ツバキ文具店 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
4.11
  • (128)
  • (155)
  • (68)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 1618
レビュー : 159
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344427617

作品紹介・あらすじ

鎌倉で小さな文具店を営むかたわら、手紙の代書を請け負う鳩子。今日も風変わりな依頼が舞い込みます。友人への絶縁状、借金のお断り、天国からの手紙……。身近だからこそ伝えられない依頼者の心に寄り添ううち、仲違いしたまま逝ってしまった祖母への想いに気づいていく。大切な人への想い、「ツバキ文具店」があなたに代わってお届けします。

感想・レビュー・書評

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  • 先代から代書屋を引き継いだ主人公の、代書の依頼者や近所の人たちとの交流を描いたこの小説は、読者の心にポッと温かい灯りを燈してくれる。
    さらに、主人公が訪ね歩く鎌倉の街並みや訪れる小さなお店には、思わず言ってみたくなる、そんな思いをも掻き立てる(そういう読者に「ツバキ文具店の鎌倉案内」という文庫まで刊行されている)。
    それにしても、主人公が代書したという、書中掲載されている手紙などの書体は、すべて著者の自筆だろうか。
    依頼者ごとに書体を変えたその書き方の何と見事なことか。そして、依頼の内容ごとに、使用する筆記具及び用紙までも変えている。
    離婚を報告する手紙には、活版印刷を用い、あて名は万年筆でインクの色はグリヌアージュに。
    かつての恋人への手紙には、ベルギー製のクリームレイドペーパーにガラスペンで。
    借金の謝絶状には、原稿用紙に太めのペンで。
    絶縁状には、何と羊皮紙に羽根ペンで!インクは虫こぶインク(どんなインクだろう)を。
    著者の、手紙に対するこだわりをも感じさせる作品であります。

    • まーちゃんさん
      はじめまして。
      作中の手紙は萱谷恵子さんという方が全て書かれているようです。
      (単行本にはその旨記載があったと記憶してるんですが、文庫には書...
      はじめまして。
      作中の手紙は萱谷恵子さんという方が全て書かれているようです。
      (単行本にはその旨記載があったと記憶してるんですが、文庫には書かれていませんね)
      おひとりであんな風に書き分けられるなんてすごいですよね。
      いきなり失礼しました!
      2018/10/15
  • 久々の小川糸作品。
    右筆、という言葉、久々に聞いたなー。

    割とハードな展開が入っていても、主人公の生来の前向きさとか誠実さで和らげられてしまうのが、この作家さんの不思議な味だと思う。
    この作品にしても、両親が不在で、厳しく躾けられた先代(祖母)には反旗を翻したまま和解もならない(まま、ヤンキー化する)背景があるのだけど。
    どこかで、カラッと晴れている。
    落ち込んだり、ウジウジしたりするのに、曇り空は長く続かない。

    また、書体や用紙、色合いから切手まで、代筆として何を選ぶのかという部分が練られ、最後に形として見せられるのが素敵。
    何度も涙が滲んだし、手紙を書きたくなったし、ロメオNo.3をカートに入れかけた(笑)
    何より、そうやって相手の気持ちに寄り添いながら、言葉を選ぶことに時間をかけてくれる人がいるということが、嬉しかった。

  • ★4.5
    鎌倉で「ツバキ文具店」を営む、ポッポちゃんこと雨宮鳩子の夏秋冬春。タイトルの文具店よりも、副業の代書屋の方が忙しそう。そして、代書屋に持ち込まれる依頼のユニークなこと!離婚通知、貸金お断り、絶縁状…と多岐に渡り、その全てを実際の手紙のように見せてくれるのが嬉しい。が、何よりも心に迫ったのは、やっぱり先代が綴った手紙。先代の寂しさと謝罪、ポッポちゃんの後悔を思うと、涙が溢れて止まらなかった。過ぎてしまったことは取り戻せないけれど、心に折り合いがついて本当に良かった。ページ左下のパラパラ漫画も必見。

  • 世の中がこの本にあるような優しさで溢れていると本当にいいのにと思う。キレイな字を実際に本で見れるのが嬉しい。本を鏡に写して読む経験は初めてだった。

  • 最初、登場人物の強烈なニックネームゆえに中々ストーリーに入り込めなかったが、慣れて来た頃からポッポちゃんとご近所さんとの交流がとてもあたたかく、愛おしく感じられた。この物語の柱となっている「手紙」は、その一つ一つにドラマがある。ポッポちゃんはさながら、手紙の送り主と受け取る人の間を取り持つコーディネーターのような存在。中には「絶縁状」といった穏やかならぬ依頼も舞い込んで来るが、それすらも双方の関係性を十分考えて「手紙」にした。先代の自分に対する本当の気持ちを知るきっかけになったのも「手紙」のおかげだった。・・・手紙っていいね。

  • 鎌倉で、思いがけず先代の営んでいた文具店、代書屋を営むことになった鳩子(ポッポちゃん)。
    素敵なお隣さん、小さなお友達、男爵などとゆったりとした心温まる時間を過ごすポッポちゃんは、ゆるやかで穏やかで安らかだし、先代との確執をふり返るポッポちゃんは少し痛々しくて切ない。

    鎌倉のお寺、お花、美味しい食事、海、描写が丁寧でやさしくてその空気に触れているみたいな気持になる。
    そしてなんといってもポッポちゃんが請け負う代書、すべて手書き(活字でないという意味で)で本の中に存在するのがいい。文字の選び方、切手の選び方、便箋の選び方、何で書くか、どんな文体で書くか、知らないことがたくさん出てきてとっても興味深い。近所にポッポちゃんがいたらいろいろ教えてもらえるのに。

    そして文庫本の左下ページがぱらぱらになってる!
    鳩が飛んでいたり、花火が打ちあがったり。とても丁寧に大切に作られたこの本も大好き。

  • 文庫化したので購入。
    単行本にあった鎌倉の地図がないのが残念だったけど、なんとページ下にパラパラ漫画が!可愛い♡
    じっくりと時間をかけて読んだ。

    自分では手紙を書けない人のための代書屋・ツバキ文具店。
    載ってる手紙は全部同じ人で書かれていて、こんなにも筆跡を変えられるのかとびっくり。

    最近はなかなか書く機会ないけど、手紙っていいよね。
    愛する人からの手紙で棺を埋め尽くすなんて素敵な人生・最期だなぁ。

    仲違いしたまま逝ってしまった先代である祖母。
    その祖母とイタリアの文通相手との手紙から鳩子への愛情が滲み出ていて泣ける。

    • hongoh-遊民さん
      コメントありがとうございます。
      あの手紙がすべて、一人の人が書いていたとは・・・
      あんなに筆致体を変えて書けるとは、いや驚きです。
      コメントありがとうございます。
      あの手紙がすべて、一人の人が書いていたとは・・・
      あんなに筆致体を変えて書けるとは、いや驚きです。
      2018/10/16
  • これもまた会社の方からお借りした一冊。

    この前読んだ印刷屋さんの物語のような、美しく、静かで、心が穏やかになるような、そんな小説だった。

    静かな気持ちになりたかったり、少しほっこりしたいななんて思ったら読んでみると良いかも知らない(*^^*)


    手紙って温かいなぁ。
    人間が綴る文字って、ほっこりするんだなぁ。

    一度しか行ったことないけど、鎌倉の風景を思い出しながら、主人公と一緒に穏やかな旅をしてきた気分。

    とてもいい小説でした(*^^*)
    色々な人生を歩まれる皆さんにおススメできる、そんな一冊だった!満足!!

  • 代書屋さん 誰かに変わって手紙を書く人というイメージしかなかった。自分では書けない内容の手紙を書いてもらう人ってどんな人? 読みながら少し分かってくる。その人の気持ちに寄り添って書体を考え、紙・筆記用具も選ぶ。紙は想像するしかないけど、手書きの手紙はイメージが印刷してあって、読んでからしばらく見入る繰り返しが楽しかった。
    楽しいと言えば ページ隅の小さなカットはパラパラとめくると……お馴染みのあれでした。上手にめくれなくてぎこちなくしか目に入らなかったけれどクスクス笑いながら何度もめくりましたよ (^^♪

  • 久々に「すごく素敵な本に出会った」と心から思った。
    読み終わった後、自然と「ありがとう」という言葉が口から零れた。

    読めば読むほど、自然と心が温かく、柔らかくなる物語でした。
    鎌倉に住むポッポちゃんと、それを囲む人々か温かくて優しい。陽だまりに包まれているような幸せな気持ちになりました。
    代書屋としてのエピソードもいっぱい出てきて、次はどんなお手紙が出てくるのかワクワクしました。それぞれのエピソードがそんなに長くないからちょうど良かったです。

    鎌倉に行きたいな。お手紙書きたいな。
    という気持ちにもしてくれる、素敵な一冊です。
    続編も早く読みたい!

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著者プロフィール

小川 糸(おがわ いと)
1973年生まれ、山形県出身の小説家であり、作詞家・翻訳家でもある。作詞家の際の名義は、春嵐(しゅんらん)を使用。
2007年に初の絵本を上梓し、さらに翌2008年に小説『食堂かたつむり』を発表。同作は第1回ポプラ社小説大賞に応募し、最終選考にも残らなかった作品だったが、目に留めた編集者によって刊行され、ベストセラーとなり映画化された。同作は、2011年7月、イタリアの文学賞である、バンカレッラ賞料理部門賞も受賞している。
2017年、『ツバキ文具店』が「本屋大賞2017」で第4位にノミネート。ドラマ化もされた。続編『キラキラ共和国』も発行、代表的シリーズかつヒット作となっている。
その他代表作として、テレビドラマ化された『つるかめ助産院~南の島から~』。

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