たゆたえども沈まず (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 1333
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344429727

作品紹介・あらすじ

19世紀後半、栄華を極めるパリの美術界。画
商・林忠正は助手の重吉と共に流暢な仏語で
浮世絵を売り込んでいた。野心溢れる彼らの
前に現れたのは日本に憧れる無名画家ゴッホ
と、兄を献身的に支える画商のテオ。その奇
跡の出会いが”世界を変える一枚”を生んだ。
読み始めたら止まらない、孤高の男たちの矜
持と愛が深く胸を打つアート・フィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 最初のシーンを挿入する必然性は?

    「テオは兄ゴッホの画家人生を支えるために生まれてきた」って論調を時々見るけど、テオ自身も自我と物語を持つ一人の人間だということがよく分かった。

    パリはたゆたえども沈まず
    450ページに渡る物語の全てが、この一言に帰趨する。

  • ゴッホと彼を支えた弟のテオ、画商の林忠正と加納重吉を軸に、彼らの生き方が語られ、西洋の画家に与えた浮世絵の影響も描かれる。

    たゆたえども沈まず

    言葉は人の生き方をどこまで支えられるのだろうか

  • フィクションの枠を超えた作品だと思う。
    読み終えた後、少しの希望と何とも言えない寂しさが混じり合った様な気持ちになった。
    そっとしておきたい様な作品だ。

  • 本屋さんの長蛇の列に並んでいる時に出会った本屋。ゴッホの作品は実際にイギリスやフランスで見た事があり、表紙に魅力を感じて購入した。
    マハさんの作品に触れるのは初めてだったが、こんなにもゴッホとテオの悲運なストーリーを絵画にまつわる潤沢な情報を交えながら物語として描いている事に驚いた。
    この本を読む前までは、ゴッホの生前の過激なエピソードなどしか知らず、彼の人生は寂しく終わってしまったという印象しかなかった。しかし、本書を読んでいるうちにゴッホの日本の美術に対する熱い思いや、テオに依存してしまいながらも、テオを心から愛している様子にいつのまにか吸い込まれていった。
    多少厚みはあるものの時間を忘れて読める作品。日本人として、ゴッホの作品がより身近に、より興味深くさせる作品だと思う。

  • パリに憧れ、日本に夢見る。

    ゴッホ兄弟の苦悩、日本画商と浮世絵が印象派へ与えた影響。

    兄のために尽くしてきた。
    愛する兄への複雑な思いと喜び悲しみ。

    ゴッホは確かにテオに迷惑をかけていた。しかし、ゴッホにはゴッホなりの苦悩があったのだ。
    あんな行動を起こしてしまうほどに…

    テオも強そうに見えて弱い。

    恥ずかしながら、ゴッホ展やこの本を読み、それに伴い調べるまで、ゴッホの名前と有名な作品しか知らなかった。
    まさかこんな人生を歩んでいたとは…

    忠正の鋭さやセンスの良さ、重吉の友達思いなところが良い。

    浮世絵はパリで認められ日本で認められた。初めは雑な扱いだったのに皮肉なものだ。

    重吉について、マハさんはどこかで言っているのだろうか?
    検索したらわかるけど、あとがきに書いてあるのかと思ったらあとがきがなかった…


    孤高の画家
    たゆたえども、決して沈まず。
    いつか認められる日を信じて…

    各々の励ましの言葉に涙。


    これはやはり、読んでからもう一度ゴッホ展へ行くべきだった…残念

    たゆたえども沈まず
    きっかけはゴッホ展にしろ、この本を読んで、より美術、ゴッホ、印象派、浮世絵に興味を持つことが出来た。

    画家や美術の背景を知ることが出来て面白く楽しい。
    知識が増えることが楽しかった。

    好きな本の一冊になった。

  • 登場する名画を調べながら読んで、いつもより読書を楽しめた、原田マハさん本当に素敵。本を読んで、美術をもっと楽しみたいと思わせる、美術館に行きたくなるしパリに行きたくなる。兄弟間の愛とか尊敬とか羨望とかそういう感情が面白かったし、ハヤシの生き方も印象的だった。

    生きているといろんなことがあるからこそ、ときにはゆらゆら変化に身を任せることも大事で、そのためには身軽でいる必要があるなあと思った。

    映画『ミッドナイトインパリ』観たくなる。

    "嵐が吹き荒れているときに、どうしたらいいのか。ー小舟になればいい、〜「強い風に身を任せて揺れていればいいのさ。そうすれば、決して沈まない。」"
    "自分で価値を見出すことはせず、むしろ他人が価値を認めたものを容認する、それが日本人の特性た"
    "「そういうものさ。パリという街は」〜「見たことがないものが出てくると、初めのうちは戸惑う。
    なんだかんだと文句を言う。けれどそのうちに、受け止める」"

  • 抑えきれない衝動、世間とのギャップ、承認欲求、依存。人なら誰しも持っている感情だが、芸術家と呼ばれる人はその振れ幅がとてつもなく大きいのだと思う。

    今や世界的に展示会も開かれるほど有名なゴッホと、それを支えた人々を描いたフィクションは、哀れで苦しくて、それでいてとても眩しかった。
    何かを成し遂げることは、痛みと苦しみが伴うのだと。それでも信じて進んでいくには、強さが必要なのだと。

    私は芸術家ではないけれど、理想と現実の狭間で苦悩することは数えきれないくらいある。
    強くなれるだろうか。
    嵐がきても波にもまれても、流れに身をまかせてたゆたって、けれど決して沈まないように。

  • パリで奮闘する日本人である重吉からみたテオとゴッホの関係性が描かれており、お互いがお互いを愛していて、依存している一方で、だからこそ嫌になり離れることもある兄弟の関係性がなんでもっとうまく生きていけないんだろうかともどかしい気持ちになった。
    読んでいて、ゴッホの描く色彩豊かな絵が、文章から浮かび上がって頭の中で描かれるような気持ちになった。素晴らしい文章だと思う。
    これから、ゴッホの絵を観るとき背景にあるさまざまなストーリーを想像して、これまでと違う味わいで楽しめそう。

  • ゴッホとテオの悲運な人生を辿る。

    事実に基づく記述もある一方で、加納重吉という架空の人物を設定し、実在した林という画商との関わりを見事に創り上げている。

    当時のパリに日本、浮世絵が深く受け入れられていたことを語るとともに、作者の、悲運なゴッホやテオに日本人、日本がしっかりと寄り添っていたんだということを強く表現したいという思いが感じられた。

    たゆたえどもしずまず。人生は思いどおりにいくものではない。抗えば抗うほどに、船に水が入り沈んでしまう。抗わず、ただ自分の信じる道、信念に基づいてただたゆたいながら人生の荒波にもまれながらも沈むことなく、浮かび続ける。

    たゆたうことの必要性を感じていながらも、不安と恐怖に苛まれ、抗い、そして見事な作品を製作しそして表にでることなく去ったゴッホ。それを支え続け後を追うようにして去ったテオ。

    人生は辛く厳しい。他人の評価や世間体を気にして今の自分から目を背け抗い続けても沈むだけ。ゴッホは、自分を信じてたゆたうことができなかった。たゆたいながら後何年か生きていれば、その素晴らしいまでの実力が評価されたかもしれない。

    抗い、その怒りや不条理さを他にぶつけるのではなく、うけながし、ただたゆたいながら、己と向き合い穏やかに生きる。そのことの大切さを教えてくれたような気がする。

  • ‪19世期後半のパリ、日本人の画商と助手はオランダ人画商のテオと出会う。その画商の兄はヴィンセント・ゴッホ。その死までを事実をベースにフィクションを盛り込んだ物語。歴史的事実に感情が吹き込まれ、作り話とはいえ新たなゴッホの姿が浮かび上がる。‬

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著者プロフィール

原田マハ(はらだ まは)
1962年東京都生まれ。小6から高校卒業まで岡山で育つ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部美術史学専修卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事株式会社、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館での勤務を経て、2002年よりフリーのキュレーターとなる。2005年小説化デビュー作の『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。2012年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞、『キネマの神様』で第8回酒飲み書店員大賞をそれぞれ受賞。2013年には『ジヴェルニーの食卓』で第149回直木賞候補、2016年『暗幕のゲルニカ』で第155回直木賞候補となる。2017年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞受賞。2019年『美しき愚かものたちのタブロー』で第161回直木賞候補に。

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