ペンギン鉄道 なくしもの係 リターンズ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.89
  • (20)
  • (37)
  • (21)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 389
感想 : 27
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344428102

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ペンギン鉄道なくしもの係」の2冊目。

    前作と同様、駅や電車で忘れ物落し物をして、鉄道会社の遺失物保管所を訪れる人たちのお話。
    親の離婚届を代わりに出しに行く姉弟、学校の遠足に行かずに自分たちだけで水族館へ行く兄妹、重い病気と闘う女性と彼女を気に掛ける女医。それらの話すべてに気儘に出没するペンギンとモヒカン頭の男が絡む。
    いずれも少しうまくいっていない関係が探し物をしている内にわらわらと解きほぐされていく展開は、どうってことないけど結構泣かせる。
    最後の話でモヒカン男が主人公になり、ばらばらに見えたそれまでの話が繋がるところも前作同様だが、ここで明かされる秘密にもほっこり。

    前作で「ヘアバンドのよう」と表現されたペンギンの頭の白い帯模様が、今作では「カチューシャのよう」になったのが微妙に気になった。

  • ハートフル日常の謎のミステリーですね。
    「ペンギン鉄道なくしもの係」の二冊目です。
    四話の短篇連作物語です。

    今回は、家族を中心に、心の在り方のなくしものをした人々の物語です。
    四話がバラバラにみえて、最後にちゃんとつながりをみせる、面白さをかねそなえています。
    いっけん、強がりをみせている姉弟、兄妹、同級生、そして兄弟、それぞれのかかえている苦悩をペンギン鉄道を通して、描き出しています。
    ペンギンも、今回は苦悩するようにさまよい、ペンギンを追いかける迷い人たちを軽快な文章と、心の奥の迷いを謎解きめいて解き明かしていきます。
    最後の四話で見事にすべての物語が終結して、涙なしには読み進められません。

    心を揺さぶる感動の物語です。

  • 「ペンギン鉄道 なくしもの係」の続編。前回同様4章から成り、色々な人が駅や電車でなくしものをする。
    今回は守保の家族も出てきた。「あの時のあの人がこの人と繋がっていたのかー!」というような繋がりが面白い。

    「誰かとかかわることって難しいし、面倒なことも多いですけど、でもまずはかかわらなければ、助けることも助けてもらうこともできないんじゃないでしょうか?」

  • ペンギンがかわいい!

    キラキラ設定の姉弟は、正反対の性格かと思えば…
    小6と小4の兄妹の卒業旅行は水族館。
    病院の先生は妹と患者を重ねて、つい入れ込んでしまい、
    その病院で発見されたペンギンの素性が明らかに!

    4つのストーリーがペンギン鉄道を中心に描かれていて、登場人物も少しづつ重なっていて、読んでいてふんわりあったかい気持ちになる1冊でした。

    そこそこに登場するペンギンの描写のかわいさったらないです。

    こんな鉄道があったらなぁ。いや、ペンギン飼えたらなぁ

  • 巡り巡る出会い、想いの一冊。

    今回も良かった。テーマは“家族でも親とはまた違うポジションにいる関係”かな。
    前作よりも話がコンパクトにまとまっていた気がし、どの章もそれぞれじんわり来る。
    そして刺激され、波打つ心。
    巡り巡る出会い、想いが集結する最終章はやっぱりBig Waveに襲われた。
    そしてゆっくりと心が凪いで行く感覚、これがたまらない。
    誰かの凍りついていた時間が誰かとの出会いや言葉によって動き出す。そんなことを教えてもらった、心をもみほぐされた、そんな読書時間だった。

  • 前作を読んで早速続きを読みました。
    今回は兄弟のお話。血が繋がっていてもいなくても。そして、そこの兄弟の話しがきたかぁーとなった最終話。
    ほっこりあたたかいお話しでした。

  • 心温まる短編4篇。
    遠足に行きたくない小学生の兄がイケイケの妹と遠足に行くお話。旦那の元に帰りたくない患者と、同じ名前の妹がいた看護師のお話。
    そして前三話に共通して出てくる赤髪のモヒカンの男の正体は…?
    読み進めれば現れる前作キャラとの関係性
    ペンギン鉄道シリーズは前三話を伏線にした最終話が特に心温まる

  • いろいろな形の「きょうだい」が出てきます。

    確かに、年の近い「きょうだい」とは、親子とは違う不思議な距離感がある。
    あねとおとうと、あにといもうと、あねといもうと、そして…
    この作品に出てくる、素敵なきょうだいたちは、みんな本物のきょうだいだと思います。

    そして、そんな「きょうだい」たちの間に神出鬼没のモヒカン君が異彩を放っているわけですが、彼にも彼の物語があり…


    窓から海を見ながら、電車に揺られて行きたくなります。
    寒いホームで、ベンチに座ってレッグウォーマーに首を埋めながら、一日に何本もない電車を待っていたくなります。
    大切ななくし物を待ちながら…
    ん?
    まず、何を失くしたのか考えなくては…

    第一章 きらきらデイジー
    戸籍とは関係なしに

    第二章 僕の卒業遠足
    クラスの王様にイジられ続ける兄と、男勝りの妹

    第三章 UFOと幽霊
    確かにあると思うけれど、自分の手には入らないと諦めることと…
    今度こそ妹を救いたい気持ち

    第四章 ワンダーマジック
    モヒカンくん神出鬼没の謎が今!!

    ―――――――――――――
    あの本屋さんらしき話題がチラッと!

  • 前作よりも好き。ストレスなくさらっと読める。よりペンギンが存在感増していてほっこりした。

  • ペンギンを通じて、心温まる話が展開される
    物を失くすより、心のつながりを失くすほうが辛い
    生きるという気持ちを失うことも辛い
    と、思った

全27件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

名取 佐和子(なとり・さわこ):兵庫県生まれ、明治大学卒業。ゲーム会社勤務の後に独立し、2010年『交番の夜』で小説家デビュー。著書に『ペンギン鉄道 なくしもの係』(第5回エキナカ書店大賞受賞)シリーズ、『金曜日の本屋さん』シリーズ、『シェアハウスかざみどり』『江の島ねこもり食堂』『逃がし屋トナカイ』『寄席わらしの晩ごはん』『七里ヶ浜の姉妹』『ひねもすなむなむ』『図書室のはこぶね』(京都府私立学校図書館協議会司書部会「中高生におすすめする司書のイチオシ本2022年度版」第6位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2022」第8位、うつのみや大賞2023第4位)ほか多数。

「2023年 『文庫旅館で待つ本は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

名取佐和子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×