読書で離婚を考えた。 (幻冬舎文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344429437

感想・レビュー・書評

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  • 男性側が繊細で

    女性側が天衣無縫というのは

    いい夫婦のお手本ではありませんか



    反対に 書きやすかろうと

    選んだ折り紙の本で

    田辺先生がすごく苦しむなど



    書評の本で

    夫婦仲を楽しめたのが

    すごく新鮮でした



    勿論 書評自体も

    面白かったんですよ

    なかなか他の書評では

    見かけることの少ない

    翻訳SFものなど 楽しめました

  • 掛け違えたボタンのようなやりとりと絶対に私だったら読まない課題図書を提示し合うご夫婦。(純文学とかホラーは読めるけど)

    互いのレビューに入るボケと突っ込みに大笑いさせて頂きました。

  • 夫婦がお互いに相手から勧められた課題図書を読み、感想を書く。そんなふうに本を通じてお互いの世界に歩み寄れば、おのずと相互理解に近づくのでは……そんな理想をかかげて始まった作家夫妻のリレーエッセイ。だが、とぼけた妻の期待と繊細な夫の不安に満ちたやりとりはだんだんと不穏な方向へ。本を媒介に相手の〈わからなさ〉と向き合った、生の記録。


    Web連載開始からしばらく追っていて次第に読まなくなってしまったのだけど、こんなはちゃめちゃになっているとは知らなかった(笑)。表紙のイラストを小バカにしてタニス・リーも読まない(田辺さん談)円城さんに勾玉三部作を読ませたのは快挙じゃなかろうか。
    私は小説の趣味は円城さんに近く(数学・物理学系の本はお手上げだけど)、性格的には田辺さんに共感をおぼえる。短編ばかり選ぶ円城さんの配慮に優しさを感じつつも、感想を書きやすい作品選びじゃないなぁと思うし、共通の思い出がある作品を選んでエッセイを書きやすくしているつもりだろう田辺さんの選書には、円城さんはそういう書き手じゃないっぽいよと言ってあげたくなる(笑)。随所に渡る大胆なすれ違いっぷりが読んでて楽しい部分なのだが、連載中は友人たちから心配の声は絶えなかったとか。
    けれど最後まで読むと、これはこれで理想の二人だなと思う。なにより円城塔が「やっぱり自分は、わからなさが好きなのだなと思うようになりました」と言うような相手がいることに感動してしまうのだ。きっと連載中、思っていた以上にお互いをわかっていなかったことに焦りもしたのだろうけど、その〈わからなさ〉を愛する、と堂々宣言。このタイトルでこんな惚気を読まされていいのか。「あなたが美味しいと言ったから果物記念日」とか書いてるんだぞ、あの円城塔が。
    私は田辺さんの小説は読んだことがないので円城さんのことばかりになってしまうけど、円城作品にずっと抱いていた疑問がひとつ解けた気がする。それはどんなに難解な構造をもつ作品にも、その深層の上に必ずもう一層エモーショナルな物語の層が乗っかっているのはなぜか、ということ。このエモの層があるおかげで私でも円城作品を楽しめるし、日本で商業ベースに乗るためのテクニックなのかなぁと考えていたのだが、こうして夫婦間でのやりとりをのぞかせてもらうと、円城さんは思ってたより〈わかってほしい〉人だったのだなぁと腑に落ちた。そのためなら説明を惜しまないし、何度もやり方を変えてトライする。で、最終的には〈わからなさ〉を愛してしまう。宇宙の片隅でもうとっくに人類の知性を超えてしまった存在がそれでもなぜか人類に向かって懸命にメッセージを送り続けているようなあの小説たちは、こんな健気な思いで書かれていたのか。

  • このお二人が夫婦とは全然知らなかった。作家夫婦がお互いに本をすすめ、それに書評を書くリレーエッセイ。選んだ本がどうこうよりも、お互いの性格と関係がにじみでていて、エッセイとしておもしろかった。
    安野モヨコさんの「監督不行届」を思い浮かべた。どちらもお互いにパートナーのことを変人と認識しているけれど、傍からみたら、確実にふたりとも変人!編集者の人がおもしろがって夫婦企画を提案する気持ちがわかる気がする。

  • 芥川賞作家の円城塔とホラー作家の田辺青蛙の夫妻が、相互理解のために課題図書を指定して相手にエッセイを書いてもらうリレー形式のやりとり

    円城塔も田辺青蛙も私は未読
    だけど、面白く読めた

    タイトルに偽りありかな
    雰囲気がどんどん険悪にとかって煽りもあったりするけど、全然そんなことない
    あとがきにも相互理解は深まらなかったとか書いているけど
    ちゃんと相互理解は深まっていると思うよ


    ただ、思いやりという面はないかな(笑)
    円城塔さんが怖い表紙が苦手だと推測しつつ、表紙が怖い本を課題として選ぶあたりが鬼畜

    終盤あたりで円城塔さんが語ってるのが、課題図書の選定はブラックボックステストだと
    このジャンルに対して相手はどう反応するか?という基準で選んでいるようで
    だからこそ様々なジャンルの本が知れる


    ところどころ、田辺さんは本をちゃんと読んだのか?と疑問に思うくらいに内容に触れていない回があって、円城塔さんが危惧した通りになってたのかもしれない

    だからこそ、ルールを守るというルールを作るべきだったという記述が一番ウケる




    この課題図書交換会は楽しそうだなぁ

    円城塔さんが語っているのに同意
    「一年に三百冊くらい本を読む人同士でも読んでる本が全くかぶらない、なんていうのは珍しいことではないですしね」
    私も1年に100冊以上読んでいるけど、この本で紹介されてある本は一冊も読んでなかったので、この感覚はよくわかる

    読書会で知り合った友達から読んだ本のリストを見せてもらったときも、お互いに小説を主に読んでるにも関わらずほとんどかぶってなかったもんね

    自分の読書の幅を広げるためにも誰かとやってみたい

    ただまぁ、このやりとりは「相手に自分を知ってもらう」「相手のことを知る」という2つの側面があって
    課題図書を必ず読むというルールにするとなると、相手との信頼関係が結構重要になってくると思う
    なので、かなり近しい人同士じゃないと無理かもね

  • 読書が趣味なんですと言っても人が違うと全く読む物が違って喧嘩になりそうになるとは。本を勧めて相互理解は深まらない夫婦のエッセイ。ハラハラして大笑いできます。

  • 企画とはいえ、こんな夫婦うらやましいぞ!

  • 円城塔と田辺青蛙の作家夫婦。相互理解を深めるためになにをしようか、ということから始まった、お互いに勧めた本を読んで感想を書こうという雑誌連載企画。

    連載中は離婚危機なんじゃないか、なんて心配されるぐらいなので、当初の目的だった相互理解は進んだのかどうなのか。相互理解するには生半なことではいかない、ということがわかったようなので、それだけでもよかったのではないでしょうか。
    まるっきり他人事。

    まあ、読書好きといっても、好むジャンルが被らないと話なんて弾まないものです。それは読書に限ったことでなく、他のジャンルでもそうだと思いますが。そこには、狭いけど大きく深い溝があるものですよ。
    その溝をのりこえ、歩み寄ろうとした大いなる実験だったというね。

    他人が興味のない、あるいは苦手で、こちらが得意なジャンルを進める場合にうまくいかないことが多いのは、お互いの熱量の差なのかなと思ってましたが、そうじゃないのかな。

    なかなか勧めるのも、勧められるのもうまくいかないものです。

  • 夫婦のお互いの理解のために本を紹介し合い、それをレビューし合うという本。

    衝撃的な題名と本のレビュー本というところに惹かれて読み始めたけど、最初はちょこちょこ違和感を感じた。田辺回はともかく、円城回はレビューじゃなくね?そんな感じ。
    でも読み進めていく中で、その違和感はすっと晴れていく。円城さんによるとこの本はレビュー本じゃなくて夫婦相互理解の試みの本だと言う。えーレビュー本じゃないのー?予想と違ったわ。あ、私が勘違いしてたのか。

    でもそうとわかればどちらの回も違和感なく楽しく読めた。私のとこも夫婦して本好きだけど、好きなジャンルはそうそう被らないし。それでも互いのおすすめ本は紹介し合うが。そして感想はお互いに「いいんじゃない」レベルだが。それでいいのだ。違ってても。

  • タイトルに惹かれて「読みたい本リスト」には載せていました。
    が、本屋で実物を見つけて中を見てみると、見事なくらい読んだことのない本のオンパレード。
    39冊紹介された本のうち、既読なのは『薄紅天女』荻原規子と『バトル・ロワイアル』高見広春の2冊のみ。
    あとは、絵本「ミッケ!」を子どもたちと楽しんだことがあるくらい。

    読書が趣味と言ったって、読書の趣味が全く同じ人ってまずいないだろう。
    それほどに読書の世界は広い。
    だから、夫婦だからと言って同じ本を読み、同じ本を好きになる必要はないと思うんだけど(円城塔もそう言っている)、性格・趣味趣向の全く違う夫婦が相互理解を高めるために、読書リレーを始めてみた。

    円城塔の小難しい小説を、私は嫌いではなかったけれど、この本を読んで彼は実に愉快な人なのだとわかった。

    ”羆となるとつい過剰に話し出すのが北海道の人ですが、そのくらい日常的で自然な相手なのです。
    だから、居間の中央に(妻の)ジーンズが抜け殻のように脱ぎ捨てられているのを見ると、ああ、熊害……と思いますし、廊下に(妻の)靴下の片一方だけが落ちていたら、ああ、熊害……と心の中でつぶやくことになるわけです。冷蔵庫の中の常備菜が何か(スプーン)で抉(えぐ)りとられたようになっているのを見ては、ああ、熊害……と、半開きのままのドアにカーテン、つけっぱなしの明かりにでくわすたびに、ああ、熊害……と浮かびます。夜中にガサガサ物音がすると、ああ、冷蔵庫を漁っているのだなと、そして翌朝、流しの中でひからびている皿とスプーンを観察しながら、ふむ、昨夜はなになにを食べたのだな、と推理してみることになります。妻の姿が見えないと、布団の温度を確かめてみたりしますね。
    うむ。まだ遠くへは行ってない。近くにいる。”

    いつの間にか妻が熊と同化している。
    それに対する妻の脚注でのつっこみ。「身近な異類婚落ち。」
    そして「それ、我が家に住み着いている妖精だか妖怪だかの仕業らしいですよ。」と。

    読書案内本であるはずなのに、夫婦のあり方が面白くて、実は本についてはあまり記憶に残っていない。
    いいのか、それで?
    たぶんいいのだろう、それで。

    料理の仕方ひとつとっても、きっちり分量を量り、レシピ通りの手順で作る夫と、どこかで必ずアレンジを加えて想像を超える料理を作ってしまう妻。
    まるで歩み寄ることのない「栄螺(さざえ)堂」のような夫婦と円城塔は言うけれど、いいじゃないか栄螺堂。
    ずーっと平行線をたどっているようで、中に一か所行き来できる通路があるんだよ、栄螺堂。

    栄螺堂のような夫婦になりたいと、そう思いまいました。

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著者プロフィール

1972年北海道生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2007年「オブ・ザ・ベー
スボール」で文學界新人賞受賞。『道化師の蝶』で芥川賞、『屍者の帝国』(伊
藤計劃との共著)で日本SF大賞特別賞

「2023年 『ねこがたいやきたべちゃった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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