骨を彩る (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 1641
感想 : 117
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344425699

作品紹介・あらすじ

十年前に妻を失うも、最近心揺れる女性に出会った津村。しかし罪悪感で喪失からの一歩を踏み出せずにいた。そんな中、遺された手帳に「だれもわかってくれない」という妻の言葉を見つけ…。彼女はどんな気持ちで死んでいったのか-。わからない、取り戻せない、どうしようもない。心に「ない」を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 一話一話読み進めるごとに書かれている感情が、より生々しく感じた。
    育ってきた環境の違いで、わかりたいのにわかりあえない。
    そういう経験は自分もあったし、ズキズキと古傷が痛む感じがした。
    自分の経験としては、いつもカッターシャツがシワだらけで、名字が3年で3回かわった子とか、日常会話はしつつも深く踏み込めなかったもどかしさがある。
    確かにその子からしても踏み込めなさを感じていたのかもしれない。
    どこまで踏み込むのか、大人になっても迷うことは多々ある。
    子供がそういう問題に直面していたら声をかけるのか、どうしようかと考えてしまった。

  • 言葉を選び、選びながら寡黙に テーマは“喪失”
    10年前に妻であり母親を亡くした、父娘を中心とした連作短編集

    「指のたより」
    妻を亡くした後、娘との生活を大切に暮らしてきた父親に心惹かれる女性が現れる
    妻の日記に残された言葉
    誰もわかってくれない
    亡くなる前の記憶と妻の出てくる夢が交差する

    最後の「やわらかい骨」
    こちらは、高校生の娘の視線
    父親との生活に過不足はないものの、自分では気が付かないほど本来の母親の不足
    宗教家一家の転校生との短いけれど篤い交流
    この章は、若くも深い感情が静かに描写されていて、若い世代にお勧めしたい

    「古代のバームロール」
    父親と親しくなりそうだった女性
    彼女の高校時代の友人達の現在

    「ばらばら」
    前作の女性の友人
    器用に生きていそうな彼女の子育ての悩み
    育った家庭のトラウマ
    旅先で甘え上手な少女と出会う

    「ハライソ」
    前作の少女とゲーム内の友人の大学生
    架空の世界の友人との現実世界の相談

    それぞれは、短編なのにきちんと物語が変わる
    繋がってはいくけれど、別の喪失に観点が変わる
    描ける世界が広いなと思いました

    • しずくさん
      ハライソってポルトガル語のパライソで(楽園)なのですね?!
      ハライソってポルトガル語のパライソで(楽園)なのですね?!
      2024/05/18
    • おびのりさん
      そうですよね。キリスト教での天国からですかしら。
      そうですよね。キリスト教での天国からですかしら。
      2024/05/18
  • 最近一通り色んな作家さん巡りをしてます。
    めっちゃ好み!と思ったら2冊目を買います。
    なので、作家さんの初読みに選ぶ本は、私の中で重要です笑

    今回、彩瀬まるさんも初読み。
    これを1冊目に選んだのは、本屋さんが宣伝として最前列に並べており、表紙が綺麗(結構表紙で惹かれて買うのも多いです、ミステリー以外は)

    指のたより
    古世代のバームロール
    ばらばら
    ハライソ
    やわらかい骨

    と、短編の連作集というのでしょうか。
    登場人物は次の話にも出てきたりしますが、
    それぞれの短編毎に主人公がいます。

    人間多種多様とは言えども、骨はみんな同じ。
    頭蓋骨、肩甲骨……
    それに肉がついていて、
    心は見えないがみんな違う。
    なんか色々考えさせられました。

    人それぞれ何かを抱えていて、
    傷つかない人なんていないということ、
    ただし、なるべく傷つかないように防御したり、忘れたり、諦めたりと。大人になるにつれて身についていき、これがないと生きていけないのかもしれないなと。

    ※背表紙の抜粋※
    わからない
    取り戻せない
    どうしようもない。

    心に『ない』を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作。

    読み終えて数日経過してのレビューなので、、
    やはり今後は読んだ後にすぐに書こうー
    その方が大事な事が鮮明に記憶に残る気がする。
    他の方のレビューも見てみよーと☆

    • さてさてさん
      なんなんさん、こんにちは!
      いつもありがとうございます。
      私も彩瀬さんのこの作品読みました。そもそも書名に『骨』が入るというのもインパク...
      なんなんさん、こんにちは!
      いつもありがとうございます。
      私も彩瀬さんのこの作品読みました。そもそも書名に『骨』が入るというのもインパクト大ですよね。おっしゃる通り、とても繊細に紡がれた作品だと思いました。
      また、お書きになられている通り初読みは重要ですよね。私も彩瀬さんはこの作品がスタートで、六冊まで読み進めています。良い作品との出会いはその作家さんを印象づけていくと思います。私は同じ作家さんの作品、三冊ワンセットで読むと決めています。合う合わないを三冊も読めばわかるかなあと。そこから次の三冊に進むか、そこで終了するか、そんな読書をしています。
      彩瀬さん、「新しい星」もとても良かったです。面白い視点という点では「さいはての家」もなるほどと思いました。
      すみません、自分のレビューのごとくコメントが長くなりました。失礼しました。
      今後ともよろしくお願いいたします!
      2022/09/29
    • なんなんさん
      さてさてさん、こんばんは!
      いつもレビュー読ませて頂いてます。
      なんでこんなに素晴らしいレビュー書けるんだろうなあってアウトプットスキル含め...
      さてさてさん、こんばんは!
      いつもレビュー読ませて頂いてます。
      なんでこんなに素晴らしいレビュー書けるんだろうなあってアウトプットスキル含めて尊敬しておりますっ!!!

      3冊ワンセットで読んでるんですね。
      素敵です!
      私、1冊目が飽きてしまうと、次にいってしまっておりました……。皆さんのこのようなサイクルというか読み方というか、選び方など知りたかったので参考になります!

      新しい星、さいはての家、要チェックします。教えて頂きありがとうございます!

      これからも宜しくお願いします☆
      2022/09/29
  • 「妻の夢」から始まる静かな物語である。
    津村は、妻の朝子を10年前に大腸がんで亡くしている。
    弁当屋の相川光恵と親しくなっているが、いまひとつ踏み出せない津村。
    イチョウが黄金色の雨を降らせ、朝日を受けてきらきらと輝くその情景が繊細で、心に深く刻まれていく。

    連作短編のようで、まるでバトンを繋ぐように、お話が少しずつ緩やかに繋がっていた。
    誰もが、他人にわかってもらえないものを抱えて生きている様子がありありと描かれていた。
    光恵の高校の同級生だった真紀子や玲子、津村の経営する不動産事務所に勤める浩太郎が主役となって登場し、それぞれ面白く読み進めていたのだが、最後の「やわらかい骨」でガツンとやられてしまった。
    ここまできてやっと、この本で言いたかったことにたどり着いたような気がした。
    3歳で母を亡くした津村の娘小春が、中学時代に体験したことによって何を感じ、何に気づいたのか。

    私自身が、この本によって大事なことを教えられたし、理解していないことがたくさんあるということに気づかされた。
    綾瀬まるさん、凄いです。読んでよかったです。

  • みんな誰だって隠しておきたい事、心に暗い影をもっているものなんだなと改めて思う作品でした。
    読み終えてみると、愛情や人の優しさ、思いはもっていても中々伝わらないものなんだな、と。
    相手を思う気持ちがかえって相手との距離を生み
    、ささいな誤解が大きくなり。
    人と繫がれる事は奇跡に近くて正解はないのかな。
    でも思う気持ちさえあればいつかまた理解しあえるのかも。
    感想は自分の気持ちも相手の気持ちも、理解するのは難しいでした。

  • 少し前のなんなんさんのレビューに惹かれて買ってみた。

    5つの話からなる短編の連作。
    前の話に出た人が次の話では全く異なった感じの人として登場し、人というのは他人から見える姿からは推し量れないものを心の内で持て余しながら生きていることを改めて思わされる。
    登場人物が持つ何か欠落しているという思いは、境遇だったり親や子のことであったりと様々で、人と関わることによって痛みを感じたり少し満たされたり。そうした行きつ戻りつの胸の内の描写が、自分に同じことが起こっているわけではないけれど、とても生々しく感じられた。
    それぞれの話で読み終わってもどのようにでも解釈できるようなところが残っているところも、人の心の在りようが単純なものではないことをよく表していたように思う。

    息子への処し方に悩みながら自身の過去の記憶と向き合い欠落を埋めていく母親を描いた三話目と、幼くして母を亡くした少女が"普通"について模索する最後の話が、私には良かった。

  • 本編も当然ですが、最近解説を読んで、作家先生は、言葉を形にするのが凄く上手なんだと改めて実感します。当たり前ですが。

    解説であるように、物語それぞれが「寡黙」ではあるが、それでいて「鋭利」であり「優しい」。読んでよかったです。

    桐野夏生さんの「日没」からの、振れ幅、最高かよ。

  • 十年前に妻を失うも、最近心揺れる女性に出会った津村。しかし罪悪感で喪失からの一歩を踏み出せずにいた。そんな中、遺された手帳に「だれもわかってくれない」という妻の言葉を見つけ…。彼女はどんな気持ちで死んでいったのか…。わからない、取り戻せない、どうしようもない。心に「ない」を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作。

  • 初めて読む彩瀬まるさん。
    登場人物それぞれの視点での話を集めた短編集だった。
    外からは華やかで満ち足りた人生に見えても、その人の中には決して埋められない何かを必死で抱えていたりすることを、物語を通して感じました。
    登場人物それぞれの幸せを切に願ってしまう、繊細で温かいお話だった。

  • 静かにゆっくりと流れる文章。
    なのに心の奥をぐいぐい抉られた。
    5つの物語が穏やかに繋がる連作短編。
    「隣の芝生は青い」というように、つい自分以外の人を羨ましく思ったり時に妬んだり…。
    でもその妬まれた人だって実は他人には明かせない弱さを抱えていることもある。

    自分の中で骨が一本足りない気がして落ち着かなくて、足りないものを補うみたいについ力が入ってしまう…この気持ち、なんか分かる。
    一人一人の喪失感が丁寧に描かれてあり何度も切なくなった。
    そして最初と最後の短編の、イチョウの黄金色の雨が繋がった時、とても泣けた。

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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

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