- Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344429727
作品紹介・あらすじ
19世紀後半、栄華を極めるパリの美術界。画
商・林忠正は助手の重吉と共に流暢な仏語で
浮世絵を売り込んでいた。野心溢れる彼らの
前に現れたのは日本に憧れる無名画家ゴッホ
と、兄を献身的に支える画商のテオ。その奇
跡の出会いが”世界を変える一枚”を生んだ。
読み始めたら止まらない、孤高の男たちの矜
持と愛が深く胸を打つアート・フィクション。
感想・レビュー・書評
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すごく読みごたえがあった。ゴッホ兄弟、林忠正、加納重吉4人の織り成す重厚なドラマが心をつかんで離さなかった。明治、日本が近代国家の体をなしていない時期に、渡仏しジャポニズムを広めた林忠正の生き様は端から見ていてカッコいい。武士道をフランスで体現してるかのようで魅力的な人物だ。一方重吉は、渡仏し足が地につかない様子に親近感を覚える。その後の成長にも。美術史は聞きかじりの自分がこんなにはまるとは思わなかった。美術に関して、原田マハさんの造形の深さが魅力を溢れんばかりに伝えてくれる。新しいものが受け入れられるのに時間がかかることを歴史は繰り返し伝えてくれる。あのゴッホですらそうなのだから。アルルの跳ね橋や星月夜など素人の自分でも思わず感動してしまうというのに。美術×歴史のダイナミズムを終始感じることができた。すごく楽しい時間を過ごせた。
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前から書店などで見かけ、タイトルと表装が素敵だったので気になっていましたが、やっと読めました。
めちゃくちゃよかったです❕
史実なのかフィクションなのか区別がつかないくらい描写が活きていて設定もリアルで素晴らしいです。
著者は、美術館で勤務されていたみたいですね。
美術に対する知識と熱量がすごく伝わってきます。
作家さんは、とても勉強して作品を作ってるんだなーと感心しました。
ぜひぜひ読んでみてください-
2021/05/10
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マハさんのアート小説は、大好きです。
弟テオの兄を思う気持ち、兄のゴッホの不器用ながらも画家として生き抜く様、2人の兄弟愛に涙しながら一気読みでした。
改めてゴッホの作品を観てみたいと思いました。 -
急な土砂降りで駅に足止め。
家に帰れないので、飲み屋で焼き鳥食べながら書いてる。そういえば、生ビール飲むのもメチャクチャ久しぶりだ。
店が閉められてしまう10時までに雨止むといいけど...
マハさんの絵画系の小説。
2018年本屋大賞第4位、となれば、読むしかないでしょ。
題材はゴッホ。
ゴッホと言うと、「ひまわり」の絵と狂気のイメージ。耳を切り落とすとか。
この小説は史実とマハさんの想像が入り交じっているとのこと。
うるさいこと言わず読んでいる分には、充分リアルだ。19世紀後半のパリの情景が頭に浮かんで来るし、ゴッホの絵画の世界を深く理解できる気がする。
日本人の画商、林忠正とゴッホの交流が実際にあったことは確認されていない。でも、日本人とゴッホに、こんな幸せな関係があったのなら、とても素敵なこと。遠い存在だった「狂気の天才」ゴッホに急速に親近感を抱いた。
この小説読んで、表紙の絵の「星月夜」は僕にとって特別な絵になった。あと、「花魁」も。 -
ゴッホといえば、何を思い浮かべますか?
『ひまわり』『星月夜』『ファン・ゴッホの寝室』『タンギー爺さん』が代表作として挙がりますが、精神的に追い込められ耳を切り落とした話が有名だと思います。本書は、そのような精神的に脆いゴッホを取り巻く、弟のテオや日本人画商たちの視点で描いた物語です。
ゴッホは酒やお金にだらしがなく、優しい弟テオを苦労させる点では同情できる人物ではないのですが、〝世間から認められず〟生計が立てられない中で、画風を曲げない姿勢は絵からも凄みが伝わってきます。
そもそも、〝世間から認められる〟とは何でしょうか?皆が欲しいと思う絵だからこそ、高値で取引されて画家が潤います。皆が受け入れるような良い絵を描けば画家が幸せになるかというと、これが難しい。著名な先生やアカデミーが評価する良い絵と、画家が描きたい絵に乖離があった場合はどうでしょうか。
世間は〝美術館に飾られているから〟〝有名な賞を取ったから〟〝高値だから〟という理由で、凄い絵として認める節があります。
当初、茶碗の包み紙の価値程度だった浮世絵や、落書きのような絵と揶揄された印象派。印象派の場合、デュラン・リュエルを始めとする敏腕画商のおかげで、徐々に世間から評価されます。(参照:「ビジネス戦略から読む美術史 西岡文彦著」)
原田マハ氏はゴッホの物語を通して、芸術に対する評価について問いを投げかけているのだと思いました。
ちなみに、実物の『星月夜』は見た時、黄色が本当に輝いているように見え、その明るさに感動して私は『星月夜』が好きになりました。ミーハーな私は〝有名な絵だから〟感動したのかもしれませんが、あの絵ほど明るいと感じた作品に今まで出会ったことはありません。
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【本書より抜粋】
早くなんとかしたい、という思いが強くなればなるほど、稚速はいけない、と自分をいさめる自分がいた。(中略)世紀末に向かって奔流する美術史に新しいうねりを作り出すであろう力を。(中略)そんな思いをテオが秘めていることに、フィンセントが気づくはずもなかった。最近の彼は、弟と顔を合わせれば(中略)酒が入れば口汚く罵った。お前はブルジョワの犬だ、おれの絵を売る度量も資格もないんだ、恥を知れ-と。
なぜ世間がフィンセントの絵をなかなか認めようとしないのか。そして、フィンセントの絵が、ほんとうに『認められる』ものなのか。そもそも、何をもって世間に『認められる』ことになるか。(中略)フィンセントの絵には『何か』がある。(中略)君は、ただ、フィンセント・ファン・ゴッホという画家を信じていれば、それでいいいと‥僕は思う。
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参照: 「ビジネス戦略から読む美術史(西岡文彦著)」より
ルノワールの『船遊びの昼食』は、ダンカン・フィリップスがデュラン・リュエルの長男に食堂へ案内された時に飾られていた。名品と差し向かいで昼食をとることになる。セレブ接客により、印象派価格の史上最高記録を更新した商談がまとまる。 -
この作品が何を書いているものなのか?
この作品のジャンルが何なのか?全く調べず、ただ作者名と、Amazonでの好評価からポチっとしてしまった。
あら?私には少し高尚なお話すぎるかしら?
ちょっとジャンルの選択間違ったかしら?
と思ったが、読み進めていくと、この物語の世界に没頭してしまった。
今では誰もが知る、画家ゴッホ、その兄を献身的に支える弟のテオ。
そして、日本人の画商、林忠正、加納重吉とゴッホ兄弟の出会い。
フィクションと書いてあるが、まるで現実のような壮大な物語だった。
原田先生によるアート作品は、猛烈な力を感じる。登場人物が物語の中から浮き出てきそうなほど。
素晴らしい作品。
読書をしているのに、アート鑑賞しているような錯覚にも陥る。 -
あー、特に最後が哀しい(>_<)
『フランダースの犬』を思い出してしまった!
事実と想像が混ざる原田マハさんの小説はいつも面白い
実在の人物なんだけど、何処までが事実で何処までが小説なんだろうって
そしていつ、どうやってゴッホの絵が世の中に知られる様になったんだろうか、と想像さぜるおえない
ゴッホの作品が沢山出てくるので『楽園のカンヴァス』と同様、検索しながら読んだ
ゴッホの『薔薇』は見た事があるが、絵に無知な私でもずっと観ていたいと思う程惹かれるものがあった(^O^) -
原田マハさんの小説は大好きなのですが、なんせ知識が無さすぎて美術の小説を避けてしまっていました。昔、何にも知らずにゴッホ展に行ったのに、ひまわり有名だよねって知ってるレベル。
それくらい無知な私でも、小説の世界観に入り込めて凄く凄く面白かったです。さすが原田マハさん!ゴッホがあんなに壮絶すぎる人生を送っていたことを初めて知りました。そして自分の半身としか表現出来ないテオという弟がいたのですね。お互いを支え合ってて、素敵な関係でした。最後、ゴッホとテオの気持ちを考えたら泣けた。
小説に出てくる絵や史実を、実際に調べながら読んだのも楽しかった。素敵な絵がたくさんで、世界中の人たちを魅力しているのも納得でした。そして生きてる間は全然売れなくて、亡くなってからこんなに有名になったのも本当にすごい人生だ。まさかの日本でもゴッホの絵が見れるみたいで、ぜひゴッホの人生を少し知れた今、もう一度ちゃんと見たいと思いました。
苦手な分野でも読んでみたら面白いことってあるんだな。好き嫌いせずに色んな小説を読んでみよう!この本は大好きな本になりました。 -
「たゆたえども沈まず」原田マハ(著)
令和2年4月10日 文庫初版 (株)幻冬社
令和2年6月30日 3版発行
世界的にも擦りに擦られてきた「画家ゴッホ」を題材に大胆にもフィクションにし
それでもなお魅力を損なわない作品。
原田マハすげーなおい!
作中に登場する「ゴッホ」の描いた絵を
改めて画像検索しながら観るとまた味わい深い。
文庫本の楽しみのひとつは巻末の解説。
こちらもとても興味深く読ませていただきました。
とりあえず残すところ「暗幕のゲルニカ」
明日の20時からのラジオまでに
読み切れるのか?^^;
著者プロフィール
原田マハの作品






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