サーカスナイト (幻冬舎文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344426443

感想・レビュー・書評

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  • ばななさんの言葉は、いつもわたしを救ってくれる。
    わたしの人生をいい具合に認めてくれる気がする。
    たからものにしたくなるような大切な言葉を拾い集めてはおまもりにして、ノートにのこす。
    以下、サーカスナイトのわたしのメモ。



    私はなにもしていないでふらふらしていたようで、実はいろんなことをしながらちゃんと歩いてきたんだ、と思った。

    それに、私こそが子どもを育てながら子ども時代をじっくりと取り戻しているのだと思う。

    「だいじな人を失うと、人はそこに何か深い意味をどうしても見いだしたくなるから。」
    楽しそうに見えるから大丈夫と言うことはない。
    ただ楽しそうでない自分がいやなのでそうふるまっているというだけで、そこに悲しみはいつも大きく重く存在するのだ。

    「すごく早くに親が死ぬと、早く大人になる面と、いつまでも子どもみたいな面が混じっちゃうんだよね。」

    細かい理屈は抜きに、ただいっしょにごはんを食べることで育まれるものまたひとつ育むために。
    みんなが楽しそうなので、私もにこにこしてごはんを食べた。

    「明るいのはとりえかもしれないなあ。赤ちゃんのときからずっと陽気だった。」
    「きっとすごく愛されているのがわかっているんだね。」
    一郎は微笑んだ。
    「みちるは、そういう意味では、ほんとうに恵まれていると思う。みんなにがっちり守られて、自分がいるということ、この世に自分がいていいということに疑問を持ったこともない。」

    生まれたての赤ちゃんからは四方八方にまるでビームみたいに真っ白い幸せの光が放たれていた。こんなに光るもの見たことがない、と私は思っていた。

    「人はたまにふるさとを訪れたほうがいいのよ。そうすると思ってもみないくらい素直に、気持ちが原点に返っていくから。」

  • よしもとばななさんの小説は、学生時代に好きで何冊か読んでいた。久しぶりに読んだばななさんの作品。

    気を張らずに、のんびりと読みやすい作品だった。
    主人公の心理描写が多めなので、なかなかストーリーが進まないと感じる部分もあった。

    ばななさんの小説を読むといつも、とても感受性の豊かな人なんだろうなと感じてしまう。
    透明感に溢れてる、ピュアで純真なイメージがある。
    でもそれは表面的なものじゃない。汚い、怖い、恐ろしいなど、この世界で見たくないものが確かにある中で、それらに蓋をするんじゃなく、それらを知ってて、受け入れた上で成り立っている感じ。
    透明に、繊細に受け止めて、そのうえで背筋を伸ばして生きている。そんな登場人物たちに力をもらえる。
    ばななさんの小説はいつもそんな感じがして、そういう部分に感動する。

    主人公さやかさんのような、おおらかだけど繊細で、キレイな感性で、この世を見られたらいいな
    と思った。
    忘れてた感覚をとりもどせて、なんとなくポジティブになれる作品でした。

  • 一回読んでみたかったよしもとばななさん。
    主人公に対して全く共感できなかったのが残念。
    読み方が違うのかしら。

  • 久々によしもとばななさんの本。
    弱っている心に浸みてくる・・・
    自分の心と体に良く耳を傾けて生きる。
    それが大事と思う。

    バリで生まれ育って、早くに両親を事故で亡くした さやか。
    ずっと友人だった悟に、癌で余命幾ばくも無くないけど、自分の子どもを産んで欲しいと頼まれ、みちるを授かる。
    悟の両親とみちるとの日々に、自分の居場所をみつけていくさやか。
    生きてきた姿勢が、いろんな今を引き寄せる・・・そんな感じかな。

    バリに行ってみたい。

  • ばななさんのキッチンとか今まで読んできて、今回久しぶりにばななさんの作品を読んだ。
    主人公がなのかもしれないが、いままでとは年齢が上がって大人な雰囲気だった。
    主人公が若い頃の話を振り返ることが多いし、様々な年代の人たちが登場するので、人生について考える部分が多かったようにおもう。

    あとバリと日本を比較している部分がとても面白かった。バリにはいったとこはないけど、日本にはないアジアの感じが書かれてる。
    日本は変わってしまったのかなあー。

    ★バリにいつかいきたい
    ★ばななさんの他の作品も読みたくなりました

  • ばななさんを初めて読んだけど、とてもキラキラとした女性らしい物語だと感じた。

    登場人物がみんな異様に素敵に描かれていて、(唯一、一郎が頼りないくらい)ちょっとキラキラしすぎかなと感じたけど、読んでるとこっちの心も表れてくる気がする。

    少しピュアな人になれるかしら。

    どこか頼りなかった、一郎が成長していることがわかっていく様子と、さやかも「ただただ時間の流れを受け止められるようになっていく」感じが好きでした。

    蓮の花って、朝から昼くらいまでしか咲かないんやね。

  • これはわたしには合わなかった…なかなか主人公の気持ちに寄り添えなかった。

  • 見えない偉大なチカラを宿すイダさん、全てを受け止めてくれそうな兄貴丸さん。実在する人物なのですね。会ってみたい!

  • こんなに『日常』『人生』を感じる作品は初めてでした。
    特に急展開を迎えたり、意外なことが起こるわけではなくて、時間の流れが本当にゆっくり。ある意味、変わらない日常を過ごす感覚が心地よい作品でした。
    もちろん、ゆっくりの中に確実で、大切な変化があるけど、そういうのがまさに人生という感じ。
    ちょっとした噛み合わせでたまたま起こった小さなことが後につながってる、みたいなところが。

  • 優しい物語だった。ずっと日本で生活していると分からないけど、八百万の神がいてる国とは思えないくらい、目に見えないもののことを否定する国になってしまったんだなあと思う。海外に行くと、特に昔からの考え方や物事が未だに生活の中心にある国に行くとそのことを実感する。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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