ある女の証明 (幻冬舎文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344428003

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  • 「貴和子」という女性にまつわる連続短編集。
    本人視点の章はなく、彼女に関わる周りの人物からの視点でそれぞれ語られていく。
    スッキリとしない締め方に、どうなったのかと考えさせられる。

    自覚無自覚、意図的なのかそうではないのかはわからないが、一瞬で人を狂わせる程の魅力のある女性が身近にいたとしたら、やっぱり嫌だなぁと正直思う。

    人には多面性がある。
    対する人によって顔が変わる。
    いくつもの自分を持っている。
    時にどれが本当の自分なのかわからなくなる程、いくつもの仮面を持っている。
    そして他人には言いたくない、負の感情も持ち合わせている。
    無意識に他人と比べて、比べる事によって自分という人間を認識する。
    狡くて、醜くて、愚かで、浅ましい。
    でもそれこそ人間らしいとも言える。

    まさきとしか。
    女性の内側に潜む嫌らしさを表現するのがとても上手い作家さんだ。

  • 気の毒なキワコ。
    物語が繋がってる短編。

    遺産相続、継母、、、屈折した人間達勢揃い。有りそうで有る物語の数々。地味風の女は怖いぞー!(^o^)
    人の不幸は蜜の味(*゚∀゚)
    完璧な母親、熊〜家の一人娘も読んだけど、この方の作品どんどんレベルアップしてきて面白くなっていってる気がする!!作品もっと読みたいです。

  • 一人の女性 貴和子をめぐる人々の人生の転落。
    女性の本心がこれでもか!と、まさにえぐり出すように描かれており、目を背けたいのに、どこか共感したり、軽蔑したり、目が話せない作品だった。


  • 色々な人の視点を通して、貴和子という人を描いた作品。
    結局鍵井は貴和子の交際相手だったのか、夫の交際相手だったのか、はたまた友達だったのか
    いろいろとすっきりしないところが多く残る。
    貴和子は男を惑わせる魔性の女的に描かれていたけど、貴和子自身は男を信用していないし、むしろ嫌っていたんじゃないかなとも思った。

    あと、最近いろいろな作品を読んでいて思うけど、過去の自分の思考に未来の自分が苦しめられることってあるよね。
    過去の自分が馬鹿にしていたり、嫌っていたりした対象に、未来の自分がなってしまうみたいな。

  • なんでこんな展開になってしまうのか。
    小さいときから母親に連れられていろいろな義父のところで暮らす。大きくなり友人の夫と。「あなたは全部持っているから、代わって」というのがキーワードに見える。途中にいくつかつながりがわからない章もあった。
    そういう運命を追って生まれてきたのなら重すぎる。自分の知らないところでこういう思いで生きている人もいるのだろうか。

  • 同性のウケは悪いのに、異性の心を捉えて離さない女というのが世の中にはいます。彼女とつきあいはじめると、周囲の誰もが「やめておけ」という。どうしてこんな女を住まわせてしまうんだろうと思うけれど、騙されているかもしれないと承知のうえで、明かりの灯った部屋を見て涙が出そうになったという男の気持ちを考えました。幸せかどうかは他人が決めることじゃないもんなぁって。

    各章の冒頭に三面記事が掲載されています。その記事中で事故死したりトラブルに巻き込まれたりした人物の視点で語られる章仕立て。「喜和子」という女性についてさまざまな人が語るのかと思いきや、そうではない。ただそこに喜和子を感じる要素が何かしら含まれているだけの章も。数年を遡りつつ最終章まで進んだとき、喜和子は本当はどんな女だったのだろうと、やるせない気持ちに。

    類い希なる母性の持ち主だったのかもしれません。先日読んだばかりの原田ひ香の『母親ウエスタン』とかぶる。どちらの話も辛すぎる。でも、幸せじゃなかったと決めつけるのは傲慢なことなのかも。今もぼんやりと喜和子のことを考えています。

    このドロドロ感はクセになる。

  • 貴和子に関係する人たちの人生模様。
    「きわこのこと」改題。

    第一章 二〇一五年二月 衝突事故男性の死因「窒息死」と判明
    第二章 二〇一三年一月 「超熟女専門」売春クラブ摘発
    第三章 二〇一〇年七月 他人のベランダで暮らす男逮捕
    第四章 二〇一〇年七月 パトカー追跡中電柱に衝突 女性重体
    第五章 二〇〇九年十二月 母親に強い恨みか 殺人容疑で長男逮捕
    終章

    不遇の家庭環境で育った貴和子が、他人の家庭の幸せを侵食する。

    貴和子の魔性に溺れる男性、気付けば貴和子の影におびえる女性、貴和子の正体とは?


    悪女というわけではなく、人間の醜い部分を、本能的に上手く利用しているかのような貴和子。

    人間の本性なんて誰も分からない。だから人を信じたりすることの難しさ、大切さがあるかなと思う。

  • 貴和子という女性を貴和子に関わった人たちの話から紐解いていくような物語り。
    読み終わっても貴和子ってどんな人だったの?ってわかりそうでわからないまま。
    悪女?良い母親?
    でも、それでいいのかもしれない。

  • 大変良かった

  • 2023.3.5読了。

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。北海道札幌市育ち。1994年『パーティしようよ』が第28回北海道新聞文学賞佳作に選ばれる。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞。
著書に『熊金家のひとり娘』『完璧な母親』『大人になれない』『いちばん悲しい』『ある女の証明』『祝福の子供』『あの日、君は何をした』『彼女が最後に見たものは』などがあり、近刊に『レッドクローバー』がある。

「2022年 『屑の結晶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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