サイレント・ブレス 看取りのカルテ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344427761

感想・レビュー・書評

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  • 母の闘病中、そして、母が亡くなってから、この類の本は読めなかったのですが
    ようやく手に取ることができるようになりました。

    子育て中の33歳の時に医学部に学士入学、38歳で医師になった南杏子さん。
    彼女のデビュー作がこの本です。

    まったくのノーマーク。
    たまたま紀伊国屋書店の平台で見つけ、手にしました。

    2016年9月に単行本が発行され、2018年7月に文庫本が発行されました。
    デビュー作でありながら、2年足らずで文庫化。
    話題作だったのですね!

    終末期医療をテーマにした小説。
    主人公の水戸倫子は大学病院から、むさし訪問クリニックへの異動を命じられる。
    そこでの彼女の仕事は自宅で最期を迎える人々を看取ること。

    患者の性別、年齢、家族構成、患っている病気は様々。
    そして、患者自身が望む最期の迎え方も。

    患者に寄り添う倫子、むさし訪問クリニックのスタッフ。
    あぁ、こんな人たちがそばにいたら…、そう思う。

    解説は自らもお父様を自宅で看取られた藤田香織さん。

    父が死んだ後、慌ただしく過ぎていく時間のなかで、頭の片隅にはいつもこびりついたような後悔があった。
    ー 中略 ー
    もしも手術をしていたら。もしも胃瘻にしていたら。もしもあのまま病院にいたら。父はもう少し長く生きられたかもしれないと、考えても仕方のないことばかり考えて考えて、こんなことならこうなる前に父の意思を聞いておけば良かったと悔やんだ。

    この気持ちはとても良くわかります。
    私自身、考えても仕方のないことを考えて考えて。
    今も考えることがあるから。

    母を看取り、自分自身も50代を生きる私にも、最期の迎え方を考える時が必ずやって来ます。
    それは果てしなくとおい未来ではなく、ちょっと先の未来だから、この本のなかの言葉に心が揺らぎます。

  • 大学病院に勤める医師水戸倫子が、訪問クリニックに異動を命じられる。訪問診療を行う中で積極的な治療を求めない患者に出会い、彼らを看取っていく。
    末期乳癌のジャーナリスト、ネグレクトの母と暮らす筋ジストロフィーの青年、息子の都合で望まぬ延命治療をざるを得ない84歳の女性、人身売買に巻き込まれた少女、癌治療に尽力を注ぎ自身膵臓癌で余命3ヶ月となった恩師。
    そして、2度の脳梗塞で寝たきりとなっていた父を看取る決心をする。
    著者が終末期医療に携わる医師のため、読んでいるうちにフィクションなのかノンフィクションなのかわからなくなるくらい引き込まれる。

    <苦しみに耐える延命よりも、心地よさを優先する医療もある。穏やかで安らぎに満ちた
    いわばサイレント・ブレスを守る医療が求められている>
    <死は負けではなくゴールなのです>

  • 大学病院から、在宅で最期を迎える患者専門の訪問クリニックへの“左遷”を命じられた三十七歳の倫子は、慣れない在宅医療にとまどう。けれども、乳癌、筋ジストロフィー、膵臓癌などを患う、様々な患者の死に秘められた切なすぎる謎を通して、人生の最期の日々を穏やかに送れるよう手助けする医療の大切さに気づく。感涙の医療ミステリ。

  • ターミナルケアについて考えさせられる一冊。
    もう少し早くこの本に出会えていれば、私もジタバタせずに済んだのになあ、と思う。
    両親の老いから目を逸らしていた私に、それは突然にやってきた。
    こういう話は、元気なうちにきちんとしておかないと、親も子も両方が不幸になる。元気なうちに、話し合ってきちんと文書にして残しておく。それが体験して感じたこと。

    水戸医師のようなすばらしい医師が増えますように。

  • 静かな静かな最期。医療小説は多くあるけど、しみじみとした読後感。さすがに医師だけありリアルな人間の姿に、久しぶりに亡くなった父の最期を思い出した。今後必ず迎えるであろう身内の終末、ベストはないだろうけど寄り添った最期にしたい、と思わせる作品

  • さすがに経験豊富なお医者様が書かれただけあるというリアリティ。そして章立てやストーリー展開、ちょっとミステリー要素もあったりと全く読者をそらさない流れは見事としか言いようのない一冊。
    出版された時から気になっていましたが、やっと文庫にて手に取りました。

    タイトルがもう気になってしょうがない。ちょっと知識のある方ならきっと人が亡くなる直前の呼吸のことを言っているのだなと察しがつきます。
    内容は在宅看取りの話なので、話が進むにつれ人は確かに亡くなっていきます。重いです。でも重いだけでなく心にしーんと染みわたるような悲しみと温もりも一緒に感じさせてくれます。

    医者である主人公が仕事として看取りを行っていくと同時に自身のプライベートでの看取りも進んでいくのですが、身近な方や肉親を亡くした方には一層物語が深く染みると思います。涙無くして読めなくなりました。

    文庫版の藤田香織さんのあとがきもまた、とても心に染みるいい文章でした。物語の後でこの文章を読めたので、自分は文庫版で手に取ることができてよかったです。

  • 大学病院の総合診療科に勤務する水戸倫子。患者を思い丁寧に診察しているが要領が悪いとされ、訪問クリニックへの事実上の左遷を命じられる。在宅で最期を迎える訪問診療クリニックへと。そこでそれぞれの患者の最期を、最後は自分の父を看取ってゆく、短編集。医者は、安らかに看取れないことこそ、敗北だという。まわりや家族はそこしでも長くというが、苦しみたくない、生き物らしく自然にゆきたいと願う患者もいる。最期はいつくるかわからないが、一度は考えておいたほうがよさそうだ。より長く生かせようとするだけれなく、安らかに看取る医療が増えることを願う。現役の医者だけに綺麗事だけではなく書かれていた、より考えさせる。

  • 患者の死を看取りながら成長する医師を描く | 文春オンライン
    http://bunshun.jp/articles/-/487

    死は「負け」ではなく「ゴール」なのです。【リバイバル】<サイレント・ブレス>南杏子 - 幻冬舎plus
    http://www.gentosha.jp/articles/-/6215

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    誰もが避けては通れない、 愛する人の、 そして自分の「最期」について静かな答えをくれる、 各紙誌で絶賛された現役医師のデビュー作。 2018年6月21日のNHK「ラジオ深夜便」にて紹介され、話題沸騰中! 「生とは何か。死とは何か。答えの出ない問いへの灯りのような一冊」(書評家・吉田伸子さん) 「本書を読んで何よりも私は、救われた、と感じた」(書評家・藤田香織さん) 大学病院の総合診療科から、「むさし訪問クリニック」への“左遷"を命じられた37歳の水戸倫子。そこは、在宅で「最期」を迎える患者専門の訪問診療クリニックだった。命を助けるために医師になった倫子は、そこで様々な患者と出会い、治らない、死を待つだけの患者と向き合うことの無力感に苛まれる。けれども、いくつもの死と、その死に秘められた切なすぎる“謎"を通して、人生の最期の日々を穏やかに送れるよう手助けすることも、大切な医療ではないかと気づいていく。そして、脳梗塞の後遺症で、もう意志の疎通がはかれない父の最期について考え、苦しみ、逡巡しながらも、大きな決断を下す。その「時」を、倫子と母親は、どう迎えるのか?
    http://www.gentosha.co.jp/book/b11804.html

  • 再度読み返しました。
    やっぱり同じところで涙が溢れそうになります。
    親だったり、大事な人を看取るということはその人とどのように過ごしてきたか、もしくは自分がどのように人生を歩んできたかの見返しなのかもしれない。
    親も、大好きな人もいつか死ぬんだと幼い時に解って、そしたら自分もいなくなるってどんなんだろうと考えて、ものすごく悲しくなって夜中に泣いていた幼い頃の感覚がよみがえる。

  • なんか、自分のやっている仕事の現場でどんなことが起きているのかをイメージした。わかったとも思ってないし、わかった気にもなっていないけど、なにを考えて仕事しないといけないのか、もう一度見直す気にはなった。それにしても目の前にあるのは、現場をイメージするためにはあまりにも無機質なタスクばかりだ、、、

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