- Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344425729
感想・レビュー・書評
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京都で小さな和食器店を営む紫(ゆかり)の、京都らしさがいっぱい詰まった恋物語。
紫に想いを寄せているブライアンという欧米人のお客さんが登場し、“京都らしさ”をさらに引き立たせています。
あるパーティーで知り合った、紫より20歳ほども年上の染色工芸家湊光山(みなとこうざん)は、染めものに情熱を注ぎ、つかみどころのない魅力を持った人物で、危ないとわかっていながら、紫は光山のペースにどんどん巻き込まれていきます。
光山の工房を手伝っている藤代さんも美しく謎めいた女性で、もどかしいけれどこの恋の行方が気になります。
初めは、瀧羽さんの優しい文体のせいか素朴な雰囲気を感じていたのですが、50代と30代のわりと大人な恋愛小説でした。
ひとたらしな芸術家光山を中心に、藤代さん、紫、ブライアン。こういう関係もありかなと、最後はすがすがしい気持ちになれたし、京都の名所も満喫できたし、私はけっこう楽しめました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
京都が舞台と手に取るも、紫に魅力を感じられず共感できなかった。主人公に寄り添えない読みは辛い。
草木染めの描写は美しいのに、その美を生み出している光山もうすっぺらで魅力を全く感じられない。なぜ紫やたくさんの女性たちが惹かれるのか分からない。
藤代さんや紫を一途に想うブライアンが魅力的で最後まで読み通したが、これが大人の恋愛というのなら、私には分からないのかも‥‥ -
読み返すのは4回目。
大きな波風がなく穏やかな物語で、舞台となる京都の町並みや染め物の描写が魅力的。
何かに影響を受けることを「染まる」と表現する日本語の美しさを、読んでいて再発見したような気持ちになる。
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京都を舞台に瀧羽さんの優しい空気感が漂っていて良いな~、と最初は思っていたのですが、残念ながらちょっと合わなかったです。
紫が惹かれる草木染め職人の光山が軽くて飄々としているのが受けつけなかった…。
「大人の恋」?私的には最後までモヤモヤ…。(大人だけど)
ただ草木染めについての描写は興味深かった。
「草木染め」「大人の恋」「切ない恋」と似たようなキーワードの作品なら、昔読んだ村山由佳著「野生の風」の方が好みでした。 -
個性が豊かすぎる登場人物たち。いまいち感情が読めない人たちだけれども、それが京都という土地なのかもしれない。
日常と非日常の混在する土地。その振れ幅が面白いし、行ったり来たりして、感情が同時に振り回されて「染められていく」紫。
扱っている染物や陶器を含め、もう少し繊細さが欲しかったかな。 -
高校生が主人公になるような青春的恋愛物語のような雰囲気ではなく、かといって村上春樹の描くような過激的な雰囲気でもない、淡い感じの雰囲気の恋愛小説です。
特に特別な感じはなくて、主人公達の日常をのぞいているような小説に感じました。