キャロリング (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.70
  • (147)
  • (379)
  • (308)
  • (41)
  • (6)
本棚登録 : 4906
感想 : 269
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344426719

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 久しぶりに有川さん。
    こちらは本屋さんで冬に読もうコーナーにあり、
    表紙がかわいくて⸜(*˙꒳˙*)⸝

    人間の温かさの心を描くのは本当に上手で、子供から見た大人がどう見えてるか?などの描写もうまい!!離婚して欲しくない子供に主人公!?と元カノが関わっていく流れなのですが、、
    前半は面白い!(◦ˉ ˘ ˉ◦)
    後半に向けて、
    え?いきなりそんな事ある?
    そんな一大事起きた後にこの流れ?不自然?
    とか、自分の中で消化できない想いが…………
    みなさんの評価高いので、私がお子様なのかもしれないのですが(^_^;

    有川さんは、レインツリーの国が最高だったので、そこに期待値上げてしまった気がする。
    またいつか再読したら違う読後感なれるかもー、、、。

    ページあたりの文字数も、ほどよい空間あるので400頁くらいあるが一気にスラスラ読める。読みやすかったです。でもなんか突然読了してしまった感じで、私には少し物足りなかったです(๑˙³˙)و

    最近ミステリー連続読み続けてるからかもしれない!?まあいいか、次何読もうかな。


    物語に、全く関係ありませんが生まれて初めて花粉症になりました。これやばすぎますね( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

    • あゆみりんさん
      北海道はスギ自体が少ないですからね、そのかわり白樺などの花粉症の方が多いと聞きました。
      スギは4月くらいまでですが、私はヒノキもなので5月半...
      北海道はスギ自体が少ないですからね、そのかわり白樺などの花粉症の方が多いと聞きました。
      スギは4月くらいまでですが、私はヒノキもなので5月半ばまで辛いですよね。
      スギは舌下治療がありますよ、私は治るって言われても信じられなくてやっていません。
      なんなんさん、目は痒くても一度かいたら終わりですっ、耐えてくださいっ‼︎

      1Qさんは残念ながら花粉症デビューですね、土瓶さんもいつくるか分かりませんよ、私も最初は鼻風邪だと思って内科に行きましたから_:(´ཀ`」 ∠):
      2023/03/04
    • なんなんさん
      あゆみりんさん、ありがとう!(´▽`)ございます。
      木の種類も関係してるんですね!?
      花粉症ならない謎の自信あったのに、最近もう覆されました...
      あゆみりんさん、ありがとう!(´▽`)ございます。
      木の種類も関係してるんですね!?
      花粉症ならない謎の自信あったのに、最近もう覆されました。花粉症様、お許しください(,,• - •,,)ノ″レベルで、もうキツいです。。。
      2023/03/04
    • 1Q84O1さん
      あゆみりんさん、私も花粉症なんですかぁー!?
      いや、これは違います!w
      私の思い込みです!
      クシャミはたまたま!
      目も痒くない痒くない!
      あ...
      あゆみりんさん、私も花粉症なんですかぁー!?
      いや、これは違います!w
      私の思い込みです!
      クシャミはたまたま!
      目も痒くない痒くない!
      あれ!?
      鼻がムズムズするぞ…
      いやあ~〜〜〜〜、まだ諦めないぞ!
      2023/03/04
  • クリスマス、その五文字を口にするだけで、なんだか顔がほころび、幸せな気持ちに包まれる不思議な何かが漂うこの特別な日。いつの頃からかすっかり根付いたこの幸せな、めいっぱいのハレの日。そんな幸せな日に廃業することを決めた会社がありました。『エンジェル・メーカー終焉の日まで後○日!』、とカウントダウンの掲示を事務室に貼って、その日が来るのを暗い顔ひとつせずに毎日をまっすぐに生きる人たちがいた。そんな時でもやさしい心で困っている人に手を差し伸べる人たちがいた。
    そして、そんなクリスマスを多くの人々に讃美歌を歌って告げ知らせていくというキャロリング。『ありふれた話だ。集めて煮詰めて佃煮ができるほどよくある話』、とは第三者が思うこと。それぞれが幸せな日を夢見て自分の人生を一生懸命に生き、特別な日が、特別な日になるように小さな毎日を生きている。そんな一生懸命な人々に舞い降りた小さな幸せがひっそりと紡がれていく、そんなとてもやさしい物語が始まる。

    『こちらを向いた銃口にはまるで現実感がなかった』という緊迫感のある冒頭、『自分を向いている銃口は、いつ火を噴くのか。引き金はそれを引くことが何ら非日常でない者の指にかかっている』という状況の中、『その子はうちで預かった子だ。俺はその子を守る義務がある』と叫ぶのは主人公・大和俊介。『暴力は突然爆発した。言葉に一つ息を入れるごとに男が靴先を蹴り込む。蹴り込まれるたびに息が止まる』という展開に『やめてよ死んじゃうよ!逆らわないでよ大和!謝って!』と少年が叫ぶ序章に続いて描かれるのはそれに遡るこれまでの俊介の人生。『大和俊介の勤める「エンジェル・メーカー」は、東京は月島の集合ビルに事務所を構える小規模子供服メーカー』、わずか五名のその会社。『エンジェル・メーカーは今月の締め日を以て廃業ということになります』と告げるのは社長の西山英代。『クリスマス倒産かぁ』と投げ出すようにデザイナーの佐々木勉は呟きます。『大和俊介にとって西山英代は「小さい頃から知っているおばちゃん」』という二人の関係。そんな俊介が幼い頃から『ねえ。思い切って別れたら?』、と英代は俊介の母に言い続けてきました。『母が俊介を連れて英代を訪ねるとき、母の顔や体には痣ができていた ー 父の暴力だ』という俊介の日常。でも『転機は俊介が中学校に上がった頃におとずれた』、と力が強くなって父に抗うことができるようになった俊介。『父の暴力は一方的なものではなくなった』と思ったある日、酒を飲んだ父親が俊介を襲います。『「やめて!やめてあなた!俊介が死んじゃう!」目が覚めると素っ気ない白い部屋に寝かされていた』というまさかの救急車が、警察が出動する最悪の展開。しかし、警察に対して『俊介の家庭内暴力で両親はずっと悩んでいた』というまさかの設定にされてしまう俊介。結局、両親は離婚、母親と暮らし始めた俊介。しかし『高校に進学してしばらくして、母が再婚することになった。その相手を聞いて、言葉をなくした』という衝撃の展開。それは『別れた父とよりを戻す』という俊介にとってありえない展開でした。そして、一人暮らしを申し出た俊介、両親と関係を絶った人生が始まります。

    「キャロリング」という書名にかけて、5つのクリスマス・キャロルの名前が付けられた五章から構成されるこの作品。過去に親の離婚を経験した俊介と、現在進行形で離婚を止めようとする航平の人生が対比して描かれます。『母親が親父に殴られるのを見てるしかない気持ち ー 母親が殴られてるのに自分が殴られないために息を殺しているしかない気持ち ー 服で隠せるところが紫の痣だらけになって人前で袖もめくれない気持ち』という壮絶な親子関係に苦しんできた俊介。すでに親と離れ、会うことも全くなく、すべてを過去としたはずの俊介ですが、柊子と結ばれていく過程で、図らずも今も俊介の心の奥深くに色濃くその影を引きずっていることを認識することになります。結婚に向けた話し合いを進める二人。俊介の『俺の両親は割愛ってことじゃ駄目かな』と語ったひと言が作るふたりの間の埋められない溝。有川さんがここで用いた表現は『彼女の辞書に載っている倫理は自分の辞書には載っていない』という『辞書』という言葉を使った表現です。一般的には【私の辞書に不可能という言葉はない】というような使い方をされることはありますが、ここではふたりの『辞書』の内容が比較されていきます。当初『自分の辞書に載っていない彼女の言葉が好きだった』という俊介。それが結婚という人生の分岐点において『彼女の辞書には両親を割愛するという文法は載っていない』ということに気づきます。そして『ここにきて辞書の違いが致命的になりつつある』、と認識し『これほど持っている辞書が違うのに、二人で生きていけるのか』と考え、別れることを決断する俊介。一方で、『載っていない』側の柊子は、当初、俊介の主張がまったく理解できずじまいでしたが、『英代からいろいろ聞いた。大和は「辞書が違う」と言った。その意味がやっと分かった』と感じ、『そんな辞書を編まざるを得なかった大和に、執り成す柊子の言葉はさぞや甘くて苦々しかったことだろう』と、もう戻れないふたりの関係を思う柊子の心の内が描かれます。『辞書』という象徴的な表現を元にこんな風に心の動きを描いていく有川さんの筆、凄いと思いました。

    はっ、とするような言葉が全編に渡って多々登場するこの作品ですが、中でも衝撃だったのが次の言葉でした。『愛されている子供ほど母親を傷つける力を持っている』。この言葉を、英代は、圭子と航平という親子ふたりが揃う場で『圭子をいたわりつつ同時に航平を諭す』ように語ります。『子供さんを夫婦の裁判官にしちゃいけません』とも語る英代。この英代の大きなやさしさと深い包容力に、かつての俊介も、そして現在の航平も救われてきました。クリスマス繋がりで敢えて書くなら、聖母マリアのような存在の英代。一方でそんな英代に小さい頃から面倒を見てもらってきた俊介は『不幸の比べっこなんかしたって仕方ないだろ。同じ離婚にも不幸のランクがあるんだ。それでも、自分の胸には自分の不幸が一番痛い。だから比べたって仕方ないんだ、他人にも自分にも』と今を苦しむ航平に冷静に語りかけます。壮絶な親子関係を生きてきた俊介ならではの言葉の説得力は、作品の結末の納得感にも大きな役割を果たしていたと思います。

    俊介の壮絶な親子関係を経た先に見えた柊子との関係、現在進行形として描かれる航平の両親が出す結論、そして絶対的な悪人にはなりえなかった赤木という男の存在。これらがクリスマスに向かってゆるやかに絡み合って小さな奇跡が生まれるこの作品。単純にクリスマスだから強引にハッピーエンドにしてしまおう、というのではなく『子供だましにしなかった』あくまで大人の事情が優先される結末。それ故に、どこかほろ苦さの残る、それでいてほんのりとしたぬくもりの残る、そしてクリスマスの聖なる夜にふっと余韻の残る、おだやかな気持ちになる読後。みんなの未来にやがて訪れるであろう幸せが垣間見れた、そんな作品でした。

  • クリスマス前に起きた事件。個性豊かで魅力溢れる登場人物たちと、背景にあるそれぞれの境遇や事情。
    親の離婚、虐待、借金。子どもは生まれる環境を選べない。どんなに理不尽であっても。犠牲になるのはいつも子どもで、なのに子どもは願うことしかできなくて…
    どんな悪い大人も子どもだった時がある。だからといって何をしても許される訳ではないが、誰か一人でもその人を大切に思ってくれる人がいたら、人生も違ったかもしれない。
    誰かを大切に思う心がすべてを救う。
    皆の幸せを願いたくなる素敵な作品だった。

  • ☆4

    クリスマスの時期が舞台の作品という事で、勝手に華やかで心温まるお話だと思い込んでいたのですが…読み始めてすぐに「あれ?作品を間違えたかな?」と思ってしまうほどの衝撃的な始まり方には驚きました!
    ハラハラドキドキする場面もありましたが、読了後にとっても温かい気持ちになれた作品でした❁⃘*.゚

  • 有川氏らしい構成。
    ずっと引き込まれる展開。
    いくつも感動うシーンがあり、マークしたところがいっぱい。

    暴力シーンが多く、そこは読むのがつらかった。

  • 悪人を悪人だけにはせず、無理やりハッピーエンドにもしない。けれども、皆に未来をこの先の人生に希望を持たせながら話は終わった。
    優しさとピリッとする冷たさと、人には色々な顔がある事を教えてくれる話には登場人物それぞれに愛情を感じる。
    皆の幸せを願える素敵な小説でした。

  • 会社が倒産する話なのに、全く思ってもみない展開だった。
    主人公と子供との掛け合い、成長がとても良かった

  • 子供の心理描写が、とても上手いなぁという印象です。特に、両親の離婚を、なんとか止めようと必死の、小学校6年生の航平君。周りの大人や、読んでいる私も、ここまで夫婦関係が、こじれてしまったら、修復は無理だろうなぁ、と思っても、航平君は、決してあきらめません。自分の気持ちが両親に伝わらず、逆に両親から傷つけられたり、こちらの胸が苦しくなりました。最終的には、離婚は回避できませんでしたが、親子3人、きちんと向き合って、話し合えたことに、光が見えた気がしました。

    このお話は、誘拐事件もからんできます。有川さんの文章は、相変わらずテンポが良く、一気に読めます。読後感も爽やかです。

  • 有川さんのラブコメは絶品!最近は、あまりガッツリ『ラブコメ好きで何が悪い!』感がないなぁ…と思っていただけに今回は、クリーンヒットだった。
    子どもの頃に負った傷はなかなか消えない。
    現在進行形で傷ついている少年、親に振り回されて傷を持ったまま大人になった青年、現実から目をそらして夢の世界にいようとする大人。
    いろんな人生観を持った人間が集まって織り成す物語は、じんわり温かくなる。
    「誰と比べても、不幸にランクがあったとしても、自分の傷が一番痛い」。「不幸を比べっこしたってしょうがない」そう言いながら、今、傷ついている航平の辛さを思いやっている大和の気持ちが一番心に響いた。
    その一方で、育ちの違いからすれ違ってもなお好き同士の大和と柊子のエピソードが大好きで、何度も何度も読み返した。
    大和…好きだ!
    口が悪くて、短気で、すぐにポンポン怒るけど、関わった人を見捨てられない。仕事のできる、目端の効いた彼。
    どこかで、聞いた?『海の底』の夏木さん。『図書館戦争』の堂上教官。舌禍で失敗するタイプ。
    冬原さん派ですけどね。有川さんが好んで?書くこのタイプの不器用な青年、大好きです!
    柊子は、笠原…郁ちゃんや望ちゃんタイプでなく、『県庁おもてなし課』の多紀ちゃんに近いかな。大好きです!!

    あと、悪役の面々もいい味出してます。彼らも憎めない。
    クリスマスは、清算される日。これが一番のテーマかな、と勝手に解釈しております。

  • 言葉ってナイフにも癒しにもなる。互いの辞書の違い...。互いに分かるように伝えなければ伝えたことにならない。それでもどうしようもないことも、戻れないこともある。でもそこから始めるしかないんだよなぁ。
    感涙必至のハートフルストーリーがここにある。

全269件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

有川浩の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×