ツバキ文具店 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
4.13
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本棚登録 : 1805
レビュー : 179
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344427617

作品紹介・あらすじ

鎌倉で小さな文具店を営むかたわら、手紙の代書を請け負う鳩子。今日も風変わりな依頼が舞い込みます。友人への絶縁状、借金のお断り、天国からの手紙……。身近だからこそ伝えられない依頼者の心に寄り添ううち、仲違いしたまま逝ってしまった祖母への想いに気づいていく。大切な人への想い、「ツバキ文具店」があなたに代わってお届けします。

感想・レビュー・書評

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  • 先代から代書屋を引き継いだ主人公の、代書の依頼者や近所の人たちとの交流を描いたこの小説は、読者の心にポッと温かい灯りを燈してくれる。
    さらに、主人公が訪ね歩く鎌倉の街並みや訪れる小さなお店には、思わず言ってみたくなる、そんな思いをも掻き立てる(そういう読者に「ツバキ文具店の鎌倉案内」という文庫まで刊行されている)。
    それにしても、主人公が代書したという、書中掲載されている手紙などの書体は、すべて著者の自筆だろうか。
    依頼者ごとに書体を変えたその書き方の何と見事なことか。そして、依頼の内容ごとに、使用する筆記具及び用紙までも変えている。
    離婚を報告する手紙には、活版印刷を用い、あて名は万年筆でインクの色はグリヌアージュに。
    かつての恋人への手紙には、ベルギー製のクリームレイドペーパーにガラスペンで。
    借金の謝絶状には、原稿用紙に太めのペンで。
    絶縁状には、何と羊皮紙に羽根ペンで!インクは虫こぶインク(どんなインクだろう)を。
    著者の、手紙に対するこだわりをも感じさせる作品であります。

    • まーちゃんさん
      はじめまして。
      作中の手紙は萱谷恵子さんという方が全て書かれているようです。
      (単行本にはその旨記載があったと記憶してるんですが、文庫には書...
      はじめまして。
      作中の手紙は萱谷恵子さんという方が全て書かれているようです。
      (単行本にはその旨記載があったと記憶してるんですが、文庫には書かれていませんね)
      おひとりであんな風に書き分けられるなんてすごいですよね。
      いきなり失礼しました!
      2018/10/15
  • 久々の小川糸作品。
    右筆、という言葉、久々に聞いたなー。

    割とハードな展開が入っていても、主人公の生来の前向きさとか誠実さで和らげられてしまうのが、この作家さんの不思議な味だと思う。
    この作品にしても、両親が不在で、厳しく躾けられた先代(祖母)には反旗を翻したまま和解もならない(まま、ヤンキー化する)背景があるのだけど。
    どこかで、カラッと晴れている。
    落ち込んだり、ウジウジしたりするのに、曇り空は長く続かない。

    また、書体や用紙、色合いから切手まで、代筆として何を選ぶのかという部分が練られ、最後に形として見せられるのが素敵。
    何度も涙が滲んだし、手紙を書きたくなったし、ロメオNo.3をカートに入れかけた(笑)
    何より、そうやって相手の気持ちに寄り添いながら、言葉を選ぶことに時間をかけてくれる人がいるということが、嬉しかった。

  • ついこの前、ふと思い立ち。
    しっかりと落ち着いた文字を、心豊かで、また、落ち着いた心持ちでしっとりと書きたいなぁという想いにかられ、万年筆を購入。
    以来愛用し、文字を丁寧に書くことの素晴らしさに心洗われていた今日この頃。
    なんともぴったりな小説に出逢いました。
    とってもよい出逢いに感銘。
    そして、空の描写の美しさにも、さらに感銘。

  • ★4.5
    鎌倉で「ツバキ文具店」を営む、ポッポちゃんこと雨宮鳩子の夏秋冬春。タイトルの文具店よりも、副業の代書屋の方が忙しそう。そして、代書屋に持ち込まれる依頼のユニークなこと!離婚通知、貸金お断り、絶縁状…と多岐に渡り、その全てを実際の手紙のように見せてくれるのが嬉しい。が、何よりも心に迫ったのは、やっぱり先代が綴った手紙。先代の寂しさと謝罪、ポッポちゃんの後悔を思うと、涙が溢れて止まらなかった。過ぎてしまったことは取り戻せないけれど、心に折り合いがついて本当に良かった。ページ左下のパラパラ漫画も必見。

  • 世の中がこの本にあるような優しさで溢れていると本当にいいのにと思う。キレイな字を実際に本で見れるのが嬉しい。本を鏡に写して読む経験は初めてだった。

  • 大切な手紙を代筆する代筆屋のほっこりするお話。手紙はメールと違って、筆跡はもちろん便箋やペン、シールや封筒など内容以外の情報が多いから送り主の思いが伝わるのだなと思った。主人公が代筆した手紙が実際に載っているのがとても画期的で面白い!手書き文字から伝わる情報量はパソコンでの打ち込みの比ではないことをこの本を通して深く理解できた。

  • 優しくてほろりと来る作品。ポッポちゃんの生活に憧れるなー。鎌倉に行きたくなりました。

  • 二回泣きました…
    なんか鎌倉でのんびり暮らすの憧れちゃいます。
    そう思いながら、鎌倉にいってきました。

  • 心温まる

    絶縁状からラブレターまで、鎌倉で代書屋を営む鳩子。
    手紙とは、ドラマである。
    オムニバスのように、お客ごとにその人生を垣間見て楽しめる。また鳩子と鎌倉で暮らす仲良しさんたちとの日常と。
    祖母との確執とあるきっかけで知る祖母の本音。
    こんな話を小川糸さんの優しい文体で書かれたら、そりゃおもしろいですよ。

    しかも今回は手紙の部分はきちんと手書きで再現されており、それがとてもいい。その人それぞれのために書かれた手紙の文字が生きているようで、久しぶりに本をよんでよかったなと。テキストデータでない文字の温度を感じました。

    鳩子と、周りの登場人物と、先代の祖母との関係や先代の話がもっと知りたかったなぁ。

  • 最初、登場人物の強烈なニックネームゆえに中々ストーリーに入り込めなかったが、慣れて来た頃からポッポちゃんとご近所さんとの交流がとてもあたたかく、愛おしく感じられた。この物語の柱となっている「手紙」は、その一つ一つにドラマがある。ポッポちゃんはさながら、手紙の送り主と受け取る人の間を取り持つコーディネーターのような存在。中には「絶縁状」といった穏やかならぬ依頼も舞い込んで来るが、それすらも双方の関係性を十分考えて「手紙」にした。先代の自分に対する本当の気持ちを知るきっかけになったのも「手紙」のおかげだった。・・・手紙っていいね。

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著者プロフィール

小川 糸(おがわ いと)
1973年生まれ、山形県出身の小説家であり、作詞家・翻訳家でもある。作詞家の際の名義は、春嵐(しゅんらん)を使用。
2007年に初の絵本を上梓し、さらに翌2008年に小説『食堂かたつむり』を発表。同作は第1回ポプラ社小説大賞に応募し、最終選考にも残らなかった作品だったが、目に留めた編集者によって刊行され、ベストセラーとなり映画化された。同作は、2011年7月、イタリアの文学賞である、バンカレッラ賞料理部門賞も受賞している。
2017年、『ツバキ文具店』が「本屋大賞2017」で第4位にノミネート。ドラマ化もされた。続編『キラキラ共和国』も発行、代表的シリーズかつヒット作となっている。
その他代表作として、テレビドラマ化された『つるかめ助産院~南の島から~』。

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