熊金家のひとり娘 (幻冬舎文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344427273

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭から主人公が精神的に追い詰められ辛い展開であるが、文章はとても読みやすく、後半にはサスペンス要素も出てきて、物語に取り込まれた。

    豊崎由美さんの文庫解説が素晴らしい。普段は極力ネタバレを見ないことにしているのだが、本書は冒頭から読み進めるのが辛い展開で、早々に解説を開いた。これが良かった。各章の概要と構成が頭に入ったことで、必要以上に恐怖心を抱かず、物語についていくことができたし、救いのない展開の中にも希望が感じられた。

  • この小説がいいと薦められて、読んでみたらまさきとしかさんにはまったという方がいたのだけど、私にはそういう感性は無いらしい。

    毒親も、拉致監禁も、同じようで怖いなぁ。
    逃げる気力を持ち続けて実行するには、相当な精神力が必要なのだよな。

    毒親の元で育てられる異常さを体験しないで済んで良かったけど、親との関係に問題を抱えている人が多くいるのを知ると、普通であるのも奇跡的なのかと感慨深いことよの。

  • 子供の頃のトラウマは怖い。
    おばあちゃんからひ孫まで皆んな歪んでいく。

  • この作者って狂った女の人を書くのが上手いなあと改めて思った。
    結局バチってなんだったんだろうな。

  • こじれた性格の母親が、こじれた過去から生まれた夢を叶えるべくワガママな行動をする物語。全員被害者のようだ…

  • 小さな島で代々お祓いを生業にしてきた特殊な家に生まれた一子が、島を脱出し、どう生きたのかを描く。一子は紛れもなく毒親になってしまったが、その背景を思うと彼女だけを責められない気持ちにもなる。

  • まさきとしかさん。数冊読んだけど、あまり自分とは合わないのかもしれない

  • まさきとしかさんの作品を読むのは初めてでした。豊崎社長がこの作家の作品を勧めていたので、かなり高い期待値で読んだのですが、正直ストーリーがあちこちに広がるものの、それが集約されずとっちらかったまま終わってしまった印象でした。ストーリーも、ありがちな日本の因習話、因縁ものに感じられました。この作家さんの小説はまだ1冊目なので、とりあえず、他の作品も読んでみようと思います。

  • 母に人生を翻弄された母娘の物語。

    第一章 1971年 北の小さな島
    第二章 1992年 霊園からの脱出
    第三章 1995年 四次元冷蔵庫
    第四章 2010年 ペテン師と鮑の神様
    終章  最後の手紙

    北海道の島で育った一子は、母を失踪で亡くし、祈祷師の祖母に育てられた。

    祈祷師の家代々、女の子が継承し、女の子を生むことを定めとした呪縛から逃げ出した一子。

    しかし、一子も娘二人を授かるも、同じように子供たちも一子の呪縛から逃げられないでした。

    やがて家庭は崩壊し、一子は失踪してしまうが、娘たちは後々真相を知る。

    誰にでもある母性の強く、醜いエゴみたいなものが、人生を狂わせる。


    初めて読んだ作家さんでしたが、大好きになりました。

    母性が焦点なのかな。

  • 代々娘一人産み継ぐ家系に育ってしまった女性たちが描かれています。
    祈祷師というどこか怪しい雰囲気や
    何か得体の知れないものが表れたりして
    この物語を更におどろおどろしくさせています。

    これ程までに女の子を生みたくはないという気持ちになのは
    余程のことが無い限り思わないことで、
    それ程までにこの家系から逃れたかった
    気持ちがよく出ているかと思います。
    そのために一刻でも早く育っていた島から脱出して
    新しい世界を導きたいという気持ちが強く、
    さらには男の子を産みたいという気持ちも強く
    これが母親の人生の歯車を狂わせてしまい
    娘たちまでの人生までも影響を及ぼしてしまい
    子供から見てみればこんなに迷惑な母親は嫌で仕方なかったと思います。
    母親の半生を振り返ることで娘たちはどんな思いをして
    これからの人生を歩むのかと考えてしまいました。

    この母親の娘たちの他にもこの母親と関係を持った男性は
    初めは良い人だったのかもしれないですが、
    この母親の言動によって徐々に形を崩して
    男性までも人生を狂わされているような気がして
    それも気の毒で仕方なかったです。

    作品中にあった
    「生命の源は宇宙にあるのだ、と思った。
    そう思った瞬間、宇宙から無数の糸が垂れている光景が浮かんだ。
    糸はすべての生命とつながっていた。
    いま生きている生命とも、かつて生きていた生命とも。
    地球上に原始生命が誕生したといわれるのは約四十憶年前だ。
    四十億年のあいだに誕生した生命と同じだけの糸が、
    宇宙から垂れている。糸をたぐっていくと、つながっている。
    生者も死者も、人間も幽霊も、結局は同じ世界を拠点にしているのだ。」
    という文章がとても印象的で、
    これによって少しは娘たちの気持ちが救われたような思いになりました。
    もしかしたら家系というのもこの宇宙の繋がりのように
    繋がっているようだとも思えました。

    この作品の前に「完璧な母親」を読みましたが、
    独特な世界感で読みやすかったのでこの作品も読んでみましたが、
    今回は更に母親と娘という固執した関係に少し特殊な視点から
    描かれていてミステリーというよりもホラーに
    近いような印象を持ちました。
    こうゆう親子関係の愛情を問う作品も珍しいと思うので
    ありきたりな小説に飽きてしまった方にはお勧めかもしれないです。

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。北海道札幌市育ち。1994年『パーティしようよ』が第28回北海道新聞文学賞佳作に選ばれる。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞。
著書に『熊金家のひとり娘』『完璧な母親』『大人になれない』『いちばん悲しい』『ある女の証明』『祝福の子供』『あの日、君は何をした』『彼女が最後に見たものは』などがあり、近刊に『レッドクローバー』がある。

「2022年 『屑の結晶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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