に未練があると、ひどく波立ち流れも急になる』という『まだ彼岸に渡りたくないという死者の気持ちを』嗅ぎ取る『三途の川』の有り様が見せていく物語です。そして、実際に川は荒れ…という中に現世に未練のある人の物語が描かれていきます。私たちが日々を生きる中にはさまざまな人間関係におけるわだかまりの感情というものが日々生まれます。それは、親子である場合も多いと思います。この物語では、ファンタジーな物語設定を舞台に、現実世界に実際にあり得るそんな関係性の中にこの世に未練を残す人々の姿が描かれていきます。設定も何もかも全く異なるので単純比較はもちろんできませんが、辻村深月さん「ツナグ」、町田そのこさん「ぎょらん」、そして森絵都さん「カラフル」にも繋がる読み味をそこに感じました。これらの作品に心囚われたことのある、そう、そんなあなたにこの作品はとってもおススメです。

    そして、二つ目が、この物語の根幹を司るものです。『三途の川』まで来たにも関わらず『おまえはまだ、死んでいないじゃないか』と『ダ・ツ・エヴァ』に告げられた叶人。『学校近くの青江橋から落ちて、十五メートル下の吉井川に転落。現在、江南区立病院にて意識不明の重体』と現在の自身が置かれている状況を説明された叶人。しかし、そんな『ダ・ツ・エヴァ』でさえ、『どうして君が橋から落ちたか、我らですら判別できない』と語ります。死んだと思ったのに死んでいないという中に、『とっととお帰り』と『ダ・ツ・エヴァ』に言われる現状に困惑する叶人は、取り敢えず『三途の川の渡し守』の手伝いを始めますが、そのお仕事の日々の中に、どうして自身がこのような現況に置かれているのかを追い求めていくことになります。これが、物語全体に渡って徐々に、徐々に解き明かされていく物語の本種本流の根幹部分の物語です。そして、この要の部分こそが、この作品に隠されたまさかの物語です。そこには、私のこの長いレビューをここまでどう読んでも絶対に行きつき得ない、えええっー!と万人が驚く他ないまさかのシリアスな限りの物語が隠されていました。今まで読んでいたのは、”エンタメ小説”だったよね、”お仕事小説”だったよね、そして”ファンタジー小説”だったよね…という読者の前に姿を表す、あまりにもあまりにもあまりにもシリアスな物語、胸が詰まる、胸が痛む、息を呑むその真実の存在に、これは、なんて物語なんだろう、と、西條奈加さんという作家さんの描く物語にすっかり魅了される私がそこにいました。これは、これから読まれる方のために絶対に触れてはならない部分だと思いますので、これ以上の語りは避けたいと思います。是非、ご自身の目でそこに描かれる予想だにできない物語展開に私が抱いた思いを共有いただきたい、そんな風に思いました。

    『地獄というのは、別に人間をこらしめるためのものじゃない』、そんな言葉の先にあなたが今まで抱いてきた『地獄』、そして『天国』のイメージがすっかり塗り替えられる瞬間を見るこの作品。そこには、『三途の川は、乗せた客によって流れも速さも変わるのだ』という『死者の気持ち』を『敏感に嗅ぎとる』『三途の川』で『渡し守』を経験する中に、自分自身を見つめていく主人公・叶人の極めてシリアスな物語が描かれていました。

    “時代小説”の名手である西條奈加さん。そんな西條さんが絶品の構成力と想像力で魅せてくださるこの作品。”時代小説”と”ファンタジー小説”の融合の先に生まれた傑作だと思いました。

  • 小学六年生の叶人は、病院のベッドに横たわる自分の姿を見下ろしていた。どうやら自分は、橋から落ちて死んだらしい…
    しかし、たどり着いた三途の川のほとりで、事故死か自殺か他殺か、死因がわからないために川を渡るための手続きが出来ないと言われてしまう。
    記憶が戻るまで、川を渡る猪牙舟の渡し守を手伝わされることになった叶人だが、このふたり、あまりに罪深い生を繰り返したために輪廻の輪からはずれた、江戸時代の侍・十蔵と、やくざ者の虎之助だった。
    未練のために現世にさまよい出てしまった魂を回収するミッションをふたりの相棒とこなすうちに、叶人は少しずつ記憶を取り戻し…


    一日の通勤の往復で読了。
    小学六年生の叶人の視点から語られるので、ユーモラスでテンポよく、あっけらかんとした感じで、十蔵や虎之助と美味しいラーメンを食べるシーンで終わり。

    深掘りすると色々思うところがあるんだけれど、これは素直ににっこり笑って楽しもう。

  • 直木賞から西條奈加さんの棚が大幅に増えた。現代版もだが、初めて読んでみる。何気に江戸時代の登場人物が入っているけどご愛嬌か。どんな時代でも目的があるので読み尽くすだけ。天国でも地獄めぐりでもなくて三途の川が舞台なのが世界観かな。地獄はある意味魂を癒すと、天国なんかないと断言する。輪廻転生するけど7回迄の記憶しかない、同じ事をするけど、輪廻転生を意思で断れる。しかし虐める人間は無くならない、巧妙で複数人で。本当に腹が立つ、この事は黙ってるろとビンタで終わりとか緩いよ、同じ苦しみ与えようよ。だって三途の川だよ

  • 現代っ子の男の子、そっちの難しい方で考えるか?と引っかかりつつも、奪衣婆と懸衣翁にぎゅっと掴まれましたね。耳から得た情報が先だと、勝手なイメージで思い込むことはよくやりがちなので共感しました。
    死後の世界へのイメージも、刷り込みが無い子供だったらこんな風にも思っちゃえるんだなと。
    読み進めると少年がその考え方になる理由もちゃんと書いてあって、全部繋がって読後安心出来ました。

  • 生きることとは何か、命とは何なのかを考えさせられる。
    大分時代錯誤な登場人物が出てきたな、と思ったが、この作家さん、結構時代小説も書いているらしく。漫才の様なボケをする時代組と、ツッコミ役の小学生、と言うバランスも面白かった。

  • 現代物はちょっと 宮部みゆきさんの 神話に近いかな

  • ラーメンが食べたくなった。
    歳を重ねてからもう1回読めば視点が変わってこの本の深みが分かるのかもしれない。

  • 後味が気持ちのいい話しです。
    ああ 天国や地獄は 本当はこんな所なのかもしれないなあ!とか思いました。
    三途の川と現実の世界とを 行ったり来たりしながら
    魂のこだわりを見つけて 開放する。
    なるほどなあ!と納得!
    若い人より還暦過ぎて読むと 納得できるなかもしれません。

  • いじめ問題が主なテーマだと思うのですが、何故か三途の川というちょっと不思議な舞台設定。
    2人の侍や三途の川の番人とのやり取りはユーモラスで、最後の解決も良い感じでしたが、このテーマと舞台の組み合わせの必然性がよく分かりませんでした。

  • 主な登場人物がみんな好きな感じ。ファンタジー色が濃いけど、ちゃんと地に足がついていて、きちんと読める。
    何より、オチがステキだった。ラーメン食べたい。


  • 舞台は三途の川。
    小学六年生の男の子が、自殺か他殺か、はたまた事故か、死因が分からず、三途の川で足留めに。
    死者を黄泉の国へ送り出す三途の渡し守の手伝いをすることに。
    江戸時代の侍十蔵とヤクザ者の虎之助と共に。
    西條氏らしい一冊でした。少年の成長譚から、気付かされる内容は多い。
    死に絡む内容だけに重くなりそうテーマだが、軽やかさと爽やかさを合わせ持つ筆運びはさすが。
    読了感は爽快です。

  • タイトルの感じでは正直惹かれなかったのですが、読み始めたら、2鬼や江戸時代人の連れ2名とのやり取りに大いに笑わされ、血みどろ描写もありながら軽やかでした。しかし小学生ってこんなに知識豊富なのかな。

  • 読みやすく面白い作品だけど、似たような物語が多いので目新しさに欠けた印象。
    あらすじ(背表紙より)
    大きな橋から落下し、気づくと三途の川に辿り着いていた小学六年生の叶人は、事故か自殺か、それとも殺されたのか死因がわからず、そこで足留めに。やがて三途の渡し守で江戸時代の男と思しき十蔵と虎之助を手伝い、死者を無事に黄泉の国へ送り出すための破天荒な仕事をすることになる。それは叶人の行く末を左右する運命的なミッションとなった。

  • 9

  • 資料用に読んだ。後半がちょっと普通だけど、エピローグが読後感を良くしている。

  • 叶人はなぜ三途の川までやって来たのか?三途の川の渡し守を手伝いながら色々な事を見聞きしていく。未来に繋がる最後のシーンが嬉しい。

  • 意識不明で仮死状態の少年が、たどり着いた三途の川に居たのは江戸時代の武士とヤクザ者の2人の渡し守。3人は川を渡りきれない人の未練を果たすために現世に送り込まれ。。。
    何だか何処かで読んだような気もする物語です。
    ありきたりといえばそうなのですが、でも逆に安心して楽しめたような気がします。
    時代小説の味もありますし、西條さんらしい話でした。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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