- 幻冬舎 (2020年4月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (456ページ) / ISBN・EAN: 9784344429727
作品紹介・あらすじ
19世紀後半、栄華を極めるパリの美術界。画
商・林忠正は助手の重吉と共に流暢な仏語で
浮世絵を売り込んでいた。野心溢れる彼らの
前に現れたのは日本に憧れる無名画家ゴッホ
と、兄を献身的に支える画商のテオ。その奇
跡の出会いが”世界を変える一枚”を生んだ。
読み始めたら止まらない、孤高の男たちの矜
持と愛が深く胸を打つアート・フィクション。
感想・レビュー・書評
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2018年本屋大賞第4位。<もうひとりのゴッホ>弟テオの物語。
兄フィンセントを最期まで支え続けたテオ。彼の人生は。
フィンセント・ファン・ゴッホは、常人には理解し難いあれこれによって、圧倒的主人公(良くも悪くも)であり、私たちからは遠い存在だともいえる。
しかしテオは私たちであり、その姿に容易く感情移入できる。
彼は兄が稀代の怪物フィンセントだということ以外ふつうの人なのだから。
テオとフィンセント、そして彼らと交わる日本人。
19世紀後半のパリ、「たゆたえども沈まず」の思いで生きた彼らの姿は、とても眩しく映る。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
パリは、いかなる苦境に追い込まれようと、たゆたえこそすれ、決して沈まない───
舞台は、印象派や日本絵画などが話題になり始めた19世紀後半のパリ。
今やその名を知らぬ人は、ほぼいないくらい有名な画家 "フィンセント・ファン・ゴッホ"。
無名時代のゴッホと、彼を経済的、精神的に献身に支えた弟のテオドルス、そして美術を愛し、パリを愛した日本人画商 林忠正と加納重吉、この4人が出会い、名作を生むまでの物語。
✎︎____________
あまりアートには詳しくないけれど、どの画家が好きかと聞かれれば、やっぱりゴッホ。
この作品の表紙にもなってる星月夜を描いた作品がめちゃくちゃ大好きだ。
以前マハさんの「リボルバー」を読んでいたので、ゴッホとテオ兄弟に対する知識は多少あったのだけれど、また違ったアプローチでこちらはこちらで楽しめた。
やはり思うのはゴッホは繊細すぎるほど繊細だったんだな〜という事。
精神的に病んで苦悩してる様子が痛々しかった。
何かを生み出す、一つの事にとことん向き合うという事は、想像以上に大変な事なのだな〜と改めて感じた。
そしてそんな兄を献身的に支え続けた弟のテオ。
彼もまた繊細なのだけど、その優しさにため息が出るほど。
画家ゴッホは、2人で1人だと言ってもいいくらいその存在は大きい。
彼がいなければ、あの名作たちは生まれてなかったかも知れない。
マハさんのアート小説は史実とフィクションを織り交ぜて書かれているのだけど、今回は実在した林忠正と架空の人物である加納重吉が、ゴッホ兄弟と深く関わってくる設定だった。
知られてる史実には限りがあるけど、フィクションのおかげで深みが出て、何故かより本当のゴッホの人となりを知れた気がする。
だけど正直言うと、個人的にはちょっと長かった、、
中弛みしちゃいました。
結局自身の絵が、こんなにも多くの人の心を掴み、賞賛された事を知らぬまま亡くなってしまったゴッホ。
結末は分かってはいたけど、なんとも切ない気持ちでいっぱいだった。
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2025/02/08
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みひろちゃん♪こちらにもお邪魔します(^-^)/
この作品好きだった、記憶がある(笑)
ゴッホの弟の献身さ凄いよね!
お兄さんの...みひろちゃん♪こちらにもお邪魔します(^-^)/
この作品好きだった、記憶がある(笑)
ゴッホの弟の献身さ凄いよね!
お兄さんの才能を信じて…
林さんも好きだったと思うんだけど、何が好きだったか思い出せない。
最近、映画「八犬伝」を観たのだけど、馬琴さんも繊細で気難しかったなぁ。
北斎さんは繊細ではなかったけど(笑)、やっぱり気難しそうだった。
天才というのはそういうものなのだろうね。
ゴッホ、そうなのよ、生きているうちになぜ?って思う。
芸術の世界の難しさだよね。
今回はここまでにさせてね。
私も2冊のレビュー書かなきゃ。
頑張ります(*'-')ゞ
2025/03/05 -
あいちゃ〜ん、こちらにもありがとう♡♡
今あいちゃんのとこ見て来たよ〜!(^-^)v
だいぶ前に読まれてたんだね〜♡
"たゆたう"って言葉素...あいちゃ〜ん、こちらにもありがとう♡♡
今あいちゃんのとこ見て来たよ〜!(^-^)v
だいぶ前に読まれてたんだね〜♡
"たゆたう"って言葉素敵だよね.*・゚ .゚・*.
使った事ないけど〜(*≧∀≦*)www
ゴッホの弟の献身さには本当に驚きだったね( °-° )
それだけゴッホの才能を信じてたし、誰より兄の絵が好きだったのかな〜。
やっぱり天才ってちょっと変人?が多いのかもね!
生きてるうちに脚光浴びせてあげたかったな〜(இдஇ)
絵の事はあまり分からないけど、ゴッホの絵がめっちゃ好きだから、なんかそれが悲しいかな。
いっぱいコメントありがとう〜〜(*´︶`*)♡
あいちゃんの投稿待ってるよ〜ん笑♡♡♡
2025/03/05
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史実とフィクションとを混ぜた、ゴッホ兄弟と絵画との関わり
彼らを見つめる、パリへ来て画商を営む2人の日本人
日本の美術すら無知なので、浮世絵とゴッホの作品の関係も興味深く読めた
読後は何とも言えない切ない余韻が残り、両表紙の絵画に慰められる
そんななか表題でもある、
たゆたえども沈まず
という言葉が力強く響いた
生きていると色々あるけど、そうやって生きていくんだよね
ゴッホの展覧会に行って、本作を思い返しながら鑑賞してみたくなった
(図書本)-
ひよりさんの本棚見ました。なんか好きな作家が同じでビックリでした。本は私の知らない世界に連れて行って来れます。絵画を見る時も本を読む時も自分...ひよりさんの本棚見ました。なんか好きな作家が同じでビックリでした。本は私の知らない世界に連れて行って来れます。絵画を見る時も本を読む時も自分だけの世界で想像を膨らませて見ていましたが、原田先生の本を読んでからは、時代とか周りの人達の事が何となく分かるとこんなにも面白く絵を鑑賞できる事を教えて来れました。絵画を見る事も本を読む事も同じ何だなァと・・・想像を膨らませることが益々楽しくて原田先生の本に感謝です。2024/03/05
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フィンセント・ファン・ゴッホの物語。
彼を取り巻く人たちの視点で描かれている。フィンセント、テオ、林忠正、重吉、それぞれの人生が交わり、やがて奇跡の一枚を生む。
史実をもとにしたフィクションで、画商・林忠正の助手である重吉も架空の人物なのだが、彼の存在が、フィンセントとテオ、林忠正を繋いでくれていた。
フィンセントの絵画にかける想い、パリに対する想い、弟テオへの想い。そしてテオの兄への想い。また、林忠正の日本画商としての仕事にかける想い。
それぞれの想いに胸が熱くなった。 -
すごく読みごたえがあった。ゴッホ兄弟、林忠正、加納重吉4人の織り成す重厚なドラマが心をつかんで離さなかった。明治、日本が近代国家の体をなしていない時期に、渡仏しジャポニズムを広めた林忠正の生き様は端から見ていてカッコいい。武士道をフランスで体現してるかのようで魅力的な人物だ。一方重吉は、渡仏し足が地につかない様子に親近感を覚える。その後の成長にも。美術史は聞きかじりの自分がこんなにはまるとは思わなかった。美術に関して、原田マハさんの造形の深さが魅力を溢れんばかりに伝えてくれる。新しいものが受け入れられるのに時間がかかることを歴史は繰り返し伝えてくれる。あのゴッホですらそうなのだから。アルルの跳ね橋や星月夜など素人の自分でも思わず感動してしまうというのに。美術×歴史のダイナミズムを終始感じることができた。すごく楽しい時間を過ごせた。
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リボルバーを読んで、とても良かったので、引き続き原田マハ氏のたゆたえども沈まずをオーディブルで聴いた。この本はゴッホとそれを支えた弟テオドルスを題材にしたフィクションである。いつまで経っても売れない兄の絵に可能性を感じて支え続けるテオドルスだが、当然のように乱れた生活を送る兄に対して複雑な思いと葛藤することになる。考えてみれば、西洋画の油絵の画材や、作成された絵の維持管理には相当の費用がかかるわけだし、兄がアルルに去っても、絵が置いてあるパリの部屋は借り続けなければならないし、仕送りもたいへんだっただろう。ゴッホが残した数多くの傑作の影にはテオドルスの大きな支えがあったのだ。どんな歴史的な偉業にも、それを実現させた条件があるのであり、本人の努力だけでは実現しないのだ。これらのことをまるで実際に見てきたように語る著者の筆力がすごいと思いました。
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ゴッホ兄弟と日本人の画商との交友関係を描いた本作ですが、アートの歴史に触れられたような感覚があって、個人的に新しい世界を体験でき、満足した読書体験でした。
本作の主人公は画家である兄のフィンセントと画商である弟のテオドルス。その2人が日本人の画商である林忠正、加納重吉と関わり合い、画家として大成していくというストーリー。
本作の注目ポイントとしては、まずは兄弟愛があります。時には曲がったり、離れ離れになったりしてしまいますが、心の奥で深く繋がっている描写が多く、心打たれる感じがありました。
もう1つは日本と画家、ゴッホとの関係性です。私自身、アートに疎いので、ゴッホという人物をあまり知らなかったこともあって、ゴッホがこんなに日本美術の影響を受け、日本美術に影響を与える存在になることに素直に驚きました。
本作はアートを題材にしながらも、どこかお仕事小説や青春小説のような瑞々しさや、熱さがあって面白い作品だったなと思いました。 -
『リボルバー』を読んでゴッホ関連作品を読みたくなったので。
いろんな感情が湧いて感想が書けません!
ファン・ゴッホ兄弟の関係性は一言では表せない。
時代が追いついていない、世間から評価されるには早すぎる絵を描く画家フィンセントと兄の絵を売ろうにも売ることができない画商のテオドロスのお互いを思う気持ちが…。
途中でフィンセントの自由奔放さにイライラしながら読んでました笑
そんなフィンセントを見捨てることができない弟テオドロスに感情移入して辛い。
また、この兄弟に関わっていく二人の日本人にフィーチャーした構成となっていて、「林忠正」と架空の人物「加納重吉」がフランス、パリで活躍する様が日本人として誇らしいと思いました(フィクションですが…)。 -
フィンセントとテオのゴッホ兄弟と、日本人画商の林忠正、加納重吉の4人を軸とした物語。
なんと言っても、テオの兄フィンセントに対する想いの強さが印象的だった。
かつては憧れの対象であった兄に対して、共同生活を送るうちに兄の素行の悪さからいつしかその存在が重荷になったり、悩みのタネとなってしまう。画家としての成功を信じて支えたいのに、諍いが絶えなくすれ違いの日々を過ごしてしまい深く傷つく。葛藤で揺れ動く姿に胸が痛い。
一方のフィンセントの不器用な生き方も、もどかしく感じた。弟から経済的な援助を受けている負い目、自分自身に対する不甲斐なさ、そして自身の絵が認められない世の中に対する不満…
兄弟とも、お互いを心の底から大切に想っていながらも、ままならない現実に足掻いてもがいて日々苦しんでいる。なんとかしたい、という心の叫びが聞こえてくるかのよう。
そんな兄弟を精神的に支えた日本人コンビとの関係性が清々しい。時に頬を張って叱りつけたり、時に笑い合って喜びあったり。それだけに、あの名作との息をのむ対面のシーンは心震えるものがあった。
時代の波に翻弄され続けた男達の物語。力強さと儚さと苦悩の日々が交錯し、何とも言えない複雑な感情の余韻を残した。 -
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前から書店などで見かけ、タイトルと表装が素敵だったので気になっていましたが、やっと読めました。
めちゃくちゃよかったです❕
史実なのかフィクションなのか区別がつかないくらい描写が活きていて設定もリアルで素晴らしいです。
著者は、美術館で勤務されていたみたいですね。
美術に対する知識と熱量がすごく伝わってきます。
作家さんは、とても勉強して作品を作ってるんだなーと感心しました。
ぜひぜひ読んでみてください-
2021/05/10
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この作品が何を書いているものなのか?
この作品のジャンルが何なのか?全く調べず、ただ作者名と、Amazonでの好評価からポチっとしてしまった。
あら?私には少し高尚なお話すぎるかしら?
ちょっとジャンルの選択間違ったかしら?
と思ったが、読み進めていくと、この物語の世界に没頭してしまった。
今では誰もが知る、画家ゴッホ、その兄を献身的に支える弟のテオ。
そして、日本人の画商、林忠正、加納重吉とゴッホ兄弟の出会い。
フィクションと書いてあるが、まるで現実のような壮大な物語だった。
原田先生によるアート作品は、猛烈な力を感じる。登場人物が物語の中から浮き出てきそうなほど。
素晴らしい作品。
読書をしているのに、アート鑑賞しているような錯覚にも陥る。 -
マハさんのアート小説は、大好きです。
弟テオの兄を思う気持ち、兄のゴッホの不器用ながらも画家として生き抜く様、2人の兄弟愛に涙しながら一気読みでした。
改めてゴッホの作品を観てみたいと思いました。 -
急な土砂降りで駅に足止め。
家に帰れないので、飲み屋で焼き鳥食べながら書いてる。そういえば、生ビール飲むのもメチャクチャ久しぶりだ。
店が閉められてしまう10時までに雨止むといいけど...
マハさんの絵画系の小説。
2018年本屋大賞第4位、となれば、読むしかないでしょ。
題材はゴッホ。
ゴッホと言うと、「ひまわり」の絵と狂気のイメージ。耳を切り落とすとか。
この小説は史実とマハさんの想像が入り交じっているとのこと。
うるさいこと言わず読んでいる分には、充分リアルだ。19世紀後半のパリの情景が頭に浮かんで来るし、ゴッホの絵画の世界を深く理解できる気がする。
日本人の画商、林忠正とゴッホの交流が実際にあったことは確認されていない。でも、日本人とゴッホに、こんな幸せな関係があったのなら、とても素敵なこと。遠い存在だった「狂気の天才」ゴッホに急速に親近感を抱いた。
この小説読んで、表紙の絵の「星月夜」は僕にとって特別な絵になった。あと、「花魁」も。 -
あー、特に最後が哀しい(>_<)
『フランダースの犬』を思い出してしまった!
事実と想像が混ざる原田マハさんの小説はいつも面白い
実在の人物なんだけど、何処までが事実で何処までが小説なんだろうって
そしていつ、どうやってゴッホの絵が世の中に知られる様になったんだろうか、と想像さぜるおえない
ゴッホの作品が沢山出てくるので『楽園のカンヴァス』と同様、検索しながら読んだ
ゴッホの『薔薇』は見た事があるが、絵に無知な私でもずっと観ていたいと思う程惹かれるものがあった(^O^)-
フランダースの犬。なるほど。
子どもの頃は本に感動し、後には映画に感動しました。
ありがとうございます!フランダースの犬。なるほど。
子どもの頃は本に感動し、後には映画に感動しました。
ありがとうございます!2024/04/24
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ゴッホといえば、何を思い浮かべますか?
『ひまわり』『星月夜』『ファン・ゴッホの寝室』『タンギー爺さん』が代表作として挙がりますが、精神的に追い込められ耳を切り落とした話が有名だと思います。本書は、そのような精神的に脆いゴッホを取り巻く、弟のテオや日本人画商たちの視点で描いた物語です。
ゴッホは酒やお金にだらしがなく、優しい弟テオを苦労させる点では同情できる人物ではないのですが、〝世間から認められず〟生計が立てられない中で、画風を曲げない姿勢は絵からも凄みが伝わってきます。
そもそも、〝世間から認められる〟とは何でしょうか?皆が欲しいと思う絵だからこそ、高値で取引されて画家が潤います。皆が受け入れるような良い絵を描けば画家が幸せになるかというと、これが難しい。著名な先生やアカデミーが評価する良い絵と、画家が描きたい絵に乖離があった場合はどうでしょうか。
世間は〝美術館に飾られているから〟〝有名な賞を取ったから〟〝高値だから〟という理由で、凄い絵として認める節があります。
当初、茶碗の包み紙の価値程度だった浮世絵や、落書きのような絵と揶揄された印象派。印象派の場合、デュラン・リュエルを始めとする敏腕画商のおかげで、徐々に世間から評価されます。(参照:「ビジネス戦略から読む美術史 西岡文彦著」)
原田マハ氏はゴッホの物語を通して、芸術に対する評価について問いを投げかけているのだと思いました。
ちなみに、実物の『星月夜』は見た時、黄色が本当に輝いているように見え、その明るさに感動して私は『星月夜』が好きになりました。ミーハーな私は〝有名な絵だから〟感動したのかもしれませんが、あの絵ほど明るいと感じた作品に今まで出会ったことはありません。
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【本書より抜粋】
早くなんとかしたい、という思いが強くなればなるほど、稚速はいけない、と自分をいさめる自分がいた。(中略)世紀末に向かって奔流する美術史に新しいうねりを作り出すであろう力を。(中略)そんな思いをテオが秘めていることに、フィンセントが気づくはずもなかった。最近の彼は、弟と顔を合わせれば(中略)酒が入れば口汚く罵った。お前はブルジョワの犬だ、おれの絵を売る度量も資格もないんだ、恥を知れ-と。
なぜ世間がフィンセントの絵をなかなか認めようとしないのか。そして、フィンセントの絵が、ほんとうに『認められる』ものなのか。そもそも、何をもって世間に『認められる』ことになるか。(中略)フィンセントの絵には『何か』がある。(中略)君は、ただ、フィンセント・ファン・ゴッホという画家を信じていれば、それでいいいと‥僕は思う。
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参照: 「ビジネス戦略から読む美術史(西岡文彦著)」より
ルノワールの『船遊びの昼食』は、ダンカン・フィリップスがデュラン・リュエルの長男に食堂へ案内された時に飾られていた。名品と差し向かいで昼食をとることになる。セレブ接客により、印象派価格の史上最高記録を更新した商談がまとまる。 -
残っているゴッホの資料がそう多くないことも相まって、原田マハさんが作り出した物語は、100%あり得ないとする根拠が、もはやないのでは…。新しくて美しい仮説発表みたいだった。芸術の花の都パリで、ジャポニズムが一世を風靡し、ゴッホの作品でも「タンギー爺さん」含めて浮世絵の模写が実在する。お金のないゴッホと同時代パリにいた日本人画商・林忠正が繋がる1冊Σ(゚∀゚ノ)ノキャー
今年の夏、オリンピック開催で話題になったパリとセーヌ川。こちらの本も「パリと言えば…」な興味深い思い出に追加です!
『どんなときであれ、何度でも。流れに逆らわず、激流に身を委ね、決して沈まず、やがて立ち上がる。そんな街。それこそが、パリなのだ。』
2024.10
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「リボルバー」の方を先に読んだ際、「何故テオは兄フィンセントの絵を売ることが出来なかったのか?」「画廊の支配人でいくらでもプロモーション出来ただろうに?」という問いへの答えが分からず、腹落ちが悪かったのだけど、本作を読んで、やっと、テオの危うい立場と苦しい心内を理解できた気がする。
画廊の娘婿で、かつアカデミーの重鎮、かつ看板画家のジャン=レオン・ジェロームからの有形無形の圧力が強烈で、クロード・モネをはじめとする印象派の作品すら展示が難しかった、というのは、現代の後付け美術史観からは想像が難しい。
「印象派」というネーミングが敵対勢力による侮蔑的な意図によるものだった、という逸話を読み、「ビッグバン」と同じで面白いと思った。
普通は、侮蔑語には、別の美しいネーミングで対抗するするところだが、圧倒的なチカラがある場合だけは、同じ名前のまま、価値を完全に上書きすることが出来るのだな、と思った。
「星月夜」が最高の作品として扱われているけれど、個人の趣味としては、「夜のカフェテリア」が一番好きだ。
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原田マハさんの小説は大好きなのですが、なんせ知識が無さすぎて美術の小説を避けてしまっていました。昔、何にも知らずにゴッホ展に行ったのに、ひまわり有名だよねって知ってるレベル。
それくらい無知な私でも、小説の世界観に入り込めて凄く凄く面白かったです。さすが原田マハさん!ゴッホがあんなに壮絶すぎる人生を送っていたことを初めて知りました。そして自分の半身としか表現出来ないテオという弟がいたのですね。お互いを支え合ってて、素敵な関係でした。最後、ゴッホとテオの気持ちを考えたら泣けた。
小説に出てくる絵や史実を、実際に調べながら読んだのも楽しかった。素敵な絵がたくさんで、世界中の人たちを魅力しているのも納得でした。そして生きてる間は全然売れなくて、亡くなってからこんなに有名になったのも本当にすごい人生だ。まさかの日本でもゴッホの絵が見れるみたいで、ぜひゴッホの人生を少し知れた今、もう一度ちゃんと見たいと思いました。
苦手な分野でも読んでみたら面白いことってあるんだな。好き嫌いせずに色んな小説を読んでみよう!この本は大好きな本になりました。 -
パリで奮闘する画商を中心に、画家ゴッホの過去・人間関係を描いた史実に基づくフィクション。
美術に精通してる人、興味がある人、パリが好きな人はグイグイ読み進められると思うが、そうでない人は最初は取っ付きにくいかもしれない。
ただ絵画のことを知らない分、新たに知れるという楽しみ方もある。また、作品内で描かれる人間関係も美しい。
自分が知らない新たな世界が知れて良かった。
今度、息子を連れて美術館に行こう。
著者プロフィール
原田マハの作品
