アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.92
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本棚登録 : 3385
レビュー : 311
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344426313

作品紹介・あらすじ

妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな作品。
    たぶん、人生で好きすぎて止まらない小説のベスト5に入るくらい。



    この娘さんの父親がどなかたご存じないなんて、命知らずだなって、思って。

    小野さん、そのうちいいことありますよ。


    ミッキーマウスの大変さには気づくけど、部下の大変さには気づかない。

    でも、俺が嘘ついていないの分かっただろ



    どれも好き。
    大好き。

    音楽って、無限ループみたいに
    何度も繰り返して聴きたくなる。

    それと同じように
    何度も読み返したくなる。

    楽しくて、愛しくて
    読み終わったら、寂しくて、
    また読んで。その繰り返し。


    なんだ、伊坂さん、ちゃんと登場人物に心を吹き込めるんじゃん。血を通わせられるんじゃん。
    て思った。

    ――どういうことかというと。
     伊坂さんの登場人物は、どこかドライな、醒めた感じがして、理性的にというか、狙って作られている感じが透けて見えて。だって、小説自体が、伏線の回収自体が、もうね、できすぎているもの。神様が作ったんじゃないか、というくらい。そのできすぎさが、登場人物たちが、自分で動いているというより、伊坂氏に動かされている感じがして、読んでいるこっちまで、この文章を読んで感じているこの心まで、伊坂氏の掌の上なのでは、と警戒をしてしまうのだ。
     
    恋愛小説は苦手だと言っていたけれど、こっちの方が全然いいよって、思う。誰も死なないし。悪い奴いないし笑。

    登場人物がちゃんと人間味があって、その分、伊坂氏のいつものマジック炸裂(というか、オンパレード?)みたいな感じで。ありとあらゆる手を使って世界を構築した感じがあって、そこもまた堪らなくて。

    あぁ、伊坂さん、そうきましたか、と読む。

    この小説って、どんな話?
    て聞かれたら、ネタバレどころではなく、全編を語ってしまうんじゃないかってくらい、好き。

    • まことさん
      次の作品も楽しみですね!
      次の作品も楽しみですね!
      2018/10/27
  • 伊坂幸太郎はいいねぇ。帰省で福岡へ向かう新幹線の中で読了(しかし、今日の混雑は半端ない)。
    今回は、じんわりと胸の中を打たれる奇跡のような出会いのお話が6つ。
    「アイネクライネ」「ライトヘビー」や「ドクメンタ」のようなありそうで実際にはそうはない、小説とすれば些か陳腐な出会いでも、この作者にかかると、自分にもこうしたことが起こるといいなと思いたくなる話になる。
    「ルックスライク」の最後、良かったなぁ。かつての恋人が結婚した相手を見て『素敵な人と結婚したんだな、とわたしも嬉しかった』と言えるなんて…。
    ここまでの登場人物の現在と19年前と9年前が行ったり来たりして語られる最終話「ナハトムジーク」、それまで全く関係なかった司会者の言葉に、またジンと来た。

  • 最近、伊坂幸太郎という作家の持つアトモスフィアが分からなくなりつつあるのだけど、台詞廻しの上手さと、モチーフの秀逸さが光る短編集!

    どの話も、ニコッと笑える。
    安心して最後まで賞味可能。

    冒頭「アイネクライネ」では、あっ、これ斉藤和義‼︎ってフレーズに出会えて、あとがきに記されていたのが楽しかった。
    斉藤さん1回100円。探したくなる。

    時代外れのアンケートに乗ってきてくれた女の子の、カバンについていたバズライトイヤーから、友人夫婦に「トイストーリー」勧められて、「2」まで買っちゃう小野さんが、好きだ(笑)

    「ドクメンタ」では5年に一度の催し物から、免許更新でだけ出会う相手の話が展開される。
    免許更新場での出来事を、宿命的ドラマに出来てしまう作者の発想が、すごい。
    通帳の記帳、私も溜まってるんだよなー。『新党億劫』が出来たら、支持します。

    「メイクアップ」も好き。
    高校時代に仲間外れにされた相手と、ビジネスの場で再会する。
    相手は覚えていないのだけど、彼女が果たして善きものに成長したのかどうか、そして復讐すべきかどうか、とウロウロする話。
    設定としてはある話だけど、どうにもこうにも平行線で、でもささやかな罰が当たればと願ってしまう気持ちって、分かるなぁ。

  • 2019/04/07読了


    伊坂作品特有の、短編の一つ一つが何層にも重なり・・・
    っていう作品群。見たことあるなって思う人やエピソードがあちこちに現れるとワクワクするし。
    そのうえ、短編一つ一つのエピソードのクオリティがとても高くて、そこに登場人物の「人生」がちゃんと「存在」しているのだから、それらがほかの作品と合わさって深くなっていく。なんて贅沢なのだろうか。


    「アイネクライネ」は斉藤和義さんへ向け、そして副題はベリーベリーストロング。なんたるコラボ
    小説に出てくる斉藤さんのこともあるし、もっとコアなファンなら別ベクトルの考察ができるのかも。
    この小説には悪役がいないのも特殊。その分人生が描かれている。


    アイネクライネナハトムジーク 小さな夜の曲



    <アイネクライネ>
    アンケートの意義を考える。立ち仕事と座り仕事
    体制は違っていても、つまりは仕事なんてそういうものなんだってくらいにシンプルに思える。
    違う姿勢で同じように会う男女って構図が良い。

    <ライトヘビー>
    電話でしか会わない、何者なんだろう・・・が
    キーキャラとして後程大活躍するなんて。
    ちょっとしたラブストーリーのはしりのよう。

    <ドクメンタ>
    時間の流れを作るのはこの短編になるのか
    免許更新の五年ごとに出会う女性がたどる自分の少し先の未来。
    予知のような不思議さもあるし、道しるべのようでもあるし。
    似たような境遇は、偶然とは少し違う。きっと見落としているだけで、この話はほかの話のキーポイントなのかもしれない。

    <ルックスライク>
    未来の話になるのか、今と昔を描いているのか
    「織田」がどうキーワードになっているかぼんやりつかめてきた。
    言い争いをおさめる方法と、親と担任の昔の関係
    っていうのと。ひとつの物語としてもとてもスッキリできるお話。

    <メイクアップ>
    昔を思い出し、かつてのいじめっ子に
    結局は「勝つ」のだから、心地よい終わり方だった。
    前を向く女性は強いし、ちょっといじわるな気持ちでいるのもある意味チャーミングで良い。

    <ナハトムジーク>
    ボクシングとそれぞれの物語の場面を回収するかのような
    超多重構造。
    一人の男の物語でもあり、その彼を取り巻く人と時間のうねりがここにある。


    それぞれの小タイトルの主人公がそれぞれ活躍する。
    それぞれの人生を描いている小説。
    読みごたえがあり、やっぱり伊坂さんの短編は面白い・・!

  • 今空前の伊坂ブームがわたしの中で来ていて買ってしまった。
    短編集で全部面白かった!
    評価が4なのは、なんか全部の話で登場人物が繋がっていて、あ!と思うのに疲れてしまったから、、、笑
    こういう心境なのかな今は。
    前はすごいって純粋に感じていたのにな。

    織田の娘さんと、その同級生の自転車のシール泥棒の話が個人的に一番すき。

    2017.10.08

  • 作者には珍しい、恋愛をテーマにした短編2編に導かれて紡がれた連作短編集。

    3作目に至ってやっと、登場人物たちが時制を変えて繋がっているのに気がついて、登場人物たちの名前と、その年齢を別紙にメモしていった。ただし、言っておくが、これは短編集の第一作からやった方が愉しめる。初期の伊坂幸太郎のように、時制の捻れや、恐ろしい悪人や超能力者は登場しないので、驚きの発見を愉しめるのは3作目辺りからだし、最終編ではキチンとほとんど解説してくれているから早くしとかないと無駄になるからである。(もっとも、メモしていたから解説編は全くこんがらがらなくて済んだのではあるが)

    これを読むと、たまたま車のフロントガラスにバズ人形をくっつけていると、例えば駐車場でたまたま道を聞いて来たような若い彼氏のいない女性が、それを見て、「トイストーリー好きなんですか?」ではなく「伊坂幸太郎好きなんですか?」と聞いてくる幸運は、あってもいいではないか、という気がしてくる、ちょっと伊坂には珍しいハートウォーミングな作品がほとんどだった。

    ところで、文庫解説において
    吉田大助氏が「伊坂幸太郎は友愛の小説家だ」と規定していた。それには、私は異議がある。60%は同意するが、あと40%の伊坂幸太郎を「友愛」というオブラートに包んで意図的に隠そうとしている気がするからである。私は50%か、或いはそれ以上は、「伊坂幸太郎は社会派の小説家だ」と思っている。いや、違う!と伊坂幸太郎ファンで言う人は多いだろう。伊坂はそう言われるのを1番嫌っているんだ、と。本筋とはあまり関係ないが、この作品でこういうくだりがある。

    「でもまあ、危ない目に遭わないで良かったよ。こんなことを言うのもなんだけど、正義とかそういうのって曖昧で、危ないものなんだから」
    「はい」織田美緒は意外にも殊勝にうなずいた。「お母さんに言われます。自分が正しい、と思いはじめてきたら、自分を心配しろ、って」
    「へえ」
    「あと、相手の間違いを正す時こそ言葉を選べ、って。というか、先生、どうしてここに来たんですか?わたしたち揉めているのを察知して?」(187p)

    伊坂幸太郎は、街の自転車駐車場での小狡い料金詐欺から、国家的な陰謀まで、ほとんどの作品でこのように「言葉を選び」「謙遜しながら」「正義」を語って来た作者である。本来ならばそんなことはせずに、もっと堂々とエンタメの極地の恋愛や性や(戦争・冒険という)かっこいい生死を描けばいいのである。しかし伊坂幸太郎は、それを避けて「言葉を選び、謙遜しながら、正義を語って来た」と、わたしは思っている。そうせざるを得ない伊坂の動機があるからだと、わたしは思っている。伊坂幸太郎の観る社会を、読者であるわたしたちは、キチンと受け止めるべきなのではないか。

    本筋とは関係ないけと、そんなことも思った短編集でした。

    2017年9月20日読了

  • 「アイネクライネナハトムジーク」伊坂幸太郎。短編と見せかけた長編ものだと思える作品。ベースには人の繋がりがあります。久しく恋愛から遠ざかっているので、前半2話は久しぶりに青春を感じる内容でした笑。恋っていいねえ。そして、最終6話では5話までの伏線が全部入って回収されていく。今回は登場人物が多くて、時間も前後するので、一気読みをオススメします。時間が空くと登場人物、これ誰だっけ?と思い出すのが大変です笑。終わりは勝って終わったも同然なのでスッキリです。この意味が知りたい人は読んでみて下さい。2019年秋には映画が公開されるようです。

  • 久し振りの伊坂作品。
    面白かった。

    短編集なんだけど、登場人物が少しずつ繋がってて。相関図書いて整理したい。笑

    今まで読んできた伊坂作品と少し雰囲気が違い、ほっこりする。頑張ってきて良かったよねって思えるもの。

    そしてこの作品も例に漏れずやはり、あの虫が登場してた。

  • 斉藤和義に依頼を受けて書き下ろされた作品を膨らました連作短編集?
    ホッコリした。最終章は時があちこちに飛んで混乱させられるがそれも楽しめる。

  • しばらく本離れしていたのですが、復帰しようと手に取った一冊。
    そういえば伊坂さんの作品はこうだった、と思わせる伏線の多さと見事な回収。
    かなりの期間をかけて空き時間に読み進めたので、誰だっけ?なんだこの伏線?となり、同じところを何度も読んだりしました。
    できれば一気読みが良かったかと。
    大きい事件が起きず、穏やかな物語でした。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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