蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
4.31
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本棚登録 : 7762
レビュー : 404
  • Amazon.co.jp ・本 (454ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344428522

作品紹介・あらすじ

2019年10月4日、いよいよ映画公開!主演・松岡茉優さんに期待大!

近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。 自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。 かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。 楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。 完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。 天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。 その火蓋が切られた。

感想・レビュー・書評

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  • 「おたくの業界(クラシックピアノの世界)とうちの業界(文芸業界)は似てるよね」と、開始早々、芳ヶ江国際ピアノコンクール審査員の三枝子の友人、ミステリ作家真弓は言った。コンクールの乱立と新人賞の乱立、どちらも斜陽産業、普段は地味にこもって練習したり、原稿を書いたりしている。
    「コストが違うわよ」三枝子は反駁する。ピアノは金がかかるのだ。
    でも、「世界中何処に行っても、音楽は通じる」そこは、作家は羨ましそうに三枝子に云う。おそらくこれきりの登場だったと思うが、真弓は作者の分身である。
    そう!だから恩田陸という作家は言葉を使って「言葉の壁を越えて、感動を共有する」場面をつくるという無謀な試みに足を踏み入れたのかもしれない。言葉にならない感動を、言葉を使って表現する。でも考えれば、それは古(いにしえ)から文学が試みてきたことでもある。

    ーーー結局、誰もが「あの瞬間」を求めている。いったん「あの瞬間」を味わってしまったら、その歓びから逃れることはできない。(25p)

    風間塵、栄伝亜夜、高島明石、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール。4人の紡ぐ音が非凡なこと、そして個性的なことは、読むだけで明確にわかった。

    でも、それがホントはどんな音なのか、ましてや「あの瞬間」を私は味わう事が出来るのか?筋金入りの音オンチの私は全然イメージできなかった。でも、努力はしようと思う。幸いにも、図書館ウェブサイトの提供で「蜂蜜と遠雷」関連の曲集を見つけた。下巻に取り組むまでに、ちょっと練習してみようと思う。

  • 4.6
    さすが本屋大賞
    演奏を文字で語るのは難しいと思うけど、様々な言葉を駆使して情景が伝わってきます。
    ただの演奏なら退屈だったかもしれないけど、コンクールという戦いの場が設定されていることで、登場人物それぞれの感情を読み、主人公以外にも応援したくなる人が出てきたりして。
    なかなか楽しめました。

    • やまさん
      リュウ シャオロンさん
      こんにちは。
      『蜻蛉の理 風烈廻り与力・青柳剣一郎』への、いいね!有難う御座います。
      小杉健治さんの本は、...
      リュウ シャオロンさん
      こんにちは。
      『蜻蛉の理 風烈廻り与力・青柳剣一郎』への、いいね!有難う御座います。
      小杉健治さんの本は、時代小説はよく読んでいますが、中には字が小さくて読めない本もあります。
      風烈廻り与力・青柳剣一郎は、2016.12.11に1巻目を、字が小さいですが最初なので無理して読みました。
      次は、何とか読める最小の字の大きさの12巻から読んで行きました。
      すごく面白いですよ。
      やま
      2019/12/08
    • リュウ シャオロンさん
      やまさん
      こんにちは、ありがとうございます。
      時代小説はどこから手を付けて良いか分からないので、参考になります(≧▽≦)ゞ
      やまさん
      こんにちは、ありがとうございます。
      時代小説はどこから手を付けて良いか分からないので、参考になります(≧▽≦)ゞ
      2019/12/08
  • 素晴らしい音楽の世界。
    絶対読む価値ありの一冊でした。

  • 音楽ものの小説が好きなので読み始めた。作者の丁寧な描写から、場所や音がありありと伝わってきて、登場人物たちのキャラクターもイメージが湧きやすい。
    特に明石という登場人物の考えや想いは強く共感できるものがあり、コンクールという大舞台の緊張感や当日までの葛藤を擬似体験できる。
    有名な曲からピアノならではの新しい曲との出会いもある。サントラを聴きながら読み進めることをおすすめします。

  • ハードカバーでの初読は、駆け抜けるように読み終えてしまった(らしい)
    ふと、映画観に行きたいなーという思いが強くなって、その前に文庫版で復習しようと思い立つ。

    大体のストーリーは分かっていたのだけど、2回目に読んで、ふと立ち止まったのが「なぜ東洋人が西洋音楽をやるのか」と、亜夜の友人、奏が自問するシーンだった。
    直前には中国勢、韓国勢に言及していて、そして日本人らしさとは、という所から、この自問に繋がる。

    以前、何かの評論でも、まったく同じ問いを読んだことを思い出した。
    その部分については、改めて調べて更新したい。

    『蜜蜂と遠雷』には、作品の持つ広がり方から考えると、意外にも多くの日本人にスポットが当たる。
    塵にしても、マサルにしてもそうで、生い立ちとしては日本を離れていても、ルーツとして考えさせるものがある。

    後半、「春と修羅」の自由解釈の部分で、それぞれの世界は顕現する。
    そして、その世界には否応なく、そのルーツが根付いている。

    私は一体、どんな風に世界を見ているんだろう。
    そう思いながら、塵の為す解脱に寄り添ってみる。

  • 体験。これはまさに体験だ。彼の音楽は『体験』なのだ。

    一文一文が短くかつ、何度も、
    繰り返される表現が多かったように思う。
    読んでいて、歯切れがよく、テンポも心地いい。
    音楽を表現するのは、大変難しい
    何故ならば本は、耳を通さないから。
    イメージの世界をどれだけ伝えるか。共有できるか。
    ピアノの世界観は、分からないのだけれど、
    それぞれの人が実在するかのように、
    イメージ、共感できた。

    何より、続きが気になりました。

    • goya626さん
      クラシックは好きなので読んでみたい。
      クラシックは好きなので読んでみたい。
      2019/08/14
    • シンバさん
      クラシック好きということであればぜひ!読んでみてください。
      私は、クラシックとかピアノとかその方面には明るくはないのですが、
      最後まで楽...
      クラシック好きということであればぜひ!読んでみてください。
      私は、クラシックとかピアノとかその方面には明るくはないのですが、
      最後まで楽しく読めました!
      2019/09/07
  •  国際ピアノコンクールに挑む4人の若者たちの熱い闘いが描かれる。

     自分の世界とは全く縁のないピアニストの物語に、はじめは戸惑いましたが、ページをめくるごとに音楽の世界に入り込んでいくようでした。

     個性ある4人の若者にそれぞれ魅力があり、どの人物を応援していくこうか迷いながらもそれを楽しみながら読みました。

     本という全く音が感じられない媒体から音の息吹が感じられる表現に引き込まれました。

     コンクールの一観客として、4人の若者たちの音楽という生き方を見届けていきたいと思います。

  • ピアノとは、音楽とは、こんなにも身近で、素晴らしいものだったのか!

    小説の行間から、美しい音色が聞こえてくる。

    登場人物の喜怒哀楽が、我が事のように胸に迫ってくる。

    芳ヶ江国際ピアノコンクールにエントリーした4人のピアニストを通して、熱く激しい物語が繰り広げられる。

    「彼は『ギフト』だ。恐らくは、天から我々への。だが、勘違いしてはいけない。試されているのは彼ではなく、私であり、審査員の皆さんなのだ」(ユウジ・フォン=ホフマン)

    天真爛漫に自在に音を掴み、奏でる風間塵(かざま・じん)16歳。

    彼のピアノへの評価は、絶賛と非難に真っ二つに割れる。


    かつての天才少女 栄伝亜夜。

    20歳になった彼女は、新しい出会いを経てこの舞台に戻ってきた。

    「君はスターだ。華がある。オーラもある。持って生まれた素晴らしい音楽性がある。しかも、強靱で寛容な精神力もある」(ナサニエル・シルヴァーバーグ)

    フランス人の物理学者の父と、日系三世ペルー人で原子力研究者の母を持つマサル・カルロス・レヴィ・アナトール19歳。

    マサルは亜夜と電撃的な再会をこのコンクールで果たす。

    楽器店勤務の会社員 髙島明石28歳。

    仕事を抱え、所帯を持ちながら、今一度夢に向かい合い、勝ち上がってきた。


    一つの舞台の中で、たくさんの人生が交錯し、葛藤が渦巻き、情熱が弾けあう。


    難しいことなどわからなくても良い。

    音に触れ、文章に親しみ、心から感動する。それだけでいい。

    芸術は庶民のために。

    人と人を結ぶ文化の結晶。

  •  小説だからこそできる、音楽体験と物語世界の奇跡的な融合。恩田陸さんってこんなにすごい作家さんだったのか、と思った作品です。

     小説のポイントは、文字で描かれるコンクールでの演奏シーン。そしてコンクール参加者たちの再生。

     まずは演奏シーン。出版当初から文字なのに音楽が聞こえる! といったようなレビューがたくさんあったような気がします。

    「そんなわけないやろ」と思いつつ、いざ読んでみてビックリ! 「ホンマや……」

     専門的な用語や、テンポ、音の強弱、曲自体の説明も読みごたえがあるのですが、それだけで演奏が聞こえてくる、とまではならないでしょう。この小説のすごいところは、演奏から浮かんでくるイメージを、描いていることです。

     例えば、荒れ狂う自然、生命を包み込む雄大な大地、どこか懐かしさを感じる平原、漆黒の宇宙、そして演奏者たちの思いと再生の物語……。

     恩田陸さんは、ありとあらゆる想像力と筆力を駆使し、ピアノの演奏から浮かび上がるイメージを、言葉にのせるのです。それはもしかすると、本物のピアノの演奏すら超えてくる、読書による音楽体験かもしれません。こんな濃密な文章を読めるなんて、自分は幸せ者だ、そんな感情までも湧いてきます。

     そして先ほども少し書きましたが、演奏者たちそれぞれの思いや人生が、演奏シーンをより際立たせます。演奏を自然に楽しむ少年。新しいクラシックを作りたい、と理想に燃える青年。

     あるいは、けじめをつけるためコンクールに参加した、妻子ある楽器店の店員。子ども時代にCDデビューを果たしながらも、母親の死以降、表舞台から姿を消した元天才少女。

     主な登場人物となるこの4人。それぞれの個性と思いが演奏を際立たせ、そしてその演奏の描写によって、それぞれの新たな一面、そして成長を感じさせるのです。

     演奏とそれぞれの成長の物語は、車の両輪のようにどちらも必要不可欠なもの。でもこの小説がすごいのは、どちらの両輪も、とんでもない大きさなのに、そのバランスが崩れないことだと思います。どちらかの車輪が大きいものに付け替えられると、もう片側の車輪もすかさず付け替えられるのです。

     この小説で登場する風間塵(カザマ ジン)は作中で”ギフト”に例えられます。その言葉の意味は、小説のラスト近くで明らかになるのですが、この小説も同様に多くの人にとって、素晴らしい”ギフト”になる小説だと思います。

    第156回直木賞
    第14回本屋大賞1位

  • 音楽を聴くことは好きだけど、演奏するとか、歌うとかは苦手なので今まで音楽をテーマにしたお話は読まなかったが、下馬評の高さが気になり購入。

    結果からいうと、2日で読み終えてしまった。作中に出てくる有名であろう曲すらしらないのに、久々にのめり込んで読み耽った。

    感想を書くと、ネタバレになりそうなので、一番思ったことは作中に出てくる演奏曲には背景が語られたり、語られなかったりするのだが、どれも情景が浮かび上がってくる。まるで自分が観客席で演奏を見ているかのようだった。

    個性的な登場人物達に、王道のストーリー展開で、とてもおもしろかった。曲を知らなくても楽しめるのでおススメ。

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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