わたしたちは銀のフォークと薬を手にして (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
4.06
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本棚登録 : 6344
感想 : 381
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344429666

作品紹介・あらすじ

残業も休日出勤もいとわない仕事熱心なOL
の知世。そんな彼女の楽しみは、仕事で出会
った年上のエンジニア・椎名さんとの月二の
デート。江の島の生しらす、雨の日の焼き鳥、
御堂筋のホルモン、自宅での蟹鍋……。美味し
いものを一緒に食べるだけの関係だったが、
ある日、彼が抱える秘密を打ち明けられる。
行方のわからない大人の恋を描いた恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • こちらは、私が購入しそうもない小説(笑)
    ブクトモの皆さんの感想を目にして、ちょっとだけ心惹かれたので、いつか読もうと温め続けていた本。


    仕事熱心なOLの知世。彼女の楽しみは仕事で出会ったWEB開発の中の人、椎名さんとデートだった。
    色々な場所に旅行に行き、美味しいものを食べるのだが、ある日椎名さんから秘密を打ち明けられる。

    この知世が主となって描かれる連続短編小説なのだが、知世の同級生や、知世の妹が一人称になって語られる話もあり、全然飽きずに興味深く読み進められた。


    30代、少し大人になった彼女たちのそれぞれの悩みが、全く同じ状況を経験したことがあるわけでもないのに、妙に説得力があり、わかるわーーーーーと思ってしまう(^_^;)

    特に、知世の妹目線の話では、妹は思ったことは口に出して言えるタイプなのだが、会合が終わった後、こうだったらいいのにね、と耳打ちしてきた子へ、そう思うのなら発言すれば良かったのにと言う場面。
    グサっときた。正にその通り。
    いい子になりたくて、波風立てたくなくて発言出来ない私、そのまんま抉られた感じ( ̄▽ ̄)


    凄く読みやすくて、素敵な作品だった。
    色々なところに旅行に行ったり、美味しそうなものを食べたりしている描写が最高で、また旅行行きたいなーと思った(*^▽^*)

  • 2017年
    30歳独身OLと その友人達のリアルな恋事情と結婚観。
    12章ありますが、妙齢な大人達の少し贅沢な食事が、恋愛事情と共に描かれています。始まりが、雑誌の「お菓子にまつわる掌編」からなので、その流れでしょうか大人の男女が、贅沢な食事をしたり、旅先で食事をしたりするのは、恋愛最中感がありますね。
    主人公の女性が好きになってしまった人には、完治できない病気がありました。結婚となれば、ほとんどの人が、悩むところです。しかし、彼女は、比べることができない彼の居心地の良さに、
    一緒に生きることを選びます。
    ラストの石垣島の章は、夢か幻想か 未来あるふたりを読めました。

    • おびのりさん
      京極堂1冊に付き、島本さん7冊はいける。
      京極堂1冊に付き、島本さん7冊はいける。
      2023/09/13
    • みんみんさん
      わたし今回の図書館は薄めの本ばかり借りました〜
      ちょっと疲れ気味(๑•́ ₃ •̀๑)
      わたし今回の図書館は薄めの本ばかり借りました〜
      ちょっと疲れ気味(๑•́ ₃ •̀๑)
      2023/09/13
    • 傍らに珈琲を。さん
      京極堂をここで出すんですね 笑笑
      京極堂をここで出すんですね 笑笑
      2023/09/14
  • ずっと読んどきたい物語でした。
    登場人物がそれぞれ、縛られていたものから解放され自分に無理をしない生き方を見つけるところが読んでいて心地よかった。
    年上の誠実な彼氏がAIDSであるという重い設定だけど、読んでいる分にはそこまで重さを感じなかった。常に前を向いて、迷ったら自分の心に戻って本質を確認し、自分の本当の思いを見失わない強さが眩しかったからだと思う。
    もう一度読んでみたい本でした。

  •  これはもう、かなり大人な恋愛小説ですね。若いカップルの瑞々しさを描いた純愛ものとは全く違います。でも、これ見よがしの熱愛、ドラマチックさ、高揚感もなく、ハイ、ごちそうさまでした! という印象はありません。ですが、絶対女性ウケすること請け合いの優しい物語だと思います。

     30歳独身OL・知世を中心に、仕事や恋愛・結婚観などの心情がとてもリアルで、感情の揺れが丁寧に表現され、日常の一コマとして落とし込まれています。
     そんな知世が、年上でバツイチだけど親しみやすい椎名さんと食事の逢瀬を重ね、間もなく病気をカミングアウトされ‥。
     病気や彼の過去について、戸惑いながらも食事や旅を通して、椎名さんとの時間を大切に親密にしていきます。

     途中、気の合う友人2人、反りの合わない妹の異性関係の章があり、異性や生き方などの〝人それぞれ感〟が挟められることで、知世の地道で丁寧な生き方が対比・強調され、共感し後押ししたくなる感情が湧き出てきます。
     更には椎名さんの前妻とも希望して話をしながら、自分と2人の在るべき理想像を見付け、形作ってゆく過程の描かれ方が温かく丁寧ですね。

     男女の付き合いやに正解がないのは当然ですし、本書でそれを提示している訳ではありません。でも、人と人とが出会い、2人の関係を形作っていくのは(面倒くさいことも多々あるけれど)やっぱり素晴らしいことだと、改めて感じさせてくれる良質な物語でした。

  • 初読み作家さん。
    期待以上に楽しかったです、大人の恋愛小説。
    自分が大切にして過ごしたいと思える人に時間を費やしたいと思わされました。

    内容としては、主人公の恋愛相手が完治しない病。
    それにまつわる親族のゴタゴタ。
    友人絡みのゴタゴタ。

    結局自分の人生、周りは関係ない。
    けど、もし自分が主人公の立場なら、どうする?を何度も問いかけ考えさせられたーー

    というわけで、私のクセで、同じ著者の他の作品買ってしまい積読です。


  • すっっっごい良かった。
    でも重たい本。でも本当に良かった。
    大人の恋愛本。知世と椎名さんのやりとりだけでなく、ほかの登場人物の章もひと味違って良かった。

    食べ物の描写が全部美味しそうで楽しそうでそちらも良かった。
    旅行も行きたくなった笑

    心に残った文
    世界が暮れなずむ。なぜか、絶望みたいだ、と思った。なにも欠けたものがない。
    ゆるぎなく、無理もなく、満たされて、だけど私たちは確実にいつか死んでいく。
    それを自然と想像できるくらいに幸福だと気付き、希望とはなにか足りないときにいだくものなのだと悟った。

  • 仕事に夢中になっているうちに30歳を過ぎて、何とも中途半端(?)な年代に差し掛かった知世が惹かれたのは、年上のエンジニア・椎名さん。
    美味しいものを見つけるのが好きな彼との食事は楽しく、穏やかな時間を過ごすことができます。しかし彼から、自分はエイズを患っているという告白を受けた知世は、彼と生涯をともにする決心ができるのかー。

    作者あとがきには、「人生とは有限で、でも選択して生きていけるもの」とありました。
    確かに、人によって歩んでいる人生は全く異なりますよね。
    学生の頃は自分と似てるなーって思っていた友達でも、今では全然違った生き方をしていたりして、もはや全てを共感し合える人なんていないのかなって思ったりします。
    多くの選択肢がある中で、自分は何を幸せと感じるのか。まだまだはっきり分からないけれど、今後たくさんの人との出会いを通して、少しずつ見つけていけたら良いなぁ。


    それにしても、作中に出てくる蟹鍋や生しらす丼、鯛めし等どれもすごくおいしそうで、食欲を刺激される一冊でした(笑)

    • raindropsさん
      ナッツさん、こんにちわ。
      ナッツさん、感想書くの上手いですね。いつも読ませてもらうと、その本が読みたくなります。
      これからも素敵な書評お願い...
      ナッツさん、こんにちわ。
      ナッツさん、感想書くの上手いですね。いつも読ませてもらうと、その本が読みたくなります。
      これからも素敵な書評お願いします。
      2021/06/02
    • ナッツさん
      raindropsさん
      ありがとうございます。
      文章を書くのはすごく難しくて、短い感想なのに2〜3時間悩んでいたりもしますが、そう言ってもら...
      raindropsさん
      ありがとうございます。
      文章を書くのはすごく難しくて、短い感想なのに2〜3時間悩んでいたりもしますが、そう言ってもらえて嬉しいです。
      2021/06/03
  • すっごい好きな人がこの病だったら
    すごく悩むわぁ私ならどうするだろう
    女性の生き方は 
    どうしても 何を選択するのか
    ということに スポットが
    当たってしまうんだなぁ
    年下の女友達の恋バナを
    聞いてるように楽しめる本でした

  • 洗練された美しい文体
    ページを捲る手も軽く
    サクサク読める
    1話ごとに必ず登場する美味しそうな料理も魅力的

    そんな文章に反してテーマは重い
    1話ごとに語り手が変わっても
    主役の2人がどうなっていくのかちゃんとわかる
    そんな読ませ方もスマート
    余韻もありつつの終わり方もとても好き

    島本理生さんの恋愛小説にはどこか切なさがいつも漂う
    やっぱり期待を裏切らない

  • 冒頭から最後まで、余すことなくきれいな描写、文章。今まで私が言葉にできずモヤモヤしていた感情を、きれいな言葉で表現していて、代弁してくれて、共感とともに、これだ!という感動が何度もありました。恋する人間はボロボロになりながらも、みんな強い。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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