いろは匂へど (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344425729

感想・レビュー・書評

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  • 京都で小さな和食器店を営む紫(ゆかり)の、京都らしさがいっぱい詰まった恋物語。
    紫に想いを寄せているブライアンという欧米人のお客さんが登場し、“京都らしさ”をさらに引き立たせています。

    あるパーティーで知り合った、紫より20歳ほども年上の染色工芸家湊光山(みなとこうざん)は、染めものに情熱を注ぎ、つかみどころのない魅力を持った人物で、危ないとわかっていながら、紫は光山のペースにどんどん巻き込まれていきます。
    光山の工房を手伝っている藤代さんも美しく謎めいた女性で、もどかしいけれどこの恋の行方が気になります。

    初めは、瀧羽さんの優しい文体のせいか素朴な雰囲気を感じていたのですが、50代と30代のわりと大人な恋愛小説でした。
    ひとたらしな芸術家光山を中心に、藤代さん、紫、ブライアン。こういう関係もありかなと、最後はすがすがしい気持ちになれたし、京都の名所も満喫できたし、私はけっこう楽しめました。

  • 京都麩屋町で小さな和食器店を営む紫は、恋人もいないまま、気付けば三十路を過ぎていた。
    そんな紫に無邪気で大胆に好意を示してくるのは、15歳も年上の染物師・光山。
    いつも彼の本意が読めなくて、そっけない態度しかとれないのだが、想いは募る一方。
    ようやく素直になれそうなとき、彼の工房で、いわくありげな年上美人と出会う。
    彼女は「恋人じゃない」というが、だったらいったい彼の何? 紫の恋心はこじれにこじれ……。 “あなた色"に染まるのも、染まらないのも、恋の醍醐味。 いくつになっても、恋は恋だが、奥手な三十路女子は、いったいどっちに転ぶのか?


    紫さんも藤代さんもとっても素敵な女性たち
    深くは語られていなかったけど藤代さんは
    自分の選んだ生き方とはいえ凄まじい
    思いをして生きて来たんだろうな
    そして到達した達観…。
    草木染めの描写が素晴らしくって興味が湧きました
    でも光山がどうしても好きになれなかった
    私は駄目だぁ

    人の気持ちってままならないものですね
    紫も真っ直ぐ思いを寄せてくれるブライアンを
    好きになればいいのにって何度も思った
    人の気持ちってままならないものだなぁ

  • 京都が舞台と手に取るも、紫に魅力を感じられず共感できなかった。主人公に寄り添えない読みは辛い。
    草木染めの描写は美しいのに、その美を生み出している光山もうすっぺらで魅力を全く感じられない。なぜ紫やたくさんの女性たちが惹かれるのか分からない。
    藤代さんや紫を一途に想うブライアンが魅力的で最後まで読み通したが、これが大人の恋愛というのなら、私には分からないのかも‥‥

  • 『うさぎパン』を読んで瀧羽さんの世界に触れたくて手に取った本です。

    光山と紫の距離感にムズムズしたりもしましたが、白黒ハッキリさせることは絶対必要なことではなく、むしろ割り切ってしまった方がいいこともある。
    割り切ってしまう恋愛は少し寂しい気がしました。

    ブライアンの素直な気持ちを真っ直ぐな言葉にして伝えてくれる所に心が暖かくなりました。

    人は誰でも、毎日少しずつ何かしらの影響を受けて染まっていく。いい様にも、悪い様にも。

    またひとつお気に入りの作品が増えました。

  • う〜わぁ、、、悪い男だホント(笑)ってなりますね。最後の最後まで、ただ自分の思うがままにしてる光山はすごい。と同時に、年齢環境お育ち問わず、女性陣がゾロゾロと軒並み惹かれちゃうのもわかるなー!!
    50歳の貫禄と落ち着きが増した光山も良いですが、私がやられるとしたら藤代さんと同じく20代の活気盛んで必死さが表に出ちゃう頃の光山ですかねぇ。。。
    たぶん、たくさんの彼女の1人だったとしても諦めるのめちゃくちゃ大変ってのもわかる。。いやしかし、よくこんな魅力的でひどい男を生み出せるものです。反面、ブライアンのなんて純でめんどくて紳士なこと。
    結局、紫がなんで人を遠ざけて1人で生きることを頑なに選ぼうとしたのかはイマイチわからなかったけれど、終盤でも結局、光山に惹かれることを辞めず、ブライアンとの距離もそのままなので行く末わからずですね。
    個人的に1番素敵なのは藤代さんと紫のママだな(笑)
    藤代さんが死んだかもと思った時の光山の態度にはすごいスッキリしました。よかった、最終的には一番大切な人が誰だか特定されて。
    ハッピーエンドでもバッドエンドでもないオチのなさが不満なようで、結局オチをつけにくい登場人物ばかりなんだと納得します。
    京都の情景や食べ物描写諸々含めて、全体的にはとても面白い恋愛小説です。

  • 京都を舞台にしている。
    小さな和食器を扱うお店の紫さんは
    彼女を慕っている外国人ブライアン、
    そしてカフェふやまちのオーナーたちと平凡な日々を送っていた。
    ある日、行きたくなかったパーティーで草木染をする光山先生に出会う。
    そして彼を取り巻く女性たちと関わっていく事で、いつもの日常が少しずつ変わっていく。光山先生はは一癖ある人物で、彼を取り巻く人たちも同じように波乱な人生を歩んでいる。そんな中、紫さんはなぜか彼に惹かれていく。惹かれていくのには理由なんてないんだろう…。そんな紫さんのゆれる気持ちを描いている。瀧羽さんの小説は、スケッチブックに京都の町並みを描き進めていくように広がりを見せてくれる。
    その中で、登場人物が色付けされていく様がとても好き。

    映画化やドラマ化されたら、
    紫さんは 木村文乃さんかな。
    光山先生は池内万作さん、
    光山先生の一番近くにいる藤代さんは羽田美智子さんかな、
    と、個人的に設定しながら読みふけってしまいました。。

  • 読み返すのは4回目。
    大きな波風がなく穏やかな物語で、舞台となる京都の町並みや染め物の描写が魅力的。
    何かに影響を受けることを「染まる」と表現する日本語の美しさを、読んでいて再発見したような気持ちになる。

  • 京都を舞台に瀧羽さんの優しい空気感が漂っていて良いな~、と最初は思っていたのですが、残念ながらちょっと合わなかったです。

    紫が惹かれる草木染め職人の光山が軽くて飄々としているのが受けつけなかった…。
    「大人の恋」?私的には最後までモヤモヤ…。(大人だけど)
    ただ草木染めについての描写は興味深かった。

    「草木染め」「大人の恋」「切ない恋」と似たようなキーワードの作品なら、昔読んだ村山由佳著「野生の風」の方が好みでした。

  • 個性が豊かすぎる登場人物たち。いまいち感情が読めない人たちだけれども、それが京都という土地なのかもしれない。

    日常と非日常の混在する土地。その振れ幅が面白いし、行ったり来たりして、感情が同時に振り回されて「染められていく」紫。

    扱っている染物や陶器を含め、もう少し繊細さが欲しかったかな。

  • 高校生が主人公になるような青春的恋愛物語のような雰囲気ではなく、かといって村上春樹の描くような過激的な雰囲気でもない、淡い感じの雰囲気の恋愛小説です。
    特に特別な感じはなくて、主人公達の日常をのぞいているような小説に感じました。

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著者プロフィール

1981年、兵庫県生まれ。京都大学卒業。2007年、『うさぎパン』で第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、デビュー。
著書に『ふたり姉妹』(祥伝社文庫)のほか、『ありえないほどうるさいオルゴール店』『女神のサラダ』『もどかしいほど静かなオルゴール店』『博士の長靴』『ひこぼしをみあげて』など多数。

「2023年 『あなたのご希望の条件は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

瀧羽麻子の作品

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