- Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344427143
感想・レビュー・書評
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会社の人から、進撃の巨人を勧められ、
ここ2週間ほど読書はそっちのけで、Amazon primeビデオの
進撃の巨人のアニメにかじりついていたw
それはそれで面白かったが、さすがに70話は疲れた(^-^;
久々にまた読書。
そして、これまた久々に有川浩さんの作品。
有川さんの作品は、ほんのり初々しい恋心が書かれていて、女性にはのめり込みやすい作品が多い。
文章も、男性作家のようにカチカチの文章ではなく、柔らかく中高生にも読み易い。
この話は、児童養護施設を舞台に繰り広げられるストーリー。
児童養護施設に転職した元営業マンの三田村を中心に、ベテラン先生、施設の子供たちのドラマが描かれている。
自分には縁の無い世界だったが、読書を通して色々なことを学べたなぁと感じた。
世の中のタイガーマスクがランドセルを送ったというニュース。
私は素晴らしいニュースだなぁと思っていたが、送る方にも配慮が必要であることも学べた。
そう感じながら解説を読んだら、何と 世の中の人に児童養護施設のことを知ってほしいと思った女子高生が、
直接有川浩さんに手紙を書いて、このテーマで作品を書いてもらったとのこと。
確かに、有川さんくらいの人気作家さんなら、たくさんの人がこの作品を手にし、理解が広まるんだろうなぁ。
そんな意味でも、やっぱり読書って素晴らしい(*´▽`*)
自分が生きていて出会いことのない世界にも、簡単に連れていってくれる♪詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
立場が変われば考え方も変わるし、見え方も変わる。当事者について考えさせられました。どこにいてもどう生きてもその人次第。
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良かったです。
本好きの友達にもおすすめしたいです。
児童養護施設のお話です。
もしかしたらと思いながら読み進めましたが本の最後に解説を書かれている方が当事者であり作者へ手紙を送り児童養護施設について本を書いてほしいとお願いした事が書かれています。
読み応えのある本でした。
星が1つ少ないのは登場人物が厳しめな人達が多く少し気持ちが落ちてしまったから…ですかね。 -
解説を読み始めて、超サプライズが…。そういうことだったのかー! という感じです。
本書は、児童養護施設に転職した三田村慎平の一年間の成長物語でもありますが、施設の実情、そこで過ごしている児童・生徒や職員の喜びと苦悩について、世に知らしめる点で意義深いと思いました。
児童養護施設は、外部からどれだけ偏見や思い込みでマイナスイメージをもたれているか、丁寧に語られます。職員や生徒の現在や過去、またかつての当事者の視点からエピソードが挟まれ、読み手が施設のことを理解し、微力でも支援する側には立てるのかなと気付かせてくれます。少々重い雰囲気もありますが、施設を取り巻くリアルが感じられました。
本書の読後だけでなく、いつも言葉の遣い方の難しさを実感してしまいます。コミュニケーションの手段だけに、上手く伝わらなかったり、誤解されたりし関係性が悪くなるケースは、大人も子どももあります。
やはり気を付けたいのは、悪意がなくても「かわいそう」(何を捉えて、どう考えての発言か?)と「子どものために〜」(本当に子どものためになっている行為か?)には心していきたいと、自戒の念を覚えました。
施設の子どもだけでなく、困難を抱えている全ての子どもたちが、一人一人の社会的な自立に向けた個別の支援がなされるよう、願ってやみません。 -
児童養護施設の話。
とても良かった。
さすが有川氏。
これはずっと大切にしたいし、是非みんなに読んでもらいたい一冊。 -
児童養護施設で暮らす子と働く人達のお話。登場人物達全てが、本当に素晴らしい人達でした。この本を読んで少しは施設の事を知れたかな?“子供たちは明日の大人”という言葉に妙に納得させられた。
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読みはじめてから以前読んだことがあったと気づいたものの、展開が全然思い出せなかった。
有川浩特有のラブコメ感がちょこちょこ。
児童養護施設は実態をよく知らないから、少しでも知られて良い。
施設長の、読書に対する見解を語っている部分が好きだった。
「本を読んだら自分以外の人の人生が擬似体験できるでしょう。」「そうやって他人の人生を読んで経験することが、自分の人生の訓練になってることがあるんじゃないか」「踏み外しそうなときに、本で読んだ言葉が助けてくれたりとか…」 -
とにかく気持ちのいい物語だった。児童養護施設やその子供たちのシビアなところを描きつつも、一方で温かさと希望が胸に残る。最良のフィクションだと思います。
前職を辞め、新たに「明日の家」という児童養護施設の職員に転職した三田村慎平。赴任早々から、先輩職員に注意を受けつつも、子供たちになじもうと積極的に努力する。
しかし、生活態度や職員との関係も良い女子高生、奏子からはある会話をきっかけに壁を作られてしまい……。
世間からの色眼鏡。学校での立ち位置。進学と就職。施設を出た後の居場所……。児童養護施設とそこに暮らす子供たちの現状の問題と課題が、物語について回る。
印象的なのは高校受験の話。
児童養護施設というのは、学校に属している状態でないと入所できないらしく、そのため子供たちは高校受験で落ちてしまうと、強制的に退所せざるを得なくなる。
一方で私立や通信制の高校に通う余裕もないから、公立の高校受験で何が何でも合格しなければならない。合格できなければ、文字通り生活の場所を失ってしまう。
こういう話を当たり前のように語る子供たちの姿が強く印象に残った。児童養護施設や、そこにいる子供たちの存在自体は知っていても、そうした環境については考えたこともなかったのだと感じます。
他にも友達に施設にいることを話せない子や、かわいそうな子と世間からのラベリングを嫌がる子といった内面的な部分や、
施設から大学に進学したものの、学費が払えず大学を中退し連絡が取れなくなった女の子、施設を出た後の子供たちのケアの不足、そして政治の理解や支援の不足など、環境面的な問題点など、リアルでシビアな話が続きます。
そうした問題に挑むのは、当事者の子供たちと、そして職員たち。中心となる語り手の一人、三田村は有川さんらしい男性キャラ。考え足らずなところは多いものの、熱血でまっすぐで一生懸命。
有川さんの若い男性キャラは、キャラが少女マンガチックというか、ストーリーは面白いものの、キャラに対しては正直冷めた思いで見てしまう場合も多かったです。
『明日の子供たち』も序盤の三田村、特に奏子との会話の下りは、構成上必要なのだろうな、と思いつつも「ああ、これは受け付けないキャラかも」と思ったりもしました。そんな分かりやすい地雷を踏みに行くかと……
でも物語にエンジンがかかってくると、マイナスだった熱さがプラスに転じてくる。奏子と正面から対話し、先輩職員の悩みや惑いに対しても首を突っ込む。単に熱いだけでなく、職員になる前に前職で営業をしていた経験を活かし、閉鎖しがちな施設に新たな風を吹き込む。
単なる考え無しではなく、優秀なところもしっかりと残しつつ描かれているのも、キャラとして感情移入しやすかった。ともすれば、言動が可愛らしくも見えてくる。有川作品のキャラの魅力が、ようやく自分にも分かってきた気がします。
三田村以外の職員、直属の先輩で、真面目な気質が印象的な和泉。一見陰気ながら、頼れるベテラン職員の猪俣。それぞれのキャリアが違うゆえの方針の違いや考えのすれ違い、そして内に抱えたもの。施設の限界や子供たちの内面を描いていく中で、生まれる彼らの悩み。
子供たち、そして大人たち、それぞれの苦悩をフィーチャーしつつ、人格やキャラクターが立ち現れてくる。そして現実のシビアな問題に対し、小説は何ができるのか。有川さんの物語世界は、暖かさと希望を持って、読者に、そして社会に真っ直ぐに突き刺さる。
作中の手紙、そして有川さんに「児童養護施設をテーマにした小説を書いてほしい」と手紙を出した、当事者の方の解説も印象に残る。
フィクションだって現実に負けない、そして押し返す、創りかえる、そうした力があることを、この『明日の子供たち』の物語と合わせて実感させられました。 -
p.327
「人生は一人に一つずつだけど、本を読んだら自分以外の人の人生が擬似体験できるでしょう。
物語の本でも、ドキュメンタリーでも。
そうやって他人の人生を読んで経験することが、自分の人生の訓練になっていることがあるんじゃないかって思うのよ。踏み外しそうなときに、本で読んだ言葉が助けてくれたりとか… 」
私は障がいの方が通う施設で働いていますが、施設長の福原先生のお人柄がとても素敵で、おおらかで愛にあふれていてなんて懐の深い方だろうと思いました。
そして、登場する施設の職員全ての立場や考えにとても共感できます。知らない世界、わからない世界で流してしまうのはたやすいこと。知ろうとしなければ知ることはできない。読了後、とても考えさせられました。