女の子は、明日も。 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.70
  • (32)
  • (76)
  • (66)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 1038
感想 : 65
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344425682

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いつもは女性同士のドロドロした関係とか嫌なとこの詰め合わせみたいな物語を結構読むのですが(笑)
    この作品は不妊治療だとか婦人科系の病気だとかデリケートな問題を扱っているので、マウントとか探り合いとかに発展するのかと思えば、そうではなかった。各々抱えているものは違って、みんな分かち合えるわけではないけれど、大人になってからも友人関係って築けるんだなぁと。また、それぞれのパートナー(夫)との関係も描かれており、みんな違うタイプで夫婦という形でおさまっていてよかった。

    フィクションとしてドロドロした物語はよくあるけど、実際はこのお話ぐらいがリアルなんじゃないかと思う(そうあってほしい)。

  • 30代女性の4人のそれぞれの悩み。
    羨ましいなぁと思う人にもそれぞれ悩みがある。
    そんなもんなんだなぁと思う。
    自分は1番リオと旦那さんの関係が好きだった。
    読みやすくて、またこの作家さんの本読んでみたいな。

  • 初めましての作家さん。
    いい意味で思いがけず名作に出会えて幸せ。

    出産、恋愛、仕事。
    体調や人間関係まででてきて、まさに30代前半今の私にドンピシャな小説だった。

    ホルモン系の病気とか婦人科とか、ホント響いた。みんな悩んでるんだね。
    子育てと仕事、パートナーとの関係、周りと比べての劣等感。
    どの登場人物の悩みや思いにもすごく共感できて、ずっと読んでいたいと思う小説だった。

    女性同士のドロドロした感じがなく、明るく背中押してもらえる感じも良かった。
    この作者さん好きかも。違う作品も読んでみたい。

  • この本を初めて手にした高校生の時には最後まで読めなかった。何を書いてるのかわからなかったしキュキュんするわけでもない。1章目のまりこの話は辛うじて分かりやすかった。ふりんとふていを繰り返す目に余る美女だから。
    どの話にも出てくる存在の美女。
    その生体には憧れもあるしどんな思いでいるのかという好奇心もあったから。

    改めて社会に出るのを目前にして、実家に帰った時に、手にしてみた。
    確か、仁美の3章くらいから読めてなかったなと思って、不妊症に悩む標準の生き方をしてきた仁美の話を見た。
    女子グループの中で、劣等感に悩む仁美。
    みんなはそれぞれ授かって生きてるのに自分だけ自然にだれもが流石るべき赤ちゃんが生まれない。
    それでも夫と支え合って生きていくんだと。
    また電子メーカーに務める人の良さそうな婚活パーティで出会った旦那さん(ю:】もとても素敵だったけど、毎回選ばれる食事会のお店が割高なこと。
    お土産を持ってこられてもこっちも気を使うわりにお金の余裕が無いから家にあるもらいものの紅茶などでやりくりしていること。
    そうした、生活の余裕に対する劣等感というものはわかる部分もあって、共感しながら働きながら子供を産むことについて考えながら読み進めることができた。とまらなくなってて、これは全部読む?とおもい、4章のりおをよんだが、あまり入ってこなかったので改めて1章から。

    まりこの話はやはり忘れていたけど面白かった。
    働き詰めで夜中に帰ってくる父親を怒鳴りつける 母親と妹。高校の時からどこか異彩を放つ存在だったまりこ。流されるままに男性と関係を持ち、女性としてつ生まれたことを受け止めてきたまりこ。
    医師とふりんをして、妻になるが、満たされない気持ち。繰り返す不貞。そうしたまりこの心の中を見て、改めて自分に照らし合わせると不思議な気持ちになった。

    2章のゆか。
    まさか憧れの大手出版社で女性雑誌を担当してる編集者だとは、自分がめざしていた道だけに、すごく入り込んで読めた。
    to doタスクを作って黒マジックで消している部分については高校生の時ながらに読んで共感したことを思い出した。この中ではどちらかというとゆかが自分にはいちばん当てはまる気もするような。小さい時に母親に言われた言葉に取り憑かれているゆか。ゆかは、女であることに媚びるなと言われているがわたしは、女に生まれたからにはめいいっぱい女の子を楽しんで愛嬌良く可愛くと言われて育ってきた。だから女の子を楽しみながらも男性脳で上手く生きてこれたのかもしれない。
    高校生ながらに、葛藤して明るくサバサバしたキャラでいたゆか。それもわかる。女として自信のなさが明るさ優等生という部分で補うことによってなにかしら劣等感を埋める形に。に対してやはりこころは女の子だから、繊細に傷つくし、気も使って何とか生きてきた。それを理解している5つしたの旦那さんがまたとっても素敵で、ゆかに甘えるのだが、やりにげ??って悲しいよって素直に表すところもちゃんとゆかを女の子として扱ってくれて一緒に生きていこうとしているのはとてつもなくすてき。

    4章りお。
    まず、外資系の商社マンのこどもは海外育ちをするが、それによって集団で空気を読めなくなったりするのかあとか、すごい、と言われることに対して嫌な思いをしたりするのかあなど、ともだち「帰国子女」のこと、重ねた。やはり繊細な時期を日本という独特な社会で過ごしているのと過ごしていないのとではまた違った苦難があるのだろう。才能に恵まれながらも寂しさがある。ここで大学時代に出会った19歳から付き合っている旦那さんがまた素敵で。素敵すぎるん。じぶんとも重ねたわ。、
    翠ちゃんもまた可哀想で、おかたいところに嫁いだからこその苦難がある。それをぶちまけてしまったが故に。ここでのコミュニケーションについて、
    「りおは何でも持っているよね、絶好調よね、に対して、
    りおが初めに思っていた、「明るく返事する」が正解だったのか?
    それとも、そんな皆の羨望の窓になる立場として実際に謙遜した発言をしたがそれが正しかったのか?自分は恐らく、リオのような立場として人に見られていることが多いように思う。なんでも好きなこと仕事にできて、何不自由なくすてきな旦那さんも手に入れてそれ以上なにが欲しいって言うのよ、って。

    そう思われたくなくて自分なりにアホなとこや出来ないことを見せてバランスをとってきた人生であった。でもそれも受け止めてくれる人に、ともだちに出会いながらなんとか自己を保ってきた。
    人との関係性のためには自分の話や意見や感想を言うと相手にどう受け止められるか分からないしどう人に伝えられているかもわからない。それで傷つくくらおなら自分の考えは何も言わない方がいいのかもしれないと思って思春期はい来てきた。それは小説やドラマを見て、そういう捻れた状況を見てきたからである。だから自分はそんなややこしい状態になりたくないと。
    でも成長してきて、相手に自分のことをわかって欲しいと思う発達課題に直面した。
    その時に自分について伝えることが不足している。自分について話す方法を知らない。
    ここで就職活動になり、自分自身の生き方や考えをいかに相手に伝えるか、また相手も知りたがってくれているかという行動すべき時が来た。
    本当にしてよかったと思っている。

    あと、感受性や共感性が強くてという長所は裏返せば思い込みが激しいということばになるのかというのは驚きのリフレーミングだったが。まあそれは良しとして。私の強みは感受性である。
    長くなったが、


    6年の時を経て読めたし、読んで面白かったと思えた作品。これが、高校生の時の高校の発行する新聞に書いてあった副校長先生が言うてた、
    「本には旬がある。同じ作品でも読むタイミング年齢によって感じ方が違う」という
    ことばをずっと覚えていたのはこういうことか。

    こうして豊かに人の話を聞くことの出来る23歳になって良かったなあと思う今日この頃でした。

  • 私がまだそんなに大人ではないということなのか妊娠などはまだ想像がついていなかったが、「負けた」というように感じたりする女性の友情ってそんなこともあるのかと驚いた。

  • 女同士だからってどろどろしてなくて、みんなが抱えそうな気持ちを心地よいテンポで書いてある。
    自分からみたら、あの人はいろいろ手にしてていいなぁって思うかもしれないけど、その人もいろいろ悩んでるかもしれないなって思った。

  • 女性同士の結びつきが難しいという言葉だけで表せるほど単純なものではないと改めて感じた。
    境遇の違った同級生4人の女性が互いに感じる思いは、女性なら誰しも共感できる部分があると思った。
    つい感情移入してしまう小説だ。

  • 四人とも悩みが完全に解決するわけじゃないけど、ちょっと楽になるはなし。
    だれかがだれかに嫉妬したり傷つけられたりするけど、攻撃しないところがとてもいい。

  • 誰にでも、どれだけ欲しがっても、どうしても手に入らないものって、きっとあってさ。
    そういうものがあるってことにおいては、
    誰でも平等だと思うんだけど

    終盤の、真也のこの言葉が、とてもすとんと受け入れられました。
    みんな他から見たらとても充実してて、なんでも手に入れてるように見える4人が、それぞれの悩みと人生に向きあう、その過程がとても共感できる物語でした。

  • 友達と比較してしまうところとか、すごく身に覚えのある感情が多く飛鳥井さんの作品に登場する誰かしらに毎回自分を投影してしまいます。でも後味の悪さなどはなく、最後はほっこりできる、そう言う描き方が上手な作家さんだなあとおもいます☕️

著者プロフィール

1979年生まれ、愛知県出身。2005年 『はるがいったら』 で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。11年に上梓した 『タイニー・タイニー・ハッピー』 がベストセラーとなり注目を集めた。他の著書に 『君は素知らぬ顔で』(祥伝社文庫) 『女の子は、明日も。』 『砂に泳ぐ彼女』 など多数。

「2021年 『そのバケツでは水がくめない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

飛鳥井千砂の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×